【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和される中、経済活動の正常化が進みました。個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復を受けて多くの分野で企業業績も上向き、日経平均株価も好調に推移し始めました。一方、米中間による経済安全保障問題や台湾情勢の緊迫化、米国の金融機関破綻に端を発する金融システム不安も依然燻っている中、ロシアによるウクライナ侵攻も長期化しており、海外情勢は未だ混沌とした状況にあります。更なる物価高騰や為替変動など、これらの海外情勢がわが国経済へ与える影響には今後も留意が必要であります。国内建設市場では、住宅需要が低減する傾向にあり、第1四半期における新設住宅着工戸数は20.7万戸と、前年同期間と対比して4.7%減少しております。一方、国内自動車生産は、半導体不足も解消してきている中、中部圏を中心に堅調な回復が見られ、本年4~5月の国内自動車生産台数(確報値)は前年同期間と比べ32.8%増となりました。こういった環境下、当第1四半期連結累計期間の売上高は、1,379百万円(前年同四半期1,274百万円、8.2%増)となり、その内訳は建設・梱包向が1,004百万円(前年同四半期3.0%増)、電気・輸送機器向は374百万円(前年同四半期25.1%増)であります。売上総利益は、242百万円と前年同四半期に比べ27百万円(12.9%増)の増益となり、これは、建設・梱包向及び電気・輸送機器向で販売価格の改定が進んだこと、生産性向上等により製造コストの削減が更に進んだことが主要因であります。営業利益は、55百万円(前年同四半期14百万円)と増益となりました。賃上げや諸経費上昇の影響がありましたが、運賃コスト抑制や固定費削減効果により、販売費及び一般管理費が前年同四半期に比べ13百万円減少したことによります。経常利益につきましても、53百万円(前年同四半期13百万円)と増益となりました。最終的な親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税等11百万円を差し引き42百万円(前年同四半期7百万円)と大きく改善いたしました。
(建設・梱包向)当社グループの主たる事業である建設・梱包向のうち建設向は、資材価格高騰に起因する住宅価格上昇の影響で2×4等の木造住宅着工戸数が減少傾向にある中、当社の販売数量も前年同四半期対比で減少となりました。収益面では、販売価格の改定が浸透し、当セグメントの売上高は1,004百万円と前年同四半期に比べ29百万円増(3.0%増)となり、販売価格上昇が数量減を補完した形となっております。国内生産の固定費低減、海外OEM品と国内生産品の販売比率調整等の結果、セグメント利益は前年同四半期に比べ13百万円増の73百万円となりました。(電気・輸送機器向)電気・輸送機器向セグメントは、連結子会社である株式会社ナテックの当第1四半期(1~3月)において、メインユーザー層である自動車業界の生産回復を受けて同社の生産も高い水準で推移しました。特に、電気自動車・ハイブリッド車関連のバッテリー・モーター及び自動化関連に使用されるライセンス品やボルト・特殊締結品の需要回復が顕著であります。また家電や遊戯関係向けの需要も堅調に推移しました。この結果、当セグメントの売上高は、374百万円と前年同四半期に比べ75百万円増(25.1%増)となり、セグメント利益は前年同四半期に比べ23百万円増の30百万円となりました。
(2)
財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末の総資産は、5,627百万円(前連結会計年度末[以下「前年度末」という]比32百万円増)となりました。流動資産は、前年度末に比べ55百万円増加し、3,652百万円となりました。これは、現金及び預金が166百万円増加、商品及び製品が20百万円減少、仕掛品が16百万円減少、原材料及び貯蔵品が54百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は、前年度末に比べ23百万円減少し、1,975百万円となりました。これは主に、有形・無形固定資産の設備投資14百万円に対して減価償却費37百万円等によるものであります。負債合計は、前年度末に比べ7百万円増加し、4,346百万円となりました。流動負債は、前年度末に比べ27百万円減少し、3,096百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が前年度末に比べ81百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は、前年度末に比べ35百万円増加し、1,249百万円となりました。これは、主に長期借入金が前年度末に比べ27百万円増加したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前年度末に比べ24百万円増加し、1,281百万円となりました。これは、当第1四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益が42百万円、剰余金配当が17百万円あったことによるものであります。この結果、自己資本比率は、前年度末の22.5%から22.8%となり、1株当たり純資産は106.05円から108.12円となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分 析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等についての重要な変更はありません。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が定めている経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動特記すべき事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因建設・梱包向、電気・輸送機器向の両セグメント共に、原材料、外注加工費用、副資材、人件費、物流費、電力料等々の製造コストが上昇し高位水準で推移していく中で、適正販売価格の維持が肝要になってまいります。主要分野である建設向では、新設住宅着工戸数が当社釘製品の需要に対する指標となりますが、その市場の着実な伸長が売上高の増加に直結することからその動向には充分注視する必要があります。また建築物への国産木材の使用が広がる中でその動向にも注目が集まっており、環境問題への有効な対策と考えられていることから、その拡大に貢献して社会課題の解決に向けて活動を続けることが重要と考えています。今後、住宅・非住宅を問わず国産木材、特に杉の使用が増加してくると見られており、当社新製品の需要増加に結び付く可能性もあります。国産杉の使用が促進されることによって、当社のオリジナル製品の重要性が増すことが期待されます。また、輸送機器向では、自動車メーカー各社の生産水準が高位となり、当社子会社のねじ製品の需要が喚起されることが予想されますので、半導体・自動車部品不足の解消を通じて、完成車の生産正常化が当社グループにも好影響を及ぼすことになります。今後急速に自動車の電動化は進むことが予想されており、車体軽量化に貢献する当社子会社製品への需要は益々高まってくる見通しであります。
第2四半期連結会計期間以降のセグメント別の状況は、次のとおりであります。(建設・梱包向)建設・梱包向は、秋口にかけて本格的な需要期に入ることから、戸建て分譲・貸家を中心に新設住宅着工戸数の回復が見られるものと見通しています。また、カーボンニュートラルへの社会的な取組として、中層マンションや非住宅中高層建築物への木材活用が促進されていく中で、釘を中心とした当社製品の需要、特に高機能が求められる特殊釘の需要は着実に増えていくことが期待されます。収益面では、国内製品の製造コスト及び輸入商品の仕入価格が高止まっていることを踏まえて、適正な販売価格での販売を継続していく一方、引続き生産性向上やコスト削減に取組んでまいります。(電気・輸送機器向)電気・輸送機器向は、半導体・部品不足がほぼ解消され、中部圏以外の自動車メーカーにおいても生産が正常化していくことが見込まれています。電気自動車など環境対策車への需要は益々増加してくるものと見られており、自動車メーカーの生産回復に伴い当社子会社製品の出荷量も順次拡大していくものと考えられます。 収益面では、高付加価値のライセンス製品やオリジナル加工品であるパーツフォーマー製品等の主力製品の出荷が促進され、収益に貢献していくことが想定されます。