【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
なお、本報告書提出日現在においては、当社グループの関連業界では、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、液化天然ガス供給不足に起因した世界的な石炭火力の需要の高まりから電力等のエネルギー価格が高騰している。今後も新型コロナウイルス感染症の再拡大や紛争の長期化、各国の動向などによって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。
①財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む中で、持ち直しの動きがみられるものの、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響などにより、依然として先行きが不透明な状況が続いている。
当社グループの関連業界においては、主原料である鉄スクラップ価格や合金鉄などの副資材の価格は一時よりは落ち着いたものの依然高値圏で推移した。また、各種エネルギーコストについても、資源価格の高騰や円安の影響を大きく受けたことにより大幅に上昇し、厳しい経営環境となった。
販売面においては、主力製品である異形棒鋼の需要回復を期待していたものの、当社の主要販売地区における需要は低調に推移した。このような環境下、コスト上昇分の転嫁によって、製品販売価格を再生産可能な価格帯に引き上げることに注力した。
製造面においては、改善活動「TCC2022」にて廉価な諸資材の活用によるコスト低減や継続的な生産性向上に向けた取り組みを進めてきた。
この結果、当連結グループにおける売上高は31,041百万円(前連結会計年度比13.5%増)、経常利益は1,132百万円(前連結会計年度697百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,011百万円(前連結会計年度967百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,250百万円となり、前連結会計年度末に比べ459百万円減少した。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、898百万円(前連結会計年度2,466百万円の支出)となった。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,116百万円、減価償却費1,063百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加1,482百万円、棚卸資産の増加325百万円である。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、1,283百万円(前連結会計年度比734百万円の減少)となった。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,364百万円である。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、74百万円(前連結会計年度1,003百万円の収入)となった。収入の主な内訳は、短期借入金の純増減額500百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出450百万円、配当金の支払額121百万円である。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
鉄鋼
26,155,775
105.5
(注)金額は、製造原価による。
b.受注実績
当社グループの生産は主に見込み生産を行っているため、記載を省略している。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
鉄鋼
31,041,069
113.5
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
伊藤忠丸紅住商テクノスチール㈱
9,262,977
33.9
11,616,480
37.4
阪和興業㈱
3,180,481
11.6
3,356,756
10.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態の分析
a.資産
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,424百万円増加して、27,962百万円となった。
これは主に、販売価格の改善により売上高が増加したことで、受取手形及び売掛金の増加(前連結会計年度末比821百万円の増加)や電子記録債権の増加(前連結会計年度比660百万円の増加)などにより、流動資産が前連結会計年度末に比べ1,232百万円増加して15,223百万円になったことによるものである。
b.負債
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ373百万円増加して、11,544百万円となった。
これは主に、短期借入金の増加(前連結会計年度末比500百万円増加)により流動負債が前連結会計年度末に比べ809百万円増加して9,109百万円となったことによるものである。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,051百万円増加して、16,417百万円となった。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,011百万円の計上などにより利益剰余金が前連結会計年度末に比べ890百万円増加して、12,650百万円になったことによるものである。
また、自己資本比率については、前連結会計年度末の57.9%から0.8ポイント増加して、当連結会計年度末には58.7%となった。
②経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,684百万円増加の31,041百万円であった。
これは主に、製造コストの増加に対して価格転嫁を図ったことにより、製品販売価格が上昇したことによるものである。
b.経常利益
当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ1,830百万円増益の1,132百万円となった。
これは主に、副資材やエネルギー価格が上昇するなか、コスト低減活動および製品販売価格の改善に努めたことによるものである。
c.特別損益
当連結会計年度における特別損益は、前連結会計年度の57百万円(純額)の損失から41百万円損失(純額)が減少し、16百万円(純額)の損失となった。
これは主に、前連結会計年度に特別損失に計上していた環境対策費および環境対策引当金繰入額が減少したことによるものである。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,871百万円増益の1,116百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1,979百万円増益の1,011百万円となった。
その結果、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度に比べ515.44円増加して、263.39円となった。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入又は社債の発行を実施することを基本方針としている。
この方針に従い、当連結会計年度における運転資金、設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入により充当した。
今後の資金需要についても、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定であるが、必要に応じて金融機関からの借入を実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達する。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されている。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりである。
連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金等の各引当金の計上、固定資産の減損に係る会計基準における回収可能価額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、棚卸資産の評価等については、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っているが、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。