【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本文の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、各国のマクロ経済政策により先進国を中心に経済活動の正常化が進み、わが国におきましても緩やかな回復基調が継続しました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や、中国でのゼロコロナ政策によるロックダウンの影響を受けたグローバルサプライチェーンの混乱などに伴い、原材料・エネルギー・物流などの価格が高騰しており、それらを背景に多くの国でインフレが進行し、さらにはその抑制のため、これまでの金融緩和から金融引き締めへの政策転換が図られるなど、先行きはより一層不透明な状況になっております。
ステンレス業界におきましても、半導体などの部品供給不足による自動車生産台数の低迷や、原材料、副資材、エネルギー、物流などの諸コスト上昇により、厳しい事業環境が継続しています。
このような状況の中、当社グループは、2019年11月火災発生した当社板橋工場第三圧延工場の新設備の稼働を2022年3月末より開始させ、冷間圧延ステンレス鋼帯の生産コスト低減に取り組むとともに、引き続き原材料などの諸コスト上昇を反映させた販売価格の是正、生産性向上、品質改善などの全社的な収益改善活動を推進してまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2,984百万円(8.2%)増収の39,321百万円となりました。損益面につきましては、営業利益は前年同期比210百万円(24.6%)増益の1,065百万円、経常利益は前年同期比166百万円(19.6%)増益の1,013百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に特別利益として受取保険金2,448百万円を計上していたことから、前年同期比1,780百万円(74.0%)減益の626百万円となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
① みがき帯鋼事業
みがき帯鋼事業におきましては、注射針向けステンレス冷延鋼帯製品、カッター刃向けみがき特殊帯鋼製品などの受注は増加しましたが、自動車生産台数の低迷により外装モール材をはじめとする自動車関連用途での受注減少の影響が大きく、販売数量としては前年同期を下回る状況となりました。しかしながら、原材料価格等の製造コスト上昇に対する販売価格の是正に努めました結果、当第3四半期連結累計期間のみがき帯鋼事業の売上高は、前年同期比2,949百万円(10.4%)増収の31,304百万円、営業利益は前年同期比233百万円(27.5%)増益の1,082百万円となりました。
② 加工品事業
加工品事業におきましても、自動車関連用途での大幅な受注減がありましたが、福島工場取扱製品では国内の食品設備や一般リフォーム向け建築関連製品の受注が増加し、岐阜工場取扱製品では飲料機器関連製品や文具関連製品の受注が回復したことや、みがき帯鋼事業と同様に販売価格の是正を進めました結果、当第3四半期連結累計期間の加工品事業の売上高は、前年同期比34百万円(0.4%)増収の8,017百万円、営業利益は前年同期比23百万円(2.9%)増益の825百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ487百万円増加の72,666百万円となりました。
流動資産は、341百万円増加の36,922百万円となりました。これは主に、当連結会計期間末が金融機関の休日だったことによる影響等により、現金及び預金が3,790百万円減少したものの、受取手形及び売掛金と電子記録債権との合計額が256百万円、棚卸資産が合計で3,909百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定資産は、145百万円増加の35,744百万円となりました。これは主に、その他に含まれる繰延税金資産が163百万円減少したものの、有形固定資産が172百万円、投資有価証券が165百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べ562百万円減少の48,303百万円となりました。
流動負債は、2,702百万円増加の34,480百万円となりました。これは主に、賞与引当金が226百万円、その他に含まれる設備支払手形及び設備電子記録債務との合計額が2,135百万円、未払法人税等が559百万円、未払金が443百万円それぞれ減少したものの、短期借入金が4,678百万円、支払手形及び買掛金と電子記録債務との合計額が1,402百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定負債は、3,264百万円減少の13,822百万円となりました。これは主に、長期借入金が3,357百万円減少したこと等によるものであります。
純資産は、1,049百万円増加の24,363百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が609百万円、為替換算調整勘定が294百万円、その他有価証券評価差額金が120百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の32.3%から1.2ポイント上昇し、33.5%となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、287百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。