【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しており、収益認識会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 当連結会計年度におけるわが国の経済は、オミクロン株の感染拡大により新規感染者数が大幅に増加する中、まん延防止等重点措置が2022年3月をもって解除され、個人消費経済活動に回復の兆しがみられる一方、ウクライナ情勢等を背景とした原材料価格の上昇や急速に進む為替相場の円安進行など、依然として予断を許さない状況が続いております。
米国の経済は、サービス業を中心とした個人消費が進んでいますが、引き続き高い水準でインフレが進行する中でFRBの利上げによる金融引き締めが継続され景気後退懸念が強まり下落基調で推移しております。一方、中国の経済はゼロコロナ政策を緩和しているものの雇用環境の悪化や景気減速から先行きは不透明です。
新型コロナウイルス感染症拡大は、当社グループの経営成績に影響を及ぼしましたが、当社は「飛躍の70周年」をスローガンに掲げ、グループ全社が結束して新たな市場開拓、積極的な設備投資、品質管理の改善などにより業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は890億60百万円(前年同期比11.8%増加)、営業利益は59億72百万円(前年同期比44.1%増加)、経常利益は63億53百万円(前年同期比43.6%増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は40億58百万円(前年同期比43.7%増加)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
紙加工品部門
当社グループ売上高の70.7%を占めるこの部門では、紙袋(対連結売上高構成比29.5%)は、国内における個人消費並びに観光需要の回復もあり増収となり、海外はザ・パックアメリカコーポレーションが好調に推移し、また、円安進行を受けて特百嘉包装品貿易(上海)有限公司も増収した結果、同上売上高は262億52百万円(前年同期比19.2%増加)となりました。
紙器(同上構成比25.0%)は、宅配・テイクアウト用食品パッケージやEC市場向けの販売が好調に推移し、また、土産物などの需要も回復し、同上売上高は222億83百万円(前年同期比14.3%増加)となりました。
段ボール(同上構成比13.7%)は、EC市場向けパッケージやメーカー向けの販売が引き続き堅調に推移し、同上売上高は122億10百万円(前年同期比3.0%増加)となりました。
印刷(同上構成比2.5%)は、株式会社京浜特殊印刷、日幸印刷株式会社ともに売上が堅調に推移し、同上売上高は21億86百万円(前年同期比3.2%増加)となりました。
以上により、この部門の売上高は629億32百万円(前年同期比13.4%増加)となり、営業利益は53億33百万円(前年同期比34.7%増加)となりました。
化成品部門
当社グループ売上高の13.4%を占めるこの部門では、紙おむつ用製品の減少に歯止めがかかり、また食品向け軟包装の販売が好調に推移した結果、同部門の売上高は119億88百万円(前年同期比7.2%増加)となり、営業利益は5億83百万円(前年同期比47.0%増加)となりました。
その他
当社グループ売上高の15.9%を占めるこの部門では、専門店向けの縫製品バッグの販売が堅調に推移しました。同様に、ザ・パックアメリカコーポレーションも好調に推移したことにより、同部門の売上高は141億38百万円(前年同期比8.7%増加)となり、営業利益は10億59百万円(前年同期比20.0%増加)となりました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末の874億22百万円から69億42百万円増加し、943億65百万円となりました。負債は、前連結会計年度の253億90百万円から36億3百万円増加し、289億94百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末の620億32百万円から33億38百万円増加し、653億71百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて5億85百万円増加し、186億53百万円(前期比3.2%増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益59億25百万円、減価償却費19億92百万円、売上債権の増加28億25百万円等により53億80百万円の収入(前連結会計年度は72億17百万円の収入、前期比25.5%減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入120億円等があった一方、有価証券の取得による支出100億円、有形固定資産の取得による支出31億9百万円、投資有価証券の取得による支出23億57百万円等により37億62百万円の支出(前連結会計年度は34億60百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額10億43百万円等により11億24百万円の支出(前連結会計年度は10億29百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
紙加工品事業
25,758
112.4
化成品事業
2,730
96.4
その他
-
-
合計
28,488
110.7
(注)金額は製造原価で計算しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
紙加工品事業
62,380
104.7
8,186
93.7
化成品事業
12,292
109.7
1,127
136.9
その他
14,043
106.9
126
57.1
合計
88,717
105.7
9,440
96.5
(注)その他事業の一部は受注生産を行っておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
紙加工品事業
62,932
113.4
化成品事業
11,988
107.2
その他
14,138
108.7
合計
89,060
111.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社の連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、今後の拡大または完全な収束を予測することは困難な状況であり、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性がありますが、今後緩やかに回復するとの仮定の下、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計上の見積りを行っております。現時点においては会計上の見積りに重要な影響を与えるものではないと判断しており、今後も重要な影響はないと考えております。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については不確定要素が多く、今後の事業環境の変化により、将来の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限の全面解除による人出の増加に伴い、個人消費が回復し販売が増加したため、890億60百万円(前期比11.8%増加)となりました。
b.売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加により673億82百万円(前期比11.0%増加)となりました。
売上総利益は、エネルギー価格上昇の影響があったものの、生産性向上によるコスト改善活動に努めた結果、216億77百万円(前期比14.0%増加)となり、前連結会計年度と比べ26億69百万円の増益となりました。
c.営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、経費管理を徹底しグループコストの低減に継続して取組んだもの、人件費や物流費の増加が上回り157億5百万円(前期比5.7%増加)となりました。
この結果、営業利益は59億72百万円(前期比44.1%増加)となり、前連結会計年度と比べ18億27百万円の増益となりました。
d.経常利益
営業外損益は、受取利息や為替差益が増加しました。
この結果、経常利益は63億53百万円(前期比43.7%増加)となり、前連結会計年度と比べ19億30百万円の増益となりました。
e.親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、40億58百万円(前期比43.7%増加)となり、前連結会計年度と比べ12億34百万円の増益となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
a.資産の部
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ69億42百万円増加し、943億65百万円となりました。これは主に「現金及び預金」10億85百万円・「売掛金」23億15百万円の増加、「商品及び製品」12億47百万円の増加によるものです。
b.負債の部
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ36億3百万円増加し、289億94百万円となりました。これは主に「支払手形及び買掛金」21億34百万円・「電子記録債務」11億68百万円の増加によるものです。
c.純資産の部
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ33億38百万円増加し、653億71百万円となりました。これは主に「利益剰余金」30億13百万円の増加によるものです。
④ 戦略的現状と見通し
戦略的現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
2018年12月期
2019年12月期
2020年12月期
2021年12月期
2022年12月期
自己資本比率(%)
65.5
66.0
71.4
70.9
69.2
時価ベースの
自己資本比率(%)
69.1
84.7
64.3
58.6
48.6
キャッシュ・フロー対
有利子負債比率(年)
0.1
0.0
0.1
0.0
0.0
インタレスト・
カバレッジ・レシオ(倍)
833.2
2,257.9
2,570.0
5,405.8
2,935.1
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の計算式により計算しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入による資金調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は60百万円となっており、また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は186億53百万円となっております。