【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年9月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費やインバウンドなどの持ち直しがみられました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の下押しリスクに加え、物価上昇や急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少など、厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、TOPPANグループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決と持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで事業を展開しています。なお、当社はグループシナジーの最大化を図るとともに、経営資源の最適配分及び迅速な意思決定を可能とするため、2023年10月1日付で持株会社体制へと移行し、商号を「TOPPANホールディングス株式会社」へ変更し、「TOPPAN株式会社」及び「TOPPANデジタル株式会社」に当社が有する権利義務の一部を承継させる吸収分割を実施しました。なお、各セグメントの内訳について、当期よりスタートしている新中期経営計画に基づく成長戦略に沿って名称及び区分定義を見直しております。報告セグメントの取扱いに変更はありません。
報告セグメント
前期の区分
当期の区分
情報コミュニケーション事業分野
セキュアコンテンツ・マーケティングBPO
デジタルビジネスBPOセキュアメディアコミュニケーションメディア
生活・産業事業分野
パッケージ建装材高機能
パッケージ建装材
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ0.2%減の8,002億円となりました。また、営業利益は11.4%減の253億円となり、経常利益は13.4%減の325億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は66.1%減の180億円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるセグメント別の状況は以下のとおりです。
①情報コミュニケーション事業分野デジタルビジネス関連では、デジタルマーケティングは、顧客企業のビジネス変革を推進するBX(Business Transformation)支援事業を拡大しており、当期においては、流通・小売業界向けのリテールメディア開発などが堅調に推移しました。また、グローバルセキュアでは、欧州や中東の需要が増加し、当事業全体では前年を上回りました。メタバース関連の取り組みとしては、学校教育や企業研修などの教育分野への領域拡大に向け、バーチャルモールアプリ「メタパ®」を活用した、教育用メタバース空間の開発などを推進しました。BPO関連は、昨年度の一過性案件の反動により、減収となりました。当事業では、金融・行政を中心とするハイブリッドBPOの拡大に注力しており、当期においては、住民サービスの向上を目的に全国の自治体との協定締結を進めるなど、行政分野での案件創出に向けた取り組みを推進しました。
セキュアメディア関連は、データ・プリント・サービスやICカード関連が増加し、前年を上回りました。コミュニケーションメディア関連は、ゲームカードやビジネスフォームが増加したものの、ペーパーメディアやSP関連が減少し、前年を下回りました。以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ2.4%減の4,140億円、営業利益は7.8%減の110億円となりました。
②生活・産業事業分野パッケージ関連では、海外は、欧州でのインフレに伴う消費者需要の低迷により厳しい状況が続いたことに加え、インドの豪雨による工場浸水被害の影響などにより、前年を下回りました。国内は、レンジ活用や脱アルミなどのニーズに対応した、世界最高水準のバリア性能を持つ「GL BARRIER」を用いたSXパッケージが拡大し、当事業全体では前年を上回りました。グローバルパッケージ事業の拡大に向けては、フィルム製造も行う英国のコンバーターであるSkymark Packaging International社を買収し、幅広い用途で需要の高まるSXパッケージの供給体制を強化しました。また、国内の取り組みとしては、軟包材フィルムの水平リサイクルの普及・発展に向け、廃棄フィルムの印刷を除去し、軟包材フィルムに再生する実証実験を開始しました。建装材関連では、海外は、欧州でのインフレ及び北米での住宅金利の上昇による需要減などの影響を受けましたが、国内は、環境配慮型化粧シートの販売が拡大し、当事業全体では前年並みとなりました。以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ0.5%増の2,636億円、営業利益は0.2%増の130億円となりました。
③エレクトロニクス事業分野半導体関連では、半導体市況の回復が遅れる中、フォトマスクは、アジア向けの需要を取り込み堅調に推移したことに加え、高密度半導体パッケージのFC-BGA基板は、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターのサーバー向けを中心に拡大し、当事業全体で増収となりました。ディスプレイ関連は、全般的な市況は弱含みに推移する中、反射防止フィルムは、ノートPCやモニター向けの高付加価値品の需要を取り込み増加しましたが、TFT液晶パネルは、車載向けなどの需要が減少し、当事業全体では減収となりました。新事業の創出に向けては、次世代ディスプレイを支える商材の1つとして、スイッチ1つで透明と不透明を瞬時に切り替えられる液晶調光フィルム「LC MAGIC™」の拡販に取り組み、世界初の車載用調光サイドウィンドウガラスに採用されました。また、IoTの本格普及に向け、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」を活用した、工場や施設における環境データの遠隔監視や設備保全業務を効率化するシステム「e-Platch®(イープラッチ)」の拡販に取り組みました。以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ4.1%増の1,338億円、営業利益は7.4%増の244億円となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ840億円増加し、2兆3,228億円となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産が164億円減少したものの、投資有価証券が641億円、建設仮勘定が90億円、仕掛品が61億円、現金及び預金が39億円、それぞれ増加したことなどによるものです。負債は、前連結会計年度末に比べ102億円増加し、7,969億円となりました。これは流動負債のその他に含まれる未払金が97億円、支払手形及び買掛金が66億円、流動負債のその他に含まれる未払費用が52億円、それぞれ減少したものの、固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が211億円、流動負債のその他に含まれる契約負債が145億円、それぞれ増加したことなどによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ738億円増加し、1兆5,259億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が456億円、為替換算調整勘定が224億円、非支配株主持分が114億円、それぞれ増加したことなどによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82億円増加し、4,558億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益291億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、652億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払い戻しなどを行った一方、設備投資などを行ったことから、325億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や長期借入等の返済、配当金の支払などを行ったことから、362億円の支出となりました。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は13,568百万円であります。
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