【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策での行動制限が緩和され、野球やサッカーの世界大会が大きな盛り上がりを見せるなど、企業や個人の消費マインドに改善の動きが見られました。一方、世界的に進んだ金融引き締めの影響による金融資本市場の変動、物価やエネルギー価格の上昇など、景気の下振れリスクも見られました。海外経済も緩やかな回復の動きが継続したものの、金融引き締めの進行や、長期化するウクライナ情勢に起因する物価やエネルギー価格の上昇など、景気減速への警戒感が高まっています。
このような状況の中、当社グループは、国内においては野球品や競技スポーツ品を中心に販売が改善、海外においても米州や韓国を中心にゴルフ事業の好調が続きました。材料費の高騰や為替変動による仕入れ価格の上昇等の影響については、売上高の増加と経費コントロールにより最小化しました。 これらの結果、当社グループの経営成績は、売上高は392億9千9百万円増収(前年同期比22.8%増)の2,120億4千4百万円、営業利益は30億7千万円増益(前年同期比31.1%増)の129億4千5百万円、経常利益は30億6千2百万円増益(前年同期比27.9%増)の140億3千9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は21億9千3百万円増益(前年同期比28.4%増)の99億1千万円となり、いずれも連結決算の開示が制度化されて以降最高となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 日本日本は、新型コロナウイルス感染症対策での行動制限が敷かれた前年同期と比較し、事業環境が改善しました。世界大会が大きな盛り上がりをみせた野球やサッカーに加え、バレーボールやラケットスポーツなどのインドアスポーツの商品も好調に推移しました。加えて、非スポーツ事業であるワークビジネス事業も好調に推移しました。この結果、売上高は172億4千7百万円増収(前年同期比15.1%増)の1,315億7百万円、営業利益は17億5百万円増益(前年同期比39.7%増)の59億9千5百万円となり、売上高は連結決算の開示が制度化されて以降最高となりました。
b 欧州欧州は、第1四半期に大きな影響を受けたサプライチェーンの状況が改善したものの、物流費の高騰や為替変動によるコスト高の影響を受けました。そのような環境においても、主要事業であるランニングシューズの販売が回復しました。また、ゴルフクラブの販売も引き続き堅調に推移しました。この結果、売上高は71億9千7百万円増収(前年同期比40.1%増)の251億3千9百万円、営業利益は2億8千万円増益(前年同期比20.2%増)の16億6千9百万円と、それぞれ過去最高の結果となりました。なお、当連結会計年度における欧州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。 英ポンド:163.60円(前年同期 153.94円)、ユーロ(欧州支店):141.26円(前年同期 131.05円)、ユーロ(子会社):137.93円(前年同期 130.11円)、ノルウェークローネ:13.66円(前年同期 12.80円)
c 米州米州では、輸送コストや物価の上昇、金融引き締めに伴う景気の減速といったマイナス要因が見られたものの、引き続きゴルフクラブの販売が好調を維持しており業績を牽引しました。また、野球やバレーボールなどの競技スポーツ品の販売も堅調に推移しました。この結果、売上高は74億4千万円増収(前年同期比31.5%増)の310億6千7百万円、営業利益は1億8千6百万円増益(前年同期比7.1%増)で、過去最高の28億2千6百万円となりました。なお、当連結会計年度における米州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。米ドル:130.78円(前年同期 109.86円)、カナダドル:100.18円(前年同期 87.46円)
d アジア・オセアニアアジア・オセアニアは、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、事業環境が改善しました。全域で業績は好調に推移し、ゴルフクラブやランニングシューズ、サッカースパイクなど幅広い商品群で業績が拡大しました。この結果、売上高は74億1千3百万円増収(前年同期比43.8%増)の243億2千9百万円、営業利益は8億8千7百万円増益(前年同期比63.8%増)の22億7千6百万円と、それぞれ過去最高の結果となりました。なお、当連結会計年度におけるアジア・オセアニア各通貨の換算レートは以下のとおりであります。 台湾ドル:4.40円(前年同期 3.94円)、香港ドル:16.70円(前年同期 14.14円)、 中国元:19.39円(前年同期 17.04円)、豪ドル:90.58円(前年同期 82.37円)、 韓国ウォン(100ウォン当たり):10.17円(前年同期 9.61円)、 米ドル(シンガポール):130.78円(前年同期 109.86円)
② 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ311億6千7百万円増加し、1,975億2千3百万円となりました。商品及び製品が154億1千1百万円、売掛金が105億6千3百万円それぞれ増加したことが主な要因です。 負債は、前連結会計年度末に比べ193億5千4百万円増加し、732億4千7百万円となりました。長短借入金が132億8百万円、支払手形及び買掛金が42億4千5百万円それぞれ増加したことが主な要因です。 純資産は、前連結会計年度末に比べ118億1千2百万円増加し、1,242億7千5百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の67.3%から62.6%へと4.7ポイント減少しました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は238億4千5百万円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下の通りとなります。<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは80億4千7百万円の支出となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益135億8千4百万円、減価償却費の計上26億7千8百万円、仕入債務の増加額46億7百万円、支出の主な内訳は棚卸資産の増加額149億9千8百万円、売上債権の増加額98億8千5百万円、法人税等の支払額45億4百万円となります。<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは44億4千5百万円の支出となりました。収入の主な内訳は投資有価証券の売却による収入1億9千7百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出43億8千6百万円、無形固定資産の取得による支出8億9千4百万円となります。<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは110億1千2百万円の収入となりました。収入の主な内訳は短期借入による収入77億5千4百万円、長期借入による収入79億8百万円、支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出26億8千4百万円、配当金の支払額16億5千7百万円となります。
④ 生産受注及び販売の実績
a 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
日本
16,718
107.99
欧州
1,745
130.51
米州
5,800
141.26
アジア・オセアニア
3,058
105.96
合計
27,322
114.74
b 受注実績当社グループは見込生産を行っており、その他の事業のうち、スポーツ施設関連の一部のみ受注生産を行っておりますが、全体に占める割合が僅少であるため記載を省略しております。
c 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年4月1日至 2023年3月31日)
金額(百万円)
前期比(%)
日本
131,507
115.10
欧州
25,139
140.12
米州
31,067
131.49
アジア・オセアニア
24,329
143.83
合計
212,044
122.75
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、その前提となる様々な要因については、過去の実績、現在の状況及び将来の想定を総合的に勘案し、合理的と考えられる見積りと判断に基づいて適用しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。 当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。なお、当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。新型コロナウイルス感染症による当社グループ事業への影響は回復しつつあり、2024年3月期以降にさらに正常化が進むとの仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
a 繰延税金資産繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。当社グループでは、将来の課税所得や加減算などのスケジューリングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得の予測・仮定に変更が生じ、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。
b 退職給付債務当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される計算基礎を用いて算出されております。その見積数値と実績が異なる場合、または見積数値が変更された場合、その影響額は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には、将来において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。 割引率の見積りにあたっては、安全性の高い長期の債券利回りを基礎に決定しております。また、期待運用収益率については、保有する年金資産のポートフォリオ、過去の実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。
c 減損会計当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、その帳簿価額の回収が懸念される企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損の要否を検討しております。その資産の市場価格及びその資産を使用した営業活動から生じる損益等から減損の兆候があると判定された固定資産については、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減損処理を行っております。 回収可能価額は見積り将来キャッシュ・フロー及びその他の見積り及び仮定から合理的に決定しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、これらの見積り及び仮定が将来変更された場合、減損金額の増加及び新たな減損認識の可能性があります。
d 有価証券及び投資有価証券の評価当社グループは、純投資目的及び長期的な協力関係や取引関係の観点から株式等を所有しており、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施することとしております。即ち、時価のある「その他有価証券」については、期末時価が帳簿価額を30%以上下回った場合かつ下落が一時的でないと判断した場合に、また、時価のない「その他有価証券」については評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施するものであります。従って、将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、ROA(総資産事業利益率)とROE(自己資本利益率)を目標とする経営指標と位置付けておりますが、収益的成長と財務状態が適正にバランスすることにより向上するROAを特に重要な経営指標として目標値を設定しております。現時点で中期的な目標とするROAを連結ベースで9%以上といたしております。当連結会計年度におけるROAは7.3%(前年同期比1.0ポイント改善)であり、目標を達成するために、引き続き資産の効果的・効率的な投下による収益の最大化を図り、企業価値を増大させていきたいと考えております。
a 売上高及び売上総利益売上高は392億9千9百万円増収(前年同期比22.8%増)の2,120億4千4百万円となりました。国内においては野球品や競技スポーツ品を中心に販売が改善、海外においても米州や韓国を中心にゴルフ事業の好調が続きました。売上高の改善に伴い、売上総利益は94億4千8百万円増益(前年同期比13.2%増)の810億2千万円となりました。
b 販売費及び一般管理費、営業利益及び経常利益販売費及び一般管理費63億7千7百万円増加(前年同期比10.3%増)し、680億7千5百万円となりましたが、コロナ下でのコスト削減策が定着したことが貢献し売上高販管費率は改善されました。売上高の増加も加わり、営業利益は30億7千万円増益(前年同期比31.1%増)の129億4千5百万円となりました。 経常利益は営業利益に加え為替差益などを計上し、30億6千2百万円増益(前年同期比27.9%増)の140億3千9百万円となりました。
c 特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益特別利益は、主に投資有価証券売却益を計上したこと等により6千6百万円となりました。特別損失は、事業構造改善費用を計上したこと等により5億2千1百万円となりました。法人税等は、前年同期比で4億8千5百万円増加し35億6千5百万円となりました。 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億9千3百万円増益(前年同期比28.4%増)の99億1千万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要の主なものは、商品、原材料等の購入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び維持更新等を目的とした設備投資等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金並びに金融機関からの借入による調達を基本としております。また、安定的な運転資金確保を目的に取引銀行と当座借越契約を締結しております。 なお、当連結会計年度末における有利子負債は238億3千6百万円となっております。
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