【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績等の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から大幅なマイナス成長となりましたが、各国の経済政策の下支えなどにより、持ち直しの動きが続くものの、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
世界の自動車販売台数は、世界各地で下期より回復しているものの新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け前年に比べ減少いたしました。こうした状況のもと、当社グループの関連市場である自動車部品業界でも需要は大きく減少しましたが、販売台数の回復により徐々に需要は回復しております。水処理関連市場においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、需要は概ね堅調に推移しました。
当社グループは、このような事業環境下において、拡販活動と新市場の開拓に努めるとともに、原価低減や固定費削減、間接部門の業務効率の向上等に取組みましたが、新型コロナウイルス感染症拡大等による受注減少の影響は大きく、利益を確保することはできませんでした。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は12,551百万円(前年同期比2,802百万円減、18.3%減)、営業損失は153百万円(前年同期は営業利益246百万円)、経常損失は114百万円(前年同期は経常利益281百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は徳島事業所の減損損失も加わり444百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失33百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産総額は、15,739百万円となり、前連結会計年度末より1,101百万円減少しております。これは主に電子記録債権の増加381百万円があったものの、有形固定資産の減少620百万円、受取手形及び売掛金の減少279百万円、流動資産のその他に含まれる未収入金の減少199百万円、現金及び預金の減少99百万円があったことによるものであります。
負債総額は9,637百万円となり、前連結会計年度末より569百万円減少しております。これは主に長期借入金の増加669百万円があったものの、電子記録債務の減少352百万円、短期借入金の減少336百万円、支払手形及び買掛金の減少143百万円、流動負債のその他に含まれる設備関係電子記録債務の減少111百万円があったことによるものであります。
また、純資産につきましては、6,101百万円となり、前連結会計年度末より532百万円減少しております。これは主に利益剰余金の減少444百万円、為替換算調整勘定の減少90百万円があったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は26.9%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は440百万円となり、前連結会計年度末と比較して、55百万円の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、199百万円(前年同期比65百万円減、24.8%減)となりました。これは主に仕入債務の減少額467百万円、税金等調整前当期純損失260百万円、売上債権の増加額138百万円の減少要因があったものの、減価償却費806百万円、棚卸資産の減少額150百万円、減損損失137百万円の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、472百万円(前年同期比306百万円増、185.1%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出638百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、220百万円(前年同期は4百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純減額302百万円の減少要因があったものの、長期借入金の純増額609百万円の増加要因があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
自動車関連資材(千円)
6,486,898
△23.3
水処理関連資材(千円)
4,809,568
△15.6
一般産業用資材(千円)
1,160,190
△11.4
合計(千円)
12,456,657
△19.5
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目の名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
自動車関連資材(千円)
6,623,221
△22.1
水処理関連資材(千円)
4,774,996
△14.3
一般産業用資材(千円)
1,152,844
△10.1
合計(千円)
12,551,062
△18.3
(注)1.当社グループは単一セグメントであるため、品目別に記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社サンコー
3,494,789
22.8
2,797,788
22.3
株式会社ダイナックス
1,435,799
9.4
996,345
7.9
オザックス株式会社
1,708,238
11.1
806,189
6.4
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等について
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ減収となりました。これは、主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響による受注減少等によるものです。営業利益においては、前連結会計年度に比べ減益となりました。原価低減や固定費削減、間接部門の業務効率の向上等に取り組み人件費及び経費は減少したものの、売上高減少の影響が大きく利益を確保することはできませんでした。
現在は売上減少にともなう工場の稼働率低下を改善することが重要課題となっており、新事業の創出、新商品の開発及び既存商品の拡販に注力し、売上の増加を図ってまいります。併せて、コスト削減や商品構成の見直し、更には全社的な間接い業務の効率化、業務プロセスの見直し等を進め、生産性向上と収益構造の改善を図ってまいります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因として、主要市場における経済状況、原燃料の価格上昇、自然災害などがあります。
当社グループが関連する市場としては、主として自動車部品業界や水処理関連市場となりますが、成長市場であることから、今後もグローバル競争の激化や有力な新規参入の増加などが予想されます。こうしたなか、当社グループは、グローバル企業として成長していくため、高性能品の開発や商品ラインナップの拡充、安定供給体制の確立などに努めてまいります。
原燃料価格の変動については、調達方法の見直しや製品価格の是正などで生産効率の向上を図り、収益確保に努めてまいります。
自然災害については、当社グループの国内生産拠点が徳島県内に集中していることから、自然災害の発生により当社グループの生産体制に支障をきたす可能性が想定されますが、BCP対応に努め、災害時においても早期に安定供給体制が復旧出来るよう体制整備に取り組んでまいります。また、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大による社員への健康被害が事業運営の影響と業績に影響を及ぼす可能性が想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大の事業への影響につきましては、現時点で合理的な算定が困難であるものの、今後も注視してまいります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社グループでは、健全経営維持と企業価値向上のため、事業領域の拡大と収益性の向上を目標としております。また、資本効率と収益性の両面を測る指標として、「総資産経常利益率(ROA)」を経営の重要指標として位置付けております。
この指標を達成するために、当社グループとして「売上高経常利益率」や「総資産回転率」の向上に注力しております。具体的には、アライアンスを含めた新事業の創出、基盤事業の強化と収益改善、総資産の効果的かつ効率的な運用に努めております。
当連結会計年度におけるROAは△0.7%(前年同期比2.4ポイント減)となりましたが、引き続き指標の達成に向けて、グループ一丸となって注力しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や副資材などの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や研究開発投資などによるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,656百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は440百万円となっております。
当社グループは、厳しい環境下においても将来を見据えた設備投資や研究開発投資を維持してまいります。必要な資金は営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に金融機関からの借入により調達していく方針であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
この連結財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
a.退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは、簡便法を採用している連結子会社を除き、確定給付型制度の退職給付費用及び退職給付債務について、割引率等、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
b.固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の十分性により判断しており、課税所得の算定にあたっては、事業計画をもとに最新の経営環境に関する情報等を反映し見積っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。