【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当社グループの当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費の低迷が続くなど厳しい状況となりました。また景気の先行きについては、各種政策効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されているものの、感染再拡大による国内外経済の下振れリスクや金融資本市場の変動等の影響について注視していく必要があります。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、経済産業省の「特定サービス産業動態統計」によると情報サービス業の売上高合計は、2021年1月には6か月ぶりに前年同月比3.3%増と増加したものの、2021年2月には前年同月比4.1%減と前月の増加から再び減少になりました。その内訳では主力の「受注ソフトウェア」は前年同月比5.4%減少、「ソフトウェアプロダクツ」は同7.4%減少、「システム等管理運営受託」は同1.1%減少となりました。
このような経営環境の中、当社は当連結会計年度の基本方針として次の項目について取り組んでまいりました。
a) 赤字プロジェクト・低採算プロジェクト縮小の体制強化以前より継続して赤字プロジェクト・低収益プロジェクト縮小に取組み、PRM活動を日々改善しながら運用してまいりましたが、さらなる充実を図るため執行役員、技術者などにより組織したワーキンググループを立ち上げ、“PRM強化策”の運用を進めております。前期構築した新PRM強化策“PRiMER”を運用するなかで、より強固なものに改善し原因分析と再発防止に努めております。
b) ストックビジネスの拡大と優良顧客の獲得を重点的に実行当連結会計年度においては、既存顧客からの継続受注を安定的に確保したことに加え、新規顧客などからの案件を積極的に受注した結果、ソフトウエア開発業務の売上高は前年同期比7.1%増加しました。
C) ソリューションビジネスの更なる拡大と組込み系ソフトウエアビジネスの拡大ソリューションビジネスおよび組込み系ソフトウエアビジネスの拡大に取組みました。
d) データサイエンス事業、AI関連事業に取り組む日本アイ・ビー・エム株式会社が提供する「Watson Developer Cloud」のAPIを利用した、活用しやすいコグニティブ・アプリケーションの構築により、企業が導入し易いサービスの提供と導入に向けたコンサルタント業務を行い、新たな価値と利便性のある最適なソリューションを提供いたします。また、お客様の現場でのDXや働き方改革、コロナ禍に起因する3密回避の取り組みなど、デジタル技術を活用した業務改革のニーズに応えるべく、ペーパーレスソリューション「デジペーパー」や画像認識AI開発クラウドサービス「MODEWO」の提供を開始しました。
e) 働き方改革の実践労務面については、従業員のワーク・ライフ・バランス実践のため、「グッド・ジョブ・チャレンジ」として、政府の「働き方改革」に先行して、ノー残業デーの実施強化、事前承認残業の徹底、有給休暇の取得率向上などを進めております。
業務区分別の売上高につきましては、次のとおりであります。なお、当社グループは、ソフトウエア関連事業の単一セグメントであるため、業務区分別の業績を記載しております。企業のシステム構築を中心とするSIサービス業務は、自動車関連製造業をはじめ当社主要顧客が新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や世界的な半導体不足もあり、先行き不透明感が続く中でIT投資の延期、縮小など受注環境が低調に推移したことにより、売上高は6,234百万円(前年同期比8.3%減)となりました。ソフトウエア開発業務は、既存顧客からのメンテナンス業務などの継続受注を安定的に確保できたことなどにより、新型コロナウイルス感染症の影響は少なく、売上高は9,181百万円(前年同期比7.1%増)となりました。ソフトウエアプロダクト業務におきましては、前年の消費税増税対応版特需の反動により、売上高は339百万円(前年同期比41.7%減)、商品販売ではパソコン・情報機器、ソフトウエア等の商品仕入れ販売により、売上高は244百万円(前年同期比20.5%増)となりました。その他WEBサイトの運営ならびにクラウドサービス(SaaS)等では巣ごもり需要が追い風となり、新規オンラインショップ開設数、GMV(流通取引総額)が伸びたことから、売上高は158百万円(前年同期比64.2%増)となりました。利益面におきましては、SIサービスの売上高が伸びなかったことや、利益率の高いソフトウエアプロダクト製品の消費税増税対応版特需の反動による売上減少などが影響し利益率を押し下げました。以上の結果、当期における連結業績は、売上高16,158百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益1,567百万円(前年同期比9.0%減)、経常利益1,589百万円(前年同期比8.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,089百万円(前年同期比11.9%減)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。当社グループはソフトウエア関連事業の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。
① 生産実績当連結会計年度の生産実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,233
91.7
ソフトウエア開発業務
9,181
107.1
ソフトウエアプロダクト業務
339
58.2
その他
158
164.2
合計
15,913
99.1
(注) 1 金額は、販売価格によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 外注実績当連結会計年度の外注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
2,197
82.0
ソフトウエア開発業務
4,059
110.4
ソフトウエアプロダクト業務
53
124.5
その他
0
115.5
合計
6,310
98.6
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 仕入実績当連結会計年度の仕入実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
商品販売
198
112.0
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 受注実績当連結会計年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,356
97.3
1,346
109.9
ソフトウエア開発業務
9,011
99.2
1,532
89.9
ソフトウエアプロダクト業務
337
57.9
105
97.8
商品販売
234
124.2
29
75.8
合計
15,939
97.3
3,014
98.0
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 販売実績当連結会計年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
SIサービス業務
6,234
91.7
ソフトウエア開発業務
9,181
107.1
ソフトウエアプロダクト業務
339
58.3
商品販売
244
120.5
その他
158
164.2
合計
16,158
99.5
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱トヨタシステムズ
2,397
14.7
2,331
14.4
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
① 資産の部当連結会計年度末の流動資産は9,182百万円であり、前連結会計年度末に比べ383百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が476百万円増加および売掛金が96百万円減少したことによるものであります。当連結会計年度末の固定資産は2,017百万円であり、前連結会計年度末に比べ123百万円増加しました。主な要因は、退職給付に係る資産が258百万円増加および繰延税金資産が88百万円減少したことによるものであります。
② 負債の部当連結会計年度末の流動負債は3,432百万円であり、前連結会計年度末に比べ279百万円減少しました。主な要因は、未払法人税等が78百万円減少およびその他が154百万円減少したことによるものであります。当連結会計年度末の固定負債は622百万円であり、前連結会計年度末に比べ64百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が64百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部当連結会計年度末の純資産は7,145百万円であり、前連結会計年度末に比べ851百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が671百万円増加したことによるものであります。
当社グループの自己資本比率および流動比率は、当連結会計年度末においてそれぞれ、63.7%、267.5%となり、良好な財政状態を保っております。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ476百万円増加し、5,808百万円(前年同期末は5,332百万円)となりました。また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により増加した資金は、1,086百万円(前年同期は1,308百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,589百万円、減価償却費116百万円などの増加要因が、法人税等の支払額559百万円などの減少要因を上回ったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により減少した資金は、144百万円(前年同期は50百万円の減少)となりました。これは有形・無形固定資産の取得による支出によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により減少した資金は、466百万円(前年同期は312百万円の減少)となりました。これは主に、長・短期借入れによる収入1,780百万円、長・短期借入金の返済による支出1,828百万円や配当金の支払額417百万円によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保と金融機関からの借入による資金調達を基本方針としております。現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は5,808百万円であり、資金の流動性は十分に確保できております。なお、資金の主要な使途としては、運転資金であり、経済情勢の悪化等により、万一事業環境が悪化した場合でも一定程度の運転資金の水準を維持することとしております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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