【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これにともない、前連結会計年度と会計処理が異なることから、当連結会計年度における経営成績に関する説明において、前連結会計年度と比較しての増減額および前年同期比を記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限が多くの国で緩和される一方で、ウクライナ情勢の長期化や円安の影響により原材料およびエネルギー価格の高騰が進むなど依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況下、当社グループでは、中期的な経営施策として、2021年から2023年までの3年間を対象期間とする中期経営計画に基づき、財務基盤の強化を図りつつ、成長市場への投資を通じた売上高および収益力の向上による企業価値の向上を目的として、構造改革による収益力強化、海外事業の持続的成長、新たな日常への変化対応力強化に取り組んでおります。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は567億86百万円(前年同期は563億00百万円)、営業利益は13億51百万円(前年同期は12億17百万円)、経常利益は20億24百万円(前年同期は19億97百万円)および親会社株主に帰属する当期純利益は16億11百万円(前年同期は13億95百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント業績の金額には、セグメント間取引が含まれております。
包装材関連事業
段ボールの国内生産動向は、1-12月累計数量(速報値)では、加工食品向けや通販向けでは堅調に推移したものの、物価高による消費者マインドの低下の影響もあり、前年比100.1%と前年並みの水準となりました。
このような環境下、当社グループの国内販売数量は、段ボールケースでは主力の食料品やアフターコロナで定着した通販向けは堅調に推移しましたが、主原材料や動燃料、諸資材、運送費などのコストが上昇する中で収益性を優先した顧客ポートフォリオの見直しによって、前年比97.0%となりました。段ボールシートでは需要家であるボックスメーカーの業績が堅調に推移し前年比100.9%となりました。
収益面においては、期中二度にわたり主原材料である段ボール原紙の値上り影響を受けたものの、4月以降段ボール製品の価格改定が浸透したことに加えて、印刷紙器事業や軟包装事業、海外事業が好調を維持し、また、㈱小倉紙器や城西パック㈱など近年当社グループ入りした子会社が連結業績へ寄与しました。
海外事業では、サプライチェーンの混乱や世界的な景気減速の影響により顧客の生産動向は低い水準に留まり、収益面では厳しい状況が続きましたが、製品価格の改定が浸透したことにより収益を確保しました。
さらに、全社でコスト削減や効率化を進めた結果、包装材関連事業は増益となりました。
以上により、包装材関連事業の売上高は602億50百万円(前年同期は597億71百万円)、セグメント利益(営業利益)は12億39百万円(前年同期は11億85百万円)となりました。
不動産賃貸事業
当セグメントにおきましては、商業施設等への土地の賃貸事業またはマンション等建物の賃貸事業を主としております。収入については、一部の賃貸物件で賃貸料の見直しを実施したことによる減収があり、収益に関しては、収入の減少に加え、修繕費用等が増嵩したことなどを受け、売上高は3億58百万円(前年同期は3億71百万円)、営業利益(セグメント利益)は2億94百万円(前年同期は3億3百万円)と前年同期比で減収、減益となりました。
② 財政状態
当連結会計年度における総資産は680億49百万円(前年同期比2.8%増)となりました。流動資産は253億41百万円(前年同期比8.3%増)、固定資産は427億7百万円(前年同期比0.2%減)となりました。
負債合計は273億92百万円(前年同期比1.4%増)、流動負債は202億91百万円(前年同期比6.6%増)、固定負債は71億1百万円(前年同期比11.0%減)となりました。
純資産合計は406億57百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ12億15百万円増加し、44億78百万円となりました。
これは、営業活動により得られた資金30億65百万円、投資活動により使用した資金18億8百万円および財務活動により得られた資金27百万円によるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は30億65百万円(前年同期比28.7%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益15億54百万円および減価償却費18億51百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は18億8百万円(前年同期比13.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出19億23百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は27百万円(前年同期は16億65百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の増加9億16百万円、長期借入金の返済3億43百万円および配当金の支払4億96百万円などによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
包装材関連事業
56,339,269
100.8
不動産賃貸事業
-
-
合計
56,339,269
100.8
(注)1 セグメント間取引は消去しております。
2 金額は販売価額により算出しております。
b) 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
包装材関連事業
56,553,903
101.2
1,606,213
105.8
不動産賃貸事業
-
-
-
-
合計
56,553,903
101.2
1,606,213
105.8
(注)1 セグメント間取引は消去しております。
2 金額は販売価額により算出しております。
c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
包装材関連事業
56,465,136
100.9
不動産賃貸事業
321,846
96.0
合計
56,786,982
100.9
(注) セグメント間取引は消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
① 財政状態の分析
a) 資産の部
当連結会計年度における総資産は680億49百万円(前年同期比2.8%増)となりました。流動資産は253億41百万円(前年同期比8.3%増)、固定資産は427億7百万円(前年同期比0.2%減)となりました。
流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が12億15百万円増加したことおよび受取手形及び売掛金が5億34百万円増加したことなどによるものであります。
固定資産の減少の主な要因は、外貨建て出資金の為替評価替えによる減少に加え出資金評価損の計上などにより投資その他の資産のその他が6億92百万円減少したことなどによるものであります。
b) 負債の部
当連結会計年度における負債合計は273億92百万円(前年同期比1.4%増)となりました。流動負債は202億91百万円(前年同期比6.6%増)、固定負債は71億1百万円(前年同期比11.0%減)となりました。
流動負債の増加の主な要因は、短期借入金が9億16百万円増加したことおよび電子記録債務が8億77百万円増加したことなどによるものであります。
固定負債の減少の主な要因は、ダイナパック㈱で繰延税金資産を計上した際に、繰延税金負債と組替えをしたことなどにより、繰延税金負債が8億23百万円減少したことなどによるものであります。
c) 純資産の部
当連結会計年度における純資産合計は406億57百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
純資産合計の増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を16億11百万円計上したことなどによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の59.1%から59.6%となり、1株当たり純資産額は3,943.72円から4,085.90円となりました。
② 経営成績の分析
a) 売上高
売上高は、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用したことにより20億44百万円の減収影響を受けた一方で、原材料の値上がりの影響を受け実施した製品価格の改定による増収影響があったことから、前連結会計年度に比べ4億86百万円増加し567億86百万円となりました。
b) 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、原材料の値上がりだけでなく、動燃料費等が高騰していることを受け、前連結会計年度に比べ3億75百万円増加し470億51百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、運搬費の高騰などによる増加影響があったものの、販売費の抑制効果などにより、前連結会計年度に比べ23百万円減少し83億84百万円となりました。
c) 営業利益
営業利益は、前連結会計年度に比べ1億34百万円増加し13億51百万円の営業利益の計上となり、売上高に対する営業利益の比率は前連結会計年度の2.2%から2.4%となりました。
d) 営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度の7億80百万円の利益(純額)から6億73百万円の利益(純額)となりました。
e) 経常利益
経常利益は、前連結会計年度に比べ27百万円増加し20億24百万円の経常利益の計上となり、売上高に対する経常利益の比率は前連結会計年度の3.5%から3.6%となりました。
f) 特別損益
特別損益は、前連結会計年度の49百万円の損失(純額)から4億70百万円の損失(純額)となりました。
g) 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2億15百万円増加し16億11百万円の親会社株主に帰属する当期純利益の計上となりました。売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は前連結会計年度の2.5%から2.8%となりました。
なお、1株当たり当期純利益金額については前連結会計年度の140.80円から162.36円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ12億15百万円増加し44億78百万円となりました。
営業活動においては、前連結会計年度に比べ12億33百万円収入が減少し、30億65百万円の収入となりました。これは、前連結会計年度と比較して税金等調整前当期純利益の計上額が減少したことなどによるものであります。
投資活動においては、前連結会計年度に比べ2億14百万円支出が増加し、18億8百万円の支出となりました。これは、前連結会計年度よりも有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
財務活動においては、前連結会計年度に比べ16億92百万円支出が減少し、27百万円の収入となりました。これは、短期借入金が増加したことなどによるものであります。
財政状態およびキャッシュ・フローの状況に関する主な経営指標は次のとおりであります。
2021年12月期
2022年12月期
流動比率(%)
123.0
124.9
固定比率(%)
109.2
105.0
自己資本比率(%)
59.1
59.6
時価ベースの自己資本比率(%)
19.8
18.2
債務償還年数(年)
0.2
0.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
251.9
96.7
(注)上記各指標の算出方法は次のとおりであります。
流動比率=流動資産合計÷流動負債合計
固定比率=固定資産合計÷純資産合計
自己資本比率=自己資本÷総資産
なお、自己資本は「純資産額合計-新株予約権-非支配株主持分」により算出しております。
時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産
債務償還年数=有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ=営業キャッシュ・フロー÷利払い
なお、株式時価総額は、期末株価数値×(期末発行済株式総数-自己株式数)により算出しており、営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。また、各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、段ボールを製造するために必要な原紙などの材料または商品の購入費用のほか、製造原価、販売費及び一般管理費などの営業費用であり、投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものであります。
当社グループでは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金などの長期運転資金の調達につきましては自己資金および金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は15億56百万円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は44億78百万円であります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。