【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、経済社会活動が正常化に向かい、景気は緩やかに持ち直していきました。しかしながら、世界経済全体では、ウクライナ紛争の長期化、資源価格やエネルギー価格の高止まり、欧米における利上げや大幅なドル高(円安)の進行、中国経済の低迷などにより、依然として先行きが不透明な状態が継続しました。
当第3四半期連結会計期間において、国内建設用鋼材市場では、秋需への期待があったものの、原材料の鉄スクラップ市況軟化による製品価格の先安観から当用買いが続き、需要は低調に推移しました。一方で、鉄スクラップ価格が想定よりも低水準で推移したことで、売買価格差(製品価格と原材料価格の差額)は拡大しました。
海外鉄鋼事業については、ベトナム拠点では、競合環境が激化する中、季節的要因(雨季など)による不需要期に銀行の貸出規制なども重なり、建設需要が減速し、厳しい事業環境となりました。一方、北米拠点では、政府のインフレ抑制策によって景気はやや減速傾向にありましたが、インフラ投資や民間投資、個人消費が力強く推移したことによって、引き続き事業環境は堅調さを見せました。
上記の結果、当社グループの連結売上高は前年同期対比61,314百万円(29.2%)増収の271,332百万円、連結営業利益は同2,244百万円(32.8%)増益の9,089百万円、連結経常利益は同1,216百万円(14.7%)増益の9,493百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、同1,645百万円(36.2%)増益の6,195百万円となりました。
なお、10月11日に発生した山口事業所の火災事故からの復旧過程で生じた費用232百万円を特別損失に計上しています。当該損害に係る保険金の受取額は現時点で確定していないため、当第3四半期連結累計期間では計上していません。また、国内外の他拠点等からの支援も受け、翌日10月12日より製品出荷を再開し、圧延工場は10月13日に、製鋼工場は11月12日に操業再開しています。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
① 国内鉄鋼事業
当事業部門については、製品出荷量は前年同期対比6.3万トン減の113.3万トンとなりました。鉄スクラップ価格は前年同期対比3.2千円(6.2%)上昇しましたが、製品の値上げが浸透し前年同期対比20.7千円(25.8%)上昇したため、売買価格差は17.6千円(60.2%)拡大しました。
以上の結果、売上高は前年同期対比16,595百万円(17.4%)増収の111,898百万円、営業利益は同7,357百万円(335.5%)増益の9,550百万円となりました。
② 海外鉄鋼事業
当事業部門については、ベトナム及び北米(米国・カナダ)にて鉄鋼事業を展開しており、いずれも決算期は12月です。
ベトナムにおいては、第2四半期連結会計期間以降、実需の低迷や製品価格の値下げ期待による需要家の買い控えを受け、生産管理や在庫管理の徹底に努めましたが、製造コストの増加により赤字となりました。一方で、北米においては、電力費の上昇など製造コストが増加したものの、製品価格の上昇により売買価格差が拡大したことから、業績は好調に推移しました。
以上の結果、売上高は前年同期対比44,015百万円(41.5%)増収の150,189百万円、営業損失は993百万円(前年同期は4,123百万円の営業利益)となりました。
③ 環境リサイクル事業
当事業部門については、新型コロナウイルス感染症関連の医療廃棄物処理案件が引き続き増加しましたが、燃料価格などの上昇により、売上高は前年同期対比495百万円(9.5%)増収の5,686百万円、営業利益は同39百万円(3.0%)減益の1,266百万円となりました。
④ その他
当事業部門については、ベトナムでの港湾事業や国内及びベトナムでの鋳物事業などを行っております。売上高は前年同期対比209百万円(6.2%)増収の3,559百万円となり、営業損失は129百万円(前年同期は60百万円の営業利益)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産については、前連結会計年度末に比べて40,028百万円(12.7%)増加し、354,231百万円となりました。これは、売掛金が16,217百万円、電子記録債権が9,745百万円、商品及び製品が1,156百万円、原材料及び貯蔵品が5,290百万円、建物及び構築物が1,443百万円、機械装置及び運搬具が2,741百万円、土地が999百万円、有形固定資産その他が2,222百万円、投資有価証券が1,518百万円、退職給付に係る資産が648百万円、投資その他の資産その他が739百万円増加し、現金及び預金が1,561百万円、有価証券が1,000百万円、流動資産その他が449百万円減少したこと等によります。
負債については、前連結会計年度末に比べて29,792百万円(21.5%)増加し、168,306百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が2,084百万円、電子記録債務が755百万円、短期借入金が14,059百万円、未払法人税等が3,690百万円、流動負債その他が3,821百万円、長期借入金が4,130百万円、繰延税金負債が496百万円、退職給付に係る負債が808百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が660百万円減少したこと等によります。
純資産については、前連結会計年度末に比べて10,236百万円(5.8%)増加し、185,925百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益を6,195百万円計上し、為替換算調整勘定が7,388百万円増加した一方で、資本剰余金が1,398百万円、非支配株主持分が1,109百万円、利益剰余金の配当により1,738百万円減少したこと等によります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は81百万円であります。