【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しております。しかしながら、混迷が長期化するロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料価格やエネルギーコストの高騰、急激な為替変動による物価上昇など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような経営環境の下、当フジボウグループは、中期経営計画『増強21-25』において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置づけ、各事業の成長基盤の増強に取り組んでおります。計画3年目となる当期については、事業の柱である研磨材事業は、半導体用途の需要が大幅に減少しており、1年近く続いた世界的な半導体市場の縮小に底打ち感がみられるものの、依然厳しい状況が続いております。化学工業品事業は、中国経済の低迷に加え、電子材料を中心とした市況悪化に直面し、一段と厳しさが増しました。生活衣料事業は、より収益性の高い製品への絞り込みと、コストアップに対応した価格転嫁を行いました。この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2,510百万円(12.8%)減収の17,098百万円となり、営業利益は2,425百万円(72.6%)減益の917百万円、経常利益は2,144百万円(62.9%)減益の1,262百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比1,410百万円(61.1%)減益の896百万円となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
①研磨材事業主力の超精密加工用研磨材は、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などは、半導体市場の一部分野では底打ちの気配がみられるものの、依然として在庫レベルが高水準にあり在庫調整が続いていることから、需要が低迷し、大きく受注が減少しました。ハードディスク用途は、パソコンおよびデータセンター向けの需要減退により、受注は減少しました。また、液晶ガラス用途においてもデジタル機器の需要低迷によるパネルメーカーの急激な減産調整の影響を受け、受注が減少しました。一方、電気自動車(EV)をはじめとする車載向けやデータセンター向けに利用されるパワー半導体などの分野では、旺盛な需要が継続しております。この結果、売上高は前年同期比2,786百万円(32.7%)減収の5,721百万円となり、営業利益は2,024百万円(92.9%)減益の154百万円となりました。
②化学工業品事業一部の機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、海外生産リスクの顕在化による化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、堅調に推移しました。一方で化学業界全体は、世界的な需要の減退に加え、半導体を中心とした電子材料市況の悪化により厳しい事業環境となっており、全体としては受注が減少しました。原材料・エネルギー価格高騰による製品コスト上昇部分については、価格転嫁を実施しました。この結果、売上高は前年同期比255百万円(4.2%)増収の6,386百万円となり、営業利益は359百万円(51.2%)減益の342百万円となりました。
③生活衣料事業繊維素材は、ロシア・ウクライナ情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高に加えて、円安に伴う部材調達や海外製造コストの高騰が更なる追い打ちをかけ、厳しい環境が続きました。繊維製品は、店頭販売では、より収益性の高い製品への絞り込みにより堅調に推移しました。また、ネット販売では、多様化する顧客ニーズや市場動向に応じ、デジタルマーケティングを強化することで堅調に推移しました。この結果、売上高は前年同期比182百万円(5.0%)減収の3,449百万円となり、営業利益は16百万円(4.1%)減益の384百万円となりました。
④その他化成品部門は、医療機器用部品では、医療用プラスチック市場の回復傾向により受注が増加しましたが、デジタルカメラ用部品では、半導体不足の影響を受け、受注が減少しました。金型部門では、自動車向け金型は苦戦しましたが、金型子会社がグループ入りしたことにより売上高が増加しました。貿易部門では、より収益性、安全性の高い取引に対象を絞ったことに加え、代理店営業の有効活用により、収益性の改善に取り組みました。この結果、売上高は前年同期比202百万円(15.1%)増収の1,541百万円となり、営業利益は26百万円(41.9%)減益の36百万円となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)資産合計は前連結会計年度末に比べて582百万円減少の60,786百万円となりました。流動資産は410百万円減少の22,592百万円となりましたが、これは受取手形及び売掛金や棚卸資産が増加しましたが、現金及び預金やその他流動資産が減少したことなどによります。固定資産は171百万円減少の38,194百万円となりましたが、これは減価償却により有形固定資産が減少したことなどによります。
(負債)負債合計は前連結会計年度末に比べて1,346百万円減少の17,101百万円となりました。流動負債は1,599百万円減少の10,269百万円、固定負債は253百万円増加の6,832百万円となりました。これは、未払法人税等や設備関係支払手形などのその他流動負債が減少したことなどによります。
(純資産)純資産合計は前連結会計年度末に比べて764百万円増加し、43,685百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が630百万円ありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加が896百万円あったことなどによります。
(3)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、売上債権や棚卸資産が増加しましたが、税金等調整前四半期純利益や減価償却費の計上などにより2,091百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、2,289百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、借入金の返済や配当金の支払などにより、588百万円の支出となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて742百万円減少の7,348百万円となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第2四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は689百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。