【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社は、連結子会社であったシンパツサンライズ株式会社を2022年4月1日付で吸収合併したため、当事業年度から連結財務諸表を作成しておりません。そのため、当第3四半期の経営成績及び財政状態については、すべて当社の財務諸表に基づく開示を行っております。これに伴い、前年同四半期及び前期の経営成績及び財政状態についても、期間比較可能性の観点から当社の財務諸表に基づいて開示しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の各種行動制限が段階的に緩和され、経済活動の正常化が進むことで、企業収益、設備投資、生産、個人消費等で緩やかな景気持ち直しの動きが見られました。一方で、金融資本市場の変動や物価上昇、高水準で推移する資源・原材料価格、更にはロシア・ウクライナ情勢の長期化や中国経済の足元での鈍化観測が残る中で、多くの景気後退懸念を内包した先行き不透明な状況が継続しております。
当社と関連性が高いわが国海運・造船業界は、海運業界では、混乱した物流網が正常化に向かう中、世界経済の減速による荷動きの低迷が顕在化しつつあります。造船業界では、コロナ禍からの経済活動再開時に、新造船商談を数多く成約し、一定の手持ち工事量を確保しており、海運各社による今後の新造船発注動向を注視している状況にあります。
このような状況下、当社は、昨年前半に高水準で推移した新造船発注局面に、LSH型を中心とした最新鋭省エネ主機関の積極的な営業活動を展開することで、豊富な先行き受注・内定案件を抱えており、その後も主機関の拡販活動を弛まず進めることで受注・内定案件の上積みを進めております。また、修理・部品等の分野でも、環境規制対応メニューの充実によるアフターサービス事業の伸長、ライセンス事業でのグローバル展開強化などを梃子とすることで、当社事業全体の持続的な発展を目指し、売上高の益々の拡大と、収益力の強化に努めております。
当第3四半期における取組みの主な成果は、主機関では、関係する皆様からの幅広いご愛顧・ご支援のお陰をもちまして、2022年12月に、UEエンジンの生産が累計で4,000万馬力(4,586台)に到達しました。また、次世代燃料エンジンの開発も順調に進捗しており、アンモニア・水素燃料エンジンの実機製造にむけた、当社工場内の設備改修・新設工事が本格化しております。
修理・部品等では、アフターサービスで、海運会社・船級協会と進めてきた共同研究の成果として、エンジン部品(主軸受)の新たなメンテナンス手法が日本海事協会に認証されました。これは、従来の時間基準保全(TBM)に代わり、状態基準保全(CBM)を採用、データ計測やセンサーによる監視で機器の状態を確認し、必要なタイミングで必要な保全を実施するものです。当社でのDX推進による製品付加価値向上の取組みの一環であり、船舶高度化・自律化実現への寄与も見込んでおります。また、ライセンス事業では、海外ライセンシーで急拡大しているUEエンジンの生産を引き続き支援しており、このような中、今後のライセンシーとの連携を更に強化し、ライセンス事業伸長に繋げるべく、ライセンス契約の更改を順次進めております。
当第3四半期における売上高は、主機関で、販売台数の増加と販売単価の上昇が基調として継続しており、5,659百万円となって、前年同四半期比896百万円(18.8%)の増収となりました。台数面では、LSH型を中心とする新型省エネ主機関が好調であること、単価面では、窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)の適用に伴い、環境対応設備(EGR/SCR)をオプションで主機関本体に搭載していること、当社の最先端技術となる層状噴射を適用したLSJ型機関を販売していることなどが寄与しております。
また、修理・部品等では、アフターサービス、ライセンス、部品供給、他製品向け取込み工事の全てが上向きであり、売上高は6,066百万円となり、前年同四半期比1,118百万円(22.6%)の増収となりました。
アフターサービス事業では、船舶の稼働率改善と人流制限の緩和で海外向けメンテナンス需要も回復しており、加えてEEXI規制(Energy Efficiency Existing Ship Index / 就航船エネルギー効率指標)に対応する主機関改造工事の受注・販売も売上高を押し上げております。また、ライセンス・部品供給事業については、海外ライセンシーでの当社ライセンスエンジンの生産が順調に立ち上がりを続ける中で、ロイヤリティー収入や部品供給の売上が増加しております。加えて、他製品向け取込み工事については、設備工事により主機関は生産計画を調整しているものの、工事の影響を受けない工場内の各種リソースについては、他製品向けに転活用することで、順調に拡大しております。
これらの結果、売上高全体としては、11,726百万円となり、前年同四半期比2,015百万円(20.8%)の増収となりました。
なお、当社では、次世代燃料エンジンの実機製造に向け、当第3四半期から、翌第2四半期にかけて設備工事を実施予定であり、これまで積み上がっている主機関の受注は、一部を当該工事の前後に割り振って生産するとともに、ライセンシーにも製造を委託することで、生産計画を最適化しております。この結果、主機関の売上高は、本年度は上半期に、来年度は下半期に、各々偏重する見通しであります。このうち、本年度の第4四半期単期については、主機関の販売台数が、前年同四半期を下回る計画となりますが、本年度の第3四半期累計期間までの販売台数の増加と、販売単価の上昇で、年度を通しては、第4四半期の一時的な台数減少の影響を吸収して、前年度を若干上回る水準での売上高を見込んでおります。また、その一方で、修理・部品等の売上高は伸長局面にあり、上記の通り、アフターサービスではEEXI規制に対応する改造工事の増加が、ライセンス・部品供給では、海外ライセンシーでの順調な立ち上がりが、他製品向け取込み工事では主機関の生産台数調整で生じるリソースの転活用が、各々主要因となって引き続きの増収を予定しております。この結果、当社全体としての売上高は、設備工事の影響を吸収して、主に修理・部品等の増収見合いで、前年度からの増収を予定しております。
損益面では、主機関では、生産計画や部品供給時期を最適化することで、工場操業を高位に保持しており、更に同型エンジンの連続生産を実現することで生産性を向上させております。また、当第3四半期においても好採算の輸出案件を計上し損益が改善しました。修理・部品等では、アフターサービス、ライセンス、部品供給の各事業ともに増収となったことで増益となりました。研究開発では、グリーンイノベーション基金事業のご支援下で、アンモニア・水素燃料エンジンの開発を進捗させており、関連する研究開発の費用等を計上しておりますが、上記の好調な事業展開を背景に損益への影響を吸収しており、また、開発進捗に応じて受領する交付金を営業外収益に計上することで、営業利益は前年同四半期比で減益となりますが、経常利益、四半期純利益は前年同四半期比で増益となっております。具体的には、営業利益は319百万円となり△9百万円(△2.8%)の減益、経常利益は448百万円となり124百万円(38.4%)の増益、四半期純利益は505百万円となり206百万円(69.1%)の増益となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べ10.1%増加し、14,728百万円となりました。これは主として現金及び預金が614百万円増加、製品が269百万円増加、仕掛品が704百万円増加、原材料及び貯蔵品が247百万円減少したことなどによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ5.2%増加し、4,264百万円となりました。これは主として投資その他の資産が153百万円増加したことなどによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ8.9%増加し、18,993百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べ15.3%増加し、9,956百万円となりました。これは主として電子記録債務が759百万円増加、受注損失引当金が748百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ11.6%減少し、1,987百万円となりました。これは主として長期借入金が197百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ9.7%増加し、11,943百万円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べ7.6%増加し、7,049百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は、336百万円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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