【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限や入国制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きがみられました。一方で、世界的な金融引き締めが継続する中、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、原油や原材料の価格高騰によるインフレや景気後退懸念の高まり、更に期央からの世界的な半導体市場の悪化も加わり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境のなかで、中期経営計画2023の2年目を迎え、引き続き「次世代への変化に対応した事業戦略の推進と将来に向けた事業基盤の更なる強化」を基本方針とした、既存事業の強化・領域拡大やグローバル市場への対応強化、新規事業の探索・育成などの事業戦略を推進していくとともに、これら事業戦略を支える基盤整備として、DXやESGの取り組みや人材戦略にも注力し、収益力の向上と持続的成長に向けた新規事業の育成などの経営課題の解決に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ56億28百万円増加し、475億52百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ26億77百万円増加し、243億円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ29億50百万円増加し、232億52百万円となりました。
(b)経営成績
当連結会計年度の売上高は、496億円と前期比40.1%の増収となりました。営業利益は、46億22百万円と前期比33.0%の増益となり、経常利益は、46億90百万円と前期比31.7%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、32億32百万円と前期比27.3%の増益となりました。
当社グループのセグメント別の概況は、次のとおりであります。
化成品事業
燐酸などの燐系製品につきましては、半導体向け高純度品が半導体市場の減速を受け期末に向けて伸び悩みましたが、原料黄燐の高騰を主因とした販売価格の是正もあり大幅な増収となりました。
凝集剤関連製品につきましては、上水道向けは減収、電子部品のエッチング用途向けが概ね堅調に推移し、増収となりました。
コンデンサー向け原料は、原料高騰による製品価格改定を反映して増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、419億18百万円(前年同期比52.0%増)、セグメント利益は、41億15百万円(前年同期比38.0%増)となりました。
機械事業
破砕関連機械につきましては、本体販売やリサイクル向けプラントの販売が大きく伸長しました。
下水道関連の掘進機につきましては、国内外向けの本体販売やレンタルが大幅な減収となりました。
精密機械加工は半導体向けを中心に堅調に推移しました。
この結果、当セグメントの売上高は、47億39百万円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益は、4億10百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
電子材料事業
化合物半導体向け高純度無機素材につきましては、需給が緩和したことや赤燐事故の影響により、減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、18億30百万円(前年同期比8.3%減)、セグメント利益は、5億65百万円(前年同期比33.1%増)となりました。
その他の事業
石油精製用触媒の再生事業は、増収となりました。不動産の賃貸につきましては、横ばいとなりました。
この結果、当セグメントの売上高は、11億12百万円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は、6億81百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億2百万円増加し、49億40百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は20億42百万円(前期比46百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益46億29百万円(前期比11億10百万円増加)、減価償却費18億45百万円(前期比3億20百万円増加)、法人税等の支払額12億3百万円(前期比4億40百万円増加)、売上債権が8億87百万円増加(前期比8億13百万円減少)、棚卸資産が30億16百万円増加(前期比17億4百万円増加)、その他の資産が5億71百万円増加(前期比4億28百万円増加)、仕入債務が12億54百万円増加(前期比5億1百万円増加)したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9億61百万円(前期比13億60百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9億19百万円(前期比15億10百万円減少)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2億45百万円(前期比62百万円減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入20億円(前期比9億68百万円減少)、長期借入金の返済による支出33億4百万円(前期比4億44百万円増加)、短期借入金の増加額22億円(前期比16億7百万円増加)、配当金の支払額5億52百万円(前期比1億98百万円増加)によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
30,024
151.5
機械事業(百万円)
3,449
104.9
電子材料事業(百万円)
2,081
120.5
その他の事業(百万円)
280
90.2
合計(百万円)
35,836
142.5
(注)金額は販売価格によっております。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
10,634
154.1
機械事業(百万円)
1,056
127.7
電子材料事業(百万円)
38
145.4
その他の事業(百万円)
-
-
合計(百万円)
11,729
151.3
(c)受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
41,918
152.0
機械事業(百万円)
4,739
99.4
電子材料事業(百万円)
1,830
91.7
その他の事業(百万円)
1,112
104.5
合計(百万円)
49,600
140.1
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年4月1日
至
2022年3月31日)
当連結会計年度
(自
2022年4月1日
至
2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
丸善薬品産業株式会社
5,611
15.8
10,716
21.6
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.,Ltd.
-
-
5,358
10.8
(注)前連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co.,Ltd.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末日現在の流動資産は255億64百万円で、前期末と比較して59億80百万円増加しました。棚卸資産が30億27百万円増加、現金及び預金が14億2百万円増加、受取手形、電子記録債権及び売掛金の合計で9億25百万円増加したことなどが主な要因であります。
固定資産
当連結会計年度末日現在の固定資産は219億87百万円で、前期末と比較して3億52百万円減少しました。有形固定資産が6億73百万円減少した一方、投資有価証券が5億40百万円増加したことなどが主な要因であります。
負債
当連結会計年度末日現在の負債は243億円で、前期末と比較して26億77百万円増加しました。短期借入金が13億40百万円増加、支払手形及び買掛金が12億59百万円増加したことなどが主な要因であります。
純資産
当連結会計年度末日現在の純資産合計は232億52百万円で、前期末と比較して29億50百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益を32億32百万円計上、為替換算調整勘定が2億43百万円増加した一方、剰余金の配当により5億55百万円減少したことなどが主な要因であります。
この結果、自己資本比率は48.6%となり、前期末と比較して0.4ポイント改善しました。
資産合計・負債純資産合計
以上の結果、当連結会計年度末日現在の資産合計は475億52百万円となり、前期末と比較して56億28百万円増加しました。
(b)経営成績の分析
売上高
売上高は496億円となり、前期と比較して141億88百万円、40.1%の増加となりました。これは主に、化成品事業における原料黄燐の高騰を主因とした販売価格の是正などによる影響であります。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は401億86百万円で、前期と比較して128億23百万円、46.9%の増加で、売上原価率は81.0%となり前期の77.3%から3.7ポイント悪化しました。これは主に化成品事業における原料黄燐の仕入価格が、当連結会計年度においても高騰したことから、原価率が上昇したためであります。
販売費及び一般管理費は47億91百万円で、前期と比較して2億18百万円、4.8%の増加となりました。また売上高に占める比率は9.7%となり、前期と比較して3.2ポイント改善しました。
この結果、営業利益は46億22百万円となり、前期と比較して11億46百万円の増益となりました。また営業利益率は9.3%となり、前期と比較して0.5ポイント悪化しました。
営業外損益
営業外損益は67百万円の収益で、前期と比較して19百万円の利益の減少となりました。これは主に、為替差損及び支払利息が増加した一方、持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。
この結果、経常利益は46億90百万円となり、前期と比較して11億27百万円の増益となりました。
特別損益
特別損益は60百万円の損失で、前期と比較して17百万円の損失の増加となりました。これは主に、前期と比較して投資有価証券売却益及び減損損失の計上額が大きく減少したことなどによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は46億29百万円となり、前期と比較して11億10百万円の増益となりました。
これに、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益の合計を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は32億32百万円となり、前期と比較して6億93百万円の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「4
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(b)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は122億75百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は49億40百万円となっております。
(c)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)において、最終年度目標として連結営業利益33億円、連結自己資本比率55%、業績に応じた配当の継続を目指しております。中計2年目となる当連結会計年度は連結営業利益46億22百万円と、最終年度目標を大きく上回る結果となりました。自己資本比率は48.6%(前期末比0.4ポイント改善)となり、1株当たり配当金は、当連結会計年度の業績を踏まえ、82円と昨年に比べ12円の増配を決定しました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、これまでの状況を踏まえて、その影響は限定的であるという仮定に基づき、見積りを実施しております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重
要なものについては、第5
経理の状況
1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表
注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。