【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当社グループは、「すべての人に最高の余暇を」という企業理念を掲げています。この実現に向けて、人々の心を豊かにする商品やサービスの企画、開発、提供に努め、持続的成長を目指しています。当期(2022年4月‐2023年3月)においては、成長力と収益力を両輪とし、株主価値向上に取り組んでまいりました。当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の状況
資産の部流動資産は、58,868百万円と前連結会計年度末比2,170百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加によるものです。 有形固定資産は、5,295百万円と前連結会計年度末比756百万円の増加となりました。これは主に建設仮勘定の増加によるものです。 無形固定資産は、2,888百万円と前連結会計年度末比405百万円の増加となりました。これは主にソフトウエアの増加によるものです。 投資その他の資産は、13,841百万円と前連結会計年度末比7,558百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の増加によるものです。 以上の結果、資産の部は80,893百万円と前連結会計年度末比10,891百万円の増加となりました。
負債の部流動負債は、30,489百万円と前連結会計年度末比2,625百万円の増加となりました。これは主に短期借入金の増加によるものです。 固定負債は、8,585百万円と前連結会計年度末比1,999百万円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少によるものです。 以上の結果、負債の部は39,075百万円と前連結会計年度末比626百万円の増加となりました。
純資産の部純資産の部は、41,817百万円と前連結会計年度末比10,265百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものです。
②経営成績の状況当社グループは、2022年10月3日付の持株会社体制移行を契機として、2023年3月期 第3四半期連結会計期間より、従来の「IP(知的財産)を基軸とする単一セグメント」から、「コンテンツ&デジタル事業」、「PS事業」の2つの報告セグメントに変更しています。
コンテンツ&デジタル事業セグメント成長力のダイナミックな推進を担う(株)円谷プロダクションに関しては、中国での人気を背景にウルトラマン関連の低価格帯商品の販売が急伸し、中国からのライセンス収入が大きく伸長致しました。日本国内においては、2022年5月に劇場公開された映画『シン・ウルトラマン』は、11月にはAmazon Prime Videoで独占配信が開始されるなど、通期を通じて新たなファン層の獲得に貢献しました。夏・冬休みに開催した各『ウルトラヒーローズEXPO』の来場者は昨年を大きく上回り、また2023年2月には映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』の公開効果もあり、ウルトラマングッズの販売は好調に推移しました。加えて、3月に映画『グリッドマン ユニバース』が公開された効果もあり、オウンドメディアであるTSUBURAYA IMAGINATIONの登録者数は大きく増加しました。(株)円谷プロダクションの事業収入の推移
(単位:百万円)
この結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントの当会計年度における業績は、売上高14,532百万円(前期比59.6%増)、営業利益4,378百万円(同198.8%増)となりました。
PS事業セグメントスマート遊技機の登場は業界にとっての産業革命であり、新規ユーザー獲得のチャンスととらえています。2022年11月に導入されたスマートパチスロ(以下、「スマスロ」)は依然好調であり、2023年4月以降に導入されるスマートパチンコ(以下、「スマパチ」)への期待も大きく、当業界は安定的な成長期を迎えつつあります。収益力の中核を担うフィールズ(株)は、当期において、パチンコ7機種、パチスロ6機種、合計21.9万台を販売致しました。年度通じて業界最大の販売台数となった『Pゴジラ対エヴァンゲリオン ~G細胞覚醒~』を筆頭に、数々のヒット商品を販売することができました。また、『パチスロ犬夜叉』を始めとした利益率の高いプライベートブランドが好調で、業績に寄与致しました。
この結果、PS事業セグメントの当会計年度の業績は、売上高100,808百万円(前期比20.4%増)、営業利益7,714百万円(同340.7%増)となりました。
その他セグメントその他事業は堅調に推移した結果、当会計年度の業績は、売上高2,305百万円、営業利益75百万円となりました。
以上の事業活動の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高117,125百万円(前期比23.4%増)、営業利益10,950万円(同217.9%増)、経常利益11,218百万円(同208.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は税効果会計に基づく法人税等調整額(859百万円)の計上もあり8,221百万円(同232.7%増)となりました。
(注1)本報告書に記載の数値は全て当社推計によるものです。 (注2)本報告書に記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
③キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,193百万円増加し、36,497百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、12,561百万円(前年同期は7,980百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益11,127百万円、棚卸資産の減少2,330百万円、法人税等の支払額1,213百万円、有償支給取引に係る負債の減少1,105百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、7,642百万円(前年同期は1,586百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出5,126百万円、固定資産の取得による支出1,344百万円、出資金の払込による支出1,012百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、725百万円(前年同期は1,385百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純増減額5,349百万円、長期借入金の返済による支出5,051百万円、配当金の支払645百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出486百万円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。
区分
生産高(百万円)
前期比(%)
コンテンツ&デジタル事業
7,019
41.0
PS事業
10,384
96.1
合計
17,404
69.4
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。 2.金額は、製造原価によっています。3.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主にPS事業における遊技機生産の増加によるものです。
b. 受注実績当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
区分
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
コンテンツ&デジタル事業
12,977
21.4
1,546
△31.8
PS事業
1,159
65.3
50
△88.1
合計
14,137
24.1
1,596
△40.7
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主にコンテンツ&デジタル事業における映像受注の増加および映像受注残高の減少によるものです。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
区分
販売高(百万円)
前期比(%)
コンテンツ&デジタル事業
14,029
58.5
PS事業
100,805
20.4
その他
2,290
△1.8
合計
117,125
23.4
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。3.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主にPS事業における遊技機販売の増加によるものです。
d. 商品仕入実績当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりです。
区分
仕入高(百万円)
前期比(%)
PS事業
70,170
9.0
合計
70,170
9.0
(注) 金額は、仕入価格によっています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社は創業以来『すべての人に最高の余暇を』を企業理念として、成長力と収益力を両輪とし、株主価値向上に取り組んでいます。当期における各事業・グループ会社の取り組みは、以下のとおりです。
ウクライナ情勢の長期化により国内経済の先行きに対する不透明感は残るものの、ウィズコロナへの政策転換により社会経済活動は徐々にコロナ前の水準に戻りつつあります。コロナ禍で我慢を強いられた人々が余暇の重要性を再認識する中で、当社が果たすべき役割も、その重要性を増しています。
当社は、当社の企業理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現のために、従来のパチンコファン以外にも多くの方々を幸せにしたいと願い、グローバルコンテンツビジネスの展開を悲願としていました。2003年3月のJASDAQ市場上場を機にコンテンツビジネスに進出し、翌年の公募増資により、多数のコンテンツの取得や、2005年にはゲーム会社(株)ディースリー・パブリッシャーの株式を取得し米国に進出、2010年には(株)円谷プロダクション、(株)デジタル・フロンティアを子会社化するとともに、2011年には小学館グループとの協業によりコミック誌『月刊ヒーローズ』を創刊するなど、上場来、グローバルコンテンツビジネス推進に必要となる様々なナレッジとノウハウを蓄積してまいりました。(株)円谷プロダクションでは、「ウルトラマン」の海外利用権での訴訟を抱えており、海外展開に大きな制約がありました。そのため、訴訟問題の解決に取り組む一方で、海外展開に向けて優秀な人材の確保や体制整備、また中国・ASEAN地域でのウルトラマン関連作品の露出によるブランドの浸透など、着々と準備を進めてまいりました。2020年3月に当該訴訟で勝訴が確定したことにより、グローバル展開は急速に拡大しました。特に、既に高い好感度を構築済みであった中国市場においては、トレーディングカードを中心としたウルトラマングッズの広範な販売網の構築に加え、2022年7月には上海海昌海洋公園内にウルトラマンエリアがオープンするなど、中国市場におけるウルトラマンブランドの浸透に成功致しました。国内でも、2022年5月に劇場公開した映画『シン・ウルトラマン』は、作品性への高い評価が幅広い年代層の新たなファン拡大につながり、ウルトラマンブランドの浸透に寄与致しました。当期において、当社の悲願であったグローバルコンテンツビジネスが軌道に乗り始めました。これを機に持株会社化し、グローバルコンテンツビジネスを展開するに相応しい名称である「円谷フィールズホールディングス」に改称致しました。
PS市場では、メーカー各社の開発努力やホールの経営努力の結果、新規則に対応した遊技機がユーザーに受け入れられ、当期には市場拡大に向けた明るい兆しが見え始めました。この10年近くに亘り、相次ぐ規則改正やコロナ禍の影響からメーカー数は減少し、ホールの大型化が進みホール数は減少しています。これにより、市場全体の競争環境が適正化されるとともに、今後は大きな規則改正の実施が想定されないことから、市場は安定的に推移していくことが予想されます。パチンコ業界は、1970年代に手打ち式から電動式への大変革を経験していますが、扱いやすい機種の登場により、玄人中心だったユーザーは、女性やお年寄りまでそのすそ野が拡大致しました。2022年に登場したスマート遊技機は、ゲーム性が高く、玉やメダルが無いため遊技環境の改善につながる、電動式以来の産業革命に匹敵する新時代の遊技機であり、潜在的なユーザー層の獲得につながることが予想されます。
21世紀の成熟した社会に暮らす人々に、より上質な余暇を提供していくことは当社グループの社会的使命であります。時代とともに変化する人々の余暇ニーズを的確にとらえながら、持株会社体制のもと成長領域に積極的に経営資源を投下して事業創造に取り組み、次世代のエンタテインメントの創出に挑戦し続けてまいります。
企業理念「すべての人に最高の余暇を」の実現に向けて(~2023/3)
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当社グループの主な資金需要は、運転資金および設備投資資金等です。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしています。手許の運転資金につきましては、当社および一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。また、突発的な資金需要に対しては、当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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