【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第1四半期における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化、持続的なインフレや各国の政策金利の高止まりなど、景気減速懸念が強まり、依然として先行き不透明な状況が続いております。わが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことなどにより、個人消費やインバウンドなどのサービス需要が回復したことに加え、企業の設備投資活動も増加し、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、エネルギー・原材料価格の高騰、それに伴うインフレ影響や海外景気の下振れリスク等、先行き不透明な状況が続いております。当社事業の主要市場である電子材料業界は、自動車向け半導体は堅調であるものの、コロナ禍で蓄積された電子部品の過剰在庫の解消と、世界的な物価上昇に伴う消費の落ち込みから、全体としては需要の減退が続きました。このような状況のもと、半導体需要の低迷や顧客サプライチェーン上の在庫調整の長期化などの影響を受け、当第1四半期における売上高は7,611百万円(前年同期比△1,621百万円、△17.6%)と減少しました。利益面につきましては、継続的な生産性改善や売上高減少に対応したコスト削減活動などに取り組んだものの、生産量減少、生産工程の複雑化・長期化、原燃料価格の高止まり、需要回復後を見据えた生産能力の増強や先端領域向け技術開発などの費用増加により、営業利益は834百万円(前年同期比△631百万円、△43.1%)、経常利益は820百万円(前年同期比△967百万円、△54.1%)、四半期純利益は552百万円(前年同期比△677百万円、△55.1%)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。(感光性材料事業)半導体向け材料は、半導体需要低迷がさらに進み、顧客での在庫調整に連動して当社への需要も減少し、売上は減少しました。ディスプレイ向け材料は、中国を中心に大型液晶パネル生産の回復が見られ、在庫調整以前に近いレベルまで需要が回復しました。しかしながら、半導体向け材料の需要減少をすべて補うまでには至りませんでした。この結果、同事業の売上高は4,832百万円(前年同期比△678百万円、△12.3%)、営業利益は574百万円(前年同期比△423百万円、△42.4%)となりました。
(化成品事業)電子材料関連製品は、中国の景気減速や世界的なインフレによるスマートフォンやPCなど、民生品向け需要の低迷からサプライチェーン上の在庫調整が長期化しており、売上は減少しました。 香料材料関連製品は、当社製品の主な用途であるトイレタリー向け香料の需要軟化に反転がみられたものの、 前年同期比では売上が減少しました。 ロジスティック関連は、サプライチェーン上の在庫調整から、荷動きの低迷が継続しているものの、旺盛なタンク需要によりタンク契約率は高水準で推移しました。この結果、同事業の売上高は2,778百万円(前年同期比△942百万円、△25.3%)、営業利益は260百万円(前年同期比△207百万円、△44.4%)となりました。
財政状態は、前事業年度末対比で次のとおりであります。当第1四半期会計期間における総資産は52,087百万円となり、前事業年度末比982百万円の増加となりました。流動資産は22,428百万円で、前事業年度末比743百万円の増加となりました。これは受取手形及び売掛金127百万円の減少、商品及び製品606百万円の増加などによるものであります。
固定資産は29,659百万円で、前事業年度末比238百万円の増加となりました。これは主に取得による増加1,100百万円、減価償却による減少719百万円によるものであります。流動負債は20,966百万円で、前事業年度末比1,414百万円の増加となりました。これは主に短期借入金2,200百万円の増加、設備関係未払金695百万円の増加によるものであります。
固定負債は11,081百万円で、前事業年度末比830百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金861百万円の減少によるものであります。純資産合計は20,039百万円で、前事業年度末比397百万円の増加となりました。これは主に四半期純利益552百万円によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。当社としましては全社の総力をあげ、前事業年度の有価証券報告書の「対処すべき課題」に記載した施策を講じ、中期経営計画「Beyond500」の実現に向け取り組んでまいります。なお、会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は下記のとおりです。イ
会社の支配に関する基本方針の概要当社は、1954年の設立以来、独創的な視点を大切にした研究・開発に注力し、現在ではフォトレジスト向けの感光性材料等の製造・販売を中心とした「感光性材料事業」、香料材料の製造・販売及び電子材料向け溶剤を中心とする高付加価値品の製造・販売及びリサイクル、ならびに液体化学品の保管業務を行う「化成品事業」を営んでおります。当社事業の特徴として、①顧客企業と研究開発段階からの技術的な摺り合せによる顧客との強力な協業関係の構築、②長年にわたり蓄積された高い生産技術力、③事業環境の変化への対応力を高める成長事業と基盤事業を組み合わせた事業ポートフォリオの構築、④各事業が密接に結び付くことによる大きなシナジー効果等により、国内のみならず、世界各国のお客様より高い評価をいただいております。当社は、当社の財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方について、当社の経営理念や企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模な買付行為や買付提案があった場合においても、当該大規模な買付等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば一概に否定するものではなく、これに応じるか否かは最終的に株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えております。しかしながら、このような大規模な買付等の中には、専ら買付者自らの利潤のみを追求しようとするもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社は、上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模な買付等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
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会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み当社では、中長期的な経営戦略及びコーポレート・ガバナンスの強化の両面より、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に努めており、次の施策が会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
a
経営の基本方針 当社は、経営方針として「①安全操業を最優先し、従業員、協力会社社員、地域住民など関係者の安心できる操業環境を確保する。②法令や社内ルールを遵守するとともに、誠実かつ公正な企業活動を行う。③世界最高のマイクロストラクチャー構造材料を国際社会に提供する。④常に新製品、新プロセス、新サービスを開発する。⑤生産技術の高度化を推進し、新プロセスを開発、安定品質で市場競争を勝ち抜く。⑥国内外隔たりなく企業活動を展開し、日本を代表するグローバル企業となる。⑦全社をあげて、常に能力開発に努め、個人の能力の向上を通じて創造性を発揮し、社会に貢献する。」を掲げております。当社は、この経営方針に基づき、積極的な事業展開を進め、業容の拡大と業績の向上に邁進し、高品質かつ高機能な材料を可能な限り安価に供給することにより、産業全体の発展と高度化に役立つことを目指しております。 また、創業以来、「当社の生命線は研究開発にある」を理念に、独創的な視点を大切にした研究開発力の強化と生産技術の向上に努め、蓄積された技術やノウハウを活用して市場ニーズに迅速かつ的確に対応し、有機合成から分離精製、プラントエンジニアリング、化成品物流等に至るまで、事業分野及び事業規模を着実に拡大させることにより化学産業界で独自の地位を築いてまいりました。当社は永続的発展を通じてお客様、株主の皆様、従業員等の利害関係者に貢献することを目指しております。
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中長期的な経営戦略 当社は、当社の企業価値および株主共同の利益の向上のため、5ヵ年の中期経営計画「Beyond500」を策定し、2023年3月期からスタートさせています。 中期経営計画の内容については、前事業年度の有価証券報告書の「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。
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コーポレート・ガバナンスの強化への取組み当社は、企業価値・株主共同の利益の向上を実現するためには、株主価値を高めることが課題であると認識しており、経営の効率化、健全化を積極的に進めるとともに、経営の透明性を高めるため、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。当社は、監査役会設置会社及び執行役員制度を採用し、取締役会による「意思決定・監督」と管掌取締役及び執行役員による「業務執行」、監査役及び会計監査人による「監査」により、経営監督・監査と執行の機能を分担して運営しております。取締役の責任の明確化と事業環境の変化に柔軟に対応するため、取締役の任期を1年としております。また、社外取締役及び社外監査役を選任しており、㈱東京証券取引所が定める独立性の基準に従い独立役員として届け出ております。これらの社外役員と代表取締役社長による連絡会を四半期に一度開催し、経営や企業統治に関する様々な助言を得ることができる機会を設け、コミュニケーションの強化を図っております。さらに2023年3月期から当社では、取締役会がどのように貢献しているかを検証・課題抽出・改善を図る目的で、取締役会実効性評価を実施しております。今後は毎年、前年の課題認識事項の改善状況の検証と、それを踏まえた次の課題を抽出することにより、コーポレート・ガバナンスの改善に取り組んでまいります。これらの取組みにより株主の皆様をはじめとする様々なステークホルダーとの信頼関係をより一層強固なものにし、企業価値の継続的な向上をめざしてコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。
ハ
会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2008年5月26日開催の取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(以下、「本プラン」といいます。)」の導入を決議し、2008年6月20日開催の当社第58回定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただいております。また、2023年6月23日開催の当社第73回定時株主総会において、本プランの継続について株主の皆様にご承認をいただいております。
本プランの概要は、以下に記載のとおりですが、本プランの詳細につきましては、2023年5月12日付の当社プレスリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」をご参照ください。(当社ホームページ https://www.toyogosei.co.jp/)a.本プランの対象となる当社株式の買付け本プランの対象となる当社株式の買付けとは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付けその他の取得行為、もしくは結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付けその他の取得行為、またはこれらに類似する行為(いずれについても、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また、市場取引、公開買付け等の具体的な方法の如何を問いません。以下、かかる行為を「大規模買付行為」といい、かかる行為を自ら単独でまたは他の者と共同ないし協調して行うまたは行おうとする者を「大規模買付者」といいます。)とします。b.大規模買付ルールの概要大規模買付ルールとは、事前に大規模買付者が取締役会に対して、大規模買付行為を評価・検討するために必要かつ十分な情報を提供し、取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。c.大規模買付行為がなされた場合の対応大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該大規模買付行為についての反対意見を表明したり、代替案を提示することにより、株主の皆様を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。ただし、大規模買付ルールを遵守しない場合や、遵守されている場合であっても当該大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと取締役会が判断する場合には、例外的に取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として必要かつ相当な範囲内で、対抗措置をとることがあります。また、対抗措置をとる場合、その判断について株主総会を開催し、株主の皆様のご意思を確認させていただく場合がございます。d.独立委員会の設置対抗措置を講じるか否かについては、取締役会が最終的な判断を行いますが、本プランを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するとともに、その判断の客観性・合理性を担保するため、独立委員会を設置いたします。対抗措置をとる場合、その判断の客観性・合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問します。独立委員会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から大規模買付行為について慎重に評価・検討の上で、当社取り締まりに対し対抗措置を発動することができる状態にあるか否かについての勧告を行うものとします。取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で対抗措置の発動について決定することとします。e.本プランの有効期間等本プランの有効期間は、2026年6月30日までに開催予定の当社第76回定時株主総会の終結の時までの3年間とします。ただし、有効期間中であっても、株主総会または取締役会により、本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとします。
ニ
本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
本プランは、a 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること、b 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること、c 株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、d 独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、e デッドハンド型及びスローハンド型の買収防衛策ではないこと等、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(4)研究開発活動 当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は312百万円であります。なお、当第1四半期累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。