【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)におけるわが国経済は、社会活動の正常化が進み、景気が緩やかに持ち直しました。一方で、エネルギー価格の上昇、為替の変動などもあり先行き不透明な状況が続きました。米国、欧州では金融引き締めの動きが加速し、一部で金融システムへの影響が懸念されました。中国では経済活動の抑制から持ち直しの動きが見られ、アセアン、インドでは景気の持ち直しが続きました。
このような経営環境のなか当グループにおいては、主力の自動車関連品事業が増収となり、売上高は938億4千7百万円(前期比16.2%増)となりました。半面、原材料費、輸送費等の上昇による影響もあり、営業利益は30億8千9百万円(前期比6.9%減)となり、経常利益は26億4千4百万円(前期比15.7%減)となりました。一方、グローバルで生産拠点を再編したことに伴い特別損失が発生したこともあり、親会社株主に帰属する当期純損失は16億8千2百万円(前期は13億1千8百万円の当期純利益)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
[自動車関連品事業]
四輪車・二輪車・汎用エンジン用燃料供給装置類及びエンジン関連機能品類の製造販売を中心とする当事業の売上高は、前期に比べて増加しました。サプライチェーンにおける部品不足の影響があったものの、車両生産は回復基調にありました。北米を中心に船外機の需要が高まっていることに加え、インド市場では好調が続きました。為替換算の影響もあり、当事業の売上高は771億9千7百万円(前期比16.5%増)となりました。一方で原材料費、輸送費、燃料費等の上昇による影響もあり、営業利益は33億6千2百万円(前期比5.7%減)となりました。
[生活機器関連品事業]
ガス機器用制御機器類及び水制御機器類などの製造販売を中心とする当事業の売上高は、ほぼ前期並みとなりました。中国では不動産不況が続き競争が激化しましたが、拡販活動を続け当事業の売上高は67億8千6百万円(前期比0.5%増)となりました。半面、原材料費や燃料費の上昇による影響もあり、営業損失は6億3千6百万円(前期は4億9千1百万円の営業損失)となりました。
[航空機部品輸入販売事業]
航空機部品類の売上高は、前期に比べて増加しました。社会活動の正常化に伴い旅客需要が増加していることに加え、取り扱い商品の拡大もあり、当事業の売上高は25億4千5百万円(前期比57.6%増)となり、営業利益は3億4千7百万円(前期比21.5%増)となりました。
[芝管理機械等販売事業]
芝管理機械等販売事業の売上高は、前期に比べて増加しました。ゴルフ場を中心に顧客の設備投資が堅調で、当事業の売上高は48億6百万円(前期比24.0%増)となりました。アフターサービスに注力し商品構成が改善していることもあり、営業利益は6千3百万円(前期は3千3百万円の営業損失)となりました。
[その他事業]
福祉介護機器等の製造販売を中心とするその他事業の売上高は、前期に比べて増加しました。福祉介護機器の需要が好調に推移し、その他事業の売上高は25億9百万円(前期比9.2%増)となりました。一方、原材料費の上昇に加え円安による輸入価格への影響もあり、営業損失は4千8百万円(前期は1千万円の営業損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて13億4千7百万円減少し、37億1千2百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、48億8千万円(前年同期は50億7千8百万円の収入)となりました。これは主に、減価償却費51億4千9百万円並びに生産拠点再編費用22億9千5百万円による資金増加要因が、売上債権及び契約資産の増加8億5千8百万円並びに法人税等の支払額15億8千8百万円による資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、54億4千1百万円(前年同期は23億7千1百万円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出61億3千9百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、9億4千万円(前年同期は24億7千4百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額3億4千1百万円であります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
前年同期比(%)
自動車関連品(百万円)
78,253
109.5
生活機器関連品(百万円)
5,880
88.9
航空機部品輸入販売(百万円)
-
-
芝管理機械等販売(百万円)
-
-
報告セグメント計(百万円)
84,133
107.8
その他(百万円)
1,020
103.6
合計(百万円)
85,154
107.7
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.収益認識会計基準等適用前の有償支給された材料代込みの価格で記載しております。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
前年同期比(%)
自動車関連品(百万円)
-
-
生活機器関連品(百万円)
-
-
航空機部品輸入販売(百万円)
24,699
139.1
芝管理機械等販売(百万円)
5,304
153.0
報告セグメント計(百万円)
30,003
141.4
その他(百万円)
1,295
108.0
合計(百万円)
31,299
139.6
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当グループの役割が代理人に該当する取引について、当該対価の総額から第三者に対する支払額を差し引いた純額で収益を認識する収益認識会計基準等の適用前の価格にて記載しております。
③ 受注実績
顧客から提示される納期の短縮化が進んだことにより受注から出荷までの期間が非常に短いため、当グループは原則として一部の確定受注や過去の生産実績等を参考とした見込み生産を行っております。よって受注実績につきましては、記載を省略しております。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
前年同期比(%)
自動車関連品(百万円)
77,197
116.5
生活機器関連品(百万円)
6,786
100.5
航空機部品輸入販売(百万円)
2,545
157.6
芝管理機械等販売(百万円)
4,806
124.0
報告セグメント計(百万円)
91,337
116.4
その他(百万円)
2,509
109.2
合計(百万円)
93,847
116.2
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先
前連結会計年度
(自 令和3年4月1日
至 令和4年3月31日)
当連結会計年度
(自 令和4年4月1日
至 令和5年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
スズキ株式会社
7,570
9.4
8,842
9.4
ヤマハ発動機株式会社他
7,373
9.1
8,105
8.6
Maruti Suzuki India Limited
1,562
1.9
3,323
3.5
2.上記「ヤマハ発動機株式会社他」には、関係会社であるヤマハモーターパワープロダクツ株式会社を含めて表示しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当グループは存在価値と競争力を高め、連結売上高990億円規模、連結営業利益40億円規模とすることを将来的に目指しております。これに対して、当連結会計年度の連結売上高は938億4千7百万円、連結営業利益は30億8千9百万円でした。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
(1)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、1,001億8百万円となり、前連結会計年度末に比べて31億9千1百万円増加しました。
流動資産は、534億2百万円となり、前連結会計年度末に比べて23億9千1百万円増加しました。これは主に、売掛金が13億5千8百万円並びに棚卸資産が11億2千2百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、467億5百万円となり、前連結会計年度末に比べて7億9千9百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が6億6百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、679億9百万円となり、前連結会計年度末に比べて29億1千万円増加しました。
流動負債は、375億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べて40億2千5百万円増加しました。これは主に、短期借入金が40億1千3百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、303億3千万円となり、前連結会計年度末に比べて11億1千4百万円減少しました。これは主に、長期借入金が11億8千9百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、321億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べて2億8千万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失を16億8千2百万円計上したものの為替換算調整勘定が17億3千4百万円増加したことによるものであります。
(2)経営成績の分析
① 売上高
売上高は、前連結会計年度の807億8千9百万円に比べて増加し、938億4千7百万円(前年同期比16.2%増)となりました。セグメント別の売上高の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概況 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度の664億2千6百万円に比べて増加し、785億7千7百万円(前年同期比18.3%増)となりました。売上に対する売上原価の比率は1.5ポイント上昇しております。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の110億4千4百万円に比べて増加し、121億8千万円(前年同期比10.3%増)となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度の33億1千8百万円に比べて減少し、当連結会計年度は30億8千9百万円(前年同期比6.9%減)となりました。
④ 営業外収益、営業外費用
営業外収益は、前連結会計年度の6億1百万円に比べて減少し、5億1千5百万円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度の7億8千2百万円に比べて増加し、9億6千万円となりました。これは主に、支払利息が増加したためであります。
⑤ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度の31億3千7百万円に比べて減少し、当連結会計年度は26億4千4百万円(前年同期比15.7%減)となりました。
⑥ 特別利益、特別損失
特別利益は、前連結会計年度の3億2千4百万円に比べて減少し、1億5千1百万円となりました。これは主に、投資有価証券売却益が減少したためであります。また、特別損失は、前連結会計年度の3億5千8百万円に比べて増加し、25億8千9百万円となりました。これは主に、当期にて生産拠点再編費用が発生したためであります。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失
前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益13億1千8百万円でしたが、当連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失16億8千2百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① 資金需要
当グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備資金、借入金の返済、法人税等の支払、配当金の支払等であります。なお、設備投資の状況については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載の通りであります。
② 財務政策
当グループでは、中長期的な資本効率の向上と財政状態の健全化を重要課題として捉え、キャッシュの配分については株主還元、更なる成長投資の実行、有利子負債の返済等で最適なバランスを取ることを基本方針としております。 資金調達については、資本効率の向上によるキャッシュの創出を基本として、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。短期運転資金は短期借入、設備投資や長期運転資金は長期借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債の年度別返済額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表 借入金等明細表」に記載の通りであります。 令和5年3月31日現在、短期及び長期借入金(1年以内返済予定含む)の残高は357億3千4百万円であります。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行9行との間で合計62億円のコミットメントライン契約(特定融資枠契約)を締結しております。なお、コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。
③ 今後のキャッシュ・フロー
令和6年3月期の設備投資につきましては、生産性向上のための合理化並びに省力化投資、新規受注に伴う設備及び金型投資及び海外生産拠点への投資を中心に総額74億7千5百万円を実施する予定であります。
当該資金調達方法につきましては、自己資金及び借入金の予定であります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、本項に記載した予想、予見、見通し、方針等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものであります。次期の見通し及び将来に関する事項には、不確実性が内在しており、また、リスクを含んでいるため、様々な要因の変化により将来生じる実際の結果と異なる可能性もありますので、ご留意ください。
当社は特に以下の重要な会計方針が、当グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要である固定資産の減損損失及び製品保証引当金につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
① 繰延税金資産
当グループは、繰延税金資産の将来の回収可能性を十分に検討して、回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得、事業計画及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産純額の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取り崩し、税金費用の追加計上が発生する場合があります。
② 棚卸資産
当グループは、通常の販売目的で保有する棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみなして、正味売却価額を貸借対照表価額とし、評価減を計上しております。評価時点における正味売却価額については、売却市場の時価を基礎に見積もっておりますが、実際の将来需要又は市場状況が悪化した場合、追加の評価減が必要となる場合があります。
③ 貸倒引当金
当グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権につきましては貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込み額を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。
④ 退職給付に係る負債
当グループは、退職給付に係る負債につきましては、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき計上しております。見込み額と実績額との差又は見込み額算定の基礎となる前提条件の変更により、退職給付に係る負債に影響を及ぼす場合があります。
⑤ 生産拠点再編引当金
生産拠点再編に伴い、今後発生が見込まれる費用について合理的な見積額を計上しております。
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