【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本文の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、緩やかな回復基調が継続するものの、各国がインフレ抑制のための金融引き締め政策を継続し、中国ではインフラ投資の低迷や個人消費の回復が伸び悩むなど、一部の国・地域では景気回復が遅れている状況となっております。また、ウクライナ情勢の長期化を背景とした原材料、エネルギー、副資材、物流などの価格高騰の継続もあり、経済の先行きに対する不透明感が増す状況が続いております。
ステンレス業界におきましては、当社グループ製品の主要取引先である自動車関連産業での半導体を含む部品供給不足の解消により需要が回復すると見込んでおりましたが、国内におけるサプライチェーン間での在庫調整が長引き、また、海外ではEV化への対応が遅れた日本車の販売不振や中国市場の低迷などの影響により需要の回復が大幅に遅れており、厳しい事業環境が継続しています。
このような状況のもと、当社グループは、販売費および一般管理費を含む事業コストの削減、生産効率の向上や品質改善、原材料価格動向の販売価格への適時反映など全社的な収益改善活動を推進してまいりましたが、需要低迷により大幅に減少した生産・販売数量の影響を受け非常に厳しい状況下にあります。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比1,627百万円(6.3%)減収の24,266百万円となりました。損益面につきましては、営業損益は747百万円の損失(前年同期は852百万円の利益)、経常損益は796百万円の損失(前年同期は817百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益は803百万円の損失(前年同期は553百万円の利益)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
① みがき帯鋼事業
冷間圧延ステンレス鋼帯につきましては、メタリック感を活かした黒加飾ステンレス鋼(ファインブラック)は、更に国内大手自動車メーカーの高級車種(SUV・大型ワゴン車)の外装モール用材へ採用が拡大し増加しました。また、医療用途も国内外で堅調に推移しています。しかし、当社の主力である自動車関連は、国内では自動車生産が回復傾向にあるものの、サプライチェーン全体の在庫が依然調整局面から脱することが出来ず、販売数量は当初の予想に反して低位で推移しております。また、特に当社の主力輸出先である中国では、当社外装モール材のシェアが高い欧米車や日本車は中国製などのEVへの切り替えで、販売が低迷したことに加え、現地ステンレスメーカーが低コストを武器にシェアを拡大したこともあり、こちらも当初の予想に反して販売数量が回復しませんでした。新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要が一巡した、データセンター向けサーバー用ハードディスクやゲーム機、自動車や家電に使用される電子部品関連の受注も回復が見通せない状況です。
みがき特殊帯鋼につきましては、冷間圧延ステンレス鋼帯と同様に自動車関連の回復の遅れで、販売数量は伸びを欠く結果となりました。また、刃物用途は北米市場の金利上昇を受けた住宅販売件数の減少に伴い、主に内装で使用する刃物の販売数量が減少しました。
原材料、エネルギー、副資材、物流などの諸コストの上昇に対しては、全ての変動要因に対し、販売価格へ反映させる指標を策定し、継続的に販売価格の是正を進めています。更に低収益品の販売価格の是正や高品質差別化製品のエキストラ改定など、付加価値に見合った適正な価格への是正も継続的に進め、収益性の維持に努めましたが、販売数量の大幅な減少による業績の悪化を避けることはできませんでした。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間のみがき帯鋼事業の売上高は、前年同期比1,389百万円(6.7%)減収の19,238百万円、営業損益は377百万円の損失(前年同期は851百万円の利益)となりました。
② 加工品事業
福島工場取扱製品につきましては、主力の自動車駆動部品用高精度異形鋼製品は、自動車のEV化の流れを受けて全体の需要は減少しておりますが、当社のQCD(品質・コスト・納期)が高く評価された結果、客先内でのシェアアップにつながり回復しました。独自製品である軽量・滑り止め機能を有する型鋼製品や半導体装置向けの産業機器製品も堅調に推移しました。前期、量産を開始した水処理施設向けに独自に開発した軽量・高強度のフォーミング製品は、提案力やコストダウンが評価され、その他の部材へ拡大が進んでいます。一方で、建築関連製品は民間、公共施設建築ともに市場が低迷したまま、依然として厳しい状況が継続しています。
岐阜工場取扱製品につきましては、文具向けで需要低迷による在庫調整の影響で販売減となった一方で、国内外の医療機器、計測機器、分析機器や半導体製造装置向けで、従来の加工技術を更に細径まで深化させ開発した内面高精度管が販売増となりました。自動車関連用途では、内燃機関(ICE)を有する自動車の減産はありましたが、環境対応装置向けやアフターパーツ市場向けで堅調に推移しました。また、新型コロナウイルスの5類感染症移行やインバウンドの急増に伴い外食産業向け飲料機器用途の需要は回復傾向にあります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の加工品事業の売上高は、前年同期比237百万円(4.5%)減収の5,027百万円、営業利益は前年同期比279百万円(49.2%)減益の288百万円となりました。
(2)財政状態に関する説明
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ3,261百万円減少の70,613百万円となりました。
流動資産は、3,140百万円減少の35,157百万円となりました。これは主に、現金及び預金が2,499百万円、棚卸資産が742百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定資産は、120百万円減少の35,455百万円となりました。これは主に、投資有価証券が250百万円増加した一方で、有形固定資産が375百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べ2,797百万円減少の46,626百万円となりました。
流動負債は、454百万円減少の30,885百万円となりました。これは主に、短期借入金が3,206百万円増加した一方で、仕入債務が2,178百万円、その他に含まれる設備支払手形及び設備電子記録債務との合計が1,762百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定負債は、2,343百万円減少の15,741百万円となりました。これは主に、長期借入金が2,431百万円減少したこと等によるものであります。
純資産は、463百万円減少の23,986百万円となりました。これは主に、その他の包括利益累計額で為替換算調整勘定が182百万円、その他有価証券評価差額金が175百万円それぞれ増加した一方で、株主資本で利益剰余金が836百万円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の33.1%から0.9ポイント上昇し、34.0%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による収支と投資活動による収支を合わせると、3,309百万円の支出(前年同四半期連結累計期間4,269百万円の支出)だが、これに、財務活動による収支を加味すると、2,604百万円の支出(前年同四半期連結累計期間3,562百万円の支出)となり、前連結会計年度末に比べ資金は2,500百万円(31.1%)の減少となり、当第2四半期連結会計期間末には5,535百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,343百万円の支出(前年同四半期連結累計期間633百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純損失が710百万円(前年同四半期連結累計期間は税金等調整前四半期純利益789百万円)、減価償却費が909百万円(前年同四半期連結累計期間897百万円)であり、棚卸資産の減少885百万円(前年同四半期連結累計期間2,493百万円の増加)による収入があった一方、売上債権の増加498百万円(前年同四半期連結累計期間222百万円の減少)及び仕入債務の減少2,271百万円(前年同四半期連結累計期間461百万円の増加)等の支出があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,966百万円の支出(前年同四半期連結累計期間3,635百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が2,060百万円(前年同四半期連結累計期間3,643百万円の支出)であったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、704百万円の収入(前年同四半期連結累計期間706百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額が3,680百万円の収入(前年同四半期連結累計期間3,560百万円の収入)、長期借入金の返済による支出が2,952百万円(前年同四半期連結累計期間2,812百万円の支出)であったこと等によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、263百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。