【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間(2022年4月1日~9月30日)において、先進国、新興国ともに、不安定な値動きが続きました。新型コロナウイルス問題は長期化しているものの、ウィズコロナに向かって規制を緩和する国やゼロコロナを続ける国など、各国の対応にばらつきがみられます。また、後半に英国ポンド安が進行するなど、世界的な通貨不安につながっています。インフレの進行、利上げ懸念、通貨不安などが当面の世界経済、株式市場にとっての重石になっています。国内株式市場は、ロシアのウクライナ侵攻や米国の金融引き締めへの思惑からボラティリティが激しく推移し、日経平均株価は8月17日には高値となる29,222円77銭を付けました。また、米国の金融引き締めの流れから為替の変動も大きく、日本円は対米ドルで1998年以来の安値水準となりました。米国株式市場は、コロナ禍で行われた財政主導の経済対策・金融緩和策から、金融引き締めへ転換となり、大きく節目が変わることとなりました。商品価格の高騰、安定した雇用需要から人件費の上昇が加速し、3月~9月に発表されたCPIは、3月に発表された2月実績を除き全ての月で前年同月比8%を超え、1981年以来のインフレ水準になっています。急激な物価上昇を打ち消すべく、FRB(米連邦準備理事会)による歴史的なペースの利上げが行われており、利上げペースの速さから、先のリセッションも懸念され、株式市場には大きなインパクトを与えました。特に、QE(量的緩和策)による過剰流動性相場で恩恵を受けたとされるテクノロジー銘柄の下落が大きく、ナスダック指数の期間中下落率は25.6%となり、その他主要指数であるS&P500、ダウ指数も大きく下げ、期間中下落率はそれぞれ20.9%、17.2%となりました。アジア株式市場では、中国の景気減速や米国の利上げに伴うインフレ、通貨安圧力により全体的に軟調な展開になりました。その中で、中国はゼロコロナ政策に伴う個人消費の低迷と不動産市況の悪化、電力不足、人民元安などが悪材料視され、香港ハンセン指数は9月に年初来安値を更新、上海総合指数も下落トレンドが続いています。一方、東南アジアは、ウィズコロナ政策の浸透に伴って各国の景気は軒並み回復したものの、米ドルに対する自国通貨の下落とインフレが懸念材料となっており、政策金利を引き上げる動きが相次いでいます。その中で、ベトナムは不動産融資規制問題とドン安の進行、当局による1%の大幅利上げなどが悪材料視され、ベトナムVN指数は9月に1,099ポイントと年初来安値を更新し、軟調な値動きが目立っています。
このような状況のもと、当社グループは、「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念の下、資産形成ビジネスの確立に向けて取り組んでおります。当社グループにおきましては、徹底的なお客様目線でのコミュニケーションを図るため、従来の訪問や電話だけでなく、お客様の意向に応じLINEやメールなど、SNSツールも組み合わせ、きめ細かい対応を心掛けております。また、出社型勤務と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークやビジネスカジュアルも取り入れ、様々な勤務スタイルを駆使しながら、従業員の働き方改革やワーク・ライフ・バランスの充実を目指しております。当社グループは、今年度から開始した中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」に基づき、基本方針の1つである「徹底的なお客様目線」にて、お客様とのコミュニケーションを緊密にし信頼感の醸成を図り、資産形成ビジネスの確立を目指しております。
当社グループ子会社におきましては、証券事業のアイザワ証券株式会社では、7月に包括的業務提携先でもある株式会社西京銀行と5店舗目の銀証共同店舗・宇部支店を開設(2022年10月開設)することを発表いたしました。山口エリアのお客様に「銀証共同店舗」ならではの預金や株式投資等の複合サービスを提供してまいります。8月、9月では効率的な支店運営を図るため、人流の多い地域を中心とした店舗ネットワークの再構築を図りました。これにより、あべのハルカス支店と横浜支店を新規に開設し、町田支店を移転し大規模店舗へ変更しました。
また、30~40歳台の資産形成層の開拓を図るため、KYCによる新規口座開設システムを導入しました。これにより従来、書類を中心に対応していた口座開設手続きが大幅に簡略化され、開設までの時間も短縮されました。お客様の負担軽減だけでなく、当社グループが推進する業務のDX化の一助にもつながっています。金融機関連携では、包括的業務提携先である株式会社西京銀行と、銀証共同店舗の開設にとどまらず、金融商品仲介業務における新たな協業態勢を構築するため、同行にて取り扱われている公共債及び投資信託の窓販業務など、一部の登録金融機関業務に係るお客様の証券口座に関する権利義務をアイザワ証券株式会社に承継することの検討を進めることについて合意し、基本合意書を締結しました。
これからも当社グループは、各グループ子会社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループへ邁進してまいります。当第2四半期連結累計期間における業績の内訳は次のとおりです。
①経営成績の状況(受入手数料) 株式委託取引の減少等により、受入手数料は41億52百万円(前年同期比21.4%減)となりました。(トレーディング損益) 外国株式国内店頭取引の減少等により、トレーディング損益は13億6百万円(同48.3%減)となりました。(金融収支) 金融収益は2億10百万円(同0.2%減)、金融費用は34百万円(同3.1%減)となり、差引金融収支は1億75百万円(同0.4%増)となりました。(その他の営業収益・その他の営業費用)不動産賃貸収入の増加等により、その他の営業収益は2億76百万円(同189.9%増)となりました。営業投資有価証券売上原価の増加等により、その他の営業費用は3億34百万円(同841.0%増)となりました。(販売費・一般管理費) 事務費の減少等により、販売費・一般管理費は74億78百万円(同10.5%減)となりました。(営業外損益) 営業外収益は受取配当金2億58百万円等により3億27百万円、営業外費用は支払利息10百万円、和解金10百万円等により25百万円となりました。これにより営業外損益は3億2百万円(同77.6%減)の利益となりました。(特別損益) 特別利益は投資有価証券売却益等により5億85百万円、特別損失は投資有価証券評価損2億80百万円等により3億2百万円となりました。これにより特別損益は2億82百万円の利益となりました。
以上により、当第2四半期連結累計期間の営業収益は59億45百万円(同26.7%減)、営業損失は19億2百万円、経常損失は16億0百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は14億55百万円となりました。
②セグメントごとの経営成績の状況(証券事業)当第2四半期連結累計期間における証券事業は株式委託取引及び外国株国内店頭取引の減少等により、受入手数料及びトレーディング損益が減少し、営業収益は55億69百万円(前年同期比26.9%減)、セグメント損失は14億75百万円となりました。(運用事業)当第2四半期連結累計期間における運用事業は運用報酬の減少により、営業収益は1億18百万円(同70.2%減)、セグメント損失は78百万円となりました。
(投資事業)当第2四半期連結累計期間における投資事業は営業投資有価証券売上高及び不動産賃貸収入の増加により、営業収益は2億81百万円(同155.6%増)となり、一方で営業投資有価証券売上原価の増加等により、セグメント損失は1億80百万円となりました。
なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。
③財政状態の状況
(資産の状況)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は1,037億91百万円と、前連結会計年度末に比べ9億31百万円の減少となりました。主な要因は、現金・預金21億14百万円の増加、預託金19億55百万円の減少、営業投資有価証券9億35百万円の増加、投資有価証券24億51百万円の減少によるものです。
(負債の状況)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は481億24百万円と、前連結会計年度末に比べ14億30百万円の増加となりました。主な要因は、信用取引負債10億55百万円の増加、有価証券担保借入金25億57百万円の減少、預り金7億88百万円の増加によるものです。
(純資産の状況)
当第2四半期連結会計期間末の純資産合計は556億67百万円と前連結会計年度末に比べ23億62百万円の減少となりました。主な要因は、利益剰余金20億42百万円の減少によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ21億14百万円増加し、当第2四半期連結累計期間末には207億80百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動の結果支出した資金は11億39百万円(前年同期は88億26百万円の収入)となりました。これは主に顧客分別金信託の減少、有価証券担保借入金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動の結果獲得した資金は12億50百万円(前年同期は11億81百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出、投資有価証券の売却による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動の結果獲得した資金は16億1百万円(前年同期は147億99百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の増加、長期借入れによる収入、長期借入金の返済による支出によるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。
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