【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ危機の長期化や中国のゼロコロナ政策に伴う経済活動の抑制を背景にインフレが高進したことに加え、先進国を中心とした金利引き上げなどが逆風となり、新型コロナウイルス感染症の影響からの持ち直しに停滞感をもたらしました。米国や欧州では活動制限の緩和に伴い個人のサービス消費を中心に回復基調は継続しましたが、資源価格の高騰や供給制約によるインフレの進行などにより、欧州の製造業などを中心にやや陰りが生じる形となりました。中国では持ち直しの動きは継続しましたが、ゼロコロナ政策の下、一部の地域で経済活動が抑制されたことによるサプライチェーンの混乱や不動産市場の不況など、足踏みが見られました。その他の新興諸国では活動制限の緩和が進む東南アジア地域を中心に経済活動の正常化に向けた動きが見られました。国内経済については、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られましたが、製造業においては資源価格高騰や円安の進行による原材料コスト増や中国の都市封鎖の影響からくるサプライチェーンの混乱などから景況感が下押しされる結果となりました。このような環境において、当第2四半期連結累計期間では、経済活動が引き続き回復傾向にあるなかで資源高を背景に鋼材や非鉄金属、原油などの商品価格が高水準で推移したことに加え、海外販売子会社の業績拡大が寄与し、売上高は前年同期比36.6%増の1兆3,389億65百万円となりました。利益面では、営業利益は食品事業を除く全ての事業セグメントで増益となり、前年同期比36.0%増の413億74百万円となりました。また、戦略的投資先等からの配当収入が増加したことや前期に差損であった為替差損益が差益に転じたこと、プライマリーメタル事業などの持分法による投資利益が増加したことなどから、経常利益は前年同期比73.0%増の529億58百万円に、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比77.1%増の371億89百万円となりました。
セグメント別の業績(売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含む。)は、次のとおりであります。鉄鋼事業 国内建設分野を中心に取扱数量が堅調に推移するなか、鋼材価格は製造コストの価格転嫁が浸透し、前年同期に比べ高い水準で推移しました。利益面では、仕入れ価格の上昇に伴い前年同期に比べて利幅が縮小したことに加え、在外投資先からの持分法による投資利益が減少したことなどが利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比36.4%増の6,108億13百万円、セグメント利益は前年同期比1.3%減の179億68百万円となりました。プライマリーメタル事業 ステンレス母材などの取扱いが堅調に推移したほか、各種商材価格は調整局面を迎えたものの、ニッケルやシリコン系合金鉄などの一部商材では比較的高水準で推移しました。また、戦略的投資先からの配当収入やSAMANCOR CHROME HOLDINGS PROPRIETARY LTD.からの持分法による投資利益が利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比31.3%増の1,252億16百万円、セグメント利益は前年同期比257.3%増の125億76百万円となりました。
リサイクルメタル事業各種商材の取扱いが堅調に推移するなかで、円安環境下で増加した仕入コストの価格転嫁が進んだことに加え、非鉄金属相場の急落を背景とするヘッジ目的の商品先渡取引の評価益により収益を拡大しました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比23.1%増の778億48百万円、セグメント利益は前年同期比67.6%増の54億21百万円となりました。食品事業世界的に水産物需要が高まるなか、各種商品価格が高い水準にあった一方で、円安の影響などによる仕入コストの上昇分の価格転嫁が十分に進まず、収益を下押ししました。また、米国を中心にロシア産のカニの輸入禁止措置がとられたことや欧米を中心とする巣ごもり需要の縮小に伴いカニ相場が下落したことで、連結子会社も含めて商品評価損を計上し、利益を押し下げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比5.5%増の614億78百万円、セグメント損益は2億25百万円の損失(前年同期は16億7百万円の利益)となりました。エネルギー・生活資材事業ウクライナ危機により原油・石油製品価格が一段と上昇した結果、バンカーオイルを中心に収益を拡大したほか、PKS(パーム椰子殻)やウッドペレットについても、国際的な需要の高まりから取扱数量、単価ともに上昇し、利益を押し上げました。これらの結果、当事業の売上高は前年同期比42.9%増の1,816億31百万円、セグメント利益は前年同期比117.4%増の66億63百万円となりました。海外販売子会社東南アジア各国を中心に経済活動の回復傾向が進むなか、インドネシア、シンガポールにおいて徳信鋼鉄有限公司の鋼材を中心に鉄鋼製品の取扱いを伸ばし、収益を拡大しました。また、米国の販売子会社の採算改善が利益に貢献しました。これらの結果、売上高は前年同期比57.6%増の2,549億98百万円、セグメント利益は前年同期比117.1%増の54億31百万円となりました。その他の事業木材事業では、ウッドショックの影響から木材価格が高い水準にあったことで輸入木材を中心に収益を拡大しました。一方、機械事業では、産業機械分野・レジャー施設分野とも前年同期に比べ大型完工物件が少なかったことから減収・減益となりました。これらの結果、売上高は前年同期比49.6%増の799億61百万円、セグメント利益は前年同期比90.0%増の22億82百万円となりました。
② 財政状態の状況当社グループにおきましては、商品を対象物とするヘッジ取引のうち、契約に基づき取引先等に評価損益が帰属するヘッジ取引を行っておりますが、先渡取引の契約残高の減少や取引先からの資金の回収並びにロンドン金属取引所における商品先物価格の下落などに伴い、長期差入保証金や未収入金が減少したほか、金融機関からの短期借入金を一部返済しております。その結果、当第2四半期連結会計期間末の総資産は、長期差入保証金や未収入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末比20.6%減の1兆3,621億51百万円となりました。負債は、上述の事象に関連し、商品先渡負債や短期借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末比27.7%減の1兆663億90百万円となりました。そのうち有利子負債は、前連結会計年度末比15.4%減の6,113億39百万円となり、当第2四半期連結会計期間末のネット負債倍率は、1.6倍(1.4倍※)となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益からの利益剰余金の積み上がりや為替換算調整勘定などの変動により、前連結会計年度末比23.0%増の2,957億61百万円となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末の13.8%(15.3%※)から21.3%(23.1%※)に上昇しました。
※ネット負債倍率及び自己資本比率の( )内の値は、2019年3月に実施した劣後特約付ローン(ハイブリッドロ ーン)500億円について、格付上の資本性(50%)を考慮して算出しております。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて272億72百万円(16.5%)減少し、1,378億11百万円となりました。これは主に「(1) 財政状態及び経営成績の状況 ② 財政状態の状況」に記載したとおり、長期差入保証金の回収に伴い借入金の返済を行ったことによるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による収入は、1,101億14百万円となりました(前第2四半期連結累計期間は661億82百万円の支出)。これは主に「(1) 財政状態及び経営成績の状況 ② 財政状態の状況」に記載した事象に伴い長期差入保証金や未収入金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による支出は、前第2四半期連結累計期間比0.7%増の86億9百万円となりました。これは主に有形固定資産や投資有価証券の取得を行ったことによるものです。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、1,015億4百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による支出は、1,225億93百万円となりました(前第2四半期連結累計期間は786億44百万円の収入)。これは主に上述の長期差入保証金の回収に伴う借入金の返済によるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更又は新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動特記すべき事項はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析米国や欧州においては、引き続き個人消費を中心に新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が続くことが期待されますが、インフレ高進に対応するための金利引き上げなどの各種金融政策やウクライナ危機の長期化による影響が懸念されるとともに、米国の中間選挙など政治状況の変化にも注意が必要です。中国では活動制限の緩和が進み、経済活動が正常化していくことで、回復に向けた動きが続くことが期待されますが、政府がゼロコロナ政策を継続することや不動産市場の不況が及ぼす影響が懸念されます。その他の新興諸国では活動制限の緩和が進み、東南アジア地域を中心に一層の持ち直しが期待されるものの、世界的なインフレ高進による影響は注視が必要です。国内経済は、堅調な個人消費や水際対策の緩和に伴うインバウンド需要の回復を背景とする内需の持ち直しに加え、円安環境下での輸出の増加が見込まれますが、他方で原材料コスト増などが製造業などに及ぼす影響や、インフレや再度の感染拡大が個人消費などに及ぼす影響が懸念されます。当社グループとしましては、このような先行き不透明感が強まっている事業環境の中においても、各事業分野における需要動向を的確に把握し、取引先のニーズを反映した適切な販売・在庫政策を進めるとともに、国内外で新規取引先を積極的に開拓することにより、業績の維持・向上に注力していく所存です。
(6) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは持続可能な企業成長のために必要なレベルの流動性の確保と財務的な健全性・安定性維持を方針としており、資金調達にあたっては、多様化を図るべく、資本市場における社債並びにコマーシャル・ペーパー発行による調達を随時行いつつも、主に長期借入金を中心に調達を行ってまいりました。そうしたなか、今般のウクライナへのロシアによる軍事侵攻に端を発した、ロンドン金属取引所における先物商品価格の急騰を受けて、当該取引等に係る長期差入保証金が発生し、その対応策として前連結会計年度にコミットメントライン契約の実行及び短期借入金による資金調達を行ったことにより、有利子負債金額及びそれに占める短期調達の比率が増加しておりますが、それらについては、先渡契約の契約残高の減少や取引先からの資金の回収などに伴い減少していく見込みです。なお、当第2四半期連結会計期間末現在において、前連結会計年度に実行したコミットメントライン契約からの借入は全額返済しております。今後も引き続き当社グループとしましては、先渡契約の契約残高の減少や取引先からの資金回収に加え、資産の見直しや、資金効率の向上及び、調達期間の長期化を進め、有利子負債の削減及び財務的な安定性の維持を図っていく所存です。また、流動性維持のために、金融機関との間で総額1,500億円のコミットメントライン契約を締結しております。社債につきましては、市場環境や財政状態の変化に対応した機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当第2四半期連結会計期間末現在の国内公募普通社債発行登録枠の未使用枠は、500億円であります。長期借入金のうち、500億円は劣後特約付ローン(ハイブリッドローン)であり、持続可能な企業成長のための資金確保と財務的な健全性の両立を目的として2019年3月に調達を行っております。本ハイブリッドローンは、資本と負債の中間的な性質を持ち、格付機関は残高の50%である250億円を資本と同等に扱っております。有利子負債の5割程度は円建てでの調達によるものですが、資産側の通貨属性を考慮し、適宜外貨建て借入や、通貨金利スワップ、為替予約を締結することで、資産の内容に見合った調達を図っております。また、連結ベースの資金管理体制については、国内子会社においては原則キャッシュ・マネジメント・サービスを導入しており、海外子会社に対しては第9次中期経営計画で掲げておりますように現地借入から親子ローンへの切替え促進を行っており、これらの取組によりグローバル財務マネジメントの強化を図っております。