【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国経済は、原材料・エネルギー価格の高騰や円安の進行などによる物価上昇が継続しましたが、経済活動の正常化が進み、個人消費や企業の生産活動を中心に持ち直しの傾向となりました。海外経済は、米国や欧州でインフレや金融引き締めの影響により経済活動が抑制されたことなどから、回復のペースが鈍化し、中国ではゼロコロナ政策に伴う活動制限などにより、本格的な回復には至らない状況となりました。また、半導体不足やサプライチェーンの混乱等の影響により、自動車生産の回復が遅れるなど、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況が続きました。
このような中、当社は中期経営計画に掲げる「安定収益基盤の確立」に向けた重点施策を着実に実行するとともに、引き続きものづくり力の強化や販売価格の改善に努めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比2,998億円増収の1兆7,846億円となり、営業利益は、鉄鋼メタルスプレッドが大幅に改善したものの、素材系事業や建設機械における販売数量の減少、アルミ板や建設機械における調達コストアップの販売価格への転嫁の遅れ、固定費を中心としたコストの増加、在庫評価益の縮小などにより、前年同期比227億円減益の538億円となり、経常利益は前年同期比39億円減益の748億円となりました。特別損益は、建設機械の中国事業における事業整理損や固定資産の減損損失を計上したことなどから77億円の損失となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比65億円減益の475億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント毎の状況は次のとおりであります。
[鉄鋼アルミ]
(鉄鋼)
鋼材の販売数量は、自動車向けの需要が減少したことから、前年同期を下回りました。販売価格は、鋼材市況の上昇や原料価格上昇分の転嫁などにより、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比25.1%増の6,789億円となりました。経常利益は、販売数量が減少したものの、販売価格の改善が進展したことにより、前年同期比168億円増益の431億円となりました。
(アルミ板)
アルミ板の販売数量は、飲料用缶材向けの需要の伸び悩みにより、前年同期を下回りました。販売価格は、販売価格に転嫁される地金価格が上昇したことなどにより、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比22.4%増の1,475億円となりました。経常損益は、エネルギー価格上昇分の販売価格への転嫁遅れなどにより、前年同期比71億円悪化の21億円の損失となりました。
鉄鋼アルミ全体では、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比24.6%増の8,265億円となり、経常利益は、前年同期比96億円増益の410億円となりました。
[素形材]
素形材の販売数量は、造船向け需要を取り込んだ鋳鍛鋼や一般産業向け需要が回復したチタンで前年同期を上回りました。一方、自動車向けの需要が減少したことから、アルミ押出、銅板、鉄粉は前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年度に銅管事業を譲渡した影響もあり、前年同期比13.1%減の2,037億円となり、経常損益は、エネルギー価格上昇分の販売価格への転嫁遅れや、銅管事業における在庫評価益の剥落などにより、前年同期比72億円悪化の1億円の損失となりました。
[溶接]
溶接材料の販売数量は、東南アジア向けの需要が減少したことから、前年同期を下回りました。販売価格は、原料価格上昇分の転嫁などにより、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比13.1%増の647億円となり、経常利益は、販売数量が減少したことから、前年同期比11億円減益の15億円となりました。
[機械]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、石油化学やエネルギー分野を中心に堅調に推移したことから、前年同期比19.9%増の1,760億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は2,085億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比8.2%増の1,283億円となり、経常利益は、前年同期比1億円減益の83億円となりました。
[エンジニアリング]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、還元鉄関連事業で複数の海外大型案件を受注した前年同期に比べ、22.8%減の1,052億円となり、当第3四半期連結会計期間末の受注残高は3,622億円となりました。
また、既受注案件の案件構成差などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比9.7%増の985億円となり、経常利益は、前年同期比63億円減益の26億円となりました。
[建設機械]
油圧ショベルの販売台数は、インフラ投資の減退により需要が減少した中国での減少に加え、部品の調達不足影響を受けた日本や欧州、北米でも減少したことから、前年同期を下回りました。一方、クローラクレーンの販売台数は前年同期並となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期並の2,804億円となり、経常利益は、販売台数の減少や調達コストアップの販売価格への転嫁遅れなどにより、前年同期比20億円減益の107億円となりました。
[電力]
販売電力量は、神戸発電所3号機の稼働により、前年同期を上回りました。電力単価は発電用石炭価格の高騰により、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比264.0%増の2,131億円となり、経常利益は、神戸発電所3号機の稼働により販売電力量が増加した一方、燃料費調整の時期ずれを含む売電価格に関する一過性の減益影響などにより、前年同期比12億円減益の64億円となりました。
[その他]
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.0%減の168億円となり、経常利益は、前年同期比8億円増益の32億円となりました。
②資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当第3四半期連結会計期間末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,459億円、返済期限が1年を超えるものが4,694億円となっております。
当第3四半期連結会計期間末現在の実績
(単位:億円)
前連結会計年度末
当四半期連結会計期間末
有利子負債 ※1
6,551
6,153
有利子負債 ※2
(プロジェクトファイナンスを含む)
9,084
8,818
株主資本
7,831
8,130
※1 当第3四半期連結会計期間末現在の有利子負債の内訳
(単位:億円)
合計
1年内
1年超
短期借入金
354
354
–
長期借入金
5,340
1,095
4,244
社債
459
9
450
合計
6,153
1,459
4,694
※2 当第3四半期連結会計期間末現在の有利子負債の内訳(プロジェクトファイナンスを含む)
(単位:億円)
合計
1年内
1年超
短期借入金
354
354
–
長期借入金
8,005
1,158
6,847
社債
459
9
450
合計
8,818
1,521
7,297
(2) 生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、鉄鋼アルミ及び電力における販売実績が著しく増加しております。詳細については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」をご覧ください。
また、2022年3月31日付で(株)コベルコ マテリアル銅管等を連結の範囲から除外したことに伴い、当第3四半期連結累計期間の素形材において銅管の生産実績はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、256億円であります。
また、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更内容は、次のとおりであります。
当社グループは、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、「ハイブリッド型水素ガス供給システム」の検討を開始し、実証設備の建設を開始しました。2023年3月頃から当社高砂製作所内で実証試験を開始予定です。今後、工場の脱炭素化に向けた手段の一つとして、主要な熱エネルギー消費設備である工業炉・ボイラー等でのCO₂フリー水素の利用が期待されています。当社グループが提案するハイブリッド型水素ガス供給システムは、中小規模の事業者様にとって導入のカギとなる「安定かつ安価な水素づくり」に対するソリューションを提供するもので、機械事業部門の気化器、(株)神鋼環境ソリューションの水電解式水素製造装置、エンジニアリング事業部門の運転マネジメント技術といった、三つの製品・技術より構成されています。なお、本システム実証の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構による「水素社会構築技術開発事業」における調査委託及び助成事業に採択されています。※
※国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素社会構築技術開発事業」採択案件
a.「熱によるエネルギー消費が主体の工場の脱炭素化に向けた水素利活用モデルに関する調査」
b.「液化水素冷熱の利用を可能とする中間媒体式液体水素気化器の開発」
技術開発本部では、2022年10月1日に、国立大学法人大阪大学産業科学研究所(以下、阪大産研)と「KOBELCO未来協働研究所」を設立しました。本協働研究所は、当社グループの多様な技術と阪大産研のAIの知見を掛け合わせて「ものづくりを革新するソリューション」の共創と社会実装に取り組む、産学連携のオープンイノベーションの場です。「人がシステムと共に成長しながら、創造性豊かにイキイキと活躍できる“ものづくりの世界”の実現」をビジョンに掲げ、広範な産業における課題解決と、新規事業創出による企業価値向上を目指していきます。
[鉄鋼アルミ]
鉄鋼では、高炉工程におけるCO₂排出量を大幅に削減した低CO₂高炉鋼材「Kobenable Steel」を国内で初めて商品化しました。本商品は、2021年2月16日に公表した「KOBELCOグループの製鉄工程におけるCO₂低減ソリューション」に基づくものであり、エンジニアリング事業部門のミドレックス技術(天然ガスを使った還元鉄製鉄法)を用いて製造したHBI(熱間成形還元鉄)を加古川製鉄所の高炉に多量に装入することで、高炉からのCO₂排出量を大幅に削減できる技術を活用したものです。低CO₂高炉鋼材「Kobenable Steel」を社会に先駆けてご提供することにより、グリーン社会の実現に貢献していきます。
この「Kobenable Steel」が、日産自動車(株)の2023年1月以降の量産車及び(株)IHI、三菱地所(株)、鹿島建設(株)による「(仮称)豊洲4-2街区開発計画B棟(東京都江東区豊洲)」の新築工事に採用されることが決まりました。今回の採用では、製造時のCO₂排出量をマスバランス方式により100%削減した「Kobenable Premier」を使用する予定です。
[溶接]
溶接システムでは、新型多関節型ロボットARCMAN™ A60、新型ハイエンド溶接電源SENSARC™ RA500及びNEW REGARC™プロセスを搭載した、新・鉄骨溶接システムを開発しました。溶接品質をしっかり確保しながらも、NEW REGARC™の性能を最大限に活かす溶接施工条件の開発により溶接時間を短縮し、加えて、改良した周辺機器により非溶接時間も短縮することで、従来比10%以上のサイクルタイム短縮を実現しています。溶接技能者不足、溶接の自動化を課題にする国内外の建築鉄骨市場向けに、専用ワイヤFAMILIARC™ MG-56R(A)との組合せによる生産性向上を提案してまいります。
また、9%Ni鋼製LNGタンク用Ni基合金フラックス入りワイヤPREMIARC™ DW-N609SV、PREMIARC™ DW-N709SPで立向姿勢の自動溶接を可能にする小型可搬型ロボットKI-700を開発しました。タッチセンシングによる開先形状検知機能、検知した開先形状から最適な積層パターン及び溶接条件を自動生成する機能を有します。Ni基合金モードを搭載したデジタル溶接電源SENSARC™ AB500との組合せにより、難易度の高い9%Ni鋼の溶接でオペレータの技量に依らず安定した品質の溶接を行うことが可能です。さらに人手では不可能な長尺の連続溶接による高能率化にも寄与します。
ARCMAN™ Offline-Teaching Systemは、ARCMAN™と同じソフトを使用することで動作を正確に表現することができるオフラインティーチングソフトです。この度、新機能として従来では確認の難しかったケーブルの干渉や巻き付きを簡単かつ高速で確認することのできる「ケーブルシミュレーション機能」を開発しました。溶接品質低下や自動化を阻害する要因となっていたワイヤ送給ケーブルのワーク等への絡まりなどをPC上にてシミュレーションで確認、改善することが可能となります。ライン停止時間の短縮、実機での溶接確認作業の負荷軽減及び優れた溶接品質の確保に貢献することで、溶接ロボットシステムの更なる生産性向上に貢献してまいります。
[機械]
機械では、2022年4月1日付けで「新事業推進本部」を新設しました。カーボンニュートラルに関わる事業活動や新事業創出活動をさらに加速させる目的の下、新事業を担う開発・技術・営業の専任部署を統合することで、目まぐるしく変化する事業環境への対応力を高め、既存の枠にとらわれないイノベーション創出に取り組んでまいります。
産業機械関連分野では、日本理化学工業(株)向けに積層型多流路反応器(製品名:SMCR Stacked Multi-Channel Reactor)を納入し、運転を開始しました。SMCRは当社の50年以上にわたる熱交換器の設計・製造に関する技術を活かし、2012年に開発した小型反応器の一種です。ステンレスのプレートに幅1~2㎜の微細な流路を加工・積層し拡散接合※1をすることで流路の本数を増やし、コンパクトでありながら工業規模での大容量生産に対応可能としています。従来、医薬品・ファインケミカル分野の製造プロセスにおいては「バッチ生産」が主流でしたが、近年は省エネルギー性や生産効率の観点から「連続生産」が志向されています。日本理化学工業(株)では連続生産方式を積極的に導入されており、今回SMCRの特長である大容量で高効率、かつコンパクトである点を評価頂いたことで採用に至りました。
また、アークイオンプレーティング装置(AIP※2)において、従来品と比較し、生成する皮膜の長寿命化を達成した「AIP-iX」シリーズを開発しました。切削工具向けの代表的な皮膜であるAlCrN(窒化アルミクロム)は、コーティング皮膜中のAlの含有量が多いほど耐酸化性に優れ、高速切削や高切込みなどの難加工条件に適していますが、Alの含有量が多くなりすぎると(概ね65at%以上※3)、皮膜構造が高硬度な立方晶から六方晶へと変化し硬度が低下するという課題がありました。この課題に対し「AIP-iX」では、新開発した装置や成膜プロセスにより、皮膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上であっても立方晶を維持し、硬質なAlCrN皮膜のコーティングが可能となったことで、性能に特化したハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上を確認しました。来春より「AIP-iX」の販売を開始し、世界中の切削工具の寿命向上並びに機械加工の高速化へ貢献いたします。
圧縮機関連分野では、2022年7月4日に三浦工業(株)(以下、三浦工業)と船舶向けに搭載する舶用バイナリー発電システム(以下、舶用バイナリー発電)の技術ライセンス契約(開発・製造・販売)を締結しました。三浦工業とは主機エンジンに供給する高温の過給機からの排熱を利用した舶用バイナリー発電の共同開発を行い、実船搭載での海上試験を2017年に実施しました。また、当社ではこれを含む計4隻の長期実船運用試験を行い、実際の運用における性能や耐久性において確認を行ってきました。ライセンスを受けた三浦工業は舶用バイナリー発電について、2025年頃の販売開始を目指します。
※1 溶接など接合方法の一種。材料同士を密着させ、高温で加熱しながら加圧する事で、原子レベルで結びつける接合方法。一般的な溶接とは違い母材を溶かす事なく接合するため、微細な流路や複雑な三次元構造体の接合に適する。
※2 AIP(Arc Ion Plating)は物理蒸着と呼ばれる薄膜形成技術であるPVD(Physical Vapor Deposition)の一種で、真空中のアーク放電によって材料を蒸発・イオン化させて、母材に薄膜をコーティングする技術。耐摩耗性、低摩擦化等の特性を母材に付与することが可能で、工具や金型、機械部品などに用いられる。
※3 at%は物質に含まれる原子の数の比率。65at%は100個の原子があればそのうち65個を占めることを意味する。
[エンジニアリング]
(株)神鋼環境ソリューションでは、大栄環境(株)、DINS関西(株)、三菱ガス化学(株)、三菱化工機(株)との5社にて提案した「廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業」が、環境省の「令和4年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択され、国内初となる当該実証事業を開始しました。世界では海洋プラスチック問題が社会問題化するなど環境保護等の観点から、プラスチックのリサイクル方法確立の必要性が急速に高まっており、本事業はこれまで廃棄されていたプラスチックについて、ケミカルリサイクルによる資源循環システム構築を目指すものです。
[建設機械]
ショベルでは、コベルコ建機(株)(以下、コベルコ建機)は、2022年12月5日より重機ショベルの遠隔操作と人と稼働データを用いた現場改善ソリューションが実現できるK-DIVEサービスの提供を開始しました。本サービスでは、コックピットにモーションシート、音のフィードバック、可動式メインカメラ、よそ見検知機能などの機能を搭載しており、安全で快適な現場作業を行うことが可能となります。K-DIVEは多様な人を集め・活かし・育てる現場を作ることで「人」を起点に組織を活性化し、経営効率を上げ、お客様の業界全体を変えていくという未来像のもと、「働く人を中心とした、建設現場のテレワークシステム」をコンセプトとしています。建設機械の遠隔操作とマッチングサービスを融合させることで、特定の人・場所・時間などの制約を受けずに、建設現場での施工が可能となり、深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保が可能になる未来の実現を目指しています。
また、コベルコ建機は2022年11月16日~17日にオーストリアのウィーンで開催された、解体業界のための国際的なネットワーク構築と教育を目的として毎年開催されるイベントであるWORLD DEMOLITION SUMMIT 2022において、Innovation Awardを受賞しました。今回、2021年4月1日より販売を開始した超大型建物解体専用機「SK1300DLC」の分解・組立性と搬送性を向上し、最大ピン高さと先端アタッチ最大装着可能質量のバランスを高次元で達成した革新性が、専門家によって構成される審査委員会に評価されました。
[その他]
(株)コベルコ科研では、特殊溶解材料事業において、電子放出源向けの新材料としてCeIr2を開発しました。イリジウム(Ir)とセリウム(Ce)を原料として化合物化したものであり、一般的な電子放出源と比較し同等以上の電子放出効率と、低温域での動作という特徴を有しています。人工衛星等の電気推進機のコスト低減や長寿命化、X線CT装置の高解像度化や検査時間短縮、金属3Dプリンターの高出力化などに寄与することが期待されます。
また、受託試験研究事業においては、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、高精度なホットディスク法を用いた溶融アルミニウムの熱伝導率評価技術を確立しました。これまで測定できなかった材料の熱伝導率や比熱などの物性値を得ることにより、金属材料の鋳造や溶接に関するシミュレーションの精度向上が期待されます。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間において、重要な変更があったものはありません。
また、当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。
加えて、経常的な設備更新のための除却等を除き、重要な設備の除却等の計画はありません。