【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化によって原材料、エネルギー価格が高騰し、物価高に拍車が掛かりました。歴史的なインフレとその抑制を企図した欧米各国での急速な利上げが急激な為替変動を招くなど先行き不透明な状況が続いてきましたが、新型コロナウイルス感染症による行動制限・企業の活動制限も大きく緩和されるなど、製造業を中心に景気は緩やかな持ち直しとなりました。当社グループの属する自動車業界につきましては、依然として半導体を始めとする部品調達不足による生産調整が継続しており、原材料価格、エネルギー価格上昇など、生産への影響は継続しています。このような市場環境のなか、在外連結子会社が前期15か月連結から当期は12か月連結となったことを主因として、前期と比較して海外販売は30.6%の減少となりました(在外連結子会社4社におきましては、前期は、決算日の変更および連結決算日に仮決算を行う方法への変更により、2021年1月1日から2022年3月31日の15か月間の経営成績を連結していることから、在外連結子会社について2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間を連結した場合との比較では16.2%の販売減)。国内販売は市場の回復や原材料・エネルギーコスト上昇分の売価転嫁などにより、前年同期と比較すると14.5%の増加となりましたが、国内外を合わせると3.0%の販売減となりました。(在外連結子会社について2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間を連結した場合との比較では3.9%の販売増)。利益につきましても、引き続き固定費の徹底圧縮による原価改善活動など収支対策に取り組んでおりますが、海外販売の減少、原材料費、エネルギーコストの増大により前期比利益減少となりました。以上の結果、売上高は21,606百万円(前期比663百万円減)、営業利益は869百万円(前期比701百万円減)、経常利益は1,052百万円(前期比733百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は595百万円(前期比390百万円減)となりました。また、参考として、在外連結子会社4社につきまして、前連結会計年度が2021年4月1日から2022年3月31日までの12か月間であった場合の連結経営成績と当連結会計年度の連結経営成績の比較を下記に記載しております。
2023年3月期の連結経営成績(2022年4月1日~2023年3月31日)(%表示は対前期増減率)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する当期純利益
1株当たり当期純利益
百万円
%
百万円
%
百万円
%
百万円
%
円 銭
2023年3月期
21,606
△3.0
869
△44.7
1,052
△41.1
595
△39.6
289.67
2022年3月期
22,269
16.5
1,571
120.1
1,784
115.6
985
60.6
479.69
(注)2022年3月期の連結経営成績は、在外連結子会社4社の決算日の変更等により、当該連結子会社について2021年1月1日から2022年3月31日までの15か月間を連結しております。
(参考)2022年3月期において在外連結子会社の決算期が12か月間(2021年4月1日~2022年3月31日)であった場合の連結経営成績と当連結会計年度の連結経営成績の比較(%表示は対前期増減率)
売上高
営業利益
経常利益
親会社株主に帰属する当期純利益
1株当たり当期純利益
百万円
%
百万円
%
百万円
%
百万円
%
円 銭
2023年3月期
21,606
3.9
869
△27.5
1,052
△25.8
595
△17.4
289.67
2022年3月期
20,786
8.7
1,198
67.9
1,418
71.4
720
17.3
350.56
2023年中期経営計画の2年目となる2022年度計画に対する実績は、売上高は計画220億円に対し実績216億円、営業利益は計画24億円に対し実績9億円、ROS(売上高営業利益率)は計画11%に対し実績4%となりました。売上高は、半導体不足の長期化による自動車メーカーの減産の影響を受け、計画に対し約2%(4億円)の未達となりました。営業利益およびROSにつきましては、売上高減少に加え、原材料、エネルギー価格の高騰の影響により、計画に対し約62%(15億円)、ROSは7%の未達となりました。2021年から2023年の3年間の中期経営計画全体としては、売上高は計画680億円、営業利益は計画73億円、ROSは10%以上を計画しておりますが、先述の半導体問題起因の低操業度による収益低下が継続するため、中期の収益目標は未達の見込みです。そのため、原価低減に努め少しでも目標に近づく努力を続けることに加え、来期2025年3月期以降は半導体問題の解消が期待されることから、本年はこれに備えた生産性改善に取り組んでまいります。
なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
① 生産実績当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
自動車部品製造
23,322,860
105.7
(注) 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績当社グループは、一部において受注生産を行っていますが、得意先の生産計画の内示等による見込生産が主体であり、受注高は生産高にほとんど等しくなるため、記載を省略しております。
③ 販売実績当社グループは自動車部品製造事業のみの単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
自動車部品製造
21,606,128
97.0
(注)1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
日産自動車㈱
1,934,159
8.7
2,324,532
10.8
トヨタ自動車㈱
1,692,037
7.6
1,852,697
8.6
東風日産乗用車公司
2,836,607
12.7
1,582,353
7.3
スズキ㈱
1,067,650
4.8
1,513,424
7.0
いすゞ自動車㈱
1,336,911
6.0
1,442,006
6.7
(2) 財政状態(資産)当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ434百万円減少し34,239百万円となりました。総資産減少の主な内訳は、有形固定資産が534百万円であります。有形固定資産は、減価償却等により減少しております。
(負債)当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ937百万円減少し6,374百万円となりました。負債減少の主な内訳は、短期借入金が456百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が297百万円であります。短期借入金および長期借入金は、いずれも返済等により減少しております。
(純資産)当連結会計年度末の非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末に比べ503百万円増加し27,865百万円となりました。純資産増加の主な内訳は、利益剰余金が328百万円、為替換算調整勘定が148百万円であります。為替換算調整勘定は、円安の影響により増加しております。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、5,504百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、得られた資金は2,689百万円(前連結会計年度は3,948百万円の獲得)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益915百万円、非資金損益項目である減価償却費2,317百万円、棚卸資産の減少518百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、使用した資金は1,594百万円(前連結会計年度は500百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,561百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は1,188百万円(前連結会計年度は3,462百万円の使用)となりました。支出の主な要因は、短期借入金の純増減額601百万円、長期借入金の返済による支出303百万円、配当金の支払額267百万円であります。
(4) 資本の財源および資金の流動性当社グループの資金需要は、営業活動上の運転資金に加え、自動車部品事業の安定収益の確保に向けた生産能力の増強や技術研究、新規事業の創出に向けた研究開発など、成長投資のための資金があります。これらに必要な資金は、事業が生み出す営業キャッシュ・フローと手元資金でまかなうことを基本としていますが、それを超える投資の場合、金融機関借入することも選択の一つとし、成長の機会を失うことにならないよう安定的な資金調達と資金調達コスト抑制の両立を目指しています。また、半導体および部品調達問題による各自動車メーカーの減産や、国際情勢の悪化に伴う原材料価格、エネルギーコストの高騰、物流の混乱、欧米各国の急速な利上げに伴う急激な為替変動による混乱など、不透明な経営環境が続いておりますが、十分な営業キャッシュ・フローを創出できるよう、固定費の徹底圧縮を中心としたコスト改善活動に取り組んでおります。資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している5,504百万円の現金及び現金同等物に加え、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しております。
(5) 重要な会計上の見積りおよび仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(棚卸資産)当社グループでは、棚卸資産の保有期間および将来の需要予測に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回るものについては評価減を計上しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(有形固定資産および無形固定資産)当社グループでは、有形固定資産および無形固定資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、回収可能価額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損の有無を判定しております。この判定は、資産の帳簿価額と回収可能価額を比較することにより実施し、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損損失を計上することとなります。回収可能価額は、正味売却価額もしくは使用価値により算定しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来のキャッシュ・フロー、割引率等について一定の仮定を設定しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。減損の有無の判定に際して用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産)当社グループでは、繰延税金資産の算定にあたって、将来減算一時差異等を使用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しております。課税所得が生じる可能性の判断においては、事業計画に基づき課税所得の発生時期および金額を見積っております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、翌年度以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
(会計上の見積りの不確実性に関する情報)会計上の見積りの不確実性に関する情報については、「第5 経理の状況 注記事項 (会計上の見積りの不確実性に関する追加情報)」に記載のとおりであります。
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