【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を一部変更しており、当第1四半期連結累計期間の比較・分析は、変更後の区分に基づいています。詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 4.事業セグメント」の「(4)報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(1) 財政状態および経営成績の状況当社グループはMissionに「人材能力とコア技術の多様性」を成長の原動力として、高い競争力を有する特徴ある製品・サービスの創出によりお客さま価値を実現し、「人々の豊かな生活」の実現に寄与することを掲げています。このMissionのもと、2030年のあるべき姿をサステナビリティビジョン(長期ビジョン)とし、バックキャストして2023年に目指すべき中期ビジョンとそこに至るための戦略を第7次中期経営計画として定めています。第7次中期経営計画では、これまでに獲得・構築したグローバルベースの事業基盤を最大限に活用し、シナジーの最大化による成長基盤の確立を目指しています。当第1四半期連結累計期間におけるグローバル経済情勢については、インフレの影響や世界的な金融引き締めなどにより景気回復の動きは鈍いものとなりました。アメリカでは景気持ち直しの動きが続いたものの、製造業の生産活動や住宅投資などは低迷しました。ヨーロッパではインフレが重石となり景気が停滞しました。中国では海外需要の減速を受けて輸出が低迷しましたが、内需回復により景気持ち直しの動きがみられました。わが国の経済については緩やかに持ち直しているものの、主に海外の需要下振れの影響で、製造業の景況感は悪化しました。このような状況の下、巣ごもり需要の一巡などにより、産業資材事業の家電向けやディバイス事業のタブレット、産業用端末(物流関連)向けなどの製品需要が弱含んで推移しました。メディカルテクノロジー事業の開発製造受託(CDMO)は、活発な市場環境の下で製品需要が堅調に推移しました。これら需要動向に加えて為替変動の影響などにより、売上高は前年同四半期比で増加しました。営業利益は、製品需要の動向に加え、インフレによるコスト増加や製品ミックス悪化の影響により、前年同四半期比で減少しました。なお、メディカルテクノロジー事業ではインフレに対する生産性や効率性の改善取り組みの結果、収益性が向上しました。これらの結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は424億30百万円(前年同四半期比2.5%増)、利益面では営業損失は6億71百万円(前年同四半期は24億94百万円の営業利益)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は7億84百万円(前年同四半期は32億80百万円の親会社の所有者に帰属する四半期利益)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
産業資材産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有するセグメントです。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IMLおよびIMEは、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されています。また、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙は、飲料品や食品向けのサステナブル資材としてグローバルベースで業界トップのマーケットシェアを有しています。当第1四半期連結累計期間においては、加飾分野のモビリティ向けの製品需要は底堅く推移したものの、家電向けは巣ごもり需要が一巡したことによる影響を受けて弱含んで推移しました。一方で、前期に実行した蒸着紙の値上げや為替変動の影響などにより、売上高は前年同四半期比で増加しました。製品需要の動向に加え、インフレによるコスト増加の影響などにより、営業利益は前年同四半期比で減少しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は170億73百万円(前年同四半期比1.7%増)となり、セグメント利益(営業利益)は5億19百万円(前年同四半期比66.0%減)となりました。
ディバイスディバイス事業は、精密で機能性を追求した部品・モジュール製品を提供するセグメントです。主力製品であるフィルムタッチセンサーはグローバル市場でタブレット、産業用端末(物流関連)、モビリティ、携帯ゲーム機などに幅広く採用されています。このほか、気体の状態を検知するガスセンサーなどを提供しています。当第1四半期連結累計期間においては、巣ごもり需要が一巡したことによる影響を受け、タブレットや産業用端末向けなどの製品需要が低迷し、売上高は前年同四半期比で減少しました。需要の減少や製品ミックス悪化の影響などにより、営業利益は前年同四半期比で減少しました。その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は148億7百万円(前年同四半期比7.2%減)となり、セグメント損失(営業損失)は8億68百万円(前年同四半期は14億22百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
メディカルテクノロジーメディカルテクノロジー事業は、医療機器やその関連市場において高品質で付加価値の高い製品を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献することを目指すセグメントです。心疾患向けを中心に幅広い分野で使われる低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を手がけており、現在は欧米中心に大手医療機器メーカー向けの開発製造受託(CDMO)を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド品を製造・販売しています。当第1四半期連結累計期間においては、主力のCDMOの製品需要が活発な事業環境の下で堅調に推移し、売上高は前年同四半期比で伸長しました。インフレを背景とした人件費や原材料費の増加などに対し、生産性や効率性の改善に取り組み、営業利益は前年同四半期比で増加しました。その結果、当第1四半期連結累計期間の連結売上高は85億25百万円(前年同四半期比27.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は4億96百万円(前年同四半期比6,627.5%増)となりました。
当第1四半期連結会計期間末における総資産は2,238億48百万円となり、前連結会計年度末(2022年12月期末)に比べ63億63百万円減少しました。流動資産は1,190億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億48百万円減少しました。主な要因は、棚卸資産が10億35百万円、その他の金融資産が21億42百万円増加した一方で、現金及び現金同等物が82億50百万円、営業債権及びその他の債権が9億3百万円減少したこと等によるものです。非流動資産は1,047億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円減少しました。主な要因は、使用権資産が5億19百万円、追加取得等により持分法で会計処理されている投資が4億6百万円増加した一方、有形固定資産が5億38百万円、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動および売却等により、その他の金融資産が5億8百万円減少したこと等によるものです。当第1四半期連結会計期間末における負債は1,151億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億5百万円減少しました。流動負債は536億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ39億58百万円減少しました。主な要因は、その他の流動負債が11億8百万円増加した一方、営業債務及びその他の債務が52億15百万円、未払法人所得税等が5億82百万円減少したこと等によるものです。非流動負債は615億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億53百万円増加しました。主な要因は、繰延税金負債が1億50百万円減少した一方、為替換算等の影響により社債及び借入金が1億68百万円、リース負債が3億44百万円、退職給付に係る負債が1億77百万円増加したこと等によるものです。当第1四半期連結会計期間末における資本は1,086億60百万円となり、前連結会計年度末に比べ28億58百万円減少しました。主な要因は、剰余金の配当等により利益剰余金が22億80百万円減少したことに加え、自己株式の取得等により自己株式が11億22百万円増加したこと等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当第1四半期連結累計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82億50百万円減少し、460億75百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は23億86百万円(前年同四半期比1.4%減)となりました。これは税引前四半期損失7億91百万円の計上に対して、減価償却費及び償却費として22億50百万円、営業債権及びその他の債権の減少額として11億59百万円計上した一方、営業債務及びその他の債務の減少額として51億60百万円、法人所得税の支払として9億72百万円計上したこと等によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は30億48百万円(前年同四半期比186.6%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得として10億60百万円、関係会社株式の取得に係る前払金の支払額として21億97百万円支出したこと等によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は31億40百万円(前年同四半期比115.8%増)となりました。これは主に自己株式の取得による支出として11億69百万円、親会社の所有者への配当金の支払として17億18百万円計上したこと等によるものです。
(3) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針当第1四半期連結累計期間において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は10億95百万円です。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
#C7915JP #NISSHA #その他製品セクター