【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当社は、2021年9月28日開催の第45回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、決算日を6月30日から3月31日に変更いたしました。これにより、決算期変更の経過期間である前連結会計年度は第3四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表は作成していないため、前年同期比については記載しておりません。
当第3四半期連結累計期間は、国内においては「スコーン」、「ドンタコス」のリニューアルが成功したことに加えて、小麦を原料とする「KOIKEYA The 海老」の販売好調などもあり、当社主力製品であるポテトチップスの主要原料である馬鈴薯の不足を補い事業を拡大してまいりました。また、主産地である北海道産馬鈴薯が入荷して馬鈴薯不足が解消した秋口からは、「湖池屋STRONG」での新商品発売や「じゃがいも心地」での「ブランド芋くらべ」シリーズの展開、更に年末の大袋商品拡販など複合的な販売施策を展開し、売上は好調に推移しました。一方で、世界的な物価上昇と歴史的な円安の影響によりコストが大きく増加しており、価格改定や高付加価値商品群の販売構成拡大などにより、利益確保に努めました。
海外においては、馬鈴薯や食用油を中心に原材料価格高騰の影響が国内に比べてより早くより強く現れたため、特に利益面で計画を大きく下回る状況です。しかし、タイやベトナムを中心に売上を着実に伸ばしており、戦略的な新製品の上市など事業拡大に努めました。業績は次のとおりです。
売上高は、32,772百万円となりました。利益につきましては、営業利益1,048百万円、経常利益1,068百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益696百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
<国内>
2023年3月期は、「高付加価値商品及び馬鈴薯以外を原料とした商品の売上拡大」「原材料価格高騰による利益圧迫への対応」「関東第三工場及び九州阿蘇工場の最大活用並びに新機軸商品のヒット」を、3つの戦略テーマに据え事業展開を進めております。
当第3四半期連結累計期間においては、「スコーン」、「ドンタコス」といったコーン商品にて実施した大型リニューアルが奏功し、馬鈴薯以外を原料とした商品の販売構成比が拡大しました。また、小麦を原料とする商品である「KOIKEYA The 海老」も好評を博し、ポテトチップスに頼りすぎない収益構造への転換に貢献しております。
一方、世界的な物価上昇の影響への対策として、取引先様のご理解も賜りながら順次価格改定を進めており、利益維持に努めております。
商品戦略としては、引き続き高付加価値商品群を拡販しております。「The KOIKEYAシリーズ」においては「KOIKEYA The 海老」を発売することでブランドの成長を図りました。また、「じゃがいも心地」では恒例となっている「ブランド芋くらべ」シリーズを発売し、「湖池屋STRONG」や「湖池屋プライドポテト」でも継続的に新商品を投入するなど、高付加価値ブランドを中心に販売を組み立てました。他方で、新機軸商品の開発も継続しております。とうもろこしに大豆たんぱく質を練り込んだ生地をベーコンのように仕上げたプラントベース商品である「BECORN(ベーコーン)」や、分食や軽食などの食シーン需要に対して個包装にした「濃いじゃが」を発売するなど、新しいスナック市場の創造へ向けた取り組みを継続しております。
以上のとおり、大きなコスト増加の影響がありながらも高付加価値商品群を中心とした経営を進めた結果、国内の売上高は29,193百万円となり、セグメント利益は1,336百万円となりました。
<海外>
台湾事業では、台湾国産馬鈴薯の不足や各種原材料価格高騰の影響が、利益を大きく圧迫する要因となっております。こうした中、日本の料亭をイメージした高単価のポテトチップス「料・都・亭」を拡販するなど、台湾独自の高付加価値商品を展開した他、カラムーチョなどのリニューアルと価格改定などを実施し、ブランドフォーメーションの整備と利益確保に努めました。特に、商品の価格改定については今後も継続的に実施すべく、準備と商談を進めています。
ベトナム事業では、新型コロナウイルスの感染は落ち着き、前連結会計年度と比較して事業活動の制限は解消され、売上面は大きく伸長しております。一方で、世界的な各種原材料価格高騰や馬鈴薯不足などの影響を受けて収益面では不安定な状況が続いており、各種コスト削減や商品価格の改定など収益改善に努めております。
タイ事業においては、ベトナムからの輸入事業の拡大に加えて、従来販路の限られていた地方のスーパーや個人商店へも展開することで売上を拡大しております。一方で、為替変動や海上運賃高騰による原価上昇の影響が大きく、「じゃがいも心地」や「スコーン」といった粗利率の高い商品の拡販など、収益確保に努めております。
以上により、海外の売上高は3,578百万円となり、セグメント損失は222百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
総資産は、前連結会計年度末に比べ3,533百万円増加し、30,626百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加(2,449百万円)及び現金及び預金の増加(644百万円)によるものであります。
負債は、前連結会計年度末に比べ3,058百万円増加し、15,924百万円となりました。主な要因は、買掛金の増加(1,913百万円)及び未払金の増加(1,227百万円)によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ474百万円増加し、14,702百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加(456百万円)によるものであります。なお、自己資本比率は47.6%となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は368百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。