【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易摩擦や世界経済の不確実性などから先行きの不透明感が覗くものの、企業収益の向上や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、2020年に入って新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内外の経済活動への影響が懸念されるようになり、先行き不透明な状況で推移いたしました。一方、当社グループが属する情報サービス産業におきましては、経済産業省の「特定サービス産業動態統計」によると、2020年2月の情報サービス業の売上高合計は前年同月比4.4%増と、17か月連続して増加となりました。主力の「受注ソフトウエア」は前年同月比3.8%増加、「ソフトウエアプロダクツ」は同11.3%増加、「システム等管理運営受託」は同2.5%増加となりました。
このような経営環境の中、当社は当連結会計年度の基本方針として次の項目について取り組んでまいりました。
a) 赤字プロジェクト・低採算プロジェクト縮小の体制強化以前より継続して赤字プロジェクト・低収益プロジェクト縮小に取組み、PRM活動を日々改善しながら運用してまいりましたが、さらなる充実を図るため執行役員、技術者などにより組織したワーキンググループを立ち上げ、“PRM強化策”の構築を進めてまいりました。その結果、新PRM強化策“PRiMER”を構築し、運用を開始いたしました。今後は、PRiMERを運用し、改善を繰り返すことによりさらに強固なものに改善し運用することにより再発防止に努めてまいります。
b) データサイエンス事業を立上げ、ITコンサルタント事業に取り組む日本アイ・ビー・エム株式会社が提供する「Watson Developer Cloud」のAPIを利用した、活用しやすいコグニティブ・アプリケーションの構築により、企業が導入し易いサービスの提供と導入に向けたコンサルタント業務を行い、新たな価値と利便性のある最適なソリューションを提供いたします。ソフトバンク株式会社が日本アイ・ビー・エム株式会社と共同で提供する、「IBM Watsonエコシステムプログラム」による「IBM Watson」を活用した新しいビジネスアイデアを展開し、アプリケーションやサービスを提供いたします。また、アプリケーション開発や導入コンサルティング、データの提供など、開発に関するさまざまなサポートも提供すると共に、当社独自のWatson導入エントリーパックも提供し、データサイエンス事業を進めてまいります。
c) ストックビジネスの拡大と優良顧客の獲得を重点的に実行当連結会計年度においては、既存顧客からの継続受注を安定的に確保したことに加え、新規顧客などからの案件を積極的に受注した結果、ソフトウエア開発業務の売上高は前年同期比17.3%増加しました。
d) ソリューションビジネスの更なる拡大と組込み系ソフトウエアビジネスの拡大ソリューションビジネスおよび組込み系ソフトウエアビジネスの拡大に取組んだ結果、SIサービス業務の売上高は前年同期比11.0%増加しました。
e) 働き方改革の実践労務面については、従業員のワーク・ライフ・バランス実践のため、「グッド・ジョブ・チャレンジ」として、政府の「働き方改革」に先行して、ノー残業デーの実施強化、事前承認残業の徹底、有給休暇の取得率向上などを進めております。
業務区分別の売上高につきましては、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソフトウエア関連事業の単一セグメントであるため、業務区分別の業績を記載しております。企業のシステム構築を中心とするSIサービス業務は、自動車関連製造業をはじめ製造業や流通業、サービス業などからのIT投資需要が堅調に推移したことにより、売上高は6,802百万円(前年同期比11.0%増)となりました。ソフトウエア開発業務では、既存顧客からの継続受注を安定的に確保ができ堅調に推移したことに加え、新規顧客などからの案件を積極的に受注した結果、売上高は8,565百万円(前年同期比17.3%増)となりました。ソフトウエアプロダクト業務におきましては、パッケージソフトウエア「BIG給与計算Neo」、「BIG財務会計Neo」などの消費税増税対応版の売上本数が伸びたことなどにより、売上高は583百万円(前年同期比29.0%増)、商品販売ではパソコン・情報機器、ソフトウエア等の商品仕入れ販売により、売上高は202百万円(前年同期比5.3%減)となりました。その他WEBサイトの運営ならびにクラウドサービス(SaaS)等での売上高は96百万円(前年同期比54.4%増)となりました。利益面におきましては、顧客企業のIT投資は引き続き堅調に推移しており、受注量の増加に伴いIT技術者稼働率は高稼働を維持しております。また、経費削減策を継続するとともに、PRM(プロジェクト・リスク・マネジメント)活動に引き続き取り組むことにより利益改善につながりました。なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は軽微であり、以上の結果、当期における連結業績は、売上高16,250百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益1,723百万円(前年同期比33.4%増)、経常利益1,737百万円(前年同期比33.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,237百万円(前年同期比34.4%増)と、9期連続の増収増益となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。当社グループはソフトウエア関連事業の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。
① 生産実績当連結会計年度の生産実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,797
110.4
ソフトウエア開発業務
8,565
117.3
ソフトウエアプロダクト業務
583
129.0
その他
96
154.4
合計
16,042
114.8
(注) 1 金額は、販売価格によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 外注実績当連結会計年度の外注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
2,678
110.7
ソフトウエア開発業務
3,674
127.6
ソフトウエアプロダクト業務
42
109.4
その他
0
46.8
合計
6,396
119.8
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績当連結会計年度の仕入実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
商品販売
177
95.4
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 受注実績当連結会計年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,531
109.6
1,224
81.8
ソフトウエア開発業務
9,077
115.3
1,702
142.9
ソフトウエアプロダクト業務
582
145.1
108
99.0
商品販売
188
85.6
39
74.2
合計
16,380
113.3
3,074
107.9
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 販売実績当連結会計年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,802
111.0
ソフトウエア開発業務
8,565
117.3
ソフトウエアプロダクト業務
583
129.0
商品販売
202
94.7
その他
96
154.4
合計
16,250
114.8
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱トヨタシステムズ
2,390
16.8
2,397
14.7
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3 2019年1月1日付で㈱トヨタコミュニケーションシステム、㈱トヨタデジタルクルーズ、㈱トヨタケーラムの3社が合併し、㈱トヨタシステムズとなりました。前連結会計年度の金額には2018年4月1日から2018年12月31日までの期間における㈱トヨタコミュニケーションシステムおよび㈱トヨタケーラムとの取引金額を含めて記載しております。
(2) 財政状態
① 資産の部当連結会計年度末の流動資産は8,798百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,213百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が945百万円増加および売掛金が277百万円増加したことによるものであります。当連結会計年度末の固定資産は1,893百万円であり、前連結会計年度末に比べ68百万円減少しました。主な要因は、退職給付に係る資産が81百万円減少したことによるものであります。
② 負債の部当連結会計年度末の流動負債は3,711百万円であり、前連結会計年度末に比べ238百万円増加しました。主な要因は、未払法人税等が121百万円増加および賞与引当金が102百万円増加したことによるものであります。当連結会計年度末の固定負債は686百万円であり、前連結会計年度末に比べ9百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が9百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部当連結会計年度末の純資産は6,294百万円であり、前連結会計年度末に比べ916百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が986百万円増加したことによるものであります。
当社グループの自己資本比率および流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、58.8%、237.0%となり、良好な財政状態を保っております。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ945百万円増加し、5,332百万円(前年同期末は4,386百万円)となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により増加した資金は、1,308百万円(前年同期は1,103百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,731百万円、減価償却費124百万円、賞与引当金102百万円などの増加要因が、売上債権の増加による減少額305百万円、法人税等の支払額403百万円などの減少要因を上回ったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により減少した資金は、50百万円(前年同期は71百万円の減少)となりました。これは主に有形・無形固定資産の取得による支出85百万円などによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により減少した資金は、312百万円(前年同期は184百万円の減少)となりました。これは主に、長・短期借入れによる収入1,780百万円、長・短期借入金の返済による支出1,841百万円や配当金の支払額250百万円などによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保と金融機関からの借入による資金調達を基本方針としております。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は5,332百万円であり、資金の流動性は十分に確保できております。なお、資金の主要な使途としては、運転資金であり、経済情勢の悪化等により、万一事業環境が悪化した場合でも一定程度の運転資金の水準を維持することとしております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
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