【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
[経営成績等の状況の概要]
(1) 経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、コロナ禍3年を経たウィズコロナの下各種政策の効果もあり、景気回復の兆しが見えてまいりました。個人消費も緩やかに持ち直しているものの、資源価格や円安による輸入品価格の高騰により様々な物品の値上げラッシュが続き、消費マインドは弱い動きになっております。海外経済につきましても、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化によるエネルギー価格高騰を要因としたインフレ圧力の高まりと、それを受けた欧米諸国の金融引締めなどにより景気減速に対する警戒感が強まりました。自動車業界におきましては、小型・ハイブリッドの低燃費車並びに軽自動車が引き続き消費者からの根強い支持を集めております。一方2022年の新車販売台数は420万台と1977年以来、45年ぶりの低水準になりました。これは世界的な半導体不足が長引いたことによる新車供給の滞りが影響し、厳しい経営環境が続いております。原油価格に関しましても、年後半には値下がり傾向に転じたものの通年でも昨年比で4割上昇となり、また一方ではOPECプラスで11月から減産の決定をするなど、先行きは不透明に推移しております。このような市場環境の下、自動車潤滑油ビジネスにおいては、主力ブランドを強化するため、コンシューマーチャネルにおいては6万キロ以上の走行歴でも最適なエンジン・パフォーマンスを維持する高走行距離車向けエンジンオイル、ディーラーチャネルにおいては最新の省燃費車に合わせた超低粘度エンジンオイルをそれぞれ発売いたしました。販促面では、需要期におけるプロモーションの実施及び各チャネル・各店舗のニーズに合わせた施策の実施、そして継続的なeコマースへの拡販を実践してまいりました。また、bpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“カーボンニュートラル”のコンセプトを訴求し、環境問題にも取り組んでまいりました。さらに潤滑油以外でも、特にエンジン内部を手軽に洗浄できる「エンジンシャンプー」の訴求を展開し、購入単価向上とともに、ソーシャルメディアの活用・他ブランドとの協業により、購入者の拡大を促進いたしました。加えて原油をはじめとするエネルギー・資源価格の高止まり並びに円安傾向が継続する状況から、コスト上昇を反映するタイムラグはありながらも販売価格への転嫁を進めました。一方、中長期的に持続可能かつ競争力ある事業を行うための新たな組織の下、デジタルトランスフォーメーションを含む業務効率化を更に推進いたしました。成熟した市場環境の中、高付加価値ブランドの拡大と新しい需要の創出を促進することで、当社ビジネスの継続的な成長を目指してまいります。これらの結果、当事業年度における当社の売上高は11,188百万円、営業利益は869百万円(前年同期比61.1%減)、経常利益は941百万円(前年同期比58.6%減)、当期純利益は572百万円(前年同期比63.0%減)となりました。なお、当社の事業は、潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,687百万円となり前事業年度末より676百万円増加いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度末において営業活動の結果得られた資金は、378百万円(前年同期比823百万円の減少)となりました。これは、主に税引前当期純利益が868百万円、減価償却費の計上123百万円、仕入債務の増加201百万円及び未払金の増加46百万円により資金が増加した一方、棚卸資産の増加189百万円、その他資産の増加137百万円及び法人税等の支払額578百万円により資金が減少したことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果得られた資金は、1,720百万円(前年は114百万円の支出)となりました。これは、主に貸付けによる支出2,500百万円、貸付金の回収による収入4,500百万円及び有形固定資産の取得による支出274百万円によるものであります。なお、貸付金の内容は、bpグループのインハウス・バンクを運営しているビーピー・インターナショナル・リミテッドに対するものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、1,422百万円(前年同期比159百万円の減少)となりました。これは、主に配当金の支払い1,422百万円によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
① 商品仕入実績当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度自
2022年1月1日至
2022年12月31日
前年同期比(%)
金額(千円)
潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業
6,731,709
128.8
合計
6,731,709
128.8
② 販売実績(受注実績は販売実績とほぼ同様であります。)当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
当事業年度自
2022年1月1日至
2022年12月31日
前年同期比(%)
金額(千円)
構成比(%)
潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業
11,188,033
100.0
100.9
合計
11,188,033
100.0
100.9
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度自
2021年1月1日至
2021年12月31日
当事業年度自
2022年1月1日至
2022年12月31日
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社オートバックスセブン
3,713,914
29.5
3,749,449
29.2
トヨタモビリティパーツ株式会社
2,937,596
23.3
3,116,740
24.3
(注)
相手先別に売上割戻を集計することが困難なため、売上割戻金控除前の金額及び割合を使用しております。
[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容]
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。当社の財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針については、「第5
経理の状況 1
財務諸表等
(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析当事業年度の売上高は、自動車用潤滑油市場に新たな需要の押し上げ要因の見当たらない厳しい経営環境の中において、高い走行歴でも最適なエンジン・パフォーマンスを維持する高走行距離車向けエンジンオイルや最新の省燃費車に合わせた超低粘度エンジンオイルの発売、需要期におけるプロモーションの実施、継続的なeコマースの拡販を行ってまいりました。また、bpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“カーボンニュートラル”コンセプトの訴求等を通して、当社旗艦製品である「カストロールエッジ」、さらに「カストロールマグナテック」「カルトロールトランスマックス」ブランドを中心としたエンジンオイル、トランスミッションオイル、並びにエンジン内部を手軽に洗浄できる「エンジンシャンプー」や、カーケア製品「カストロールプロシリーズ」などの関連製品の積極的な拡販を進め、加えてエネルギー・資源価格の高止まり並びに円安傾向が継続する状況から、コスト上昇を反映するタイムラグはありながらも販売価格への転嫁を進めたことにより、11,188百万円となりました。売上総利益は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞の本格的回復は未だ途上ではありますが、新製品の発売や旗艦製品の拡販、さらに原材料・資材価格上昇を受けた販売価格転嫁により、4,616百万円(前事業年度比1,178百万円の減少)となりました。販売費及び一般管理費は、3,747百万円となり、前事業年度比184百万円の増加となりました。主な要因は、年金資産の再評価による退職給付費用の増加であり、その結果、営業利益は869百万円(前事業年度比1,362百万円の減少)となりました。上記の要因により経常利益は941百万円(前事業年度比1,332百万円の減少)となり、ハイブリッド型の働き方に対応した本社オフィスのコンパクト化のための改装費用73百万円を特別損失に計上した結果、当期純利益は572百万円(前事業年度比975百万円の減少)となりました。経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、売上高及び経常利益を重要な経営指標として位置付けており、上記の通りの結果となっております。
(3) 財政状態の分析(流動資産)当事業年度末における流動資産の残高は、11,513百万円(前事業年度末は12,530百万円)となり、1,016百万円減少いたしました。これは、主に商品及び製品(160百万円の増加)、短期貸付金(1,410百万円の減少)及び未収入金(121百万円の増加)によるものです。(なお、貸付金の内容は、bpグループのインハウス・バンクを運営しているビーピー・インターナショナル・リミテッドに対するものであります。)(固定資産)当事業年度末における固定資産の残高は、1,234百万円(前事業年度末は1,039百万円)となり、195百万円増加いたしました。これは、主に本社改装に伴う建物(純額)(134百万円の増加)、及び工具、器具及び備品(純額)(107百万円の増加)によるものです。(流動負債)当事業年度末における流動負債の残高は、2,623百万円(前事業年度末は2,586百万円)となり、37百万円増加いたしました。これは、主に買掛金(201百万円の増加)、未払金(132百万円の増加)及び未払法人税等(281百万円の減少)によるものです。(固定負債)当事業年度末における固定負債の残高は、42百万円(前事業年度末は50百万円)となり、8百万円減少いたしました。これは、繰延税金負債(10百万円の減少)及び受入保証金(2百万円の増加)によるものです。(純資産)当事業年度末における純資産の残高は、10,083百万円(前事業年度末は10,932百万円)となり、849百万円減少いたしました。これは、主に利益剰余金が当期純利益により572百万円増加し、剰余金の配当により1,423百万円減少したことによるものです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社における運転資金需要の内、主なものは仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。これらの資金需要は営業活動で生み出した自己資金で賄うこととしておりますが、必要に応じて資金調達を実施いたします。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、国内の経済情勢や市場環境、景気動向等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社では自動車業界や国内外の経済動向、消費者動向に留意しつつ、顧客のニーズを的確に捉え最適な商品を提供してまいります。また内部管理体制の強化及び優秀な人材を確保育成することにより、様々なリスクに対し適切に対応を行ってまいります。
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