【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額により開示しております。
以下の経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復基調が持続したものの、米中の貿易摩擦に加え、年度後半の新型コロナウイルス感染症の国内外における拡大などの影響により、先行きに対する不透明感は拭えない状況にあります。
リース業界におきましては、2019年度のリース取扱高は前年度比6.4%増加して5兆3,331億円(公益社団法人リース事業協会統計)となりました。
こうした環境の下、当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでおります。中期経営計画の3年目となる2019年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。
この結果、当連結会計年度の契約実行高は前年度比14.5%増加の1兆3,597億3百万円となり、当連結会計年度末の営業資産残高(割賦未実現利益控除後)は前連結会計年度末比1,211億6千7百万円(5.4%)増加して2兆3,839億9千2百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、営業資産を着実に積み上げた結果、前連結会計年度末比1,211億6千7百万円(5.4%)増加して2兆3,839億9千2百万円となったことなどにより、前連結会計年度末比1,596億1千6百万円(6.2%)増加して2兆7,525億9千8百万円となりました。
調達残高は、無担保普通社債を総額650億円発行したことなどにより、前連結会計年度末比6.4%増加の2兆2,310億2千万円となりました。
損益面では、売上高は前年度比15.2%増加の7,123億3千万円、営業利益は前年度比16.1%増加の414億2千3百万円、経常利益は前年度比12.6%増加の440億4千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比2.6%増加の261億8千7百万円となりました。
中期経営計画で設定した中間目途値に対しては、営業資産残高は順調に積み上がり、経常利益、ROA(営業資産残高経常利益率)はこれを上回る実績となりました。
② セグメントごとの経営成績
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、各セグメントにおける売上高については「外部顧客に対する売上高」の金額、セグメント利益については報告セグメントの金額を記載しております。
[リース及び割賦]
リース及び割賦の契約実行高は前年度比3.1%増加して5,802億5千6百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比1.9%増加して1兆6,920億5千1百万円となりました。リース及び割賦の売上高は前年度比2.1%増加して5,288億5千3百万円となり、セグメント利益は前年度比10.8%増加して331億3千4百万円となりました。
[ファイナンス]
ファイナンスの契約実行高は前年度比27.4%増加して7,792億8千3百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比16.0%増加して6,655億5千7百万円となりました。ファイナンスの売上高は前年度比6.7%増加して159億7千9百万円となり、セグメント利益は前年度比9.9%増加して113億3千万円となりました。
[その他]
その他の契約実行高は前年度比98.7%減少して1億6千3百万円となり、営業資産残高は前連結会計年度末比6.7%減少して263億8千3百万円となりました。その他の売上高は前年度比96.1%増加して1,674億9千7百万円となり、セグメント利益は前年度比26.8%増加して92億5千4百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比74億9千8百万円増加して774億1千6百万円となりました。各区分ごとのキャッシュ・フローの状況の内訳は以下のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純利益が420億8千万円、賃貸資産減価償却費が336億9千4百万円、賃貸資産除却損及び売却原価が1,180億2千7百万円となったことなどに対し、リース債権及びリース投資資産の増加額が328億5千1百万円、営業投資有価証券の増加額が553億7百万円、賃貸資産の取得による支出が1,703億6千2百万円となったことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは1,088億4百万円の支出(前連結会計年度は799億7千5百万円の支出)となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資有価証券の売却及び償還による収入が9億1千7百万円となったことなどに対し、投資有価証券の取得による支出が54億8千9百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が63億9千3百万円となったことなどにより、投資活動によるキャッシュ・フローは、112億4千2百万円の支出(前連結会計年度は93億9千3百万円の支出)となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
長期借入れによる収入が3,362億3千1百万円、債権流動化による収入が661億2千3百万円、社債の発行による収入が650億円となったことなどに対し、コマーシャル・ペーパーの減少による支出が500億円、長期借入金の返済による支出が2,699億3千4百万円、債権流動化の返済による支出が361億6千2百万円、社債の償還による支出が200億円となったことなどにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,277億5千4百万円の収入(前連結会計年度は1,055億2百万円の収入)となりました。
④ 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社における貸付金の状況は次のとおりであります。
a.貸付金の種別残高内訳
2020年3月31日現在
貸付種別
件数(件)
構成割合(%)
残高(百万円)
構成割合(%)
平均約定金利
(%)
消費者向
無担保(住宅向を除く)
-
-
-
-
-
有担保(住宅向を除く)
-
-
-
-
-
住宅向
2
0.03
78
0.02
1.05
計
2
0.03
78
0.02
1.05
事業者向
計
6,676
99.97
350,995
99.98
2.22
合計
6,678
100.00
351,074
100.00
2.22
b.資金調達内訳
2020年3月31日現在
借入先等
残高(百万円)
平均調達金利(%)
金融機関等からの借入
1,087,707
0.50
その他
654,985
0.16
社債・CP
539,700
0.10
合計
1,742,692
0.37
自己資本
220,614
-
資本金・出資額
10,532
-
c.業種別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
業種別
先数(件)
構成割合(%)
残高(百万円)
構成割合(%)
農業・林業・漁業・鉱業
4
0.69
289
0.08
建設業
6
1.03
524
0.15
製造業
49
8.45
4,995
1.42
電気・ガス・熱供給・水道業
7
1.21
9,707
2.77
情報通信業
5
0.86
44,436
12.66
運輸業
11
1.90
245
0.07
卸売・小売業
251
43.28
7,001
1.99
金融・保険業
26
4.48
95,433
27.18
不動産業
122
21.04
155,770
44.37
飲食店,宿泊業
4
0.69
175
0.05
医療,福祉
24
4.14
1,248
0.36
教育,学習支援業
2
0.34
11
0.00
複合サービス事業
-
-
-
-
サービス業(他に分類されないもの)
48
8.28
30,247
8.62
公務(他に分類されないもの)
1
0.17
9
0.00
分類不能の産業
18
3.10
898
0.26
個人
2
0.34
78
0.02
合計
580
100.00
351,074
100.00
d.担保別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
受入担保の種類
残高(百万円)
構成割合(%)
有価証券
99,842
28.44
うち株式
-
-
債権
463
0.13
うち預金
-
-
商品
-
-
不動産
23,946
6.82
財団
-
-
その他
14,096
4.02
計
138,349
39.41
保証
3,691
1.05
無担保
209,033
59.54
合計
351,074
100.00
e.期間別貸付金残高内訳
2020年3月31日現在
期間別
件数(件)
構成割合(%)
残高(百万円)
構成割合(%)
1年以下
165
2.47
27,293
7.77
1年超 5年以下
6,260
93.74
171,492
48.85
5年超 10年以下
124
1.86
137,012
39.03
10年超 15年以下
7
0.11
4,750
1.35
15年超 20年以下
17
0.25
6,087
1.73
20年超 25年以下
8
0.12
268
0.08
25年超
97
1.45
4,168
1.19
合計
6,678
100.00
351,074
100.00
1件当たりの平均期間(年)
6.05
(注) 期間は、約定期間によっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析につきましては、以下のとおりであります。
当社グループは、2017年度~2021年度を対象期間とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」に取り組んでおります。中期経営計画の3年目となる2019年度もコーポレートスローガンである『前例のない場所へ。』の実践を通じ、新しいビジネス領域を切り拓き、事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し続ける企業グループを目指して、計画に掲げたビジネス戦略・マネジメント戦略を着実に遂行いたしました。
2019年度における中期経営計画の遂行状況は次のとおりであります。
<ビジネス戦略>
中期経営計画「Frontier Expansion 2021」のビジネス戦略を着実に実行するため、不動産や航空機など成長ドライバーとなる戦略分野に経営資源を積極的に投入するとともに、新たなビジネス領域の拡大を進め、収益性の高い事業ポートフォリオの構築に取り組みました。
不動産分野では、大型商業施設を対象とした新規アライアンス先との協業など、有力デベロッパーとの提携取引拡大に取り組み、営業資産残高は中期経営計画で設定した中間目途値を大きく上回りました。
エネルギー・環境分野では、当社グループとして最大規模となる大規模太陽光発電所が新たに2基稼働しました。当社グループが運営する大規模太陽光発電所は2020年3月末現在で34基稼働しており、約57,000世帯分のクリーン電力を供給しております。また、消費電力の100%再エネ化を宣言した企業・団体を対象とした当社独自のファイナンスプログラム「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」をスタートさせ、再エネ化・省エネ化に取り組むお客様へのサポートを進めました。
医療・福祉分野では、地域金融機関等との関係強化を進め、診療・介護報酬債権早期支払サービス「FPSメディカル」の取扱高が伸長しました。また、医療関係者向け季刊誌「Fuyo Medical Info」を発行し、病院経営に資する情報提供を積極的に行うことで、お客様との更なる関係深化を図りました。
航空機分野では、保有機体数、営業資産残高が着実に増加したほか、当社として初めて退役航空機の部品を販売するパーツアウト事業を開始いたしました。
海外分野では、北米を中心にピックアップトラックや物流機器のリース事業を展開する持分法適用関連会社2社との協業を推進いたしました。2018年度に有人化したシンガポール現地法人の営業活動も軌道に乗り、営業資産残高は順調に増加しました。
新たな事業領域であるBPO(※)分野では、連結子会社の株式会社インボイスが提供する通信・公共料金の一括請求サービスの拡販を進めました。また、総合アウトソーシング事業を行うNOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社を連結子会社化することで、幅広いBPOサービスを提供できる体制を構築いたしました。
※BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、お客様の業務の効率化や経営資源の集中などを目的に、一部業務処理を受託する事業です。
<マネジメント戦略>
マネジメント戦略では、ビジネス領域の拡大に伴い多様化するリスクに備えて、新規事業の取組推進に対応したリスク管理体制を充実させるとともに、海外現地法人を含めたグループベースでのコンプライアンス体制の整備を進めました。
資金調達では、営業資産の増強やグループの拡大に対応するため、社債の発行や債権の流動化など調達の拡充を進めました。なお、「芙蓉 再エネ100宣言・サポートプログラム」の原資として発行したグリーンボンドが、その新規性や独自性が評価され、環境省が創設したESGファイナンス・アワード・ジャパンのボンド部門において金賞(環境大臣賞)を受賞しました。
また、「働き方改革」の実現に向けて、各種会議資料のペーパーレス化や、ワークフローシステム(※)導入による回付書類の電子化を進め、業務の生産性・効率性の向上に取り組みました。
※ワークフローシステムは、経費精算や稟議書等の書類を電子化して、申請・承認手続を行うシステムです。
以上のことから、当社グループの連結業績につきましては、次のとおりとなりました。
<営業取引の状況>
[契約実行高]
当連結会計年度における契約実行実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
契約実行高(百万円)
前年同期間比(%)
リース及び割賦
情報・事務用機器
201,541
109.3
産業・土木・建設機械
48,699
106.9
その他
115,179
80.8
ファイナンス・リース計
365,420
98.1
情報・事務用機器
5,686
106.3
産業・土木・建設機械
5,682
108.6
その他
167,709
114.1
オペレーティング・リース計
179,078
113.6
リース計
544,499
102.7
割賦
35,757
108.6
リース及び割賦計
580,256
103.1
ファイナンス
779,283
127.4
その他
163
1.3
合計
1,359,703
114.5
(注)1.オペレーティング・リースは、賃貸物件の取得価額を記載しております。なお、再リース取引の実行額は含んでおりません。
2.リースについては、当連結会計年度に取得した賃貸用資産の購入金額、割賦については、実行時の割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。
契約実行高は前年同期間比14.5%増加となりました。不動産リースが順調に拡大し、リース全体では前年度を上回る実績となっております。
「ファイナンス」については、連結子会社において、アライアンス先との連携による診療・介護報酬債権早期支払サービスの伸長に加え、主要取引先の事業拡大に伴い、実行高が大きく増加しております。
[営業資産残高]
連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
前連結会計年度
当連結会計年度
期末残高
(百万円)
構成比(%)
期末残高
(百万円)
構成比(%)
リース及び割賦
情報・事務用機器
459,878
20.3
465,705
19.5
産業・土木・建設機械
138,611
6.1
144,519
6.1
その他
485,041
21.5
496,615
20.8
ファイナンス・リース計
1,083,530
47.9
1,106,840
46.4
情報・事務用機器
9,539
0.4
10,900
0.5
産業・土木・建設機械
38,524
1.7
38,476
1.6
その他
433,196
19.2
457,387
19.2
オペレーティング・リース計
481,260
21.3
506,765
21.3
リース計
1,564,791
69.2
1,613,605
67.7
割賦
96,031
4.2
78,445
3.3
リース及び割賦計
1,660,822
73.4
1,692,051
71.0
ファイナンス
573,736
25.4
665,557
27.9
その他
28,265
1.2
26,383
1.1
合計
2,262,824
100.0
2,383,992
100.0
(注)割賦については、割賦債権から割賦未実現利益を控除した額を表示しております。
営業資産残高は、前連結会計年度末比5.4%の増加となりました。「オペレーティング・リース」については、不動産など戦略分野中心とした積上げが順調に進んでいます。「ファイナンス・リース」についても、ベンダーリースを中心に積み上げが進んでおります。
「ファイナンス」については、不動産ファイナンスに加え、連結子会社の営業資産残高積上げにより増加しております。
[営業実績]
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度
セグメントの名称
売上高
(百万円)
売上原価
(百万円)
差引利益
(百万円)
資金原価
(百万円)
売上総利益
(百万円)
リース及び割賦
ファイナンス・リース
401,887
-
-
-
-
オペレーティング・リース
77,680
-
-
-
-
リース計
479,568
432,847
46,721
4,652
42,068
割賦
38,157
36,358
1,798
398
1,399
リース及び割賦計
517,726
469,206
48,520
5,051
43,468
ファイナンス
14,980
167
14,813
3,548
11,264
その他
85,412
73,411
12,001
48
11,953
合計
618,119
542,784
75,334
8,648
66,686
当連結会計年度
セグメントの名称
売上高
(百万円)
売上原価
(百万円)
差引利益
(百万円)
資金原価
(百万円)
売上総利益
(百万円)
リース及び割賦
ファイナンス・リース
376,768
-
-
-
-
オペレーティング・リース
117,868
-
-
-
-
リース計
494,636
443,221
51,415
5,025
46,389
割賦
34,216
32,560
1,655
340
1,315
リース及び割賦計
528,853
475,782
53,071
5,366
47,704
ファイナンス
15,979
291
15,688
3,924
11,763
その他
167,497
150,460
17,036
157
16,879
合計
712,330
626,534
85,796
9,448
76,347
(注)売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
[売上高、売上原価、差引利益]
(リース及び割賦)
リース及び割賦の売上高は、前年度比111億2千7百万円(2.1%)増加して5,288億5千3百万円となりました。売上原価は前年度比65億7千6百万円(1.4%)増加して4,757億8千2百万円となり、リース及び割賦における差引利益は前年度比45億5千1百万円(9.4%)増加して530億7千1百万円となりました。これは主として、不動産リースを中心とした営業資産の積み上げにより大きく増益となったことなどによるものであります。
(ファイナンス)
ファイナンスの売上高は、前年度比9億9千8百万円(6.7%)増加して159億7千9百万円となりました。売上原価は前年度比1億2千3百万円(73.9%)増加して2億9千1百万円となり、ファイナンスにおける差引利益は、前年度比8億7千4百万円(5.9%)増加して156億8千8百万円となりました。これは主として、不動産ファイナンスに加え、主要取引先との取引が伸長した連結子会社のファクタリングが貢献したことなどによるものであります。
(その他)
その他の売上高は、前年度比820億8千4百万円(96.1%)増加して1,674億9千7百万円となりました。売上原価は前年度比770億4千9百万円(105.0%)増加して1,504億6千万円となり、その他における差引利益は前年度比50億3千5百万円(42.0%)増加して170億3千6百万円となりました。これは主として、BPOサービス事業に加え、流動化によりアセットの入替を進める資産回転型ビジネスや太陽光発電事業など、様々なビジネスが増益に貢献したことなどによるものであります。
[営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益]
戦略分野を中心とした営業資産の過去からの積み上がりに加え、BPOサービスを初めとした新領域のビジネスが大きく貢献し、利益の大きな源泉である基礎的な収益、即ち「差引利益」が前年度比104億6千1百万円(13.9%)増加して857億9千6百万円となりました。コスト面では、連結子会社の増加により人物件費は前年度比33億2千8百万円(11.0%)増加して335億6千1百万円となりましたが、差引利益の増加により打ち返しております。この結果、営業利益は前年度比16.1%増加の414億2千3百万円、経常利益は前年度比12.6%増加の440億4千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比2.6%増加の261億8千7百万円となりました。売上高、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに、前年度を上回る実績となり、連結会計年度の過去最高益を更新しております。
[純資産、自己資本比率]
株主資本合計は利益剰余金の増加により前連結会計年度末比185億8千万円(8.2%)増加して2,456億1千5百万円となり、当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末比167億7千9百万円(5.7%)増加して3,118億1千9百万円となりました。純資産は着実に積み上げが進んでおります。自己資本比率は、前連結会計年度末比0.1ポイント減少して10.0%となりました。営業資産が増加する中でも、自己資本比率は10%水準を維持しております。
今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済活動の急速な悪化が続いており、厳しい状況が続くものと予測しております。
2021年3月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大が上期末ごろに収束することを前提としており、今後の動向次第では、変動する可能性があります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、以下のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは1,088億4百万円の支出(前連結会計年度は799億7千5百万円の支出)となりました。主な変動要因は、賃貸資産除却損及び売却原価、リース債権及びリース投資資産の増減額、その他の営業貸付債権の増減額及び営業投資有価証券の増減額が増加したことなどによるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、112億4千2百万円の支出(前連結会計年度は93億9千3百万円の支出)となりました。主な変動要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加、投資有価証券の取得による支出及び投資有価証券の売却及び償還による収入が減少したことなどによるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,277億5千4百万円の収入(前連結会計年度は1,055億2百万円の収入)となりました。主な変動要因は、間接調達では短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入及び長期借入金の返済による支出が増加したこと、直接調達では債権流動化による収入及び社債の発行による収入の増加、コマーシャル・ペーパーの純増減額が減少したことなどによるものであります。
b.契約債務
2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務
1年以内
1年超
2年以内
2年超
3年以内
3年超
4年以内
4年超
5年以内
5年超
短期借入金
530,317
-
-
-
-
-
長期借入金
274,820
233,864
177,699
104,495
75,666
88,291
リース債務
7,417
4,999
3,510
2,264
1,051
1,477
合計
812,555
238,863
181,210
106,759
76,717
89,769
当社グループの第三者に対する保証は、取引先等の借入金等に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2020年3月31日現在の債務保証額は、547億8千7百万円であります。
c.財務政策
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、金融機関からの借入による間接調達と市場からの直接調達により資金調達することとしております。
当連結会計年度末において、間接調達は、長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末比7.5%増加して1兆4,851億5千5百万円となり、直接調達は、社債を発行したことなどにより、前連結会計年度末比4.3%増加して7,458億6千5百万円となりました。この結果、当連結会計年度末の調達残高は、前連結会計年度末比6.4%増加して2兆2,310億2千万円となりました。直接調達比率は33.4%となり、前連結会計年度末比0.7ポイント低下いたしました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、賃貸資産及び割賦販売物件の購入、営業投資有価証券の購入、太陽光発電設備の設備投資のほか、営業費用、販売費及び一般管理費等であります。
2020年3月31日現在、借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、前連結会計年度末比6.1%増加して2兆2,517億4千1百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は774億1千6百万円となっております。
当連結会計年度末において、取引金融機関79行等と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高4,788億7千6百万円、借入未実行残高4,939億3千2百万円)
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
中期経営計画「Frontier Expansion 2021」では、新しいビジネス領域やビジネスモデルへのたゆまぬ挑戦により事業ポートフォリオのフロンティアを拡大し、力強く持続的に成長することを目標としております。
そのためには営業資産残高を着実に積み上げ、更なる業績向上を目指して収益性を高めることが重要であり、こうした観点から営業資産残高、経常利益、ROA(営業資産経常利益率)の3つを経営目標として設定しております。
営業資産の順調な積み上げをベースに売上高・各利益とも前年を上回る好調な決算となり、売上高、営業利益、経常利益及び親会社に帰属する当期純利益いずれも、過去最高を更新することができました。
ストック面につきましては、営業資産残高を前連結会計年度末比5.4%増加と着実に伸ばすと同時に、ROA(営業資産経常利益率)の改善(前連結会計年度末比0.14ポイント増加)を進めることができました。
連結経営目標
2017年度
(2018年3月期)
実績
2018年度
(2019年3月期)
実績
2019年度
(2020年3月期)
中間目途値
2019年度
(2020年3月期)
実績
2021年度
(2022年3月期)
目標
営業資産残高
21,726億円
22,628億円
23,000~24,000億円
23,840億円
25,000億円
経常利益
352億円
391億円
380~420億円
440億円
500億円
ROA
(営業資産経常利益率)
1.67%
1.76%
1.7~1.8%
1.90%
2.0%
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
a.貸倒引当金
当社グループは、債権の回収不能時に発生する損失の見積額に対して貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。貸倒引当金の金額は、以後の各連結会計年度の貸倒の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、追加引当が必要となる可能性があります。
b.固定資産(賃貸資産等)の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定した収益が見込めなくなった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合には、固定資産の減損処理を行う可能性があります。
c.のれんの減損
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間を見積り、当期間で均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、当該連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)及び2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
#C8424JP #芙蓉総合リース #その他金融業セクター