【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費やインバウンドなどの持ち直しがみられました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の下押しリスクに加え、物価上昇や急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少など、厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、トッパングループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで社会課題の解決を目指しています。なお、各セグメントの内訳について、当期よりスタートしている新中期経営計画に基づく成長戦略に沿って名称及び区分定義を見直しております。報告セグメントの取扱いに変更はありません。
報告セグメント
前期の区分
当期の区分
情報コミュニケーション事業分野
セキュアコンテンツ・マーケティングBPO
デジタルビジネスBPOセキュアメディアコミュニケーションメディア
生活・産業事業分野
パッケージ建装材高機能
パッケージ建装材
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ0.8%減の3,877億円となりました。また、営業利益は27.8%減の99億円となり、経常利益は27.5%減の161億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は31.0%減の96億円となりました。当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の状況は以下のとおりです。
①情報コミュニケーション事業分野デジタルビジネス関連では、デジタルマーケティングは、顧客企業のビジネス変革を推進するBX(Business Transformation)支援事業の拡大を目指しており、当期においては、流通・小売業界向けのリテールメディア開発などにより堅調に推移しました。また、グローバルセキュアでは、欧州や中東の需要が増加し、当事業全体では、前年を上回りました。メタバース関連の取り組みとしては、バーチャルモールアプリ「メタパ®」のWeb版を開発し、企業のホームページやSNSなど、流入経路を増やすことで、アクセス数増のニーズに対応しました。BPO関連は、昨年度の一過性案件の反動により、減収となりました。当事業では、行政・準公共分野を中心とする継続型BPOの拡大に注力しており、当期においては、自治体の通知物のデジタル化やインフラ業界の事務代行案件の創出に取り組みました。また、以上のようなDX事業へポートフォリオ変革を推進する取り組みが評価され、「DX銘柄2023」に3年連続で選定されました。
セキュアメディア関連は、データ・プリント・サービスやICカード関連が増加し、前年を上回りました。コミュニケーションメディア関連は、ゲームカードやビジネスフォームが増加したものの、ペーパーメディアやSP関連が減少し、前年を下回りました。以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ5.3%減の1,995億円、営業利益は26.8%減の34億円となりました。
②生活・産業事業分野パッケージ関連では、海外は、インフレによる需要の低迷などにより前年を下回りました。国内は、レンジ活用や脱アルミなどのニーズに対応した、世界最高水準のバリア性能を持つ「GL BARRIER」を用いたSXパッケージが拡大し、当事業全体では前年を上回りました。また、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の把握、開示が求められる中、パッケージの仕様情報を入力するだけでCO₂排出量やプラスチック重量を可視化できる、クラウド型のシステム「SmartLCA-CO₂®」の提供を開始しました。建装材関連では、海外は、欧州での急速なインフレ及び北米での住宅金利の上昇による需要減などの影響を受け減収となりました。国内は、住宅向けの需要が減少する中、環境配慮型化粧シートの販売拡大により前年並みとなり、当事業全体では減収となりました。以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ2.4%増の1,301億円、営業利益は21.0%減の61億円となりました。
③エレクトロニクス事業分野半導体関連では、フォトマスクは、アジア向けの需要を取り込み、前年を上回りました。高密度半導体パッケージのFC-BGA基板は、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターやサーバー向けなどを中心に増加し、当事業全体では増収となりました。ディスプレイ関連は、テレビ向け反射防止フィルムや、車載向けTFT液晶パネルの需要減により、減収となりました。新事業の創出に向けては、データセンターやEV向けなど、より高電力の制御が可能なパワー半導体の需要が増加する中、国内初の独立系パワー半導体ファンダリの株式会社JSファンダリとの協業により、半導体設計分野において同事業に参入しました。また、産業用の自律走行ロボットなどの普及を見据え、昨年度開発した最長30mを測定できるハイブリッドToF®センサを搭載した「ハイブリッドToF®カメラ」を展示会に出展し、早期事業化に向けた取り組みを推進しました。さらに、次世代インターフェースとしてのARグラスの普及を見据え、ARグラス向けナノインプリント(NIL)モールド量産に加え、NIL加工への領域拡大に向け、Cellid株式会社と業務提携契約を締結しました。以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ4.8%増の635億円、営業利益は15.4%増の115億円となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ517億円増加し、2兆2,905億円となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産が374億円減少したものの、投資有価証券が554億円、流動資産のその他に含まれる未収還付法人税等が76億円、建設仮勘定が62億円、現金及び預金が39億円、仕掛品が34億円、それぞれ増加したことなどによるものです。負債は、前連結会計年度末に比べ47億円減少し、7,818億円となりました。これは固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が171億円増加したものの、賞与引当金が156億円、流動負債のその他に含まれる未払金が116億円、それぞれ減少したことなどによるものです。純資産は、前連結会計年度末に比べ565億円増加し、1兆5,086億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が388億円、為替換算調整勘定が107億円、非支配株主持分が91億円、それぞれ増加したことなどによるものです。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は6,956百万円であります。
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