【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和されたことや、感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されたことで経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢の長期化、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価上昇の継続などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社と関連性が高いわが国海運・造船業界は、海運業界では、世界経済の不確実性により海上荷動きの軟化リスクは伴うものの、引き続き、限定的な造船供給力(新造船竣工量)を背景に市況は底堅く推移する見通しです。また、造船業界においても、国内造船所は、昨年前半までの海運好況時に受注を積み上げており、手持ち工事量が急回復しております。
このような状況下、当社は、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、主機の受注拡大を具体化し、更にはグローバルライセンサーとして、ライセンス事業を強化することで、世界シェアの向上を目指しております。また、脱炭素の取り組みを進める顧客や業界、社会の要請に応えるべく、当社独自の技術力に磨きをかけ、次世代脱炭素燃料エンジンの開発にも並行して取り組み、気候変動課題の解決に資する革新製品の開発・製品化を進めることで、ESG経営の深化と持続的な企業価値の向上を目指しております。
当第1四半期における経営成績は、売上高は3,888百万円となり、前年同四半期比△8.0%の減収、損益は、営業利益は228百万円となり、134.8%の増益、経常利益は272百万円となり、126.3%の増益、四半期純利益は217百万円となり、88.9%の増益となりました。当第1四半期は、次世代脱炭素燃料エンジン対応のための設備工事の影響もあり、主機関の売上高が前年同期比で減少したものの、コロナ禍からの正常化、行動制限緩和もあり、アフターサービスは堅調に推移し、また、ライセンス事業の強化により、UEエンジンのグローバル展開が順調に進んだことで、ロイヤリティー収入および部品供給事業は急拡大しました。この結果、前年同四半期比では減収・増益となっておりますが、経営成績は期初計画を上回るレベルで進捗しております。今後、設備工事による生産制限の影響は順次、解消され、増産体制に移行する予定であり、主機関の受注も好調を維持する中、通期の売上高は大幅に増加し、前年実績も大きく上回る見通しです。また、アフターサービス、ロイヤリティー収入および部品供給事業についても、豊富な受注残を有しており、引き続き、伸長していく見通しです。売上高および損益の詳細は、以下の通りです。
<売上高>
当第1四半期における主機関の売上高は1,169百万円となり、前年同四半期比では、1,455百万円(△55.4%)の減収となりました。これは、アンモニア・水素燃料エンジンのフルスケール実機製造に向けた設備工事の影響です。
主機関では、当社UEエンジンの優れた環境・燃費性能を訴求する積極的な営業活動の成果で、最新鋭省エネ主機関であるLSH型を中心として、受注が好調に推移しております。また、窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)に適合する環境対応設備(EGR/SCR)をオプションで主機関に搭載する比率が向上したことで、販売単価は上昇しております。これらの結果、当第1四半期には、7,279百万円の受注高を積み上げており、当第1四半期末時点での受注残高は、前年度末時点から6,109百万円増加して、18,529百万円となりました。これは、前年度の通期の主機関の売上高6,437百万円に対して、2.8倍(287%)の水準となります。
現在進行中の設備工事の影響は上半期までで解消する見通しであることから、下半期には、自社設備を最大限に稼働させ、集中的に生産を進めていきます。これに加えて、積み上がった受注高を従来以上の速度で売上高に転換していくべく、国内ライセンシーへの主機関の製造委託を新たに開始しております。製造委託による売上高の増加は、下半期から本格的に寄与していく見通しであり、通期では、当社およびライセンシーの双方で生産する効果と販売単価上昇が組み合わさり、売上高は前年度比で大きく伸長する見通しです。
修理・部品等の売上高は、2,718百万円となり、前年同四半期比1,117百万円(69.8%)の増収となりました。アフターサービスでは、エンジンユーザー様への丁寧な客先対応を継続する中で、船舶の稼働率改善によるメンテナンス需要や、EEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index / 就航船エネルギー効率指標)に対応する主機関改造工事の需要などを取込むことで、売上高は前年同四半期比を上回って推移しております。また、ライセンスでは、多くのリプレース需要が見込まれる中国内航船マーケット向けを中心に、ライセンシーでのUEエンジンの受注が拡大を続けております。これに伴い、ライセンシーからのロイヤリティー収入やライセンシー向けのキーコンポーネントの販売が大きく伸長しております。
<損益>
主機関では、設備工事を見据えた生産時期の調整で工場操業を平準化するとともに、生産計画最適化による同型エンジンの連続生産などで生産性を高めております。また、修理・部品等では、アフターサービス、ライセンス、部品供給のいずれもが、堅調・好調に推移することで増収となり、増益となりました。研究開発については、グリーンイノベーション基金事業のもとで、アンモニア・水素燃料エンジンの開発を予定通り進捗中で、進捗に応じた研究開発費を計上するとともに、交付金を受け取ることで、営業外収益に計上しております。この先、下半期には、水素燃料エンジン実機製造に向けた燃料供給装置・運転装置などが完成する予定であり、その際に、グリーンイノベーション基金事業からの交付金が大きく増加し、営業外収益が大きく伸びる見通しです。
当第1四半期に、当社は世界で初めて、大型低速2ストロークエンジンでのアンモニア混焼運転に成功しました。また、水素燃料エンジンについては、キー技術のひとつである水素燃料噴射装置を当社工場内に設置し、作動試験を開始しております。これらは、「グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」プロジェクトにおける、次世代脱炭素燃料エンジン開発・製品化の取組みです。また、重油燃料エンジンの製品競争力強化にも取組んでおり、最新鋭LSHシリーズのラインアップ拡充に向け、60LSH型機関の開発にも着手しております。今後、60LSH型機関をベースに、アンモニア燃料エンジン60LSJA型機関の開発も同時並行で進めて参ります。当社は、先端技術領域への戦略的な先行投資による将来の主力事業育成と、足元での各事業領域の更なる成長牽引を両輪として、引き続き、適時適切な打ち手を講じることで、経営成績を一段と伸長させてまいります。
当第1四半期会計期間末における財政状態は以下の通りです。
流動資産は、前事業年度末に比べ11.0%増加し、16,882百万円となりました。これは主として現金及び預金が271百万円減少、受取手形及び売掛金が924百万円増加、製品が1,096百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ2.0%増加し、5,312百万円となりました。これは主として無形固定資産が31百万円増加、投資その他の資産が77百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ8.7%増加し、22,195百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べ7.5%増加し、11,227百万円となりました。これは主として電子記録債務が399百万円増加、受注損失引当金が647百万円増加、その他流動負債が207百万円減少したことなどによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ31.4%増加し、3,450百万円となりました。これは主として長期借入金が839百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ12.3%増加し、14,678百万円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べ2.4%増加し、7,517百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は、163百万円であります。
なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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