【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結累計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
前第1四半期連結累計期間
当第1四半期連結累計期間
増減率
百万円
百万円
%
売上収益
185,590
204,314
10.1
タイヤ
162,886
179,658
10.3
MB
20,486
22,519
9.9
その他
2,218
2,137
△3.7
事業利益(△は損失)
13,668
13,013
△4.8
タイヤ
14,031
12,569
△10.4
MB
△242
635
-
その他
△136
△203
-
調整額
15
12
-
営業利益
13,532
13,206
△2.4
税引前四半期利益
14,463
14,251
△1.5
親会社の所有者に帰属する四半期利益
10,156
9,705
△4.4
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年3月31日)における当社グループをとり巻く環境は、国内では、原材料高を受けて素材業種の一部で景況感の悪化が見られるものの、半導体及び部品供給の制約が緩和したことや中国向け需要の反発を受けて、自動車工業や生産用機械工業が増産となったほか、個人消費やインバウンド消費を背景に、回復基調にあります。一方、海外においては、米国はこれまでの金融引き締めや、一部米銀の経営破綻が1月に表面化したことから設備投資は減速しています。しかし中国はゼロコロナ政策の解除を機に、内需主導で急速に回復傾向にあります。欧州は、ウクライナ情勢に改善の兆しがみられない中、米国の金融機関の経営破綻を受けて金融システム不安が飛び火し、また、高インフレが景気の重石である状況が続いています。こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた、中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当第1四半期連結累計期間の連結売上収益は2,043億14百万円(前年同期比10.1%増)、利益面では、連結事業利益は130億13百万円(前年同期比4.8%減)、連結営業利益は132億6百万円(前年同期比2.4%減)、また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は97億5百万円(前年同期比4.4%減)となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ売上収益は1,796億58百万円(前年同期比10.3%増)で、当社グループの連結売上収益の87.9%を占めており、事業利益は125億69百万円(前年同期比10.4%減)となりました。新車用タイヤは、中国での自動車メーカー向け販売が低調だったものの、国内・北米での新規車種獲得などに加え、円安も寄与し、売上収益は前年同期を上回りました。市販用タイヤは、日本では年初の降雪により国内で冬用タイヤの販売が堅調に推移したほか、海外でADVANなど高付加価値商品の拡販に努めた結果、中国、アジア地域でも販売を伸ばし、売上収益は前年同期を上回りました。YOHTは、売上収益が前年同期を下回りました。
② MB(マルチプル・ビジネスの略)売上収益は225億19百万円(前年同期比9.9%増)で、当社グループの連結売上収益の11.0%を占めており、事業利益は6億35百万円(前年同期事業損失 2億42百万円)となりました。ホース配管事業は、北米で自動車の生産が回復し、売上収益は前年同期を上回りました。工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が前年同期を上回り、また航空部品も民間航空機向けの補用品需要が回復したことにより、売上収益は前年同期を上回りました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、821億3百万円となり、前連結会計年度末に比べて65億31百万円の増加となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は65億88百万円(前年同期比106億21百万円の収入増加)となりました。これは、主として税引前利益、売上債権の増加、棚卸資産の減少、及び法人税等の支払いによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は124億82百万円(前年同期比27億61百万円の支出増加)となりました。 これは、主として有形固定資産を取得したことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の増加は126億37百万円(前年同期比141億53百万円の収入減少)となりました。 これは、主としてコマーシャル・ペーパーが増加したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(4) 研究開発活動当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足頂くべく努力を重ねています。当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、39億93百万円であります。
当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。 研究先行開発本部の当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、2億7百万円であります。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。
1)タイヤ既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、33億28百万円であります。
①キャンピングカー専用タイヤ「BluEarth-Camper」を新発売、CP規格適合サイズをラインアップ2023年3月に、高荷重に対応し、高い耐久性と操縦安定性を両立した当社初のキャンピングカー専用タイヤ「BluEarth-Camper(ブルーアース・キャンパー)」を日本国内で発売しました。キャンピングカーは高荷重、高重心の車両特性による運転時のふらつきなどが発生しやすく、それに対応するタイヤ商品がキャンピングカーユーザーより求められており、「BluEarth-Camper」はその要望に応えるためキャンピングカー専用タイヤとして開発し、高い耐久性と操縦安定性を両立しています。さらに雨の日の運転にも配慮し、優れたウェット性能を実現しています。構造には専用設計を採用し、トレッド全体にベルトカバーを配置したフルカバー構造とし、ベルト部の耐久性を向上させています。ビードフィラーには低発熱のコンパウンドを採用し、負荷時の発熱を低減することにより高荷重への耐久性を高めました。トレッドパターンには実績のある、雨に強い「BluEarth-Van RY55」の技術・デザインを採用し、高硬度のキャップコンパウンドを組み合わせることで、運転時のふらつきの抑制と優れた操縦安定性を実現します。また、タイヤサイドにはキャンピングカーにふさわしく雄大な山岳をモチーフにしたデザインを施し、キャンプやアウトドアをイメージさせる外観に仕上げました。
②商用ピックアップトラック向けオールテレーンタイヤ「GEOLANDAR A/T XD」を北米と豪州で発売2023年3月に、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」の新商品として、フルサイズピックアップトラックなど商用車両向けのオールテレーンタイヤ「GEOLANDAR A/T XD(ジオランダー・エーティー・エックスディー)」を北米とオーストラリアで発売いたしました。「GEOLANDAR A/T XD」は鉱業や農作業などの現場で用いられる商用車両向けに、過酷な使用環境に耐える性能を備えたオールテレーンタイヤです。開発にあたっては耐久性に主眼を置きつつ、オフロードや雪上などでの悪路走破性、ロングライフ性能を追求しました。冬用タイヤとして認められた証「スノーフレークマーク」を取得しており、冬季の使用にも対応します。
<YOHT>革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく活動をしております。2023年1月から3月にかけては、世界最大規模の建設機械展示イベントであるCONEXPO-CON/AGG(コネクスポ-コン/アグ)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品及びサービスを理解していただく場を設けました。
2)MB「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。当第1四半期連結累計期間における研究開発費の金額は、3億90百万円であります①工業資材事業・耐熱性コンベヤベルトとして好評を博している「HAMAHEAT」シリーズから高温耐熱性コンベヤベルト「HAMAHEAT Super 80(ハマヒート・スーパーハチジュウ)」を発売しました。高温耐熱性ベルトの主要業種は鉄鋼やセメントであり、焼結鉱※1やコークス※2、焼結成品※3、クリンカー※4など高温または中温の物質を運搬する用途で使用されます。搬送物の温度や環境温度などの使用条件によりベルト表面の温度は上昇し、ベルトが劣化することで寿命が短くなるため、以前より熱によるベルトの劣化を防ぐ商品が求められていました。「HAMAHEAT Super 80」は、高温耐熱性が非常に高く評価されている「HAMAHEAT」シリーズのハイグレード商品「HAMAHEAT Super 100」をベースに、より使用条件に合わせて性能を最適化し、コストパフォーマンスに優れた商品の提供を目指して開発したミドルグレード商品です。耐熱老化特性及び耐摩耗性能に優れ、許容ベルト表面温度180℃までの高温搬送物、特にセメントのクリンカー搬送用途に最適なコンベヤベルトです。※1:粉状にした鉄鉱石に粉コークスと石灰石を混ぜ一定の大きさに焼き固めた物※2:石炭を高温で蒸し焼きにして抽出した物※3:金属やセラミックスの粉末を成形し融点より低い温度で焼き固めた物※4:石灰石などをキルンで焼成して作るセメント原料であり、鉱物などが焼き固まった物
・中温耐熱性と難燃性を兼ね備えた難燃中温耐熱性コンベヤベルト「FLAME GUARD #2110(フレイムガード・ニセンヒャクトオバン)」を発売しました。耐熱性と難燃性を両立した難燃耐熱性ベルトとしては、2021年に発売した難燃高温耐熱性ベルト「FLAME GUARD Super 100(フレイムガード・スーパーヒャク)」に続き、第2弾商品となります。近年、焼結鉱※1やコークス※2、焼結成品※3など高温または中温の物質を運搬するコンベヤベルトは、熱によるベルトの劣化を防ぐ耐熱性に加えて、安全性をより高めるため、ベルトの燃焼を防ぐ難燃性(自己消火性)を有する商品のニーズが高まっています。横浜ゴムはこうしたニーズに応えるため、様々な耐熱性ベルトや難燃性ベルトを生み出してきたゴム配合技術を駆使し、中温域において両性能を併せ持つ「FLAME GUARD #2110」を開発しました。「FLAME GUARD #2110」は、国内外で中温耐熱性が高く評価されている耐熱性コンベヤベルト「HAMAHEAT #2110」をベースに開発した商品です。耐熱性能は「HAMAHEAT #2110」と同様の運搬物温度70~200℃(塊状:70~200℃、粉状:70~150℃)、許容ベルト表面温度60~100℃を確保しながら、日本産業規格(JIS)のJIS K6324:2013 難燃性コンベヤゴムベルト3級の難燃性を実現しています。※1:粉上にした鉄鉱石に粉コークスと石灰石を混ぜ一定の大きさに焼き固めた物※2:石炭を高温で蒸し焼きにして抽出した物※3:金属やセラミックスの粉末を成形し融点より低い温度で焼き固めた物
上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が68百万円あります。