【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染者数が一時的に増加したものの、各種対策により経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰や急激な円安進行による物価上昇が進み、今後も先行き不透明な状況が続くものと予想されます。当社が事業を展開するコールセンターサービス業界及びBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス業界においては、人材不足や働き方改革への取り組みの拡大、DX推進による自社内リソースの再構築などを背景にアウトソーシング需要は継続的に高まっており、市場規模は拡大傾向に推移しております。また、コミュニケーション手段の多様化を始め、ITを介した新技術を用いてサービスの高度化が進んでおり、専門業者への外部委託需要が高まっております。このような状況の下、当社では、「特化型コールセンターを中心としたBPO業務の積極的な展開」を課題として掲げ、「官公庁系ビジネス」、「ITヘルプデスク」、「金融系オフィスサービス」を成長の3本柱としてサービスの拡大を図ってまいりました。売上高につきましては、前年度に受注した年金に関するコールセンター業務が開始となったこと、地方自治体の新型コロナウイルス対策を背景とした期間限定の外部委託需要が継続したことにより、好調に推移いたしました。また、その他の官公庁業務の受注も堅調に推移し、増収となりました。利益につきましては、環境整備に伴う一時的な費用の増加があったものの、増収により、増益となりました。以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高117億90百万円(前年同期比26.2%増)、営業利益6億68百万円(前年同期比16.7%増)、経常利益6億66百万円(前年同期比16.4%増)、当期純利益4億34百万円(前年同期比14.2%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度の売上高及び営業利益はそれぞれ7百万円減少しております。
なお、当社は、単一セグメントであるため、サービス別に売上高の内訳を記載しております。
コールセンターサービスコールセンターサービス分野の売上高は、2022年5月以降から開始となった年金関連業務の受注が大きく寄与いたしました。また、マイナンバー関連業務の受注拡大や新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に伴う予約受付業務などスポット案件の受注も好調に推移し、62億96百万円(前年同期比36.9%増)となりました。
BPOサービスBPOサービス分野の売上高は、新型コロナウイルス感染症対策に関連する地方自治体の窓口業務などスポット案件の受注が好調に推移いたしました。また、官公庁向けのデータ入力業務や事務処理業務も堅調に推移し、54億94百万円(前年同期比15.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当事業年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが11億82百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが3億55百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが3億32百万円の支出となりました。この結果、当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて4億94百万円増加し、18億76百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、11億82百万円(前事業年度は79百万円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益が5億98百万円、減価償却費1億98百万円、固定資産除却損39百万円、売上債権の減少2億36百万円、棚卸資産の減少32百万円、仕入債務の増加19百万円、賞与引当金の減少18百万円、役員賞与引当金の増加14百万円、退職給付引当金の増加46百万円、受注損失引当金の増加13百万円、未払費用の増加2億12百万円、未払消費税等の増加1億23百万円、法人税等の支払額3億33百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、3億55百万円(前事業年度は1億51百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億円、無形固定資産の取得による支出1億54百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、3億32百万円(前事業年度は1億61百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出99百万円、配当金の支払による支出79百万円、自己株式の取得による支出1億51百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当社は、BPO事業を営んでおり、その提供するサービスは役務であり、生産量の測定が極めて困難であるため、記載を省略しております。
b. 受注実績主に当社が顧客と締結している契約で規定されているのは、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要なコールセンター座席数や入力の要員等については、コール予想・発注想定数等により頻繁に変動します。また、コール処理実績や入力出来高に応じて売上が計上される契約については受注金額の特定が極めて困難であります。従いまして、受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しております。
c. 販売実績当社は、BPO事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績をサービス別に示しますと、次のとおりとなります。
サービスの区分
金額(千円)
前年同期比(%)
コールセンターサービス
6,296,538
36.9
BPOサービス
5,494,452
15.8
合計
11,790,990
26.2
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前事業年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
当事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
日本年金機構
-
-
2,041,372
17.3
柏市
-
-
1,195,816
10.1
前事業年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a. 経営成績の分析経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 財政状態の分析(資産、負債及び純資産の状況)資産の部流動資産は45億66百万円となり、前事業年度末に比べ2億67百万円の増加となりました。これは主に、現金及び預金の増加4億94百万円、売掛金及び契約資産の減少2億37百万円、未収入金の増加33百万円、仕掛品の減少32百万円、前払費用の増加8百万円によるものであります。固定資産は13億46百万円となり、前事業年度末に比べ2億19百万円増加となりました。これは主に、固定資産の取得による増加3億80百万円、減価償却費の計上1億98百万円、除却による減少39百万円、敷金及び保証金の減少7百万円、長期前払費用の増加77百万円、繰延税金資産の増加5百万円によるものであります。その結果、資産合計は59億13百万円となりました。
負債の部流動負債は20億47百万円となり、前事業年度末に比べ3億28百万円の増加となりました。これは主に、買掛金の増加19百万円、未払金の増加90百万円、未払費用の増加2億12百万円、未払法人税等の減少1億64百万円、未払消費税等の増加1億23百万円、前受金の増加10百万円、預り金の増加25百万円、賞与引当金の減少18百万円、役員賞与引当金の増加14百万円、受注損失引当金の増加13百万円によるものであります。固定負債は5億76百万円となり、前事業年度末に比べ49百万円の減少となりました。これは主に、長期借入金の減少99百万円、退職給付引当金の増加46百万円によるものであります。その結果、負債合計は26億24百万円となりました。
純資産の部純資産合計は32億88百万円となり、前事業年度末に比べ2億8百万円の増加となりました。これは主に、当期純利益による増加4億34百万円、配当金の支払による減少79百万円、自己株式の取得による減少1億51百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容 a. キャッシュ・フローの状況分析キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る内容当社の運転資金は、主にサービス提供のための労務費のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備投資資金は、既存設備の改修や情報システムの整備等によるものであります。これらの必要資金は、営業活動で生み出される内部資金により賄うことを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入も検討しながら、資金の流動性と適切な資金の確保に努め今後も流動性を維持してまいります。当事業年度におきましては、既存設備の更新及び増強等の設備投資を実施しており、これらは内部資金により賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定等については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。財務諸表の作成にあたっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。a.繰延税金資産当社は、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益金額が変動する可能性があります。
b.受注損失引当金当社は、官公庁や民間企業に対して顧客のコールセンターの構築・運営を行うコールセンターサービス、事務代行や人材派遣等を行うBPOサービス等、複数のサービスを行っております。受注損失引当金の計上に当たっては、将来の損失見込額を受託業務の労務費、経費等の総見込原価から当該契約より得られると見込まれる収益総額を控除して算定しております。そのため将来の見込収益総額及び総見込原価の見積りが重要な仮定となっております。将来の見込収益総額及び総見込原価は、受託業務それぞれのサービスの種類や契約条件等を考慮して見積りを行う必要があり、複雑性が高く、不確実性を伴うものであります。見積りの前提条件の変更や想定外の事象の発生等により、実際の発生は見積りと異なることがあり、受注損失引当金の計上金額が修正される可能性があります。
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