【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の状況
前連結会計年度末と比較した当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は次のとおりです。
資産については、流動資産が現金及び預金、受取手形及び営業未収金の増加などにより、5,597百万円増加しました。固定資産は、主に自働化設備などの取得による有形固定資産の増加などで、649百万円増加しました。これにより資産合計は、前連結会計年度末比6,246百万円増の84,699百万円となりました。
負債については、営業未払金の増加などによって流動負債は1,777百万円増加しました。固定負債は退職一時金の一部を信託化したことにより退職給付に係る負債が減少しましたが、長期借入金の借り換えやリース債務の増加などにより809百万円増加しました。これにより負債合計は、前連結会計年度末比2,587百万円増の29,474百万円となりました。
純資産については、利益の確保による増加に対し、配当金支払などによる減少がありましたが、前連結会計年度末比3,659百万円増の55,224百万円となりました。
自己資本比率は、前連結会計年度末比0.7ポイント下降し、58.2%となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け経済活動が停滞しましたが、各国で対策が講じられ後半は持ち直しの動きが見られました。米国では経済対策により新型コロナウイルス禍以前の水準に回復しつつありますが、欧州は依然感染拡大と行動制限の行方に景気が左右される状況が続いています。一方、中国においては早期の感染封じ込めにより経済の正常化が進みました。日本経済は、非製造業は弱い動きが続きましたが、後半に入り半導体関連や車載関連などの製造業は底堅く推移しました。
このような事業環境下、当社は世界の各地域で新型コロナウイルス対策に十分な注意を払い、各国によって異なる規制に対応しながら、顧客のサプライチェーンが寸断しないよう、事業継続に取り組みました。
新型コロナウイルスによる制約はありましたが、本来の事業活動に注力すべく、3カ年の第4次中期経営計画2年目の当期は、次の戦略・施策を着実に推進し、グローバルにビジネスの拡大を図りました。
①GTB(Get The Business / 市場と商品の拡大):HUB拠点の機能拡充とネットワークの強化。車載・産機市場向け事業の加速。サービスメニューの充実と提案力の強化。
②GTP(Get The Profit / 間・直の生産性向上):IT・自働化の進化と導入拡大。資本効率重視と確実な刈り取り。改善活動のレベルアップ。
③GTC(Get The Confidence / 選ばれる会社):人財強化と従業員の作業負荷軽減。品質第一で顧客満足の実現。ESG視点での体制構築と取り組みの向上。
当連結会計年度のセグメントの概況は次のとおりです。
[電子部品物流事業]
当事業の主要顧客である電子部品業界においては、新型コロナウイルスの影響により、前半は世界各国で自動車や電子機器の生産が停滞し、電子部品の物量全体が大きく落ち込みましたが、第2四半期後半からは車載関連を中心に物量が回復してきました。
当社では、新型コロナウイルスの影響で、貨物取扱量の需要が減少している中にあっても、従来より継続してきた生産性向上の取り組みの一環として、大阪では新たに大型の自動化設備を導入した倉庫を稼働しました。また、これまで制限されていた拡販活動も徐々に再開し、物流品質のみならず、顧客とのコミュニケーション、サービスのレベルの向上に取り組みました。
海外においては、拠点・ネットワークの拡充を継続し、中国では8月に通関業の専門子会社を設立するなど、通関業務の迅速化による輸出入事業拡大に向けた体制強化を図りました。
当連結会計年度の業績は、生産性向上によるコスト削減と新規拡販に取り組んだことや、下半期には電子部品関連の荷動きが活発化したことから、増収増益を確保することができました。
当セグメントの売上高は52,729百万円(前期比 2.6%増)、営業利益は3,079百万円(同 14.2%増)となりました。
[商品販売事業]
商品販売事業では、電子部品に関連する包装資材・成形材料・電子デバイスの販売を行っています。調達と物流を一元化した電子デバイスの販売ビジネス、物流改善を意識した包装資材の提案営業を進めております。
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの影響により、自動車メーカー向け需要減と海外顧客の現地調達進行に伴い上半期に売上高が減少したことが影響し、下半期には需要回復により前年同期を上回ったものの、通期では減収減益となりました。
当セグメントの売上高は21,180百万円(前期比 12.5%減)、営業利益は461百万円(同 22.0%減)となりました。
[消費物流事業]
消費物流分野では、小売企業の宅配サービスや通信販売ビジネスの成長に伴って需要が拡大している一方、ドライバーを始めとする人材確保・育成が、業界全体の課題となっています。
このような事業環境において、当社グループで消費物流を担う㈱流通サービスは、消費物流の川上にあたる企業間物流の取り込み、メディカル・化粧品などの商品センター業務の拡大、生協宅配ビジネスの拡大に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの影響で外出自粛や在宅勤務の広がりにより宅配需要が増加しました。また、更なる効率化、省人化を目指して、新たなコンセプトのマテハン機器を導入するなど、商品センターの生産性向上にも取り組んだ結果、増収増益となり、過去最高の売上高、営業利益を達成することができました。
当セグメントの売上高は26,652百万円(前期比 6.0%増)、営業利益は1,184百万円(同 42.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高100,562百万円(前期比 0.2%減)、営業利益4,725百万円(同 14.7%増)、経常利益4,926百万円(同 26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,900百万円(同 21.4%増)となりました。
なお、当社は2021年1月21日をもって、東京証券取引所市場第二部から市場第一部に上場となりました。今後は市場第一部の上場企業として、コーポレート・ガバナンスを高い水準で維持し、さらなる業容の拡大と企業価値向上に努めてまいります。
③キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末と比べ2,962百万円増加の19,609百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、6,698百万円(前期比63百万円の収入増)の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の確保4,894百万円や減価償却費3,491百万円などによる資金増加の一方、退職給付に係る負債の減少915百万円や法人税等の支払額991百万円などによる資金減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、2,505百万円(前期比556百万円の支出減)の支出となりました。主な要因は、差入保証金の返還などその他投資活動による収入176百万円があった一方で、自働化設備など有形固定資産の取得支出1,737百万円及びソフトウエアなど無形固定資産の取得支出890百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、1,833百万円(前期比587百万円の支出減)の支出となりました。主な要因は、当社の配当金支払707百万円、リース債務の支払1,269百万円などによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
売上高実績
当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
売上高(百万円)
前年同期比(%)
電子部品物流事業
52,729
2.6
商品販売事業
21,180
△12.5
消費物流事業
26,652
6.0
セグメント間の内部売上高又は振替高
-
-
合計
100,562
△0.2
(注)1 最近2連結会計年度における主な相手先別の売上高実績及び当該売上高実績の総売上高実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先名
前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
売上高(百万円)
総売上高に対する割合(%)
売上高(百万円)
総売上高に対する割合(%)
アルプスアルパイン株式会社
(注)3
8,154
8.1
10,185
10.1
TDK株式会社
4,877
4.8
4,631
4.6
アルパイン株式会社(注)3
950
0.9
-
-
2 上記金額には消費税等は、含まれておりません。
3 アルプスアルパイン株式会社は、2020年4月1日にアルパイン株式会社を吸収分割会社とし、アルプスアルパイン株式会社を吸収分割承継会社とする吸収分割を行っております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。この見積りは過去の実績や状況に応じ合理的と考えられるさまざまな要因に基づき行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表の作成において使用される判断と見積りに影響を及ぼすものと考えております。
a. 繰延税金資産
繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。繰延税金資産の回収可能性を判断するにあたり、将来の課税所得を見積もっています。将来の見積課税所得は、顧客からの受注見込みや過去の業績等に基づいて算定しています。
将来において顧客の需要減少や移転価格を含む税務関連の動向の変化により課税所得が予想を下回り、すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用が計上される可能性があります。
b. 退職給付に係る負債
退職給付費用及び退職給付に係る負債は、数理計算上の前提条件に基づいて算出されています。前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、退職率、死亡率及び昇給率等の仮定が含まれています。このうち、退職給付費用および退職給付に係る負債の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率及び年金資産に係る長期期待運用収益率です。
割引率は優良債券の利回りを参考に決定しており、連結会計年度末において割引率を再検討した結果、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直した上で、退職給付債務を算定しています。長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオに基づく一定期間における運用実績を基に、今後の運用方針及び市場動向を考慮して設定しています。
これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定を変更した場合、将来期間における退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を及ぼします。 当連結会計年度の退職給付費用の計算に使用した割引率及び期待運用収益率については、「退職給付関係」に記載しております。
c. 固定資産の評価
当社グループは、近接した拠点間のビジネス上のつながりが強く、地域ごとの組織により管理会計上の業績管理をしているため、減損会計の適用にあたり、地域別のグルーピングを行っております。
資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象があり、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損損失の測定にあたって見積もられる回収可能価額は、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を使用しています。
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において見積もられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画や外部環境に照らして算定した受注予測等に基づき算定しています。また、使用価値の算定に使用する割引率は、要求される加重平均資本コストを採用しています。将来、事業環境の変化等により固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高100,562百万円(前期比 0.2%減)、営業利益4,725百万円(同 14.7%増)、経常利益4,926百万円(同 26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,900百万円(同 21.4%増)となりました。
当連結会計年度の連結業績は、生産性向上によるコスト削減と新規拡販に取り組んだことや、下半期には電子部品関連の荷動きが活発化したことから、微減収ながらも増益を確保することができました。
電子部品関連の物流と商品販売を主体とする当社及び国内外の子会社24社、そして消費物流を主体とする国内子会社の㈱流通サービスは、2019年度よりスタートした3カ年の第4次中期経営計画に基づいて、それぞれの専門分野における戦略・重点施策を着実に実行し、更なるグローバル成長を図っております。
なお、各セグメントの状況は、以下のとおりです。
[電子部品物流事業・商品販売事業]
当連結会計年度は、電子部品物流事業と商品販売事業を合わせた電子部品関連の事業で期初に売上高67,000百万円、営業利益2,300百万円の計画を設定しました。実績は上記に記載の要因によって、売上高が計画比10.3%増の73,909百万円、営業利益は計画比53.9%増の3,540百万円となりました。また、グローバル成長の度合いを測る指標として「外販比率(親会社であるアルプスアルパイングループ以外の売上構成比率)」、「海外売上比率」の向上に取り組んでおります。当連結会計年度においては、外販比率が前期比2.4ポイント増の57.6%に、海外売上比率については、電子部品物流において新型コロナウイルスからの回復が国内よりも海外において先行して進んだことなどにより前期比3.7ポイント増の40.0%となりました。
今後については、主要顧客が属する電子部品産業は、通信の5G関連機器や自動車の電子化の進展、そして新興国需要の拡大によって、今後も成長が予想されております。一方で、商品やマーケットの変化に対応した最適地生産や生販合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズは高度化かつ多様化しております。このような事業環境において、電子部品関連の事業をドメインとする当社及び国内外の子会社では、2019年度より3カ年の第4次中期経営計画をスタートしました。中期基本方針を「進化する『最適物流』をより多くのお客様に」と定め、次の戦略・施策を推進し、グローバルにビジネスの拡大を図っております。
[消費物流]
消費物流分野では、生協物流や通販物流など、強みを活かした分野への事業の集中・拡販、ドライバーや倉庫作業員の人手不足とそれに伴うコストアップが経営課題となっております。期初に売上高26,000百万円、営業利益900百万円の計画を設定しました。新型コロナウイルスの影響で外出自粛や在宅勤務の広がりにより宅配需要が増加したこと、また、更なる効率化、省人化を目指して、新たなコンセプトのマテハン機器を導入するなど、商品センターの生産性向上にも取り組んだ結果、増収増益を確保することができ、売上高は計画比2.5%増の26,652百万円、営業利益が31.6%増の1,184百万円となりました。
事業の運営体制や営業体制の強化を図り、主要顧客である生協向けビジネスの更なる拡大、シェアアップを図るとともに、「EC通販物流」の拡販・強化を進めております。さらに、医薬品輸配送などの新たな領域の市場開拓も進めております。また、業務課題である人手不足に対処すべく、採用力や教育制度の充実、コミュニケーションの強化、働き方改革の推進などによって、定着率の向上を図り、人材の確保・育成につなげてまいります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、当連結会計年度におきまして、事業規模の拡大、顧客サービスの向上などを目的とした物流インフラ強化のための設備投資として、倉庫建設、車両の購入、情報システム構築など、総額4,058百万円の投資を行いました。
当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、営業キャッシュ・フローの確保による自己資金と、金融機関からの借入によって調達を行っています。当連結会計年度末における借入金の残高は3,171百万円(前期末比356百万円増)、現金及び現金同等物の残高は19,609百万円(前期末比2,962百万円増)となりました。
今後の重要な設備投資としては、引き続き国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資、生産性向上のための投資を行う計画です。なお、これらの設備投資資金については、現金及び現金同等物と、営業キャッシュ・フロー、借入金から充当する計画です。また、新型コロナウイルスの感染拡大リスクに備えたバックアップとして金融機関からのコミットメントラインを2020年に設定しました。
