【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
2020年より始まった新型コロナウイルスはほぼ収束に向かいつつあり、世界的に社会経済活動の正常化に焦点が集まっております。半導体等部品供給不足による生産制約も解消に向かい、各地で自動車生産が増加しつつあります。その一方で、インフレと、インフレ抑制に向けた金利上昇を背景とした経済の減速や、消費者マインドの悪化、購買力の低下なども散見され、コロナ禍からの回復ペースは各地域でまだら模様といった状況です。このような経営環境の中、当社の業績は、2021年度から継続している販売の質向上、あるいは「手取り改善活動」の推進に、為替の追い風が加わり、前年同期比で大幅に改善いたしました。
この結果、当社グループの売上高は6,358億円(前年同期比+1,071億円、同+20%)、営業利益は、地域ミックスや売価の改善等により、452億円(前年同期比+144億円、同+47%)となりました。さらに、経常利益は618億円(前年同期比+123億円、同+25%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は479億円(前年同期比+93億円、同+24%)となりました。
また、当第1四半期連結累計期間におけるグローバル販売台数は195千台となりました。主な地域別の販売状況は次のとおりです。
・ アセアン : 59千台(前年同期比△6千台)
・ 豪州・ニュージーランド : 20千台( 同上 △4千台)
・ 中南米、中東、アフリカ他: 30千台( 同上 △14千台)
・ 日本 : 21千台( 同上
+3千台)
・ 北米 : 43千台( 同上
+8千台)
・ 欧州 : 12千台( 同上 △8千台)
・ 中国他 : 10千台( 同上 △1千台)
主な地域の販売状況は以下のとおりです。
アセアン各国の総需要は、各国でまちまちの様子です。
高水準の物価高が継続している中においても、底堅い成長がみられるフィリピン以外は、各国濃淡はあるものの全体では需要の回復が遅れております。この環境下において、当社の小売販売台数は、前年同期比で9%程度減少し59千台となりました。
タイではモデルの端境期にあたる当社は、台数・シェアともに減少いたしました。まもなく投入される新型『トライトン』の販売最大化に向け、旧型『トライトン』の在庫消化を進めるとともに、あらゆる側面から販売準備に備えます。
インドネシアの総需要は、回復が遅れており、TPT輸入枠の取り扱いが厳格化されている商用車セグメントが輸入枠の取得が遅れシェアを落としました。8月の発表を予定している、新型コンパクトSUVを梃子に、全体のシェアアップを目指します。
フィリピンにおいては、高水準だったインフレは鎮静化しつつあり、同国中央銀行は5月には金利を据え置きました。当社は、『ミラージュG4』等の販売増や、『エクスパンダー』、『L300』をコア車両として注力した結果、高いマーケットシェアを確保いたしました。
ベトナムの総需要は、景況感の悪化が深刻化しております。今後は、政府による支援施策なども開始され、自動車需要は穏やかに回復することが期待されていますが、その動向を注視しつつ、新型コンパクトSUVの新規投入に向けてネットワークを強化し、販売員・サービスのトレーニング等の支援を行い、立ち上げに備えます。
マレーシアは、2022年度の景気刺激策からの反動減が懸念されていましたが、想定よりも堅調に推移しております。当社は、主力商品の『エクスパンダー』の販売は好調に推移しましたが、『トライトン』は、新型車投入への期待感から買い控えもあり、販売台数が減少いたしました。
日本国内の自動車総需要は、コロナ禍以前には及ばないものの、2022年9月以降連続で前年比超えとなり、市場は引き続き回復基調にあることが窺えます。当社は、登録車、軽自動車いずれも前年を上回ったものの、軽自動車においては引き続き部品供給不足の影響を受け、充分に小売に繋げることができませんでした。
5月25日より、本格販売を開始した『デリカミニ』は、予約注文からの好調な受注を維持し、我々の期待を大幅に上回り、既に2万台を超えております。『デリカD:5』とともに、アウトドアイメージ及び、「三菱自動車らしさ」の訴求を行い、相乗拡販を図ると同時に、お待たせしているお客様にいち早くお届けできるよう最善を尽くします。
価値訴求へのシフトに向け、ブランドの浸透・確立を推進すると同時に、販売会社の経営支援強化や、販売員スタッフ教育を充実させ、販売計画の達成に向け、あらゆる機能の強化・集約を図ります。
北米市場の総需要は、生産回復による車両供給不足の改善や、フリート需要の増加等により、前年同期比で17%程度上昇いたしました。
当社は、在庫レベルの改善に加え、『アウトランダー』、『アウトランダーPHEV』を中心に、好調な販売モメンタムを維持いたしました。特にカナダにおいて、昨年11月に販売を開始した、新型『アウトランダーPHEV』が、好評を博しており、過去最高の販売台数となりました。
当初は景気後退懸念があったものの、米国の個人消費は予想よりも強いと感じております。在庫逼迫が緩和され、インセンティブが増加する等、販売環境は徐々に正常化してきております。
当社においては、販売品質を維持しつつ、好調な『アウトランダー』シリーズの拡販に努めます。
2023年に入り、3年にわたり続いたコロナ禍もようやく収束の目途がたってきた一方で、世界的なインフレやそれを抑制するための金融引き締めの影響からか、回復のスピードは緩慢で、経済の成長率は特に新興国で大きく鈍化しております。
そのような不安定な経営環境が継続する中、販売の質向上あるいは「手取り改善活動」を推進し、あらゆる課題に真摯に向き合い取り組んだことに加え、為替の追い風もあり、第1四半期としては過去最高益を更新できました。新中期経営計画「Challenge 2025」初年度としては、堅調な滑り出しであったと認識しております。
今後も不安定な経営環境は当面続くことが予測されますが、アセアンでまもなく立ち上がる新型『トライトン』と新型コンパクトSUVを梃子に、アセアンでしっかりとした成長基盤を作り上げるとともに全世界での販売台数底上げを図ってまいります。
本年度より、当社は新たなステージに入りましたが、全社一丸となって、更なる飛躍と次の時代の成長に向けたチャレンジを継続し、中期経営計画初年度となる2023年度計画を達成してまいります。
② セグメントごとの経営成績
(ⅰ)自動車
当第1四半期連結累計期間における自動車事業に係る売上高は6,292億円(前年同期比+1,071億円)となり、営業利益は446億円(前年同期比+154億円)となりました。販売の質向上あるいは「手取り改善活動」を推進したことなどにより、前年同期比で好転しました。
(ⅱ)金融
当第1四半期連結累計期間における金融事業に係る売上高は91億円(前年同期比+4億円)となり、営業利益は10億円(前年同期比△2億円)となりました。
③ 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は2兆2,361億円(前年度末比+346億円)となりました。そのうち現金及び預金は6,197億円(前年度末比+237億円)となりました。負債合計は1兆3,363億円(前年度末比△348億円)となり、そのうち有利子負債残高は、4,678億円(前年度末比+395億円)となりました。純資産は8,998億円(前年度末比+694億円)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等及び対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等、及び当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費(自動車事業)は、25,096百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当第1四半期連結累計期間における生産実績は次のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間
数量(台)
前第1四半期連結累計期間比(%)
国 内
108,782
130.4
海 外
118,187
100.6
合計
226,969
113.0
② 販売実績
当第1四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。
当第1四半期連結累計期間
前第1四半期連結累計期間比(%)
数量(台)
金額(百万円)
数量
金額
国 内
51,450
130,558
108.5
116.3
海 外
180,648
505,195
103.8
121.3
合計
232,098
635,753
104.8
120.2
(注)販売実績は、外部顧客の所在地別の当社及び連結子会社の完成車及びKDパックの卸売り台数を示しており
ます。
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