【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、前半は、緩やかな内需拡大を背景に堅調に推移したものの、米中貿易摩擦による中国経済の成長鈍化や、期央の消費税増税や台風災害などの影響により下振れ圧力が強まる状況の中、年明け以降には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、大幅な後退局面に向かう懸念が強まっております。
このような環境のなかで、当社グループは、中期経営計画の2年目を迎え、引き続き「事業基盤の更なる安定と強化」を目指すことを基本方針として、収益力の向上、持続的成長に向けた新規事業の育成、財務体質の更なる強化に努め、業績の向上と収益の確保に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(a)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億55百万円減少し、375億63百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ20億57百万円減少し、218億15百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億1百万円増加し、157億48百万円となりました。
(b)経営状態
当連結会計年度の売上高は、297億59百万円と前期比4.0%の減収となりました。営業利益は、18億71百万円と前期比27.3%の減益となり、経常利益は、17億26百万円と前期比34.1%の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、13億77百万円と前期比39.4%の減益となりました。
当社グループのセグメント別の概況は、次のとおりであります。
化成品事業
燐酸などの燐系製品につきましては、電子工業用向け高純度品が国内外ともに需要の持ち直しが進み増収となりました。一方で、一般品及び購入品の販売は、ユーザーの需要低迷の影響から大幅な減収となりました。二次塩類等は、光学分野向け材料が大きく落ち込み大幅な減収となりました。
凝集剤関連製品につきましては、上水道向けが大きく伸張した一方で、エッチング用途向けが、期後半にかけて生産調整の影響から落ち込み減収となり、これらを併せた結果、若干の増収となりました。
コンデンサー向け原料は、期央にかけてユーザーの生産調整の影響から減収となり、消臭剤も、若干の減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、210億89百万円(前期比4.7%減)、セグメント利益は、14億20百万円(前期比20.9%減)となりました。
機械事業
破砕関連機械につきましては、本体販売、消耗部品販売ともに堅調に推移し、プラント販売も、福島の中間貯蔵施設関連の大型物件や大雨災害関連の大型プラントが寄与し、大きく伸張しました。鋳鋼品の販売も増収となりました。
下水道関連の掘進機の本体販売は、期後半にかけて東南アジア向けの輸出に持ち直しの傾向が出てきたことから増収となりました。レンタル物件につきましても、主に雨水対策向け需要を取り込んだ結果増収となりました。
精密機械加工は、産業用装置向けが堅調に推移し増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、61億31百万円(前期比12.7%増)、セグメント利益は、6億30百万円(前期比69.9%増)となりました。
電子材料事業
化合物半導体向け高純度無機素材は、携帯電話などの移動体通信向け需要の低迷から、ガリウムの出荷が低調で大幅な減収となりました。インジウム、赤燐、酸化ホウ素につきましても米中貿易摩擦の影響などから、最終製品の需要が低迷したことに加えて、在庫評価損もあり、大幅な減益となりました。
原子力発電所におけるシビアアクシデント対策向けの放射性ヨウ素吸着剤も、当期はサンプル出荷程度に留まったことから大幅な減収となりました。タッチパネル等に用いられる塗布剤につきましては、テレワーク関連需要で出荷数量が伸び大幅な増収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は、13億64百万円(前期比38.9%減)、セグメント利益は、24百万円(前期比95.8%減)となりました。
その他の事業
石油精製用触媒の再生事業は、若干の減収となりましたが、高い稼働率を維持しております。不動産の賃貸は、ほぼ前年並みで推移いたしました。
この結果、当セグメントの売上高は、11億72百万円(前期比2.0%減)、セグメント利益は、7億54百万円(前期比3.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億96百万円減少し、47億37百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は29億63百万円(前期比1億93百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益19億12百万円(前期比7億8百万円減少)、減価償却費14億41百万円(前期比1億18百万円増加)、法人税等の支払額3億82百万円(前期比1億27百万円減少)、売上債権が4億77百万円減少(前期は4億15百万円の増加)、たな卸資産が2億46百万円減少(前期は1億98百万円の増加)したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は14億7百万円(前期比21億14百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出17億9百万円(前期比18億51百万円減少)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は21億51百万円(前期は9億61百万円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入20億円(前期比5億円減少)、長期借入金の返済による支出24億15百万円(前期比4億39百万円増加)及び短期借入金の減少額13億89百万円(前期は7億69百万円の増加)によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2019年4月1日
至
2020年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
15,977
103.4
機械事業(百万円)
3,513
105.9
電子材料事業(百万円)
1,320
60.1
その他の事業(百万円)
340
105.5
合計(百万円)
21,151
99.4
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b)製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2019年4月1日
至
2020年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
4,350
79.4
機械事業(百万円)
1,609
98.4
電子材料事業(百万円)
21
93.8
その他の事業(百万円)
-
-
合計(百万円)
5,981
83.8
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(c)受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
(d)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2019年4月1日
至
2020年3月31日)
前年同期比(%)
化成品事業(百万円)
21,089
95.3
機械事業(百万円)
6,131
112.7
電子材料事業(百万円)
1,364
61.1
その他の事業(百万円)
1,172
98.0
合計(百万円)
29,759
96.0
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2018年4月1日
至
2019年3月31日)
当連結会計年度
(自
2019年4月1日
至
2020年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
丸善薬品産業株式会社
4,370
14.1
3,831
12.9
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末日現在の流動資産は166億72百万円で、前期末と比較して13億46百万円減少しました。現金及び預金の減少5億96百万円、受取手形及び売掛金の減少4億65百万円、たな卸資産の減少2億43百万円などが主な要因であります。
固定資産
当連結会計年度末日現在の固定資産は208億90百万円で、前期末と比較して2億91百万円増加しました。有形固定資産が4億75百万円増加した一方、繰延税金資産が1億77百万円減少したことなどが主な要因であります。
負債
当連結会計年度末日現在の負債は218億15百万円で、前期末と比較して20億57百万円減少しました。短期借入金の減少12億9百万円、長期借入金の減少が5億92百万円などが主な要因であります。
純資産
当連結会計年度末日現在の純資産合計は157億48百万円で、前期末と比較して10億1百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益を13億77百万円計上した一方、剰余金の配当により3億17百万円減少したことなどが主な要因であります。
この結果、自己資本比率は41.8%となり、前期末と比較して3.7ポイント改善しました。
資産合計・負債純資産合計
以上の結果、当連結会計年度末日現在の資産合計は375億63百万円となり、前期末と比較して10億55百万円減少しました。
(b)経営成績の分析
売上高
売上高は297億59百万円となり、前期と比較して12億40百万円、4.0%の減少となりました。これは主に、化成品事業において電子工業用向け高純度品を除く燐系製品の販売が減少したこと、電子材料事業において放射性ヨウ素吸着剤の販売が減少したことなどによる影響であります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による業績への影響は顕在化しておりません。
売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は235億41百万円で、前期と比較して5億58百万円、2.3%の減少で、売上原価率は79.1%となり前期の77.7%から1.4ポイント悪化しました。これは主に電子材料事業において、高純度無機素材の在庫評価損を計上したことによる原価率の上昇などであります。
販売費及び一般管理費は43億45百万円で、前期と比較して19百万円、0.5%の増加となりました。また売上高に占める比率は14.6%となり、前期と比較して0.6ポイント悪化しました。
この結果、営業利益は18億71百万円となり、前期と比較して7億2百万円の減益となりました。また営業利益率は6.3%となり、前期と比較して2ポイント悪化しました。
営業外損益
営業外損益は1億45百万円の損失(前期は44百万円の利益)となりました。これは主に、持分法による投資利益が減少したこと、及び前期では損害賠償引当金の戻入益が発生したことなどによるものであります。
この結果、経常利益は17億26百万円となり、前期と比較して8億92百万円の減益となりました。
特別損益
特別損益は1億86百万円の利益で、前期と比較して1億83百万円の利益の増加となりました。これは主に、前期に比べて固定資産売却益が増加したことなどによるものであります。
この結果、税金等調整前当期純利益は19億12百万円となり、前期と比較して7億8百万円の減益となりました。
これに、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純利益の合計を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は13億77百万円となり、前期と比較して8億97百万円の損益が悪化しました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「3
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 経営成績等の状況の概要
②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(b)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は116億98百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は47億37百万円となっております。
(c)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、中期経営計画2020(2018年度~2020年度)において、最終年度目標として連結営業利益33億円、連結自己資本比率50%、業績に応じた配当の継続を目指しております。
中期経営計画2020の2年目である当連結会計年度の連結営業利益は18億円、自己資本比率は41.8%(前期比3.7ポイント改善)となり、昨年度に引き続き1株当たり40円の配当を実施することを決定しました。最終年度となる2020年度につきましては、現時点では連結営業利益、自己資本比率ともに最終年度目標に対しては未達の予想ではありますが、少しでも目標に近づけるように、引き続き様々な施策に取り組んでまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。なお、これまでのところ緊急事態宣言後も新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化していない状況を踏まえて、その影響は限定的であるという仮定に基づき、見積りを実施しております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5
経理の状況
1.連結財務諸表等
(1)連結財務諸表
注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。