【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
前連結会計年度
当連結会計年度
増減率
百万円
百万円
%
売上収益
670,809
860,477
28.3
タイヤ
577,487
754,309
30.6
MB
84,438
96,248
14.0
その他
8,884
9,919
11.6
事業利益
62,162
70,089
12.8
タイヤ
57,223
66,843
16.8
MB
3,781
3,965
4.9
その他
1,096
△758
-
調整額
62
40
-
営業利益
83,636
68,851
△17.7
税引前利益
85,199
71,622
△15.9
親会社の所有者に帰属する当期利益
65,500
45,918
△29.9
(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。 2.前連結会計年度の売上収益、事業利益、営業利益、税引前利益に関しましては、非継続事業を除いた継 続事業の金額を表示しております。
当期における当社グループをとり巻く環境は、国内では、原材料コストの増加により素材業種を中心に景況感が悪化しているものの、供給制約が緩和した自動車が復調しつつあるほか、世界的に堅調な設備投資を背景に輸出は緩やかに増加しつつあります。また、水際対策の緩和によるインバウンド需要の急回復などを受け、消費関連の景況感が大幅に改善しています。一方、海外においては、米国はFRBによる政策金利の引き上げが続いているにもかかわらず、高水準の企業収益を背景に設備投資に底堅さが見られます。中国はゼロコロナ政策を12月に緩和したものの、ほぼ通年で継続したことから景気悪化に歯止めがかからないままでした。欧州は、ウクライナ情勢に改善の兆しがみられない中、高インフレが持続しエネルギー価格の高止まりは長期化が見込まれます。こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当期の連結売上収益は、8,604億77百万円(前期比28.3%増)、利益面では、連結事業利益は700億89百万円(前期比12.8%増)、連結営業利益は688億51百万円(前期比17.7%減)、また、親会社の所有者に帰属する当期利益は459億18百万円(前期比29.9%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。①タイヤ売上収益は7,543億9百万円(前期比30.6%増)で、当社グループの連結売上収益の87.7%を占めており、事業利益は668億43百万円(同16.8%増)となりました。新車用タイヤは、世界的な半導体不足による生産調整の影響や中国でのロックダウンの影響を受けたものの、自動車メーカーの挽回生産および北米での新規車種獲得などに加え、円安も寄与し、売上収益は前期を上回りました。市販用タイヤは、日本では2022年年初の降雪により国内で冬用タイヤの販売が好調に推移したほか、海外で高付加価値商品の拡販に努めた結果、北米や中国、アジア地域でも販売を伸ばし、売上収益は前期を上回りました。YOHTは、北米など各販路でインドを生産拠点とするコスト優位性を活かした拡販や、値上げの浸透に努めた結果、売上収益、事業利益は過去最高となりました。
②MB(MB:マルチプル・ビジネスの略)売上収益は962億48百万円(前期比14.0%増)で、当社グループの連結売上収益の11.2%を占めており、事業利益は39億65百万円(同4.9%増)となりました。ホース配管事業は、北米で自動車の生産が回復したほか、国内では建機向けを中心とした油圧ホース販売が底堅く推移し、売上収益は前期を上回りました。工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が前期を大きく上回り、また航空部品も民間航空機向けの補用品需要が回復したことにより、売上収益は前期を上回りました。
(2)財政状態の状況当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,660億88百万円増加し、11,510億76百万円となりました。流動資産は棚卸資産の増加等により、5,039億80百万円(前期比31.4%増)となりました。非流動資産は投資有価証券の増加等により、6,470億97百万円(前期比7.6%増)となりました。流動負債は仕入債務の増加等により、2,945億8百万円(前期比21.4%増)となりました。非流動負債は長期借入金の返済等により、2,334億47百万円(前期比11.4%増)となりました。資本合計は親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により6,231億21百万円(前期比16.9%増)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて330億49百万円増加し、755億72百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は、392億31百万円(前連結会計年度比290億72百万円の収入減少)となりました。これは主として、税引前利益716億22百万円、減価償却費499億14百万円、棚卸資産の増加額476億82百万円、法人税等の支払額284億44百万円の計上等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は、463億57百万円(前連結会計年度比418億78百万円の支出増加)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出543億78百万円、投資有価証券の売却による収入73億40百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の増加は、351億72百万円(前連結会計年度は551億95百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入金による収入135億24百万円、社債の償還による支出120億円、社債発行による収入300億円等であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループの重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(4)生産、受注及び販売の状況
①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産金額(百万円)
前年同期比(%)
タイヤ
608,560
33.9
M B
56,768
△25.7
そ の 他
302
8.9
合 計
665,631
25.3
(注)1.金額は、販売価格を基礎として算出しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注状況当社は、ごく一部を除いてすべて見込生産であります。
③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売金額(百万円)
前年同期比(%)
タイヤ
754,309
30.6
M B
96,248
14.0
そ の 他
9,919
11.6
合 計
860,477
28.3
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(5)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。
(のれんの償却停止)日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、「販売費及び一般管理費」が5,132百万円減少しております。
(表示組替)
日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」として表示しております。
(6)重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の判断、見積り及び仮定は、「第5.経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。