【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
1.経営成績の状況
(単位:百万円)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属
する四半期純利益
1株当たり
四半期純利益
(円 銭)
当第2四半期
連結累計期間
546,047
44,443
43,433
27,921
100.13
前第2四半期
連結累計期間
517,520
43,193
43,912
33,386
118.52
前年同期比
(%)
105.5
102.9
98.9
83.6
–
(注)当社は、2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり四半期純利益を算定しております。
当社グループは「2023中期経営計画」の基本コンセプトである「明治ROESG®※経営の実践」に基づき、利益成長とサステナビリティ活動の同時実現に向けて取り組んでいます。
重点課題は以下の通りです。
1.事業戦略
(食品セグメント) コア事業の成長力の回復
海外展開の強化
(医薬品セグメント) ワクチン事業の強化
受託製造/受託製造開発(CMO/CDMO)事業の強化
(グループ全体) 新領域への挑戦
2.ROICの活用による経営管理体制強化
3.成長投資の継続と強固な財務基盤構築の両立
4.サステナビリティ2026ビジョンの着実な実行
※「ROESG」は一橋大学・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。
2024年3月期は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和や賃金上昇などにより、人流および景気の緩やかな回復が期待されますが、国内の生乳取引価格や円安進行にともなう原材料価格およびエネルギーコストの上昇は依然として続いており、当社グループ業績にも影響する見通しです。
食品セグメントでは、原材料価格およびエネルギーコストの上昇に対して、価格改定などによりコスト上昇分を吸収します。また、価格改定による数量減の影響を最小限にとどめるべく、主力商品の価値訴求強化や積極的なマーケティング活動に取り組みます。加えて、海外では引き続き中国における生産販売能力を強化し、販売エリア拡大と高付加価値商品の売上拡大を目指します。米国においても、チョコレートスナックを中心に販路を拡大していきます。
医薬品セグメントでは、感染症領域に経営資源を集中し、ワクチンと感染症薬のトップ企業としての競争優位性確立に取り組みます。新型コロナウイルス感染症に対する不活化ワクチンとレプリコンワクチンの開発を進めるとともに、他のパイプラインの開発加速にも取り組みます。また、海外では、CMO/CDMO事業の強化・拡大に注力します。インドに完成した新製造棟における商業出荷に向けた準備を確実に進めるほか、生産性の向上にも取り組みます。
当第2四半期連結累計期間の売上高は 5,460億47百万円(前年同期比 5.5%増)、営業利益は 444億43百万円(同 2.9%増)、経常利益は 434億33百万円(同 1.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 279億21百万円(同 16.4%減)となりました。
当社の事業子会社であるKMバイオロジクス株式会社とMeiji Seika ファルマ株式会社では、新型コロナウイルス感染症に対する不活化ワクチンの開発を進めています。第3相臨床試験(国際共同、成人40歳以下)を2022年4月に、また国内小児第3相臨床試験(6か月以上12歳未満)を2023年1月に、それぞれ開始しました。また、2023年10月に、承認に向けた最終段階となる変異株対応の国内小児第3相臨床試験(6か月以上13歳未満)の治験計画届を提出し、12月より被験者登録・接種を開始する予定です。
2023年4月に、Meiji Seika ファルマ株式会社は、Arcturus Therapeutics Inc.が開発した新型コロナウイルス感染症に対するレプリコンワクチン「ARCT-154」について、全世界における権利を保有するCSL Limitedの子会社であるCSL Seqirusと日本での供給・販売提携に関する契約を締結しました。同ワクチンについては、2023年4月に「成人における初回免疫(2回接種)によるCOVID-19の予防」を適応症として、日本における製造販売承認を申請しました。また、2023年6月に追加免疫についても製造販売承認を申請しました。
2023年9月には、新型コロナウイルスの起源株およびオミクロンBA.4-5株に対応する2価レプリコンワクチン「ARCT-2301」の追加免疫国内第3相臨床試験を開始しました。「ARCT-2301」を用いた臨床試験を通じてオミクロン株に対する免疫原性と安全性を確認するとともに、並行して今後の新規変異株に対応したレプリコンワクチンの実用化を目指します。
アストラゼネカ株式会社が日本へ導入している新型コロナウイルスワクチンについて、Meiji Seika ファルマ株式会社は安全性情報収集の業務を当第2四半期連結会計期間まで実施しました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
報告セグメント
合計
食品
医薬品
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減
売上高
420,631
445,489
24,858
97,181
100,860
3,679
517,812
546,350
28,537
セグメント
利益
29,329
29,684
354
14,649
15,902
1,252
43,979
45,586
1,606
(注)売上高、セグメント利益はセグメント間の取引を消去する前の金額によっております。
セグメント別、事業別の概況は次のとおりです。
(1)食品
当セグメントには、ヨーグルト・チーズ事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、チーズ)、ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、流動食、美容)、チョコレート・グミ事業、牛乳事業、業務用食品事業、フローズン・調理食品事業 (アイスクリーム、調理食品、バター・マーガリン類)、海外事業(海外子会社、輸出)、その他・国内子会社 (国内独立系子会社、キャンデー、OTC)による製造・販売、運送等が含まれております。
売上高は、価格改定効果もあり前第2四半期連結累計期間を上回りました。全ての事業で前第2四半期連結累計期間を上回り、特に海外事業や業務用食品事業は大幅に上回りました。
セグメント利益は前第2四半期連結累計期間を上回りました。価格改定効果が原材料コストの上昇や数量減の影響をカバーしました。
事業別の概況は次のとおりです。
■ヨーグルト・チーズ事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。プロバイオティクスは価格改定効果により増収となりましたが、ヨーグルトは第1四半期におけるドリンクタイプの減収の影響で前第2四半期連結累計期間並みとなりました。チーズは、需要拡大や販促強化を背景に、スライスチーズを中心に伸長しました。
営業利益は前第2四半期連結累計期間を上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。価格改定による数量への影響を最小化すべくマーケティング投資を強化しました。
■ニュートリション事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。乳幼児ミルクは、価格改定効果に加え、インバウンド需要の拡大により好調に推移しました。外出機会の増加により液体ミルク「明治ほほえみらくらくミルク」が好調に推移しました。スポーツプロテイン「ザバス」は、粉末タイプではホエイプロテインが好調に推移しました。ドリンクタイプでは、たんぱく質配合量を20gに増量した新商品の発売などが寄与しました。
営業利益は前第2四半期連結累計期間を上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。
■チョコレート・グミ事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。チョコレートは、人流回復やインバウンド需要により大袋商品やナッツチョコレートが好調に推移しました。グミは、生産子会社譲渡による影響がありましたが、商品ラインアップの拡大などにより増収となりました。
営業利益は前第2四半期連結累計期間を上回りました。原材料コストが増加しましたが、価格改定効果がコスト増や数量減の影響を上回りました。
■牛乳事業
売上高は価格改定効果により前第2四半期連結累計期間を上回りました。
営業利益は、大容量品の数量減の影響などにより前第2四半期連結累計期間から損失額が拡大しました。
■業務用食品事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を大幅に上回りました。人流回復により市場が拡大し、クリームやチーズ、バターなどが大幅な増収となりました。
営業利益は、原材料コストや減価償却費などの製造間接費が増加しましたが、価格改定効果や数量増により前第2四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■フローズン・調理食品事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。アイスクリームは、主力の「明治エッセルスーパーカップ」が猛暑の影響もあり好調に推移しました。調理食品は、2023年2月に冷凍ピザを終売した影響により減収となりました。
営業利益は前第2四半期連結累計期間を上回りました。価格改定効果が原材料コストや拡売費の増加を上回りました。
■海外事業
売上高は、前第2四半期連結累計期間を大幅に上回りました。中国の業務用事業やアイスクリーム事業、東南アジアや米国の子会社が好調に推移しました。
営業利益は、前第2四半期連結累計期間を大幅に下回りました。米国の子会社は増益となりましたが、中国の子会社が2023年1月の天津工場稼働に伴う減価償却費の増加などにより減益となりました。
■その他・国内子会社
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。糖類を扱う商社などが好調に推移しました。
営業利益は、原材料コストの増加による飼糧子会社の減益などにより、前第2四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
(2)医薬品
当セグメントには、国内医薬品事業、海外医薬品事業、ヒト用ワクチン事業、動物薬事業(動物薬、動物用ワクチン)による製造・販売が含まれております。
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。国内医薬品事業と海外医薬品事業は前第2四半期連結累計期間を上回り、ヒト用ワクチン事業は前第2四半期連結累計期間並みとなりました。動物薬事業は前第2四半期連結累計期間を下回りました。
セグメント利益は、海外医薬品事業とヒト用ワクチン事業の増益により、前第2四半期連結累計期間を上回りました。
事業別の概況は次のとおりです。
■国内医薬品事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が増収となりました。
営業利益は、薬価改定の影響に加え、アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンに関する受託収入の減少や研究開発費の増加により前第2四半期連結累計期間を下回りました。
■海外医薬品事業
売上高は前第2四半期連結累計期間を上回りました。インドの子会社が減収となりましたが、スペインやタイの子会社が好調に推移しました。
営業利益は前第2四半期連結累計期間を大幅に上回りました。スペインやタイの子会社の増収やインドの子会社の原価低減が寄与しました。
■ヒト用ワクチン事業
売上高は前第2四半期連結累計期間並みとなりました。四種混合ワクチン「クアトロバック」は好調に推移しましたが、日本脳炎ワクチン「エンセバック」やB型肝炎ワクチン「ビームゲン」が減収となりました。2023/2024シーズンのインフルエンザワクチンの出荷は前第2四半期連結累計期間並みとなりました。
営業利益は、ロイヤリティ収入が寄与したことなどにより、前第2四半期連結累計期間を大幅に上回りました。
■動物薬事業
売上高は、品目数削減の影響を受け前第2四半期連結累計期間を下回りました。
営業利益は、原材料コストの増加などにより前第2四半期連結累計期間を大幅に下回りました。
食品セグメントにおいては、エネルギーコストを中心にコスト抑制が見込まれることから、下期の利益が当初想定を上回って推移する見込みです。一方、医薬品セグメントにおいては、下期の利益は当初想定を下回って推移する見込みです。研究開発費の下期発生に加え、レプリコンワクチン「ARCT-154」における変異株対応の必要性から業績貢献が今期は実現しないと判断し、この影響額を計画から除外したことが主な要因です。
以上の理由により、前事業年度の有価証券報告書に記載した「2023中期経営計画」に対する2023年度の計画値を、下記のとおり修正いたしました。
2023年度 計画
(2024年3月期)
2023年度 計画(修正)
(2024年3月期)
連結売上高
1兆1,020億円
1兆985億円
・食品セグメント
8,870億円
8,911億円
・医薬品セグメント
2,155億円
2,081億円
連結営業利益(率)
780億円
(7.1%)
800億円
(7.3%)
・食品セグメント
560億円
610億円
・医薬品セグメント
250億円
220億円
ROE
7.0%
7.0%
2.財政状態の分析
〔資産〕
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は 1兆2,077億96百万円となり、前連結会計年度末に比べて 715億78百万円増加しました。これは建設仮勘定が 101億42百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が 414億79百万円、現金及び預金が 185億43百万円、土地が81億10百万円、投資有価証券が62億12百万円増加したことなどによるものです。
〔負債〕
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は 4,211億10百万円となり、前連結会計年度末に比べて 362億4百万円増加しました。これは短期借入金が 199億52百万円、支払手形及び買掛金が 116億67百万円、未払法人税等が 46億89百万円増加したことなどによるものです。
〔純資産〕
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は 7,866億85百万円となり、前連結会計年度末に比べて 353億73百万円増加しました。これは為替換算調整勘定が 127億92百万円、利益剰余金が 146億19百万円増加したことなどによるものです。
なお、自己資本比率は 61.7%(前連結会計年度末は 62.7%)となりました。
3.キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
区 分
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
25,160
25,899
738
投資活動によるキャッシュ・フロー
△25,972
△15,316
10,655
フリー・キャッシュ・フロー
△811
10,582
11,393
財務活動によるキャッシュ・フロー
20,269
4,353
△15,915
現金及び現金同等物に係る換算差額
4,416
2,548
△1,868
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
23,874
17,484
△6,389
現金及び現金同等物の期首残高
64,872
60,939
△3,933
現金及び現金同等物の四半期末残高
88,746
78,423
△10,323
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権が増加した一方で、棚卸資産や法人税等の支払額が減少、仕入債務が前第2四半期連結累計期間より増加したことなどにより、前第2四半期連結累計期間より 7億38百万円収入増の 258億99百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出の減少や連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入の増加などにより、前第2四半期連結累計期間より 106億55百万円支出減の 153億16百万円の支出となりました。
これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は前第2四半期連結累計期間より 113億93百万円収入増の 105億82百万円の収入(前第2四半期連結累計期間は 8億11百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額の減少などにより、前第2四半期連結累計期間より 159億15百万円収入減の 43億53百万円の収入となりました。
これらの結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は 784億23百万円となりました。
4.経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
5.会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
6.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
7.研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は161億31百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
8.従業員数
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの従業員の状況に重要な変動はありません。
9.生産、受注及び販売の実績
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの生産、受注及び販売の実績に著しい変動はありません。
10.主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの主要な設備に関し、著しい変動及び変更はありません。