【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う規制が徐々に緩和され、本格的な経済活動の再開に舵が切られたことから、景気は持ち直しの傾向が見られました。その一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、為替相場の急激な変動、資源価格や原材料価格の高騰やそれに伴うサプライチェーンの混乱などにより、国内外ともに先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
このような市場環境の中、当社グループの主力市場である米国及び欧州のゲーミング市場では、北米のカジノホテルを中心に、その集客においてコロナ禍前の活況を取り戻したことなどにより、同市場における設備投資需要は高水準に推移いたしました。また、国内外のコマーシャル市場では、世界各国においてスタンダードになりつつある非接触・非対面による代金の決済手段の普及拡大に伴い、引き続き当社の紙幣識別機ユニットへの需要が旺盛でありました。さらに、遊技場向機器市場では、永年のテーマであったスマート遊技機の市場導入が昨年11月より段階的に開始されており、同遊技機に関連する周辺機器への需要も高まりました。
このような状況の下、ゲーミング市場においては当社製品への旺盛な需要に応えるべく、資源・原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が継続する中、顧客への製品供給に最大限努めるとともに、引き続き需要が増加傾向にある状況も勘案しつつ、環境負荷の低減などサステナビリティを意識した次世代製品の開発にも注力いたしました。また、コマーシャル市場においては、前期の北米地区販売子会社の設立(JCM COMMERCE MECHATRONICS,INC./ 2022年1月設立)に続き、新たに南米ブラジルに新会社(JCM COMERCIO MECATRONICA BRASIL LTDA/2022年11月設立)を設立するなど、矢継ぎ早に今後の事業拡大に向けた布石を打つことで、当社グループの持続的な成長に不可欠な事業体制の構築を図りました。また、遊技場向機器市場においては、スマート遊技機の導入にあわせた市場の変化を機敏に察知し、それらに対応することで市場シェアの維持、拡大とともに、利益の確保にも努めました。その一方で、一部の当社製品については、引き続き部材の入手困難な状況が続いており、顧客への製品供給を最優先した結果、市場流通品の使用による材料価格や物流費の上昇等による損益面への影響は免れない状況にありました。
その他、近年、企業のBCP対策がクローズアップされる中、事業の安定的な継続、社員の安全の一層の確保、会社財産の擁護、並びに資本効率の向上等の各方面から検討を行った結果、2023年3月末に本社事務所を最新のオフィスビルへ移転し、旧本社事務所の不動産については売却することといたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて5,672百万円増加し38,816百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,678百万円増加し11,653百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,994百万円増加し27,163百万円となりました。
b.経営成績
以上の結果、当連結会計年度の売上高は25,258百万円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。利益面においては、売上高の増加の一方で材料価格や物流費の上昇等の影響もあり、営業利益は622百万円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。また、円安の進行に伴う為替差益の計上により、経常利益は1,267百万円(前連結会計年度比8.5%減)、旧本社不動産の固定資産売却益として1,587百万円の特別利益を計上したことに加えて、繰延税金資産の計上により法人税等調整額△866百万円(△は利益)を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は3,146百万円(前連結会計年度比419.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度の平均為替レートは、米ドル132.08円(前連結会計年度110.37円)、ユーロは138.58円(前連結会計年度130.37円)で推移いたしました。また、決算期末の時価評価に適用する期末日為替レートは、米ドル133.54円(前連結会計年度末122.41円)でありました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<グローバルゲーミング>
北米及び欧州地域におけるカジノホール等の活況を背景とする設備投資需要の増加に伴い、主力製品である紙幣識別機ユニットやプリンターの販売が大幅に増加したことなどにより、セグメント売上高は14,583百万円(前連結会計年度比44.5%増)、セグメント利益は1,646百万円(前連結会計年度比11.6%増)と、共に増加いたしました。
<海外コマーシャル>
各国において非接触・非対面決済がスタンダードとなる傾向にあり、特に欧州地域向けにおいてセルフレジ精算機向けの紙幣還流ユニットの販売が増加したことなどにより、セグメント売上高は4,471百万円(前連結会計年度比2.5%増)となりました。その一方で製品部材や物流費高騰の影響は大きく、製品価格への転嫁についても顧客との長期契約案件を中心に交渉が難航したことから、セグメント利益は37百万円(前連結会計年度比82.0%減)となりました。
<国内コマーシャル>
海外コマーシャルと同様に非接触・非対面決済を促進する製品需要の増加に伴い、飲食店券売機及びホテルチェックイン精算機向けの紙幣還流ユニットの販売が堅調に推移したことなどにより、セグメント売上高は1,857百万円(前連結会計年度比1.0%増)、セグメント利益は102百万円(前連結会計年度比18.0%増)と、共に増加いたしました。
<遊技場向機器>
昨年11月より全国のパチンコホールにおいて、スマート遊技機の市場導入が開始されたことに伴い、スマート遊技機専用ユニット等の販売が増加したことなどにより、セグメントの売上高は4,345百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりましたが、セグメント損失は125百万円(前連結会計年度は391百万円の損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、1,037百万円減少し、13,204百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、支出した資金は799百万円(前連結会計年度は1,333百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,844百万円、仕入債務の増加額1,070百万円などにより資金が増加した一方、有形固定資産除売却損益1,586百万円、売上債権の増加499百万円、棚卸資産の増加1,745百万円、法人税等の支払380百万円などにより資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は522百万円(前連結会計年度は255百万円の支出)となりました。これは主に有価証券純増加による支出484百万円、有形固定資産の取得による支出557百万円などにより資金が減少した一方、有形固定資産の売却による収入1,936百万円などにより資金が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は1,422百万円(前連結会計年度は397百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出600百万円、自己株式の取得による支出400百万円、配当金の支払額236百万円などにより資金が減少したことによるものであります。
また、これらのほかに、現金及び現金同等物に係る換算差額663百万円の資金の増加がありました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
グローバルゲーミング
5,092,842
157.0
海外コマーシャル
2,828,189
123.2
国内コマーシャル
1,618,451
108.6
遊技場向機器
1,676,228
172.3
合計
11,215,711
140.1
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.製品仕入実績
当連結会計年度の製品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
グローバルゲーミング
2,088,776
220.0
海外コマーシャル
285,290
168.0
国内コマーシャル
42,675
97.7
遊技場向機器
205,873
62.8
合計
2,622,616
175.9
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループの生産は、主として見込み生産によっているため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
グローバルゲーミング
14,583,988
144.5
海外コマーシャル
4,471,034
102.5
国内コマーシャル
1,857,867
101.0
遊技場向機器
4,345,690
116.0
合計
25,258,580
126.0
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
Aristocrat Technologies Inc.
-
-
2,584,290
10.2%
3.前連結会計年度のAristocrat Technologies Inc.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて5,672百万円増加し、38,816百万円となりました。
流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて4,195百万円増加し、32,273百万円となりました。「受取手形、売掛金及び契約資産」が724百万円、棚卸資産が2,687百万円、前渡金の増加などにより「その他の流動資産」が1,047百万円それぞれ増加いたしました。
固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,483百万円増加し、6,508百万円となりました。「繰延税金資産」の計上等により「投資その他の資産」が1,330百万円増加いたしました。
繰延資産合計は、社債発行費の償却により前連結会計年度末に比べて7百万円減少し、35百万円となりました。
流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,218百万円増加し、7,625百万円となりました。「支払手形及び買掛金」が1,426百万円、契約負債の増加などにより「その他の流動負債」が800百万円それぞれ増加いたしました。
固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて540百万円減少し、4,027百万円となりました。借入金返済により「長期借入金」が600百万円減少いたしました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,994百万円増加し、27,163百万円となりました。譲渡制限付株式報酬としての新株式発行に伴い「資本金」及び「資本剰余金」がそれぞれ3百万円増加し、また、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより「利益剰余金」が2,908百万円、在外子会社の時価評価による「為替換算調整勘定」が1,415百万円それぞれ増加いたしました。
b.経営成績
売上高は25,258百万円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。米国ゲーミング市場では、カジノホテルを中心に、その集客においてコロナ禍前の活況を取り戻したことなどにより、同市場における設備投資需要は高水準に推移、国内外のコマーシャル市場においても、非接触・非対面による代金決済の普及拡大に関連する製品の需要が堅調に推移いたしました。また、遊技場向機器市場では、スマート遊技機の市場導入が段階的に開始されており、同遊技機に関連する周辺機器への需要も高まったことなどにより、増収となりました。
売上原価は、16,268百万円(前連結会計年度比30.7%増)となり、売上原価率は、前連結会計年度比2.3ポイント増加し、64.4%となりました。一部の当社製品については、引き続き部材の入手困難な状況が続いており、市場流通品を使用したことによる材料価格や物流費の上昇などにより、原価率が増加となりました。
売上総利益は8,990百万円(前連結会計年度比18.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費は8,367百万円(前連結会計年度比19.1%増)となりました。
営業利益は622百万円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。
営業外収益は円安の進行に伴う為替差益などにより、689百万円となりました。
経常利益は1,267百万円(前連結会計年度比8.5%減)となりました。旧本社不動産の固定資産売却益として1,587百万円の特別利益を計上したことなどにより税金等調整前当期純利益は2,844百万円(前連結会計年度比105.4%増)となりました。
法人税等は、△301百万円となりました。繰延税金資産の計上に伴い、法人税等調整額△866百万円を計上いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,146百万円(前連結会計年度比419.7%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況および資金の流動性について
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金用途については、顧客への当社製品の安定供給を第一とした事業活動に要する運転資金のほかに、生産用金型やものづくりの機能強化を主とした設備投資資金が必要であります。その資金確保については、自己資金ならびに金融機関からの借入金を基本としており、企業買収などの投資については、自己資金や金融機関からの借入金のほか、資本調達などによって資金を確保しております。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは2025年度(2026年3月期)を最終年度とする「中期経営計画 JCM Gloval Vizion 2032」(「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載)を策定しており、当該計画の目標を達成するための主な経営指標は営業利益率8%、ROE8%と定めております。
