【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは,当連結会計年度より国際財務報告基準(以下,「IFRS」という)を適用しており,前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行なっています。
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が制限されているため,依然として厳しい状況にあります。また,世界経済についても,一部の地域や産業においては回復傾向が見られるものの,変異株の感染が拡大していることもあり,全体としては低迷する状況が続きました。
新型コロナウイルス感染拡大については,その収束の兆しが未だ見えない中,旅客需要の低迷やエアラインの経営状況悪化が続いており,当社グループの主力事業である民間向け航空エンジンにおいて,エンジン及びスペアパーツの販売が大きく減少するなど,大きな影響を受けています。国内線については,北米等ワクチン接種が進む国において,夏期以降に旅客需要改善が期待される一方で,国際線については,依然として入国制限の緩和が進まず,回復に向けた動きに遅れが生じています。国内線に加え,ワクチン接種が進む先進国間での国際線も旅客需要が高まり,エンジン整備の需要が増加してくるのは2022年度以降と想定されており,当社グループにおける事業の回復には数年の期間を要すると見込まれます。
一方で,車両過給機においては,中国で自動車産業が早期に回復傾向となったほか,一部に経済活動制限の影響が残る米国や欧州でも5月中旬から生産活動が再開されており,総じて販売台数は徐々に持ち直しています。熱・表面処理においても,堅調な中国市場に牽引されて,回復に向かいつつあります。
このような状況の下,当社グループとしては,新型コロナウイルス感染拡大の影響への対策として,当連結会計年度期初より,設備投資・研究開発費等の一時凍結・抑制や,総費用・固定費の圧縮,成長分野・ライフサイクル事業への機動的な人材リソースのシフトなどに,全社を挙げて取り組んできました。
当社グループは,前述した「プロジェクトChange」の下,環境変化に打ち勝つ事業体質への変革,財務戦略の実行を通じ,収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大を着実に推し進め,成長軌道への回帰を早期に実現するとともに,持続可能な社会の実現に資する成長事業の創出に向けた取り組みを加速し,事業ポートフォリオの変革を推進していきます。当連結会計年度では,その投資原資の確保のため,投資不動産の売却を実施しています。
上記施策を実行したものの,当社グループの当連結会計年度の業績は新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受ける結果となりました。
受注高は前年度比14.3%減の1兆970億円となり,売上収益についても,民間向け航空エンジンの大幅な減収により,11.9%減の1兆1,129億円となりました。
損益面では,営業利益は,ライフサイクルビジネスの拡大,資源・エネルギー・環境での前年度までの採算性低下が概ね収束してきていること,固定費の削減等や投資不動産の売却による増益はあったものの,前述の民間向け航空エンジンの減収などの影響が大きく,198億円減益の279億円となりました。税引前利益は,持分法による投資損益の改善や,為替差損益が好転したことなどにより,減益幅は15億円に縮小し,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は,48億円増益の130億円です。
当連結会計年度の報告セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。
(単位:億円)
報告セグメント
受注高
前連結会計年度
当連結会計年度
前期比
前連結
会計年度
当連結
会計年度
前期比
増減率
(%)
(2019.4~2020.3)
(2020.4~2021.3)
増減率(%)
売上収益
営業
損益
売上収益
営業
損益
売上収益
営業
損益
資源・
エネルギー・
環境
3,169
2,747
△13.3
3,248
39
3,176
191
△2.2
382.4
社会基盤・海洋
1,969
1,661
△15.6
1,487
130
1,579
171
6.2
31.3
産業システム・
汎用機械
4,201
3,652
△13.1
4,045
129
3,742
114
△7.5
△11.7
航空・宇宙・防衛
3,215
2,604
△19.0
3,697
208
2,446
△404
△33.8
-
報告セグメント 計
12,556
10,665
△15.1
12,478
508
10,944
72
△12.3
△85.7
その他
734
788
7.4
670
65
668
36
△0.2
△44.7
調整額
△490
△483
-
△517
△95
△484
170
-
-
合計
12,800
10,970
△14.3
12,631
478
11,129
279
△11.9
△41.6
<資源・エネルギー・環境>
パリ協定にて世界の平均気温上昇の上限や温室効果ガス排出量と吸収量のバランスについて長期目標が掲げられる中,日本でも「2050年カーボンニュートラル化」の実現に向け法改正案が閣議決定されるなど,脱CO₂への流れが加速しています。それに伴い,環境負荷低減に係る課題は,地域やお客さまにより多様化しつつも,将来の脱CO₂化につながるテーマが増えてきています。
このような事業環境のもと,受注高は,ボイラで前期に大型工事を受注した反動で減少しました。
売上収益は,ボイラで増収となったものの,プラントで減収となりました。
営業利益は,ボイラのライフサイクルビジネスの増収による増益及び前期の原動機,プラントでの採算性低下の収束により増益となりました。
<社会基盤・海洋>
国内におけるインフラ老朽化や災害の激甚化への対策として,維持・修繕・補修などの保全工事の割合が増加し,新設の大型プロジェクトは減少していく傾向にあります。建設現場では,労働人口の急減に伴い,作業の標準化を進めたうえでのICT活用による効率化や働き方改革が政府主導で加速しています。
海外市場は,先進国ではインフラ老朽化による保全工事の需要が継続する一方,新興国では新設需要が旺盛であるものの,ODAによる案件組成から民間企業が社会インフラの運営・維持に関与するスキームが増加しています。
このような事業環境のもと,受注高は,橋梁・水門で前期に海外向けの大型案件を受注した反動で減少しました。
売上収益は,橋梁・水門で前期に大型案件を引き渡した影響で減収となったものの,都市開発の販売用不動産の売却や,シールドシステムで増収となりました。
営業利益は,都市開発,シールドシステムの増収及び橋梁・水門の採算改善により増益となりました。
<産業システム・汎用機械>
中国を皮切りに自動車産業において市況は回復段階に入っているものの,新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明感から,一部を除き産業システム関連における設備投資は様子見の状況にあり,世界全体では感染拡大以前の水準に回復するのは2022年度以降と想定しています。
一方で,環境負荷低減ニーズの高まり,生産人口の減少,消費者ニーズの多様化,デジタル化の進展といった社会変化はますます加速しており,それはお客さまにおける電動化の推進や省人化・自動化の推進といった形で顕在化しております。ライフサイクルでお客さまに寄り添い,迅速かつ適切に社会とお客さまの幅広い課題に対応していく必要があります。
このような事業環境のもと,受注高は,前期に大型案件の受注があった運搬機械に加えて,車両過給機や回転機械で減少しました。
売上収益は,運搬機械で増収になったものの,車両過給機や熱・表面処理で減収となりました。
営業利益は,運搬機械での増収や車両過給機での固定費削減等により増益となったものの,農機事業での構造改革費用の計上により減益となりました。
<航空・宇宙・防衛>
旅客需要の回復には今後数年を要することが想定され,事業への引き続きの影響が避けられない状況の中,この環境変化に打ち勝つ事業体質の構築に向け,需要変動に応じた生産体制の見直しやリソースのシフト等によるコスト構造の強化を推進し,新たな成長の機会としてまいります。
また,当社のエンジンは,比較的新しいタイプの航空機に搭載されており,燃費を始め運用コストにおける優位性から優先的に運用が再開され,アフターマーケットでの収益の早期回復が期待されます。
このような事業環境のもと,受注高は,民間向け航空エンジンで減少しました。
売上収益は,新型コロナウイルス感染拡大の影響による旅客需要の減少により,民間向け航空エンジンで大幅減収となりました。
営業利益は,固定費の削減の効果等は出ているものの,民間向け航空エンジンでの採算性の高いスペアパーツの販売減少による影響が大きく,営業赤字となりました。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において判断したものです。
b.資産及び負債,資本の状況
当連結会計年度末における総資産は1兆8,328億円となり,前連結会計年度末と比較して361億円減少しました。主な増加項目は,契約資産で100億円,主な減少項目は,現金及び現金同等物で249億円,有形固定資産で125億円です。
負債は1兆5,051億円となり,前連結会計年度末と比較して578億円減少しました。主な減少項目は,営業債務及びその他の債務で583億円です。また,有利子負債残高はリース負債を含めて6,059億円となり,前連結会計年度末と比較して67億円減少しました。
資本は3,277億円となり,前連結会計年度末と比較して216億円増加しました。これには,親会社の所有者に帰属する当期利益130億円,剰余金の配当による減少29億円が含まれています。
以上の結果,親会社所有者帰属持分比率は,前連結会計年度末の15.0%から16.4%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という)の残高は,前連結会計年度末と比較して249億円減少し,1,207億円となりました。前連結会計年度末に新型コロナウイルス感染拡大に伴う金融市場の混乱リスク等に備えて資金を確保していましたが,金融市場が比較的安定しているため,事業活動による運転資金の支出に充てたこと等によるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は363億円(前連結会計年度は424億円の獲得)となりました。これは,営業債務の減少がある一方で,減価償却費,償却費及び減損損失など資金流出を伴わない費用の影響を除いた利益の獲得などによって資金が増加したものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は404億円(前連結会計年度は855億円の使用)となりました。これは,投資不動産の売却による収入があったものの,主に有形固定資産,無形資産及び投資不動産の取得による支出などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用された資金は237億円(前連結会計年度は968億円の獲得)となりました。これは主に,リース負債の返済による支出によるものです。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示し,比率は四捨五入表示しています。
③生産,受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
資源・エネルギー・環境
311,669
△15.3
社会基盤・海洋
165,405
12.2
産業システム・汎用機械
366,285
△9.8
航空・宇宙・防衛
264,081
△23.3
報告セグメント 計
1,107,440
△12.5
その他
44,044
3.4
合計
1,151,484
△12.0
(注)1. 金額は販売価格によっており,セグメント間の取引を相殺消去しています。
2. 上記の金額には,消費税等は含まれていません。
3. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
b.受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称
受注高
(百万円)
前期比(%)
期末受注残高
(百万円)
前期末比(%)
資源・エネルギー・環境
274,715
△13.3
482,310
△6.7
社会基盤・海洋
166,108
△15.6
226,449
△1.3
産業システム・汎用機械
365,213
△13.1
175,312
△7.6
航空・宇宙・防衛
260,491
△19.0
243,499
△50.5
報告セグメント 計
1,066,527
△15.1
1,127,570
△21.0
その他
78,842
7.4
37,471
75.5
調整額
△48,357
-
-
-
合計
1,097,012
△14.3
1,165,041
△19.6
(注)1. 各セグメントの受注高は,セグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
2. 各セグメントの受注残高は,セグメント間の取引を相殺消去しています。
3. 上記の金額には,消費税等は含まれていません。
4. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
5. 航空・宇宙・防衛における,民間向け航空エンジンの受注高・受注残高の算定方法を,残存履行義務をより
適切に表す受注高・受注残高の認識方法へ変更しています。当連結会計年度期首の航空・宇宙・防衛の受注
残高491,747百万円は,この変更を適用すると,222,712百万円となり,これに対する当連結会計年度の期末
受注残高243,499百万円は,9.3%増加となります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと,次のとおりです。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
資源・エネルギー・環境
317,675
△2.2
社会基盤・海洋
157,952
6.2
産業システム・汎用機械
374,260
△7.5
航空・宇宙・防衛
244,603
△33.8
報告セグメント 計
1,094,490
△12.3
その他
66,893
△0.2
調整額
△48,477
-
合計
1,112,906
△11.9
(注)1. 販売実績は売上収益をもって示します。
2. 金額はセグメント間の取引を含んでおり,調整額でセグメント間取引の合計額を消去しています。
3. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
一般財団法人
日本航空機エンジン協会
168,418
13.3
73,315
6.6
4. 上記の金額には,消費税等は含まれていません。
5. 金額及び比率は単位未満を四捨五入表示しています。
(2)経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は,IFRSに準拠して作成されています。連結財務諸表の作成に当たり,見積りが必要となる事項については,合理的な基準に基づき,会計上の見積りを行なっています。
詳細については,第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「3.重要な会計方針」,及び注記「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しています。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループ及びセグメントごとの経営成績の状況は(1)経営成績等の状況の概要の①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。
主に新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響を踏まえて,2020年度(2021年3月期)の業績目標(2020年11月公表の業績予想)を設定し,施策を実行してまいりました。
2020年度においては,新型コロナウイルス感染拡大の影響により民間向け航空エンジンは大幅な減益となりましたが,事業横断でのリソースの共有やシフトを着実に進め,ボイラなどでライフサイクルビジネスの売上収益が増収となりました。また,車両過給機などで生産性改善や業務プロセス合理化などのコスト構造強化も着実に進捗しました。これらの業績回復ドライバーの実行による成果の早期刈り取りに加え,社会課題解決に資する成長事業創出のための投資原資を確保すべく,投資不動産の売却を行ないました。
この結果,2020年度の営業利益率,ROICは業績目標を上回りました。一方,CCCは124日となりました。前連結会計年度末の92日から大きく悪化している状況にあり,キャッシュ創出力の強化が課題となっています。引き続き,キャッシュ創出に徹底的にこだわった事業運営への転換を推進していきます。
「プロジェクトChange」の経営目標達成に向け,新型コロナウイルス感染拡大の収束による航空需要の回復を前提に,業績回復ドライバーの強力な推進,つまりコスト構造の強化や事業構造の改革による収益基盤の強化とライフサイクルビジネスの拡大をさらに加速していきます。この取り組みにより,成長軌道への回帰を進め,2021年度(2022年3月期)の業績目標(2021年5月公表の業績予想)の営業利益700億円(営業利益率5.9%),ROIC 5.5%,CCC 110日を実現させ,最終年度である2022年度の経営目標の達成を目指します。
2020年度
(2021年3月期)
業績目標
2020年度
(2021年3月期)
実績
2021年度
(2022年3月期)
業績目標
「プロジェクト
Change」
2022年度
経営目標
ROIC
1.8%
2.2%
5.5%
10%以上
営業利益率
1.7%
2.5%
5.9%
8%以上
CCC
–
124日
110日
80日
(注)各指標の算出方法は次のとおりです。
・ROIC :(1-法定実効税率)×(営業利益+受取利息+受取配当金)
÷(親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債の金額)
・CCC :運転資本÷売上収益×365日
・運転資本:営業債権+契約資産+棚卸資産+前払金-契約負債-営業債務-返金負債
なお,セグメントごとの業績目標(営業利益,営業利益率)の達成状況と今後の課題については以下のとおりです。
報告セグメント
2020年度(2021年3月期)
業績目標
実績
営業利益
(億円)
営業利益率
(%)
営業利益
(億円)
営業利益率
(%)
資源・エネルギー・環境
160
4.6
191
6.0
社会基盤・海洋
150
10.0
171
10.8
産業システム・汎用機械
120
3.2
114
3.0
航空・宇宙・防衛
△340
△13.6
△404
△16.5
<資源・エネルギー・環境>
ボイラや原子力でのライフサイクルビジネス拡大や,販管費の削減などにより,業績目標を上回りました。
この事業領域を取り巻く事業環境は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。この事業領域では,既存エネルギーインフラの高効率化やカーボンニュートラル/カーボンフリー燃料の利用を進めるとともに,カーボンリサイクルに関連する開発を加速し,2050年カーボンニュートラル化の実現に向け取り組んでまいります。
<社会基盤・海洋>
橋梁・水門での工事範囲拡大・採算改善や,販管費の削減などにより,業績目標を上回りました。
この事業領域を取り巻く事業環境は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。この事業領域では,インフラ建設のみならず,橋梁・トンネルを軸に計画・運営・保守・保全まで含めたライフサイクル型事業を国内及びグローバルに展開・拡大していくことで,強靭で持続可能な社会インフラシステムの提供に取り組んでまいります。
<産業システム・汎用機械>
車両過給機における販売増加や,回転機械でのライフサイクルビジネスの増加,販管費の削減などがあった一方,農機事業での構造改革費用の計上により,業績目標に対し若干の未達となりました。
この事業領域を取り巻く事業環境は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。この事業領域では,新型コロナウイルス感染拡大による事業活動への影響を最小化し,早期回復に向けた取り組みを進めていくとともに,それを土台として,製品開発はもとより,ソリューション提案やデジタルを活用したサービスの高度化など,ライフサイクルにわたってお客さまの多様なニーズにお応えすることによって,産業インフラの発展に貢献してまいります。
<航空・宇宙・防衛>
新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて昨年11月以降の航空需要の回復が鈍化し,民間向け航空エンジンでのスペアパーツの販売減少による影響などにより,業績目標に対し大幅な未達となりました。
この事業領域を取り巻く事業環境は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。この事業領域では,旅客需要の回復期におけるお客さまの航空機運航再開を万全の態勢で支えるべく,アフターマーケット分野での対応強化に最優先で取り組んでいくとともに,独自技術・ものづくり力の高度化を推し進め,より高効率・低燃費の新型エンジンを開発してまいります。さらには,その先に予想される電動化や持続可能な航空燃料の導入を見据え,安全・快適で環境への負荷を低減させる製品・システムの開発に取り組んでまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは,事業基盤の強化やキャッシュ創出力向上の取組みを通じて得られた自己資金を原資として,財務基盤の拡充と株主還元のバランスを取りながら,事業変革のための投資を進めていくことを財務戦略の基本方針としています。
2020年度のキャッシュ・フローは,営業活動によるキャッシュ・フロー363億円に対し,投資活動によるキャッシュ・フローは,投資の一時的な凍結・抑制や投資不動産の売却を行なったものの,営業活動によるキャッシュ・フローを上回る404億円の支出となりました。3期連続して,営業活動によるキャッシュ・フローよりも投資活動によるキャッシュ・フローの支出が超過しており,キャッシュ・フローの改善は最優先課題と捉えています。
このような状況の中で当社グループは,「プロジェクトChange」で掲げる収益性・キャッシュ創出力を重視した経営施策を着実に実行し,最適な資金配分により持続的な企業価値向上へつなげていきます。
b.資金調達の方針
当社グループの運転資金,投資向け資金等の必要資金の財源については,主として営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を財源とする事を原則としていますが,必要に応じて,短期的な資金については銀行借入やコマーシャル・ペーパーなど,設備資金・投融資資金等の長期的な資金については,金融市場動向や既存借入金及び既発行債の償還時期等を総合的に勘案し,長期借入金や社債等によって調達しています。
外部からの資本・資金調達については,関連するリスクを適切にコントロールした上で,資本コストを最小化する調達を実現することを資金調達の基本方針としています。
また,当社グループ内部では,グループガバナンスの向上,資金効率の向上及び資本コストの低減を図り,企業価値向上に寄与するため,グループ一体となった資金調達・資金収支管理を実施しており,当社と国内子会社間,また海外の一部地域の関係会社間ではキャッシュ・マネジメント・システムによる資金融通を行ない,グループ内の流動性確保,資金効率向上に努めています。
c.資金需要,資金調達及び流動性の分析
当連結会計年度の主な資金需要は,事業活動に必要な運転資金及び前連結会計年度に完成した民間航空エンジンの新拠点設備に係る支払等です。前連結会計年度に新型コロナウイルス感染拡大に伴う金融市場の混乱リスク等に備えて資金を確保していましたが,金融市場が比較的安定しているため,これらの資金需要に対する支払いに充てました。この結果,当連結会計年度末の有利子負債残高はリース負債を含めて6,059億円となり,前連結会計年度末に対して67億円減少しました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,207億円であり,前連結会計年度末と比較して249億円減少しています。手元資金の流動性については現金及び現金同等物に加え,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,今後も十分な水準を確保していきます。
(注)この項に記載の金額は単位未満を切捨て表示しています。
④並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は,以下のとおりです。
なお,日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については,金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
a.要約連結貸借対照表(日本基準)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2020年3月31日)
当連結会計年度
(2021年3月31日)
資産の部
流動資産
1,076,009
1,031,211
固定資産
有形固定資産
397,495
376,212
無形固定資産
32,162
27,441
投資その他の資産
235,116
269,661
固定資産合計
664,773
673,314
資産合計
1,740,782
1,704,525
負債の部
流動負債
909,005
728,283
固定負債
478,031
588,572
負債合計
1,387,036
1,316,855
純資産の部
株主資本
329,216
361,302
その他の包括利益累計額
△2,841
△2,318
新株予約権
533
414
非支配株主持分
26,838
28,272
純資産合計
353,746
387,670
負債純資産合計
1,740,782
1,704,525
b.要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
売上高
1,386,503
1,115,077
売上原価
1,131,775
935,521
売上総利益
254,728
179,556
販売費及び一般管理費
193,931
168,371
営業利益
60,797
11,185
営業外収益
6,545
9,633
営業外費用
35,091
15,740
経常利益
32,251
5,078
特別利益
11,790
26,313
特別損失
5,262
14,305
税金等調整前当期純利益
38,779
17,086
法人税等合計
20,729
10,236
当期純利益
18,050
6,850
非支配株主に帰属する当期純利益
5,238
3,928
親会社株主に帰属する当期純利益
12,812
2,922
要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当期純利益
18,050
6,850
その他の包括利益合計
△9,440
6,510
包括利益
8,610
13,360
(内訳)
親会社株主に係る包括利益
4,487
8,401
非支配株主に係る包括利益
4,123
4,959
c.要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
その他の包括
利益累計額
新株予約権
非支配株主持分
純資産合計
当期首残高
343,497
5,683
659
31,853
381,692
当期変動額合計
△14,281
△8,524
△126
△5,015
△27,946
当期末残高
329,216
△2,841
533
26,838
353,746
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(単位:百万円)
株主資本
その他の包括
利益累計額
新株予約権
非支配株主持分
純資産合計
当期首残高
329,216
△2,841
533
26,838
353,746
会計方針の変更による累積的影響額
27,442
-
-
-
27,442
会計方針の変更を反映した当期首残高
356,658
△2,841
533
26,838
381,188
当期変動額合計
4,644
523
△119
1,434
6,482
当期末残高
361,302
△2,318
414
28,272
387,670
d.要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー
14,510
22,841
投資活動によるキャッシュ・フロー
△75,896
△37,197
財務活動によるキャッシュ・フロー
115,264
△13,730
現金及び現金同等物に係る換算差額
△1,301
3,579
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
52,577
△24,507
現金及び現金同等物の期首残高
92,608
145,484
非連結子会社の連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
299
192
連結子会社の連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額
-
△403
現金及び現金同等物の期末残高
145,484
120,766
⑤連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し,約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で,当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しています。
この適用により,当社が参画している民間向け航空エンジンプログラムに関連して負担する費用や契約履行に伴い発生する損害賠償金等を,従来売上原価,販売費及び一般管理費又は営業外費用に計上していましたが,取引の実態に鑑み変動対価や顧客に支払われる対価とし,売上高から減額する方法に変更しています。また,従来は工事完成基準を適用していた契約のうち,一定期間にわたり履行義務が充足される契約については,工事進行
基準を適用して収益を認識する方法に変更しています。なお,履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないが,発生する費用を回収することが見込まれる場合は,原価回収基準にて収益を認識しています。
収益認識会計基準等の適用については,収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており,当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を,当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し,当該期首残高から新たな会計方針を適用しています。ただし,収益認識会計基準第86項に定める方法を適用し,当連結会計年度の期首より前までに従前の取扱いに従ってほとんどすべての収益の額を認識した契約に,新たな会計方針を遡及適用していません。また,収益認識会計基準第86項また書き(1)に定める方法を適用し,当連結会計年度の期首より前までに行なわれた契約変更について,すべての契約変更を反映した後の契約条件に基づき,会計処理を行ない,その累積的影響額を当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減しています。
この結果,当連結会計年度の売上高が85,114百万円,売上原価が84,653百万円,販売費及び一般管理費が2,605百万円それぞれ減少し,営業利益が2,144百万円増加,経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ7,044百万円増加しています。また,利益剰余金の当期首残高は27,442百万円増加しています。
⑥経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は,次のとおりです。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
第5「経理の状況」1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記「42.初度適用」に記載のとおりです。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(のれんの計上額の調整及び減損損失の認識)
日本基準では,のれんについて一定の期間で償却していますが,IFRSではのれんの償却は行なわず,移行日以降の償却を停止しています。また,日本基準では減損の兆候がある場合にのみ減損の要否の判断を行なっていましたが,IFRSでは兆候の有無に関わらず,毎期,主に第4四半期において,減損テストを実施しています。
この影響によりIFRSに基づく連結損益計算書では,日本基準に比べ「販売費及び一般管理費」が4,225百万円減少しています。また,のれんの減損損失13百万円を認識し「その他の費用」として計上しています。
