【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
<市場環境等>当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は緩やかに回復しました。部材供給不足の影響緩和などで4~5月の鉱工業生産は前四半期から持ち直したほか、6月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断は価格転嫁の進展などで7四半期ぶりに改善しました。消費者物価指数(生鮮食品・エネルギー除く)の上昇率は前年同月比で4%を上回り、1981年以来の水準まで上昇したものの、日銀は物価目標について安定的・持続的に達成できていないとの見方から金融緩和政策の維持を決定しました。国内株式市場は、海外投資家が日本株への買い姿勢を強めたことを受けて大幅に上昇しました。日経平均株価は、想定を下回る米国の経済指標を受けて一時27,000円台を付けたものの、国内の景気回復に対する期待感が高まったことに加え、国内企業決算が概ね堅調な内容だったことなどから5月中旬に3万円台に回復しました。需給面では、景気後退懸念が燻る米国などと比較して相対的に底堅い見通しである日本株への海外投資家からの資金流入が継続しました。東証が促す資本効率改善に対する期待感も相まって、日経平均株価は6月中旬にバブル期以来の高値となる33,500円を超える水準まで上昇しました。その後は、米連邦準備理事会(FRB)高官による利上げ継続の発言や国内の衆議院解散・総選挙への期待剥落などが相場の重しとなり、日経平均株価は33,189円04銭で6月の取引を終えました。為替市場は、米FRBと日銀の金融政策のスタンスの違いから、一貫して円安ドル高基調で推移しました。4月に就任した植田総裁のもとで、日銀が金融緩和政策を継続する見方が強まったことで、日本長期金利は低下した一方、米FRBはインフレ抑制のために継続的な利上げを決定したことなどから、米長期金利は上昇しました。その結果、日米の長期金利差が急拡大し、4月初めに1ドル=132円台だったドル円相場は、2022年11月以来となる1ドル=144円台で6月の取引を終えました。このような状況のもと、当社グループでは、創業100周年を迎えた当年度から5ヵ年の新たな中期経営計画を始動し、持続的な成長を実現するための経営基盤の確立に取り組んでおります。当第1四半期連結累計期間においては、中核子会社の岡三証券株式会社において全国各地で創業100周年記念セミナーやお客さま向けキャンペーン等を実施したほか、成長戦略の一つとしてOne to One マーケティングを強化するなか、ソリューション営業の推進に加え、効果的な店舗運営のための統合やサテライト化も継続しました。また、デジタル化の推進については、生成AI活用に向けた取り組みを開始しました。
当第1四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<経営成績等>
1) 財政状態(資産)当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ343億43百万円増加し9,104億円となりました。これは主に、有価証券担保貸付金が474億7百万円、預託金が141億2百万円、信用取引資産が61億67百万円増加した一方で、トレーディング商品が294億76百万円、現金・預金が77億53百万円減少したことによるものであります。
(負債)負債は、前連結会計年度末に比べ284億75百万円増加し7,188億94百万円となりました。これは主に、有価証券担保借入金が436億19百万円、預り金が235億83百万円増加した一方で、短期借入金が391億6百万円減少したことによるものであります。
(純資産)純資産は、前連結会計年度末に比べ58億67百万円増加し1,915億6百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が36億22百万円、利益剰余金が10億99百万円、非支配株主持分が9億32百万円増加したことによるものであります。
2) 経営成績当第1四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は212億47百万円(前年同期比34.7%増)、純営業収益は207億66百万円(同34.7%増)となりました。販売費・一般管理費は166億3百万円(同2.1%減)となり、経常利益は45億73百万円(前年同期は14億40百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は52億1百万円(前年同期は7億72百万円の損失)となりました。
受入手数料受入手数料の合計は123億63百万円(前年同期比14.4%増)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日至 2022年6月30日)(百万円)
当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日至 2023年6月30日)(百万円)
委託手数料
3,830
6,053
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
37
560
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
3,159
3,491
その他の受入手数料
3,780
2,258
合計
10,807
12,363
委託手数料当第1四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は19億4百万株(前年同期比9.0% 増)、売買代金は4兆1,735億円(同17.7%増)となりました。こうしたなか、中核子会社である岡三証券株式会社においては、国内株式、外国株式ともに委託売買代金が前年同期比で増加しました。これらの結果、株式委託手数料は59億15百万円(同60.3%増)となりました。また、その他の委託手数料は1億37百万円(同1.7%減)となり、委託手数料の合計は60億53百万円(同58.0%増)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料当第1四半期連結累計期間における株式の引受けは、新規株式公開市場の回復に加えて、主幹事案件の引受け等により、引受金額が前年同期比で大きく増加しました。また、債券の引受けも、地方債や事業債の主幹事獲得に加えて、個人向け社債の大口の引受け等により、引受金額が大幅に増加しました。 これらの結果、株式の手数料は76百万円(前年同期比17.3倍)、債券の手数料は4億84百万円(同14.6倍)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は5億60百万円(同14.9倍)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。当第1四半期連結累計期間における公募投資信託の販売額は、堅調な株式市況を受けて、高い配当利回りの期待できる株式に投資するファンドや新興国株式に投資するファンドを中心に増加したほか、外貨建てファンドの販売も堅調となりました。 これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は34億91百万円(前年同期比10.5%増)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により22億58百万円(同40.3%減)となりました。
トレーディング損益
前第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日至 2022年6月30日)(百万円)
当第1四半期連結累計期間(自 2023年4月1日至 2023年6月30日)(百万円)
株券等トレーディング損益
2,152
5,674
債券等トレーディング損益
2,265
2,001
その他のトレーディング損益
△182
34
合計
4,235
7,711
株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。当第1四半期連結累計期間においては、市況回復を背景に米国株式を中心に国内店頭取引の売買が前年同期比で増加しました。一方、外国債券の販売は個人向け及び法人向けともに前年同期と比較して販売額が減少しました。 これらの結果、株券等トレーディング損益は56億74百万円(前年同期比163.6%増)、債券等トレーディング損益は20億1百万円(同11.6%減)となり、その他のトレーディング損益34百万円の利益(前年同期は1億82百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は77億11百万円(前年同期比82.1%増)となりました。
金融収支金融収益は7億94百万円(前年同期比59.5%増)、金融費用は4億80百万円(同32.7%増)となり、差引の金融収支は3億14百万円(同130.8%増)となりました。
その他の営業収益金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、3億78百万円(前年同期比59.0%増)となりました。
販売費・一般管理費販売費・一般管理費は、人件費や取引関係費の減少等により、166億3百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
営業外損益及び特別損益営業外収益は4億30百万円、営業外費用は20百万円となりました。また、特別利益は投資有価証券売却益の計上等により17億11百万円、特別損失は49百万円となりました。
なお、当社グループは、従来「証券ビジネス」「アセットマネジメントビジネス」及び「サポートビジネス」の3つの報告セグメントに区分しておりましたが、当第1四半期連結会計期間より「投資・金融サービス業」の単一セグメントに変更しております。これにより、セグメントごとの経営成績については記載を省略しております。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第1四半期連結累計期間において、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動該当事項はありません。
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