【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)については、多くの国での入国規制が解除されるなど経済活動の正常化が進みました。一方、ウクライナ情勢による資源、エネルギー価格の高騰や、半導体等部品の供給不足によるインフレが続く中、主要中央銀行における利上げが続いており、景気後退への影響が懸念されることとなりました。
米国においては、個人消費の回復を背景に景気は堅調に推移しましたが、一方で資源、エネルギー価格の高騰に加え、人手不足による賃金上昇が深刻化しています。また、インフレ抑制のための急激な金融引き締めは、一部の銀行の経営破綻や金融不安を招きました。引き続き米国の金利政策と世界経済への影響が注視されています。
欧州においては、ウクライナ情勢の影響により経済活動は低調に推移しました。暖冬や政府の支援策等によりエネルギー価格の上昇は抑制されましたが、資源価格の高騰と賃金上昇などインフレが続いています。また、欧州においても一部の銀行で経営不安が高まったことから金融安定化とインフレ対応の両立が求められています。
中国においては、ゼロコロナ政策解除後の人流回復に伴い経済活動の正常化が進み、不動産業や輸出の低迷はあるものの、個人消費など内需を中心に緩やかな経済回復が見込まれています。一方、米国による中国への過度な経済的依存を見直す動き(選択的デカップリング)に伴う経済への影響が懸念されています。
アジアにおいては、世界経済の後退による輸出の低迷や金融引き締めの影響により経済成長ペースは鈍化しましたが、今後は新型コロナからの回復による観光産業のインバウンド需要や中国向け輸出などによる景気回復が期待されています。
日本経済は、前年からの円安が総じて企業業績を後押した一方、資源、エネルギー価格の高騰や、半導体等部品の供給不足によるインフレが顕在化しています。さらに、長年抑制されてきた賃金の見直しも進められており、企業によるコスト上昇分の販売価格へ転嫁する動きが広がっています。
当社グループの主要事業分野である日本自動車業界に関する状況は、次のとおりであります。
自動車の生産販売は、北米向けや国内向けでは昨年と比較し回復傾向にありますが、断続的な半導体等部品の供給不足や中国、欧州市場での急速なEV化によるガソリン車販売の低迷は日系自動車業界にとって懸念事項となっています。世界的に各国規制によるEV化の流れは趨勢となっており、市場シェア維持のためEV化への早期対応が課題となっています。
この結果、当第1四半期連結累計期間における国内乗用車メーカー8社の国内四輪車販売台数は、前年同四半期比15.8%増の127万台、四輪車輸出台数は、前年同四半期比6.8%増の89万台となり、国内四輪車生産台数は、前年同四半期比14.2%増の211万台となりました。また、海外生産台数は、前年同四半期比1.0%減の425万台となりました。
このような環境のなか、当第1四半期連結累計期間の売上高は17,083百万円(前年同四半期15,216百万円)、営業利益は2,330百万円(前年同四半期1,824百万円)、経常利益は2,473百万円(前年同四半期2,271百万円)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は1,114百万円(前年同四半期1,265百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
日本
国内およびアジア向けを中心とした販売回復や円安に伴う外貨建て売上高の増加により、売上高は8,383百万円(前年同四半期7,717百万円)、営業利益は729百万円(前年同四半期681百万円)となりました。
北米
北米市場は、半導体等部品の供給不足は改善傾向にあり、売上高は3,140百万円(前年同四半期2,524百万円)となりました。また、人手不足と人件費の上昇に対して一部生産を日本、アジアへ移管したことや物流の見直しなどにより、営業利益は257百万円(前年同四半期143百万円)となりました。
中国
EV化が加速する中、日系自動車メーカーのガソリン車販売の低迷に加えて、半導体等部品の供給不足や新型コロナ下で積上げた在庫の調整の影響を受け、売上高は2,914百万円(前年同四半期3,182百万円)、営業利益は388百万円(前年同四半期368百万円)となりました。
アジア
半導体等部品の供給不足による顧客での生産調整が改善傾向であることから、売上高は5,329百万円(前年同四半期4,540百万円)、営業利益は794百万円(前年同四半期710百万円)となりました。
欧州
ウクライナ情勢や半導体等部品の供給不足による顧客での生産調整が改善傾向であることから、売上高は1,590百万円(前年同四半期1,244百万円)、営業利益は22百万円(前年同四半期は営業損失0百万円)となりました。
②財政状態の状況
(流動資産)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産の残高は44,999百万円(前連結会計年度末45,592百万円)となり、592百万円減少しました。主な内容は、現金及び預金の減少190百万円、受取手形及び売掛金の増加635百万円、電子記録債権の減少155百万円、棚卸資産の減少626百万円などによるものであります。
(固定資産)
当第1四半期連結会計期間末における固定資産の残高は27,303百万円(前連結会計年度末26,947百万円)となり、355百万円増加しました。主な内容は、有形固定資産の増加228百万円、投資有価証券の増加143百万円などによるものであります。
(流動負債)
当第1四半期連結会計期間末における流動負債の残高は13,018百万円(前連結会計年度末13,592百万円)となり、573百万円減少しました。主な内容は、買掛金の減少378百万円、電子記録債務の減少250百万円、短期借入金の減少132百万円、未払法人税等の増加94百万円、賞与引当金の増加260百万円などによるものであります。
(固定負債)
当第1四半期連結会計期間末における固定負債の残高は5,784百万円(前連結会計年度末6,009百万円)となり、224百万円減少しました。主な内容は、長期借入金の減少141百万円、リース債務の減少36百万円、繰延税金負債の減少43百万円などによるものであります。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末における純資産の残高は53,499百万円(前連結会計年度末52,938百万円)となり、561百万円増加しました。主な内容は、利益剰余金の増加387百万円、自己株式の増加743百万円、その他有価証券評価差額金の増加118百万円、為替換算調整勘定の増加484百万円、非支配株主持分の増加310百万円などによるものであります。
なお、自己資本比率は64.3%となり、前連結会計年度末と比べて0.6%増加しております。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針、経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、330百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。