【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績に関する説明2023年5月8日に新型コロナウィルス感染症は感染症法上の分類で2類から5類に移行され、行動制限は撤廃されました。不自由な生活を強いられた人々が4年ぶりに自由な夏を迎え街には活気が戻り国内旅行や親しい人との食事またライブ・イベント等余暇を楽しむ人々の姿は、コロナ禍が過去のものになりつつあることを示しています。入国制限解除後は中国からの訪日客数が戻っていない現状でも訪日観光客数はコロナ前の水準の7割程度また円安の効果からインバウンド消費はほぼ同水準にまで回復しており景気を下支えしています。コロナ禍を経たからこそ、より上質で魅力的な余暇への需要がますます高まっていくことが予想されます。このような状況の下、当社グループは経営理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現に向け本年5月にグローバルコンテンツビジネスの確立を目指し中計経営計画を発表致しました。
コンテンツ&デジタル事業は、グローバルでの円谷ブランドの確立とウルトラマンをはじめとする各コンテンツの展開をダイナミックに推進するため映像作品による認知度向上、テーマパークでの接触機会の拡大及び各国文化に合わせた商品群を展開し中期経営計画の実現を目指します。国内では、夏休み商戦に向け新作ウルトラマンシリーズの大々的なプロモーションを6月に行い7月からの放送開始にあわせて関連商品の販売を一斉に開始しております。クリスマス・年末商戦に向けて11月には『TSUBURAYA CONVENTION』を開催し今年度より中国・ASEAN地域も各種発表会を行うことを予定しております。中国では根強いウルトラマン人気を背景に2022年7月上海オーシャンパーク内にウルトラマンエリアがオープンしました。その集客力の高さに他のテーマパークも関心を持ち当第1四半期では5月に大連ディスカバリーランド、6月に成都ハッピーバレーにウルトラマンエリアがオープンしいずれも予想を超える盛況が続いております。
遊技機業界におきましては、一昨年に当社グループが販売したパチンコ『P 新世紀エヴァンゲリオン ~未来への咆哮~』が大きなヒットとなりました。その後も順次ヒット機が登場しパチンコホールの業績に貢献するかと思われましたが、それ以降更なるヒット機が出ていない状況です。パチスロ遊技機に関しましては昨年当社グループが販売した『パチスロ 犬夜叉』が6.5号機初のヒットとなりその後11月より投入されたスマートパチスロが市場で一定の評価を受けて本年4月に発表された北斗の拳が大ヒットとなり市場を牽引しております。一方スマートパチンコは既に6機種が発表されております。スマートパチスロに比べ市場への投入が5カ月遅れたこともありファンの嗜好に応える機械を各社模索しております。当社グループは、全国に展開している唯一無二のディストリビューターとして、顧客ニーズを捉えた遊技機開発を協業各社と共に推進し健全なレジャーとしての業界発展に貢献して参ります。
以上の結果、当第1四半期の連結業績は売上高30,335百万円(前年同期比268.0%増)、営業利益2,025百万円(同986.0%増)、経常利益2,185百万円(同650.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,384百万円(同1,593百万円の増加)となりました。各セグメントの概況は、以下の通りです。
コンテンツ&デジタル事業セグメント
(国内)当第1四半期は、今年55周年を迎える『ウルトラセブン』関連商品の販売が順調にスタート致しました。また3月より公開された映画『グリッドマン ユニバース』の商品販売その他MDライセンス収入は順調に推移しました。映像収入に関しましては、昨年に映画公開された『シン・ウルトラマン』の収益貢献が剥落したことから、映像収入は微減となりました。
(中国)中国では、テーマパークを通じてウルトラマンへのタッチポイントを増やすことで、玩具はもちろん他の商品販売も好調に推移しており中国からのMDライセンス収入は前年同期を上回りました。
以上の結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントの当第1四半期の業績は、売上高3,131百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益785百万円(同24.4%減)となりました。
[表1:(株)円谷プロダクション事業収入の推移]
(単位:百万円)
2022年4月-6月(前第1四半期)
2023年4月-6月(当第1四半期)
増減率(%)
国内MDライセンス収入
495
541
+9.4%
海外MDライセンス収入
853
952
+11.5%
うち中国
741
857
+15.7%
MDライセンス収入合計
1,349
1,494
+10.7%
映像事業収入
525
430
△18.1%
PS事業セグメント当第1四半期は、ビスティ製パチンコ機『P コードギアス 反逆のルルーシュ Rebellion to Re;surrection』を2.0万台、エキサイト製スマスロ機『L ベルセルク無双』を1.4万台それぞれ販売するとともに、人気シリーズ機の後発機に加え、今やホール運営に欠かせない基幹機種としての地位を確立した『P 新世紀エヴァンゲリオン ~未来への咆哮~』を再販致しました。以上により、当第1四半期の販売台数は合計6万台(前年同期比430.8%増)となりました。
以上の結果、PS事業セグメントの当第1四半期の業績は売上高26,974百万円(前年同期比455.3%増)、営業利益1,882百万円(同2,743百万円の増加)となりました。
[表2:PS事業セグメントの遊技機販売台数]
2022年4月-6月(前第1四半期)
2023年4月-6月(当第1四半期)
増減(台数)
パチンコ
2,746台
42,909台
+40,163台
パチスロ
8,632台
17,488台
+8,856台
合計
11,378台
60,397台
+49,019台
その他事業その他事業の当第1四半期の業績は、売上高403百万円、営業利益9百万円となりました。
(2)今後の見通しについてコンテンツ&デジタル事業セグメント
①
国内7月8日スタートの新番組『ウルトラマンブレーザー』は、意欲的なプロモーション活動に取り組み多くのメディア媒体に取り上げられました。第1話放送直後のTwitterでは「#ウルトラマンブレーザー」が世界トレンド1位となりました。また、同日よりYouTubeで配信された動画は7月末時点で740万回再生(前作の約7倍)と大きな反響がありました。テレビCM等で大々的なプロモーションを行い7月14日に西武園ゆうえんち内にオープンした大型ライドアトラクション『ウルトラマン・ザ・ライド』は、迫力ある映像が話題となり大きな反響を呼んでおります。また、夏休み恒例のイベント『ウルトラヒーローズEXPO 2023 サマーフェスティバル』も大盛況で今後のマーチャンダイジングに期待が寄せられます。
② 中国7月よりスタートした『ウルトラマンブレーザー』は、中国・ASEAN地域では初めての国内と同タイミングでのサイマル配信(現地語による吹替版)が行われました。アジア地域でも番組配信に合わせ日本国内と同時期に関連商品が一斉に販売開始されました。昨年7月にオープンした上海、本年5月の大連、6月の成都の各ウルトラマンエリアはシアター、ライブショー、レストラン、ショップ等から構成されており、上海オーシャンパークではウルトラマンをモチーフにしたホテルも好評です。来年度中に10ヵ所のウルトラマンエリア開設に向け随時準備を進めております。新たにオープンした大連、成都のテーマパーク並びに新作『ウルトラマンブレーザー』の各種商品販売による収益は第2四半期以降に計上予定です。
③ 海外ASEAN地域では、シンガポールに現地法人の開設を申請しており、今後のASEAN地域での事業展開を加速させて参ります。毎年11月開催予定の大規模イベントにおいてASEAN向け新商品を発表する予定です。また、中国での活況を受けASEANでも複数のテーマパークからウルトラマンエリアの開設の打診が来ております。同地域での開設実現に向け検討を進めております。北米では、5月に米国ロサンゼルスに子会社を設立致しました。2024年世界配信を予定する大型CGアニメ映画の公開にあわせライセンシーと共に北米市場攻略に向けた戦略を協議しております。
デジタル・フロンティア最先端の映像制作技術を有する(株)デジタル・フロンティアは、アニメ映画が主流となりつつある国内映画産業において(国内制作映画の2022年興行収入上位5作品中4作品がアニメ作品)競争優位なポジションにあります。アニメ映画、Netflix等の作品に最先端の映像技術を駆使して大きなヒットを目指し業績は順調に推移しております。
PS事業セグメントPS事業を担うフィールズ(株)は、第2四半期以降大人気シリーズのIPを搭載したスマート遊技機を含め、バラエティに富んだパチンコ遊技機6機種、パチスロ遊技機8機種を販売する予定です。なお、第2四半期に納品予定の機種に関しては既に完売しております。
上記の通り各セグメントの業績は順調に推移しており2024年3月期の連結業績予想につきましては、5月15日公表の内容から変更はありません。
(注1)本報告書に記載の数値は各社・各団体の公表値または当社推計によるものです。(注2)本報告書に記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
(3) 財政状態の状況
(資産)流動資産は、59,589百万円と前連結会計年度末比721百万円の増加となりました。これは主に仕掛品の増加によるものです。 有形固定資産は、5,286百万円と前連結会計年度末比8百万円の減少となりました。これは主に建設仮勘定の減少によるものです。 無形固定資産は、2,820百万円と前連結会計年度末比67百万円の減少となりました。これは主にのれんの減少によるものです。 投資その他の資産は、15,607百万円と前連結会計年度末比1,766百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加によるものです。 以上の結果、資産の部は83,304百万円と前連結会計年度末比2,411百万円の増加となりました。
(負債)流動負債は、31,874百万円と前連結会計年度末比1,384百万円の増加となりました。これは主に仕入債務の増加によるものです。 固定負債は、8,736百万円と前連結会計年度末比150百万円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。 以上の結果、負債の部は40,611百万円と前連結会計年度末比1,535百万円の増加となりました。
(純資産)純資産の部は、42,693百万円と前連結会計年度末比875百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加、配当金の支払いによる利益剰余金の減少およびその他有価証券評価差額金の増加によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,169百万円減少し、33,327百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、436百万円(前年同期は4,759百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益2,183百万円、仕入債務の増加3,690百万円、棚卸資産の増加3,610百万円、未収入金の増加2,359百万円、法人税等の支払額1,467百万円、売上債権の減少1,330百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、1,093百万円(前年同期は974百万円の支出)となりました。これは主に固定資産の取得による支出436百万円、投資有価証券の取得による支出389百万円、貸付けによる支出220百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、1,641百万円(前年同期は1,891百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額1,922百万円、長期借入金の返済による支出1,112百万円、長期借入れによる収入750百万円、短期借入金の純増額651百万円によるものです。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。
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