【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進む中で、緩やかに持ち直しています。先行きにつきましては、今後の原燃料価格の動向や、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念など、なお不透明な状況が続いています。当社はこのような状況の中、当期におきましては、グラフィック用紙の需要減少への対応として、石巻工場N6抄紙機の停機を計画通り完了しました。また、将来の需要減少を見通し、グラフィック用紙の生産体制見直しとして、計画を前倒し2023年3月をもって秋田工場N1抄紙機を停機しました。連結業績につきましては、主に生活関連事業における売上高の増加や、前期から取り組んできた各種製品の価格修正が寄与したことなどにより、前期に比べ増収となりました。一方、これらの増収の効果をはるかに上回る原燃料価格の高騰や円安の影響などにより、当期は営業損失となりました。ただし、石炭使用量の削減などのコストダウン及び価格修正の実現により、営業損失は当第3四半期を底として、当第4四半期の赤字幅は大きく改善されています。また、Opal社におけるグラフィック用紙事業の撤退に係る固定資産の減損損失など19,705百万円を特別損失に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純損失が増加しました。結果は以下のとおりです。
連結売上高
1,152,645
百万円
(前期比 10.3%増)
連結営業損失
26,855
百万円
(前期は連結営業利益12,090百万円)
連結経常損失
24,530
百万円
(前期は連結経常利益14,490百万円)
親会社株主に帰属する当期純損失
50,406
百万円
(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1,990百万円)
各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。
(紙・板紙事業)
売上高
563,246
百万円
(前期比 5.9%増)
営業損失
29,221
百万円
(前期は営業損失5,575百万円)
新聞用紙は、発行部数の減少が継続し、国内販売数量は前期を下回りました。印刷・情報用紙は、総じて需要が低調に推移し、国内販売数量は前期を下回りました。板紙は、飲料関係向けの需要が堅調であったものの、自動車関連や工業製品向けなどは低調に推移し、国内販売数量は前期をわずかに下回りました。一方、昨年度から取り組んできた製品の価格修正が寄与したことにより、売上高は前期を上回りました。
(生活関連事業)
売上高
440,059
百万円
(前期比 13.9%増)
営業損失
7,818
百万円
(前期は営業利益4,770百万円)
家庭紙は、長尺トイレットロールやペーパータオルの販売が好調であったことに加え、行動制限の緩和に伴い宿泊向けなどの需要が回復し、販売数量は前期をわずかに上回りました。液体用紙容器は、食品価格全般の値上がりによる生活防衛意識の高まりで需要が低迷する中、給食牛乳向けSchool POP®の採用拡大や充填機販売に伴う拡販により、販売数量は前期を上回りました。溶解パルプ(DP)は、需要が堅調に推移したことや製品の価格修正が寄与したことなどにより、売上高は前期を上回りました。海外事業は、製品の価格修正が寄与したことや円安の影響などにより、売上高は前期を上回りました。
(エネルギー事業)
売上高
49,908
百万円
(前期比 56.9%増)
営業損失
1,734
百万円
(前期は営業利益1,586百万円)
エネルギー事業は、原燃料価格の高騰による電力価格の上昇などに加え、2023年2月より勇払エネルギーセンター合同会社のバイオマス専焼発電設備が営業運転を開始したことにより、売上高は前期を上回りました。
(木材・建材・土木建設関連事業)
売上高
68,896
百万円
(前期比 6.8%増)
営業利益
8,894
百万円
(前期比 16.8%増)
木材・建材は、新設住宅着工戸数は前期をわずかに下回り、一昨年来の世界規模での木材の供給不足もピークアウトを迎えているものの、製品価格が堅調に推移したことに加え、バイオマス発電向け燃料チップなどの販売が拡大したことにより、売上高は前期を上回りました。
(その他)
売上高
30,534
百万円
(前期比 1.1%増)
営業利益
2,488
百万円
(前期比 17.5%増)
(2) 財政状態総資産は、前連結会計年度末の1,639,286百万円から27,256百万円増加し、1,666,542百万円となりました。この主な要因は、勇払エネルギーセンター合同会社を新規に連結したことにより有形固定資産などが増加した一方、政策保有株式の売却により投資有価証券が減少したことによるものです。負債は、前連結会計年度末の1,200,682百万円から50,659百万円増加し、1,251,341百万円となりました。この主な要因は、勇払エネルギーセンター合同会社を新規に連結したことによるものです。純資産は、前連結会計年度末の438,604百万円から23,403百万円減少し、415,200百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、144,346百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,130百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ6,554百万円減少し、65,823百万円となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純損失41,365百万円、減価償却費66,279百万円、運転資金の増減(売上債権、棚卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入26,834百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ6,771百万円減少し、68,018百万円となりました。この主な内訳は、固定資産の取得による支出89,357百万円、投資有価証券の売却による収入21,207百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ47,338百万円減少し、6,976百万円となりました。この主な内訳は、有利子負債の増加による収入です。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。 今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。 なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
(6) 生産、受注及び販売の状況 ① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年4月1日至
2023年3月31日)
前期比(%)
紙・板紙事業
金額(百万円)
460,989
6.1
生活関連事業
金額(百万円)
374,115
6.6
エネルギー事業
金額(百万円)
49,908
56.9
合計
金額(百万円)
885,014
8.3
(注)1.木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。 2.当連結会計年度において、エネルギー事業における生産実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1) 経営成績」をご参照ください。
② 受注実績 当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。
③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称
当連結会計年度(自
2022年4月1日至
2023年3月31日)
前期比(%)
紙・板紙事業
金額(百万円)
563,246
5.9
生活関連事業
金額(百万円)
440,059
13.9
エネルギー事業
金額(百万円)
49,908
56.9
木材・建材・土木建設関連事業
金額(百万円)
68,896
6.8
その他
金額(百万円)
30,534
1.1
合計
金額(百万円)
1,152,645
10.3
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。3.当連結会計年度において、生活関連事業、エネルギー事業における販売実績に著しい変動がありました。その内容については、「(1) 経営成績」をご参照ください。