【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から12月31日まで)において、世界では新型コロナウイルス、ロシア・ウクライナ問題の長期化、インフレの進行と利上げなど不安材料が多い一方で、一部には経済活動の再開や制限緩和などの動きも出始めています。国内経済では、夏以降、ウィズコロナで経済活動が再開され個人消費が持ち直しましたが、為替市場で一時1990年以来の150円超えとなるなど円安が進行し、輸入物価の上昇から食料品や電気・ガス料金の値上げが続くなど、他の国と同様、不安要素と緩和への動きが交錯する不安定な状況が続いています。12月末の日経平均株価の終値は26,094円50銭となり、期初から6.2%の下落となっています。米国株式市場では、物価の上昇とそれを抑えるべく行動する中央銀行の利上げにより、テクノロジー関連銘柄を中心に軟調な展開となりました。2021年春から上昇を続ける米国の消費者物価指数(CPI)は、一時約40年ぶりに前年同月比で9%を超える水準まで上昇。雇用最大化と物価安定を目標とするFOMCは大幅な利上げを続け、5月から数えて今期6会合あったすべてのFOMCで政策金利を引き上げました。これにより、CPIは7月に発表された6月の9.1%を高値に、一旦上昇基調が落ち着いたものの、水準は引き続き高く、現在、政策金利は4%を超え、水準の維持や利下げのタイミングの思惑が株式市場の不安定要素となっています。アジア新興国経済は、米FRBの急ピッチな利上げを背景にドル高・新興国通貨安が進行した結果、輸入インフレを通じて各国の消費者物価指数を押し上げました。これを受けて、東南アジア諸国は通貨安とインフレを抑制するために、複数回にわたって利上げを実施して金融引き締め姿勢を強め、各国の経済は内需回復と好調な輸出に支えられて概ね堅調に推移しました。アジア株式市場では、不動産の融資規制と大幅利上げを実施したベトナムの主要指数であるVN指数は、期間中下落率-32.5%と大幅下落となりました。また、インドネシア、タイ、フィリピンの東南アジア各国の指数も下落しており、全体的にさえない動きとなりました。中国はゼロコロナ政策の堅持と10月の共産党大会での指導部人事などによる景気悪化と規制強化が懸念されましたが、当局が11月からゼロコロナの規制緩和や不動産救済に踏み切ったため、景気回復が期待され足元の株価は戻り基調となっています。
このような状況の中、当社グループは、「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念の下、今年度から新たに開始した中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」に基づき、基本方針の1つである「徹底的なお客様目線」にて、お客様とのコミュニケーションを緊密にして信頼感の醸成を図り、資産形成ビジネスの確立を目指しております。各事業における取組みといたしまして、運用事業のあいざわアセットマネジメント株式会社(AAM)では、10月にAAMとして3本目となるセカンダリー投資ファンド、Ariake Secondary Fund Ⅲ LPのセカンドクロージング(二次投資家受入を完了)を迎えました。証券事業のアイザワ証券株式会社では、11月に包括連携協定先の静岡大学等と連携し、静岡大学静岡キャンパスの近くに交流拠点としてコワーキングスペースを開きました。本施設は大学生だけでなく社会人や中高生も利用でき、学生と地元企業の交流を通じた学生の起業支援としても期待されています。 また、12月には「子育てサポート企業」として厚生労働大臣より「くるみん」認定を取得しました。今後も全ての社員が能力を発揮させつつ、仕事と家庭生活のバランスが取れるよう働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。
教育機関連携の一環としてアイザワ証券が継続して実施している金融特別授業の中で、山口県の宇部鴻城高校とアイザワ証券の包括的業務提携先でもある茨城県の常陸大宮高校がWEB上にて交流し、宇部鴻城高校から起業教育、金融教育で先行する常陸大宮高校に対して質問が飛び交うなど活発な意見交換が繰り広げられました。金融機関連携では、11月から12月にかけて包括的業務提携先である青梅信用金庫と財務省 関東財務局 東京財務事務所と三者で、青梅市立吹上中学校の生徒に対して、今年度で3年目となる「金融教育・出張授業」を実施しました。
当第3四半期連結累計期間における業績の内訳は次のとおりです。
①経営成績の状況(受入手数料) 株式委託取引の減少等により、受入手数料は66億44百万円(前年同期比16.9%減)となりました。(トレーディング損益) 外国株式国内店頭取引の減少等により、トレーディング損益は17億47百万円(同56.8%減)となりました。(金融収支) 金融収益は3億25百万円(同2.8%増)、金融費用は53百万円(同15.7%減)となり、差引金融収支は2億72百万円(同7.4%増)となりました。(その他の営業収益・その他の営業費用)営業投資有価証券売上高の増加等により、その他の営業収益は6億29百万円(同290.4%増)となりました。営業投資有価証券売上原価の増加等により、その他の営業費用は3億5百万円(同356.9%増)となりました。(販売費・一般管理費) 人件費の減少等により、販売費・一般管理費は111億95百万円(同11.1%減)となりました。(営業外損益) 営業外収益は受取配当金4億29百万円等により5億27百万円、営業外費用は支払利息15百万円、和解金10百万円等により31百万円となりました。これにより営業外損益は4億96百万円(同68.0%減)の利益となりました。(特別損益) 特別利益は投資有価証券売却益等により7億42百万円、特別損失は投資有価証券売却損等により36百万円となりました。これにより特別損益は7億5百万円の利益となりました。
以上により、当第3四半期連結累計期間の営業収益は93億47百万円(同25.3%減)、営業損失は22億6百万円、経常損失は17億10百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は12億7百万円となりました。
②セグメントごとの経営成績の状況(証券事業)当第3四半期連結累計期間における証券事業は株式委託取引及び外国株国内店頭取引の減少等により、受入手数料及びトレーディング損益が減少し、営業収益は85億66百万円(前年同期比28.2%減)、セグメント損失は20億61百万円となりました。(運用事業)当第3四半期連結累計期間における運用事業は運用報酬の減少により、営業収益は2億5百万円(同55.9%減)、セグメント損失は98百万円となりました。(投資事業)当第3四半期連結累計期間における投資事業は営業投資有価証券売上高及び不動産賃貸収入の増加により、営業収益は6億11百万円(同238.5%増)、セグメント利益は1億30百万円となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
③財政状態の状況 (資産の状況)当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1,047億92百万円と、前連結会計年度末に比べ68百万円の増加となりました。主な要因は、現金・預金19億46百万円の増加、預託金36億74百万円の減少、営業投資有価証券18億85百万円の増加によるものです。
(負債の状況)当第3四半期連結会計期間末の負債合計は490億18百万円と、前連結会計年度末に比べ23億24百万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金21億50百万円の増加によるものです。
(純資産の状況)当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は557億73百万円と前連結会計年度末に比べ22億56百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金23億6百万円の減少によるものです。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。
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