【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限からの正常化が進むなかで、持ち直しの動きとなりました。欧米諸国を始めとする海外経済は、経済正常化が進む一方で、ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー供給懸念などから資源価格を含む物価の上昇が進み、各国の中央銀行が政策金利の引上げを進めたことを背景に減速の動きが見られました。このようななか、わが国の輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響が緩和されたこともあり回復傾向を示しました。設備投資は一部業種に弱さが見られたものの改善の動きが見られ、個人消費も行動制限の解除が進んだことで回復基調を維持しました。また、エネルギーや耐久財など幅広い品目の価格上昇により、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比の上昇率が2%台での推移となりました。
株式市場においては、日経平均株価は、米連邦準備制度理事会(FRB)などの急速な金融引き締めや、中国での都市封鎖による先行き不透明感を受け、5月上旬まで軟調に推移しました。その後は、中国の外出制限緩和や景気刺激策の発表、国内での入国者に対する水際対策緩和などを好感した一方、海外主要中央銀行の性急な金融引き締めへの警戒感や、日本銀行の金融緩和政策に対する修正の思惑など受けて乱高下する展開となりました。日経平均株価は8月に、24年ぶりの円安進行や、堅調な日米企業決算などを好感し29,000円台まで回復する場面もありましたが、9月に入ると、米FRBの長期的な金融引き締め姿勢や資源価格の高騰による欧州の景気後退懸念から下落に転じ、25,937円21銭で9月の取引を終えました。
一方為替市場では、急速に円安ドル高が進行しました。海外中銀による利上げが進むなかで日銀は金融緩和政策を維持したことから、内外金利差が拡大しました。9月下旬には、スイス中銀のマイナス金利政策解除により日本が主要国で唯一のマイナス金利政策実施国となったことなどから円売り圧力が強まり、ドル円相場は1998年8月以来の水準となる1ドル=145円台後半まで円安ドル高が進行しました。これを受け、政府・日銀は1998年以来となる円買い・ドル売りの為替介入を実施したものの効果は長続きせず、ドル円相場は1ドル=144円台後半で9月の取引を終えました。
このような状況のもと当社グループでは中期経営計画の基本方針に基づき、さまざまな施策を推進しました。効率的かつ機動的なグループ運営を行うことを目的として子会社6社の完全子会社化を進める方針を決定したほか、グループの枠を超えた成長戦略として資産運用ビジネスの基盤拡大を図るため、SBIグループとの間で岡三アセットマネジメント株式会社の合弁会社化について合意しました。また、中核子会社の岡三証券株式会社において引き続きCX(お客さま体験価値)向上に取り組み、お客さまとの接点拡充のための店舗戦略として、首都圏において新たにサテライトプレイスを開設しました。また、若年世代の金融リテラシー向上の支援として、金融教育関連プログラムの提供を推進したほか、岡三オンライン証券カンパニーにおいて丸三証券からのインターネット取引口座「マルサントレード」の事業譲り受けが完了しました。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は334億77百万円(前年同期比9.2%減)、純営業収益は327億56百万円(同9.7%減)となりました。販売費・一般管理費は337億65百万円(同0.9%増)となり、経常損失は2億16百万円(前年同期は38億62百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31百万円(前年同期比98.7%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,001億13百万円減少し7,164億53百万円となりました。これは主に、信用取引資産が134億85百万円、預託金が106億85百万円増加した一方で、有価証券担保貸付金が706億74百万円、トレーディング商品が546億60百万円減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ953億24百万円減少し5,313億82百万円となりました。これは主に、預り金が195億84百万円増加した一方で、トレーディング商品が629億36百万円、有価証券担保借入金が342億39百万円、短期借入金が144億80百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ47億89百万円減少し1,850億70百万円となりました。これは主に、自己株式が20億6百万円減少(純資産は増加)、非支配株主持分が40億96百万円、利益剰余金が30億21百万円減少したことによるものであります。
2)経営成績
当第2四半期連結累計期間における当社グループの営業収益は334億77百万円(前年同期比9.2%減)、純営業収益は327億56百万円(同9.7%減)となりました。販売費・一般管理費は337億65百万円(同0.9%増)となり、経常損失は2億16百万円(前年同期は38億62百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31百万円(前年同期比98.7%減)となりました。
受入手数料
受入手数料の合計は219億5百万円(前年同期比5.2%減)となりました。主な内訳は次のとおりです。
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
(百万円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
(百万円)
委託手数料
9,695
7,697
引受け・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の手数料
399
206
募集・売出し・特定投資家向け
売付け勧誘等の取扱手数料
5,337
6,219
その他の受入手数料
7,674
7,782
合計
23,106
21,905
委託手数料
当第2四半期連結累計期間における東証の1日平均売買高(内国普通株式)は16億71百万株(前年同期比4.4%増)、売買代金は3兆4,193億円(同6.4%増)となりましたが、国内外の市況が不安定ななか、当社グループにおいては個人のお客さまを中心に委託売買代金は減少しました。
これらの結果、株式委託手数料は73億92百万円(同21.6%減)となりました。また、債券委託手数料は0百万円(同32.5%減)、その他の委託手数料は3億4百万円(同15.4%増)となり、委託手数料の合計は76億97百万円(同20.6%減)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
当第2四半期連結累計期間における株式の引受けは、新規上場案件、既上場案件ともに市場全体の金額が前年同期比で大きく減少した影響から、当社の引受金額も減少しました。また、債券の引受けは、地方債や事業債等の主幹事を務めたものの、厳しい起債環境下で事業債等の発行額が減少した影響を受け、引受金額も減少しました。
これらの結果、株式の手数料は77百万円(前年同期比53.8%減)、債券の手数料は1億28百万円(同44.2%減)となり、株式・債券を合わせた引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料の合計は2億6百万円(同48.3%減)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料につきましては、投資信託関連収益がその大半を占めています。
当第2四半期連結累計期間においては、公募投資信託の販売額が前年同期比で増加しました。安定的な収益が期待される医療関連株式に投資するファンドや高い利回りに着目した海外債券型や資産複合型のファンド、また新規に導入した世界の中型株に投資するファンドなどで販売が堅調となりました。
これらの結果、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は62億19百万円(前年同期比16.5%増)となりました。また、その他の受入手数料については、主に投資信託の信託報酬等により77億82百万円(同1.4%増)となりました。
トレーディング損益
前第2四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
(百万円)
当第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
(百万円)
株券等トレーディング損益
7,869
5,888
債券等トレーディング損益
4,335
4,421
その他のトレーディング損益
△51
△295
合計
12,152
10,015
株券等トレーディング損益は主に米国株式を中心とした外国株式の国内店頭取引、債券等トレーディング損益は外国債券の顧客向け取扱いに伴う収益がその大半を占めています。
当第2四半期連結累計期間においては、米国株式市況の下落を背景に、主に個人の国内店頭取引が前年同期比で減少しました。また、外国債券は海外金利の上昇を受け、主に法人を中心に販売が増加しました。
これらの結果、株券等トレーディング損益は58億88百万円(前年同期比25.2%減)、債券等トレーディング損益は44億21百万円(同2.0%増)となり、その他のトレーディング損益2億95百万円の損失(前年同期は51百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は100億15百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
金融収支
金融収益は10億82百万円(前年同期比1.2%減)、金融費用は7億20百万円(同24.1%増)となり、差引の金融収支は3億61百万円(同29.7%減)となりました。
その他の営業収益
金融商品取引業及び同付随業務に係るもの以外の営業収益は、4億74百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
販売費・一般管理費
販売費・一般管理費は、事務費や人件費の増加等により、337億65百万円(前年同期比0.9%増)となりました。
営業外損益及び特別損益
営業外収益は主に受取配当金の計上により8億95百万円、営業外費用は1億3百万円となりました。また、特別利益は2億75百万円、特別損失は77百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券ビジネス
証券ビジネスにおいては、投資信託関連収益が増加した一方、国内外株式に係る委託手数料やトレーディング損益が減少したことにより、当第2四半期連結累計期間における証券ビジネスの営業収益は300億4百万円(前年同期比9.9%減)、セグメント損失は11億1百万円(前年同期は28億3百万円の利益)となりました。
アセットマネジメントビジネス
アセットマネジメントビジネスにおいては、運用資産平均残高の減少により、当第2四半期連結累計期間におけるアセットマネジメントビジネスの営業収益は47億86百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は1億1百万円(同49.3%減)となりました。
サポートビジネス
当第2四半期連結累計期間におけるサポートビジネスの営業収益は71億6百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は7億46百万円(同102.9%増)となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末に比べ38億16百万円減少し、当第2四半期連結累計期間末には759億72百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、87億45百万円(前年同期は413億52百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減364億35百万円、預り金の増減110億93百万円による資金の獲得と、トレーディング商品の増減157億28百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増減142億64百万円、顧客分別金信託の増減105億80百万円による資金の使用との差引によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、31億18百万円(前年同期は6億53百万円の資金の使用)となりました。これは主に、事業譲受による収入50億83百万円による資金の獲得と、無形固定資産の取得による支出21億3百万円、投資有価証券の取得による支出19億65百万円による資金の使用との差引によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、171億8百万円(前年同期は314億83百万円の資金の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増減152億35百万円、配当金の支払29億66百万円による資金の使用によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
該当事項はありません。
#C8609JP #岡三証券グループ #証券商品先物取引業セクター