【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況および財政状態
① 決算の概要など
CAI International, Inc.の利益貢献や貸倒関連費用の減少などにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で13.4%増益。
・2021年11月に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAI International, Inc.の利益貢献、航空セグメントなどにおける貸倒関連費用の減少、海外地域セグメントの米州子会社を中心とした事業の伸長などにより、当第3四半期連結累計期間における親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比101億円(13.4%)増加の859億円となりました。
国内外の営業拠点・グループ会社の再編、ならびに「事業ポートフォリオ変革」を推進。
・2021年4月の経営統合以降、経営資源の有効活用やノウハウの融合などにより競争力の強化を図るため、国内外の営業拠点やグループ会社の再編を推進しています。
・「事業ポートフォリオ変革」の一環として、居住用不動産関連ファイナンスを主要事業領域とするダイヤモンドアセットファイナンス株式会社の株式譲渡を決定しました(2023年3月に譲渡予定)。
・なお、新中期経営計画(2025中計)は2023年度(2024年3月期)にスタート予定です。
(単位:億円)
2022年3月期
第3四半期連結累計期間
2023年3月期
第3四半期連結累計期間
増減率(%)
売上高
13,129
14,104
7.4
売上総利益
2,392
2,646
10.6
営業利益
816
1,063
30.3
経常利益
822
1,096
33.3
親会社株主に帰属する
四半期純利益
757
859
13.4
② 主なトピックス
当社は、2022年5月、経営理念の実現に向けて、「10年後のありたい姿(未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター)」を描き、ステークホルダーの皆さまからどのように認識される企業となりたいか、そのために当社がどのような変革を行っていくかを示した「経営の中長期的方向性」を公表しました。10年後に向けた3次にわたる中期経営計画を「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」とし、その「ホップ」に位置する2023年度から2025年度(2024年3月期から2026年3月期)の中期経営計画(2025中計)の策定のなかで、当該期間の具体的な経営・事業戦略、経営指標などの検討を進めています。
また、当社は、国連が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「人権方針」を制定、2022年10月に公表しました。当社は、人権が尊重される社会の実現に向けて、グローバル企業に期待される人権尊重の責任を果たすため、国際的に認められる人権に関連する基準などに配慮した事業活動に自主的、継続的に取り組んでいきます。
(主な事業上のトピックス)
2022年5月 ・米国マサチューセッツ州における分散型太陽光発電事業への出資参画を発表。
・環境負荷低減に配慮したマルチテナント型物流施設「CPD名古屋みなと」を竣工。
2022年7月 ・秋田県秋田市において、2015年9月に竣工した秋田天秤野風力発電所の隣に、新たに太陽光発電所を建設し、太陽光と風力によるハイブリッド型発電所としての運転を開始。
・三菱商事株式会社が事業開発を進めてきた倉庫産業DX事業を担う同社の新設子会社に出資参画。
2022年9月 ・環境負荷低減に配慮した物流施設「CPD西淀川」を竣工。
2022年12月 ・食産業向けロボットサービスの研究開発などを手掛けるコネクテッドロボティクス株式会社との資本業務提携契約の締結を発表。
・不動産セグメントにおける注力事業へのリソースの集中や収益力向上を図るため、当社のグループ会社で居住用不動産関連ファイナンスを主要事業領域とするダイヤモンドアセットファイナンス株式会社の株式譲渡を発表(2023年3月実行予定)。
2023年1月 ・海上コンテナリース事業を手掛けるCAI International, Inc.とBeacon Intermodal Leasing, LLCの合併が完了し、新体制による事業を開始。
・太陽光発電事業を手掛ける三菱HCキャピタルエナジー株式会社とHGE株式会社の合併を発表(2023年4月実行予定)。
2023年2月 ・オートリース業界のグローバルリーディングカンパニーであるフランス企業ALD S.A.と、タイ王国におけるオートリースの共同事業会社の設立に合意したことを発表。
・海外インフラ事業への投融資を手掛けるグループ会社のジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ株式会社(以下、JII)について、株式会社三菱UFJ銀行が保有するJIIの全株式の当社への譲渡を前提に、完全子会社化したうえで、当社に吸収合併することを発表(2023年4月実行予定)。
・米国におけるグループ会社であるMitsubishi HC Capital America, Inc.、Mitsubishi HC Capital (U.S.A.) Inc.、およびENGS Commercial Finance Co. の経営統合を発表(2023年4月実行予定)。
③ 報告セグメント別の経営成績
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
2022年4月1日付の組織改編にともない、報告セグメントを次の7セグメントに変更しています。
(報告セグメントの変更に関する詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。)
なお、前第3四半期連結累計期間および前連結会計年度の数値については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを記載しています。
(カスタマーソリューション)
不動産リースに係る大口売却益の計上、ならびに、貸倒関連費用の減少などはあったものの、前年同期に計上した複数の大口解約売上の反動減により、セグメント利益は前年同期比で横ばいの288億円となりました。
(海外地域)
米州子会社を中心とした事業の伸長、貸倒関連費用の減少、ならびに、欧州子会社における有価証券評価益の計上といった増益要因はあったものの、一部の政策保有株式に係る時価評価額の下落にともなう有価証券評価損の計上や、前年同期に計上した政策保有株式に係る大口売却益の剥落により、セグメント利益は前年同期比90億円(25.2%)減少の269億円となりました。
(環境エネルギー・インフラ)
海外における再生可能エネルギー関連の持分法投資利益の増加、インフラ事業における一部案件の出資持分売却にともなう売却益の計上、ならびに、前年同期に計上したインフラ事業の一部延滞先における貸倒関連費用の剥落などにより、セグメント利益は前年同期比95億円増加の82億円となりました。
(航空)
リース収入は増加し、貸倒関連費用も減少するなど、事業は回復基調にあるものの、円安によるJOLCO(購入選択権付き日本型オペレーティングリース)事業における外貨建て借入に係る為替評価損の増加や、前年同期に計上した一部破綻債権における評価益の剥落、ならびに、減損損失の計上などにより、セグメント利益は前年同期比22億円(96.6%)減少の0億円となりました。
(ロジスティクス)
鉄道貨車リース事業において、ポートフォリオの入れ替えを企図した、一部資産の売却を決定したことにともなう減損損失を計上したものの、2021年11月に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAI International, Inc.の利益貢献、ならびに、同事業を営むBeacon Intermodal Leasing, LLCにおいても業績が堅調に推移したことなどにより、セグメント利益は前年同期比126億円増加の123億円となりました。
なお、海上コンテナリース事業を営む両社は2023年1月1日付で合併しています。
(不動産)
米国の一部案件に対する貸倒関連費用の計上はあったものの、売却益の増加などにより、セグメント利益は前年同期比15億円(24.1%)増加の78億円となりました。
(モビリティ)
国内の堅調な中古車市場を背景に、リース満了車両の売却益が増加したことなどにより、セグメント利益は前年同期比4億円(16.1%)増加の33億円となりました。
報告セグメントごとの利益または損失
(単位:億円)
2022年3月期
第3四半期連結累計期間
2023年3月期
第3四半期連結累計期間
増減率(%)
報
告
セ
グ
メ
ン
ト
カスタマーソリューション
287
288
0.3
海外地域
360
269
△25.2
環境エネルギー・インフラ
△12
82
-
航空
23
0
△96.6
ロジスティクス
△3
123
-
不動産
63
78
24.1
モビリティ
28
33
16.1
調整額
11
△16
-
合計
757
859
13.4
(注)1.セグメント利益または損失(△)の調整額は、主に、販売費及び一般管理費のうち、報告セグメントに帰属しない全社費用の調整額です。また、日立キャピタル株式会社との合併にともなうパーチェス法による利益調整額が含まれています。
2.セグメント利益または損失(△)は、四半期連結損益計算書の親会社株主に帰属する四半期純利益と一致しています。
報告セグメントごとの資産
(単位:億円)
2022年3月期
連結会計年度
2023年3月期
第3四半期連結会計期間
増減率(%)
報
告
セ
グ
メ
ン
ト
カスタマーソリューション
33,376
32,174
△3.6
海外地域
23,163
25,889
11.8
環境エネルギー・インフラ
4,179
4,288
2.6
航空
13,651
17,606
29.0
ロジスティクス
10,267
11,879
15.7
不動産
7,127
6,518
△8.5
モビリティ
1,294
1,293
△0.1
調整額
393
328
△16.7
合計
93,453
99,978
7.0
(注)1.セグメント資産は、営業資産、持分法適用会社への投資額、のれんおよび投資有価証券等です。
2.セグメント資産の調整額は、主に、2007年にダイヤモンドリース株式会社とUFJセントラルリース株式会社が合併して三菱UFJリース株式会社となった際に計上したのれんや全社に係る投資有価証券等の各報告セグメントに帰属しないセグメント資産およびセグメント間での取引の相殺です。
3.2022年3月期連結会計年度の数値は、変更後の報告セグメントに簡易的に組み替えた参考値です。
④ 財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は前期末比7,970億円増加の11兆1,259億円、純資産は前期末比2,325億円増加の1兆5,660億円、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比4,431億円増加の8兆5,092億円となりました。
(2)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
該当事項はありません。
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