【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社は、連結子会社であったシンパツサンライズ株式会社を2022年4月1日付で吸収合併したため、当事業年度から連結財務諸表を作成しておりません。そのため、当第2四半期の経営成績及び財政状態については、すべて当社の財務諸表に基づく開示を行っております。これに伴い、前年同四半期及び前期の経営成績及び財政状態についても、期間比較可能性の観点から当社の財務諸表に基づいて開示しております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期におけるわが国経済は、コロナ感染拡大の中でも経済活動が維持されたことで個人消費は堅調に推移し、また、企業による脱炭素やDX対応などの設備投資が回復に向かったことで、景気は緩やかに持ち直す動きが見られました。一方で、金融引き締めに伴う海外経済の減速、物価上昇による消費者の実質購買力の低下、供給面での制約、冬場のエネルギー逼迫懸念など、景気下振れリスクも潜在し、先行きは依然として不透明な状況で推移しております。
当社と関連性が高いわが国海運・造船業界は、海運業界では、引き続き市況は底堅く推移しております。また、造船業界では、これまでの新造船商談の成約で、造船各社の先行き手持ち工事量は概して確保されております。
このような状況下、当社は、LSH型を中心とした最新鋭省エネ主機関の拡販や、環境規制対応メニューの充実によるアフターサービス事業の伸長、ライセンス事業でのグローバル展開強化などを梃子に、事業の持続的な発展を目指して、売上高の拡大と、収益力の強化に努めております。
主機関では、次世代燃料エンジン開発の成果として、アンモニア燃料アンモニア輸送船の基本設計承認(AiP/Approval in Principle)を本年9月に取得しました。代替設計承認を見据えたリスク評価及びAiPの取得は世界初となり、アンモニア燃料エンジン実機を搭載した船舶の実証運航実現(2026年度)に向け、大きな前進となります。また、重油燃料エンジンの競争力強化の取組みとしては、LSJシリーズ(MGO専焼機関)2機種目となる6UEC35LSJ型機関初号機を本年7月に完成させました。LSJ型機関には、GHGゼロエミッションエンジンへの橋渡しとなる、当社独自の層状噴射技術を適用しており、上記初号機の完成時には100%バイオ燃料での工場試運転も実施し、LSJ型機関によるカーボンニュートラル達成のポテンシャルを実証しております。
修理・部品等の分野では、ライセンス事業の拡大が続いており、海外ライセンシー(YDE:Zhejiang Yungpu Diesel Engine Co., Ltd.)において当社支援のもと、世界の初号機となるUEC33LSH-C2型機関が本年9月に完成しました。同じく新規ライセンシーとして立上り支援を強化してきたGDF社(Guangzhou Diesel Engine Factory Co., Ltd.)においても連続生産に移行しており、今後、製造台数の増加を見込んでおります。これに伴い、当社からライセンシーに対する部品供給の売上も拡大しており、当社事業はシナジー効果を生みつつ伸長しております。アフターサービス事業では、GHG排出対策として、2023年1月から就航船はEEXI規制(Energy Efficiency Existing Ship Index/就航船エネルギー効率指標)への適合が求められており、当社は、主機関の出力を制限する改造工事(EPL:Engine Power Limitation)を有効なソリューションとして提案しております。本工事の対象は全世界のUE機関搭載船であり、規制開始が迫る中、国内外ライセンシーを含めたUEファミリー全体が連携して工事受注を積み上げ、鋭意、施工を進めております。
当第2四半期の売上高は、主機関で、LSH型を中心とする新型省エネ主機関の拡販が奏功して販売台数が増加したことに加え、環境対応適合の価値を製品に付加したことで販売単価も上昇しております。窒素酸化物3次規制(NOxTierⅢ)に対応する環境対応設備(EGR/SCR)の主機関への搭載比率は益々高まっており、加えて当第2四半期は、環境対応を先取りするLSJ型機関の売上も計上したことで4,358百万円となり、前年同四半期比978百万円(29.0%)の増収となりました。修理・部品等では、アフターサービス事業において、環境規制対応メニューの充実などで売上を伸長させたことで、大口特需案件の減少を吸収して前年同期比で増収となり、また、ライセンス・部品供給事業においても、海外ライセンシーでの当社ライセンスエンジンの生産が本格的に始動したことを受けてロイヤリティー収入や部品供給の売上が増加し、合計では3,708百万円となり、前年同四半期比では316百万円(9.3%)の増収となりました。この結果、売上高全体としては、8,066百万円となり、前年同四半期比1,295百万円(19.1%)の増収となりました。
損益面では、主機関では、生産台数の増加で工場操業が引き続き高位で安定しており、同型エンジンの連続生産などの工程最適化に継続して取組むことで生産性が改善、また、第2四半期においても好採算の輸出案件を計上したことも損益改善に繋がりました。修理・部品等では、アフターサービス事業およびライセンス・部品供給事業で増収となったことから増益となりました。一方、グリーンイノベーション基金事業のご支援下で、アンモニア・水素燃料エンジンの研究開発を進捗させた結果、営業利益に影響がありましたが、それ見合いで交付金を受領し、営業外収益に計上したことで、経常利益は前年同四半期比で増益となりました。具体的には、営業利益は219百万円で、前年同四半期比では△50百万円(△18.8%)の減益となり、経常利益は281百万円となり前年同四半期比11百万円(4.2%)の増益、四半期純利益は284百万円となり、前年同四半期比53百万円(23.4%)の増益となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べ4.1%増加し、13,932百万円となりました。これは主として現金及び預金が95百万円減少、受取手形及び売掛金が761百万円増加、電子記録債権が114百万円減少、製品が142百万円減少、仕掛品が254百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ0.7%減少し、4,027百万円となりました。これは主として有形固定資産が27百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べ3.0%増加し、17,960百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べ5.3%増加し、9,097百万円となりました。これは主として電子記録債務が328百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ8.2%減少し、2,063百万円となりました。これは主として長期借入金が141百万円減少したことなどによるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ2.5%増加し、11,161百万円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べ3.7%増加し、6,798百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前会計年度末に比べ95百万円減少し、3,992百万円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
仕入債務の増加443百万円などがあり、営業活動によるキャッシュ・フローは257百万円の収入(前年同四半期は747百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出122百万円があり、投資活動によるキャッシュ・フローは122百万円の支出(前年同四半期は101百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入れの返済による支出141百万円などがあり、財務活動によるキャッシュ・フローは230百万円の支出(前年同四半期は308百万円の支出)となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は、216百万円であります。
なお、当第2四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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