【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内で、新型コロナウイルスの感染防止対策と経済活動の両立が進む一方で、原材料コストの上昇などによって製造業の景況感の悪化が続きました。また、海外の多くの地域でも、インフレとそれに対する金融引き締め等の影響を受け、景気の減速が見られました。引き続き、国内で多くの商品の値上げが予定されているほか、ウクライナ情勢等の地政学リスクやインフレの長期化などの影響により、先行きの不透明感が一層強まる見通しです。DNPグループは、こうした変化に対応するだけでなく、自ら変革を起こしていくことによって、持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らしの実現に努めていきます。独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、多くのパートナーとの連携を深めることで、社会の課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出に取り組んでいます。特に、高い収益性と市場成長性を見込んでいる「IoT・次世代通信」「データ流通」「モビリティ」「環境」関連のビジネスを「注力事業」と定めて、経営資源を重点的かつ最適に配分しました。また、競争力強化のための構造改革にも取り組み、強い事業ポートフォリオの構築を推進しました。その結果、当第2四半期連結累計期間のDNPグループの売上高は6,684億円(前年同期比1.7%増)、営業利益は275億円(前年同期比10.5%減)、経常利益は367億円(前年同期比0.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は279億円(前年同期比17.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
〔印刷事業〕
(情報コミュニケーション部門)情報イノベーション事業は、チラシやパンフレットは減少しましたが、金融機関向けのICカードやマイナンバーカードの需要が増加し、当事業全体で増収となりました。イメージングコミュニケーション事業は、主力の米国をはじめ欧州・アジア市場において、写真の撮影・プリント用の部材とサービスが好調に推移し、増収となりました。出版関連事業は、雑誌をはじめとした紙媒体の印刷受注の減少に加え、紙と電子の両方に対応したハイブリッド型総合書店「honto」でも前年の巣ごもり需要からの反動減などがあり、減収となりました。その結果、部門全体の売上高は3,478億円(前年同期比2.7%増)となりましたが、営業利益は、原材料価格の高騰などもあり94億円(前年同期比4.0%減)になりました。
(生活・産業部門)包装関連事業は、生活者の身近にある食品や日用品などのパッケージを展開してきた強みを活かし、より快適な人々の暮らしをデザインしていく取り組みを強化しました。また「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」の開発・販売などに努めた結果、フィルムパッケージが堅調に推移し、増収となりました。生活空間関連事業は、住宅用内外装材が増加したほか、自動車用内装材の加飾フィルムや、北米向けの内外装用焼付印刷アルミパネルも増加し、増収となりました。産業用高機能材関連事業は、世界的な半導体不足による自動車メーカーの生産調整が一段落したことにより、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが車載向けで増加したものの、IT向けは主力の中国市場での需要低迷などによって減少し、当事業全体で減収となりました。
その結果、部門全体の売上高は1,927億円(前年同期比0.8%増)となりましたが、営業利益は、原材料やエネルギー価格の高騰の影響が大きく、27億円(前年同期比66.8%減)となりました。
(エレクトロニクス部門)ディスプレイ関連製品事業は、前年の巣ごもり需要からの反動減に加え、インフレによる世界的な個人消費の低迷に伴い、スマートフォンやノートPC等の販売が落ち込んだ影響を受け、光学フィルム関連や有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが減少し、減収となりました。電子デバイス事業は、半導体パッケージ用部材であるリードフレームの一部が顧客企業の在庫調整の影響を受けたものの、半導体用フォトマスクは、通信・データセンター向け、車載向けが牽引するなど引き続き堅調に推移し、当事業全体では増収となりました。その結果、部門全体の売上高は1,044億円(前年同期比0.8%減)となりましたが、営業利益は、電子デバイス事業の売上の増加によって257億円(前年同期比8.7%増)となりました。
〔飲料事業〕
(飲料部門)原材料価格の高騰などによるコスト増を受けて、大型PETボトルの価格を改定しました。また、2009年の「い・ろ・は・す」ブランド製品の発売以来13年ぶりに、「い・ろ・は・す 天然水」のボトルを一層環境にやさしく快適な新容器へとリニューアルして、北海道で先行発売しました。さらに、スマートフォンアプリ「CоkeON」を通じた北海道限定のキャンペーンなどに注力しました。部門全体の売上高は、スーパーやWebサイトでの販売が堅調に推移したほか、コンビニエンスストア向けが回復し、243億円(前年同期比5.9%増)となりました。営業利益は、原材料やエネルギーの価格高騰の影響などを受けたものの、販売増に加えて、販売促進費のコントロール等の収益改善活動により、1億円(前年同期比89.2%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の資産、負債、純資産については、総資産は、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ614億円減少し、1兆8,152億円となりました。負債は、繰延税金負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ506億円減少し、6,776億円となりました。純資産は、その他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ107億円減少し、1兆1,376億円となりました。
なお、DNPグループはここ数年、全社員が力を最大限に発揮できるよう、「DNPグループ健康宣言」「DNPグループダイバーシティ宣言」「DNPグループ安全衛生憲章」等を策定しているほか、「人事諸制度の再構築」に集中的に取り組んでいます。これらの施策は、「社員を大切にし、大切にした社員によって企業が成長し、その社員が社会をより豊かにしていく」という信念に基づいています。今年度、この信念を「人財に関する普遍的・基本的な考え方」と位置づけ、「人的資本ポリシー」として策定しました。新しい価値を創造するための最大の強みである社員を中心に、「人への投資」を積極的かつ具体的に実行し、「人的資本」を強化していきます。また、近年特に重要性を増している「人権と労働」に関しては、「DNPグループ行動規範」の一つに「人類の尊厳と多様性の尊重」を掲げ、全社員が、あらゆる人が固有に持つ多様性を尊重し、規律ある行動を取ることを定めています。2020年には、「国際人権章典」や「労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関宣言(ILO)」等に基づき、「DNPグループ人権方針」を策定するなど、継続的に国内外のグループ全体で人権尊重の取り組みを強化していきます。
(2)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて276億円減少し、2,656億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益394億円、減価償却費243億円などにより259億円の収入(前年同期は496億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出282億円などにより296億円の支出(前年同期は302億円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減少額96億円、自己株式の取得による支出71億円、配当金の支払額86億円などにより293億円の支出(前年同期は493億円の支出)となりました。
(3)研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるDNPグループ全体の研究開発費は16,263百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)主要な設備前連結会計年度末において実施中及び計画中であった主要な設備の新設、除却等の計画について、当第2四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
鶴瀬工場の産業用高機能材関連製造設備の新設は、完成予定を2022年9月から2023年10月に変更しております。
#C7912JP #大日本印刷 #その他製品セクター