【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況については、資産の部は売掛金の回収が進んだこと及び有価証券が減少する一方で、戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産の増加により、前連結会計年度末から476百万円増加し155,935百万円となりました。負債の部は主に未払法人税等の減少により1,521百万円減少し35,355百万円、純資産の部は当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことで1,997百万円増加し120,580百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における世界経済は景気の持ち直しに足踏みがみられ、ウクライナ情勢の長期化や世界的な金融引き締めに伴う景気下振れリスクの高まりなど、先行き不透明な状況となっております。
当連結会計年度における業績につきましては、売上高は80,849百万円(前期比6.8%減)と前期を下回りました。アミューズメント市場向けにおいて前期の新規則機への集中的な入替需要の反動減により売上高は前期を下回りました。一方、ヘルスケア及びV&S(Vertical & Specific)市場向けの販売が好調に推移し、前期を上回る売上高となりました。前期における一部材料の調達難による生産調整の実施や前期末の需要増の対応により、当期は国内外の強い需要に対して製品供給が満たせていない状況からスタートしましたが、当社の100%自社開発・生産を活かした機動的な生産体制により、製品供給を進めることで販売増 に繋げることができました。その結果、B&P(Business & Plus)・ヘルスケア・クリエイティブワーク・V&Sの総売上高は過去最高となりました。
利益面については、材料費の上昇に対し販売価格への転嫁を進めてきたものの、アミューズメント市場向けの売上高の減少に加え、材料価格の上昇、ドル高及び物流コスト増の影響を受け、売上総利益は25,243百万円(前期比18.2%減)、売上総利益率は31.2%(同4.3ポイント低下)となりました。また、販売費及び一般管理費については、withコロナへの環境変化に伴い広告宣伝活動を再開したこと等により20,241百万円(同3.5%増)となりました。その結果、営業利益は5,002百万円(前期比55.7%減)、経常利益は6,126百万円(同49.4%減)となりました。特別利益として投資有価証券売却益1,943百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,862百万円(同24.8%減)となりました。
市場別の売上高の分析は、次のとおりです。
[B&P(Business & Plus)]
売上高は、18,583百万円(前期比5.9%増)となりました。海外においては、欧州のうちドイツや一部地域のIT市場において設備投資の先送りが一部見受けられましたが、堅調な販売を維持し、売上高は前期を上回りました。国内においては、流通段階での在庫調整の動きがありましたが、高付加価値製品の販売が法人向け中心に伸張し前期並みの売上高となりました。
[ヘルスケア]
売上高は、34,713百万円(前期比8.8%増)となりました。診断用途向けは、海外においては、欧州向けの販売が堅調に推移したほか、北米は需要の回復が見られました。国内においても前期からの設備投資需要が継続しました。また、内視鏡用途向けは、欧州、北米、中国を中心に海外向けの販売が伸張しました。
[クリエイティブワーク]
売上高は、6,746百万円(前期比7.4%増)となりました。第2四半期から本格的に開始した新製品の販売が好調に推移し、第1四半期に十分な供給ができなかった影響を取り戻したことや、北米での需要の回復やインドで販売が好調に推移したことから、海外・国内ともに前期を上回りました。
[V&S(Vertical & Specific)]
売上高は、9,269百万円(前期比11.2%増)となりました。海外においては、EVSとして展開する監視用途のIPソリューションの導入が北米を中心に好調に進んだことや自動車産業向けの回復等により前期を上回る売上高となりました。国内においては、前第1四半期の顧客要求に対応したカスタマイズ製品の販売が一巡したものの、監視向け及び船舶向けの販売が伸張し前期並みの売上高となりました。
[アミューズメント]
売上高は、6,498百万円(前期比64.2%減)となりました。前期は規則改正に伴う旧規則機から新規則機への入替需要がありましたが、当期は入替が完了したことによる反動減もあり前期を下回りました。当業界を取り巻く市場環境は、規則改正後の遊技人口の減少と店舗数の減少等により業界全体の縮小が進んでおり厳しい状況が継続しております。
[その他]
売上高は、5,039百万円(前期比10.0%増)となりました。アミューズメント用ソフトウェア受託開発の売上高が増加したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ12,830百万円減少し、9,557百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動で使用した資金は、7,592百万円(前連結会計年度は8,429百万円の獲得)となりました。主に、収入として税金等調整前当期純利益8,064百万円、売上債権の減少4,566百万円、減価償却費2,316百万円等、また支出として原材料等の在庫積み増しによる棚卸資産の増加15,243百万円、法人税等の支払い3,589百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動で獲得した資金は、853百万円(前連結会計年度は2,394百万円の使用)となりました。主に、収入として投資有価証券の売却2,653百万円、支出として当社の新物流棟の投資含む有形固定資産の取得1,962百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で使用した資金は、6,351百万円(前連結会計年度は2,899百万円の使用)となります。主に、自己株式の取得2,821百万円及び配当金2,525百万円の支出があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、映像機器及びその関連製品の開発・生産・販売が主であり、実質的に単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を行っておりません。以下は、品目別の状況を記載しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を市場別に示すと、次のとおりです。
市場
金額(百万円)
前期比(%)
映像機器(アミューズメント除く)
67,072
124.4
アミューズメント
6,074
36.1
合計
73,147
103.4
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績及び受注残高は、次のとおりです。なお、映像機器及びその他の一部製品は見込生産を行っております。
品目
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
アミューズメント
6,453
38.8
155
86.4
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を市場別に示すと、次のとおりです。
市場
金額(百万円)
前期比(%)
B&P (Business & Plus)
18,583
105.9
ヘルスケア
34,713
108.8
クリエイティブワーク
6,746
107.4
V&S (Vertical & Specific)
9,269
111.2
アミューズメント
6,498
35.8
その他
5,039
110.0
合計
80,849
93.2
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月 1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月 1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社ジェイ・ティ
21,408
24.7
10,076
12.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等について
当連結会計年度の売上高は、前期比6.8%減の80,849百万円、営業利益は同55.7%減の5,002百万円、経常利益は同49.4%減の6,126百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同24.8%減の5,862百万円となりました。
詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」に記載のとおりです。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当連結会計年度は、市場別売上ではヘルスケア及びV&S市場向けの販売が好調に推移しましたが、アミューズメント市場向けにおいて前期の新規則機への集中的な入替需要の反動減からの反動減により売上高は減少し、当連結会計年度の売上高は80,849百万円となりました。
利益面では、材料価格の上昇、ドル高及び物流コスト増の影響を受けたことにより売上総利益率は低下しました。また、販売費及び一般管理費はコロナ禍で制約を受けた広告宣伝活動を再開したこと等により、営業利益は5,002百万円、経常利益は6,126百万円となりました。特別利益として投資有価証券売却益1,943百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,862百万円となりました。
当社グループは2023年度を最終年度とする第7次中期経営計画の達成に向けて、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上の課題」に記載した取組みを行うとともに、成長分野への投資を積極的に行います。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
財務戦略の基本方針
当社グループは、変化の激しい電子機器業界において強固な財務基盤を堅持し、企業価値向上のために戦略的かつ機動的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、イベントリスクへの十分な備えを持ちつつ、長期にわたり持続的な成長を図るため、必要な資金を確保することが重要と考えております。
具体的な資金需要は、次のとおりです。
(事業の成長・競争力向上)
・開発創造型企業として、新たな価値を絶えず追求するための研究開発資金
・100%自社生産による優位性をさらに高めるべく、生産性の向上や生産能力の増強に係る設備投資資金
・世界100か国以上にて、タイムリーな供給を維持するための製品や材料の在庫資金
・ビジネスモデルをより強くするための戦略的なM&Aを実施する資金
(事業の安定)
・部品の調達リスクを吸収し、顧客への長期安定供給を実現するための資材調達・在庫資金
・経済環境の急激な変化や自然災害等により一時的な操業停止を余儀なくされるような場合の運転資金
以上の手許資金を確保し将来の見通しを立てた上で株主還元を行います。株主還元は、会社の成長に応じて安定的に株主配当を行うことを基本方針としており、その還元率は連結当期純利益40~50%を目標水準としております。次期より新しい配当政策を適用しております。具体的な配当政策については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」に記載のとおりです。
資金調達の方法
当社グループは、事業活動の維持及び拡大に必要な資金について、基本的には営業活動で生み出された内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、為替相場の状況に応じ、自己資金以外での資金調達を実施しております。また、資金調達の状況によっては、必要な資金を確保するために投資有価証券の売却を検討いたします。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示、並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っております。このため、会計上の見積りはその性質上不確実であり、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの経営成績等に対して重要な影響を及ぼす会計上の見積り及び判断が必要となる項目は次のとおりです。なお、COVID-19による影響は当連結会計年度末時点において軽微であると判断の上、これらの見積りに反映しております。
売上債権の貸倒引当金
当社グループは、売上債権の貸倒損失に備え回収不能となる可能性のある金額を合理的に見積り、その額を貸倒引当金として計上しております。将来、販売先の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の市場需要に基づく将来の販売見込み及び正味売却価額から、棚卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。実際の市場における需要又は正味売却価額が当社の見積りより悪化した場合には、追加の評価減が必要となる可能性があります。
有形固定資産の減損
当社グループは減損会計を適用しております。当社グループでは、固定資産の種類別、所在地別又は目的別に、物理的及び経済的な価値並びに耐用年数を見積り、償却手続きを実施するとともに、必要に応じて有姿除却等の措置をとっております。また、当該資産の除却に関して法令又は契約にて要求される法律上の義務及びそれに準じるものを資産除去債務として見積り、負債として認識しております。しかしながら、固定資産の価値、耐用年数の見積り、その評価又は除却に係る算定等で使用した前提条件と大きく異なる状況が生じた場合には、償却や損失の追加が必要となる可能性があります。
投資有価証券の減損
当社グループは、取引金融機関、販売又は仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式のうち、上場株式では株式市場の価格変動リスクを負っているため、連結決算日の時価が取得価額から50%以上下落した場合には減損損失を認識いたします。また、連結決算日の時価が取得価額から30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性の判定を合理的な基準に基づき行い、回復する見込みがあると判断したものを除き、減損損失を認識いたします。非上場株式では投資先の純資産額における当社持分額が取得価額より50%以上下落した場合には、減損損失を認識いたします。そのため、保有株式の時価評価額が下落した場合は、投資有価証券評価損を計上する可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少する場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
また、繰延税金資産は当連結会計年度末における法定実効税率に基づき計上しておりますが、将来において税制改正により税率が変更された場合には繰延税金資産の残高が減少し、それに伴い税金費用が計上される可能性があります。
