【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第3四半期連結累計期間における世界経済は、インフレ率の高騰の長期化や、特に西欧諸国を中心としたエネルギー価格の高騰等が見られ、経済活動への阻害要因が残ったことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等により先行きに不透明さが見られました。また、日本経済は、訪日客に対する水際対策の緩和に伴いインバウンド需要に回復が見られ、サービス業による設備投資やアフターコロナを見据えた脱炭素などに対する投資の機運も見られました。 このような経済環境の中、当社グループでは中期3ヵ年計画「GP2023」に基づく施策に取り組んだ結果、第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高329億61百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益23億32百万円(同27.8%増)、経常利益26億96百万円(同27.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益18億50百万円(同28.8%増)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。当社グループは、顧客の属する業界ごとに業績管理を行っており、「鉄鋼」「自動車」「電子・半導体」「ゴム・タイヤ」「工作機械」「高機能材」「環境」及び「紙パルプ」の8業界を報告セグメントとしております。(鉄鋼業界)同業界では、世界最大の粗鋼生産国である中国が低迷し、地域差はあるものの世界全体では依然として鋼材需要は低迷しております。日本の動向としては、半導体不足による自動車減産の影響や海外鋼材需要の低下の影響もあり、世界の動向と同様に粗鋼生産量は減少しました。 当社グループにおきましては、整備部門だけでなく操業部門への営業活動に注力した結果、国内製鉄所統廃合に伴う現有設備解体を目的とした仮設水処理設備の設置及び同設備の運用対応や、製鉄所構外で対応していた加工品の内製化に伴う加工機の販売、安全対策を目的とした既存ラインへの侵入防止柵の売上増加が見られました。 この結果、鉄鋼業界向け全体としての売上高は89億28百万円(前年同期比5.3%増)となりました。
(自動車業界)同業界では、世界の動向として、当第3四半期連結累計期間で主要自動車生産国である中国・インド・メキシコで前年同期比プラスとなる回復が見られ、特に中国で新エネルギー車の大幅な成長が見られました。日本の動向としては、車載用半導体供給不足の影響は改善されつつあるものの、特にEV向けの供給制約は未だ続いております。 当社グループにおきましては、CASE市場で注目されている電池やモーター分野への営業・提案活動に注力した結果、国内及び海外(北米・中国)のモーター・電池製造工程における能力増強案件の受注や、機械加工工程での電気部品修理が売上増に寄与しました。 この結果、自動車業界向け全体としての売上高は66億31百万円(前年同期比13.5%増)となりました。
(電子・半導体業界)同業界では、2022年世界売上高が過去最高となりましたが、メモリ分野の需要が低迷するなど業界全体の売上に大きな伸長は見られませんでした。日本の動向としては、半導体製造装置関連で需要の高まりに多少の鈍化は見られたものの依然として需要は継続し、売上は拡大基調で推移しました。 当社グループにおきましては、設備・保全部門に対する営業活動に注力した結果、半導体前工程工場における装置部品の修理・再生案件の増加が見られました。また、活況な半導体製造装置メーカー向けに当社オリジナル品であるロータリージョイント類の販売が増加しました。 この結果、電子・半導体業界向け全体としての売上高は49億42百万円(前年同期比16.4%増)となりました。
(ゴム・タイヤ業界)同業界では、リプレイス用は変わらず堅調で新車用も回復基調であり、各社増収の傾向ですが、原材料、エネルギー、物流コスト高の影響が利益を圧迫しています。 当社グループにおきましては、前期に続き開発案件のフォローや新規案件、設備投資に関する営業活動に注力した結果、タイヤ加硫工程向けのブラスト洗浄装置の販売や原動設備向けコンプレッサーの販売、水処理装置の販売等が売上増に寄与しました。 この結果、ゴム・タイヤ業界向け全体としての売上高は24億76百万円(前年同期比20.1%増)となりました。
(工作機械業界)同業界では、世界的な利上げ等により好調であった需要に陰りが見えはじめ、特に半導体関連等精密用途の受注は減少傾向にありますが、省人化ニーズの高まりは未だ高水準で伸長しております。 当社グループにおきましては、工作機械の複合化、自動化の要求に対し営業・開発に注力した結果、当社オリジナル品であるロータリージョイントや浮上油回収機の売上が継続して増加しております。 この結果、工作機械業界向け全体としての売上高は18億20百万円(前年同期比32.1%増)となりました。
(高機能材業界)同業界では、OPECの原油増産や中国のロックダウンの影響により、高機能材の原料となるナフサの価格高騰に落ち着きが見られました。 当社グループにおきましては、医薬・化粧品分野の開拓に加え、フィルター販売にも注力した結果、フィルター類やシール類の販売が好調であったことに加え、既存設備の改造案件等により売上が増加しました。 この結果、高機能材業界向け全体としての売上高は15億43百万円(前年同期比21.9%増)となりました。
(環境業界)同業界では、廃棄物処理・資源有効利用の案件が堅調です。地球温暖化対策案件については大幅に伸びており、環境業界全体を牽引しています。 当社グループにおきましては、近年重要視されている環境産業・エネルギー産業への深耕に注力した結果、中・上水施設向けの整備・工事案件の受注や、排ガス処理設備向けバルブの販売等が売上増に寄与しました。 この結果、環境業界向け全体としての売上高は15億98百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
(紙パルプ業界)同業界では、洋紙の値上げが拡大し、印刷・情報用紙などの紙の減少が見られ、好調であった段ボール原紙等の板紙にも減少の兆しが見られました。 当社グループにおきましては、最先端のバイオマス素材であるCNF分野やケミカル素材分野、エネルギー分野への商材開発に注力した結果、前期に引き続きチラーユニットのレンタルや調薬設備向けポンプの受注等で売上を伸ばしたものの、ポンプの更新案件の減少等の影響を受けた結果となりました。 この結果、紙パルプ業界向け全体としての売上高は5億77百万円(前年同期比14.9%減)となりました。
(2)
財政状態の分析(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて1.6%増加し276億20百万円となりました。これは、主に売上債権が18億46百万円、棚卸資産が6億90百万円それぞれ増加し、一方で、現金及び預金が22億27百万円減少したことなどによるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べて16.3%増加し81億47百万円となりました。これは主に有形固定資産が5億21百万円、無形固定資産が1億58百万円、投資有価証券が3億47百万円それぞれ増加したことなどによるものです。 これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて4.6%増加し、357億68百万円となりました。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて3.1%増加し136億72百万円となりました。これは、主に仕入債務が1億63百万円、短期借入金が5億76百万円それぞれ増加し、一方で、未払法人税等が3億72百万円減少したことなどによるものです。 固定負債は、前連結会計年度末に比べて5.7%減少し13億49百万円となりました。 これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.3%増加し、150億21百万円となりました。
(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べて6.4%増加し207億46百万円となりました。これは、主に利益剰余金が11億15百万円、為替換算調整勘定が2億32百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は130百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。