【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格上昇、世界的な物価上昇に加え、中国のゼロコロナ政策見直しによる新型コロナウイルス感染症の再拡大などの影響により回復基調は鈍化し、引き続き厳しい状況となりました。
当社グループが関連する自動車業界におきましては、世界的な半導体不足による自動車の減産、原材料価格の高騰、国際物流の混乱などもあり、不安定な状況が続きました。
このような経営環境の中、当社グループにおきましては、2021年度に策定した「中長期経営計画2029」で掲げる目標達成に向けて、強力に取り組みを進めております。「持続的成長に向けた事業の変革」を経営目標とし、ESG経営推進による経営基盤強化の下、シート・電装事業の収益体質強化を図りつつ、電子事業及び新規事業を成長・拡大させ、2029年度にはバランスのとれた3本足の事業を展開することを目指し、その第一歩として、『新しい今仙への挑戦』をテーマとしたフェーズ1(2021~2023年度)を展開しております。
シート・電装事業では、顧客ニーズを重視した開発の推進により新製品の採用や新規顧客の獲得に向けた受注活動を展開しております。また性能向上と低コストを両立したコア製品と次世代車両の室内空間に対応したデバイス開発にも注力しております。コスト低減と品質向上への取り組みとしては、北米拠点にシートアジャスタ自動組立設備を導入しており、タクトバランスと品質に優れた加工を実現しました。
電子事業では、マツダ株式会社と、EV車の要となる動力ユニットe-Axleの基幹部品であるインバータ等の開発、及び基板の実装を含む生産技術の開発を担う合弁会社 Mazda Imasen Electric Drive 株式会社を設立しました。また、あわせてシリコンカーバイドパワー半導体を含むインバータの開発において、マツダ株式会社、ローム株式会社との間で3社共同開発契約を締結しました。これらの取り組みにより、各社の知見を投入し、小型・高性能・高効率の電気駆動システムの創出を目指しております。
新規事業の創出に向けた取り組みとしては、一昨年開発した歩行測定システムの実用化を目指して、データを収集するとともにその妥当性証明を進めております。県内外の自治体やスポーツクラブで幅広い年齢層の方々を対象に歩行測定を行い、測定結果をフィードバックすることで、ユーザーの意見や満足度の確認を進め、それらを反映することでシステム改善に取り組みました。
このような施策に取り組んでまいりましたが、半導体不足による急な生産変動や、資源価格上昇、中国ロックダウンの影響に加え、北米向け輸送コスト増加やタイにおける品質不具合への対応費用などの一過性のコストが発生した結果、当連結会計年度の売上高は99,730百万円(前期比17.1%増)、営業損失は770百万円(前期は70百万円の損失)、経常利益は28百万円(前期比95.4%減)、また当社において繰延税金資産を取崩したことなどにより親会社株主に帰属する当期純損失は2,053百万円(前期は1,210百万円の損失)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(a) 日本
半導体供給不足による影響が残るものの、得意先の受注増加により、売上高は39,817百万円(前期比13.9%増)、営業利益は458百万円(前期は987百万円の損失)となりました。
(b) 北米
為替影響により売上高は27,215百万円(前期比28.9%増)となりましたが、港湾問題による輸送コストの増加により営業損失は2,716百万円(前期は975百万円の損失)となりました。
(c) アジア
為替影響により売上高は32,697百万円(前期比12.4%増)となりましたが、タイにおける不具合対応費などにより営業利益は1,636百万円(前期比20.9%減)となりました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
日本
39,446
12.3
北米
27,308
26.9
アジア
31,730
10.8
合 計
98,485
15.5
(注) 上記の金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
日本
39,865
12.4
4,311
1.1
北米
27,733
36.6
2,100
32.7
アジア
32,417
11.9
2,265
△11.0
合 計
100,016
18.0
8,677
3.4
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
日本
39,817
13.9
北米
27,215
28.9
アジア
32,697
12.4
合 計
99,730
17.1
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高
(百万円)
割合(%)
販売高
(百万円)
割合(%)
日本発条㈱
10,705
12.6
12,760
12.8
NHK Seating of America,Inc.
-
-
10,522
10.6
広州提愛思汽車内飾系統有限公司
-
-
10,182
10.2
(注) 前連結会計年度のNHK Seating of America,Inc.、広州提愛思汽車内飾系統有限公司については、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
財政状態の分析
a.流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は56,003百万円(前期比2,260百万円の増加)となりました。棚卸資産が2,352百万円、売掛金が879百万円、電子記録債権が839百万円増加したものの、現金及び預金が2,426百万円減少したことなどによるものであります。
b.固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は26,900百万円(前期比485百万円の増加)となりました。有形固定資産が221百万円減少したものの、無形固定資産が224百万円増加、投資その他の資産が482百万円増加したことなどによるものであります。
c.流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は26,180百万円(前期比3,326百万円の増加)となりました。支払手形及び買掛金が2,357百万円、短期借入金が1,763百万円増加したことなどによるものであります。
d.固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は7,835百万円(前期比310百万円の増加)となりました。繰延税金負債が1,022百万円増加したことなどによるものであります。
e.純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、48,887百万円(前期比890百万円の減少)となりました。為替換算調整勘定が1,620百万円増加したものの、利益剰余金が2,346百万円減少したことなどによるものであります。
経営成績の分析
a.経営成績の概要
当連結会計年度における売上高は99,730百万円(前期比17.1%増)となりました。セグメント別では、日本につきましては、半導体供給不足による影響が残るものの得意先の受注増加により、売上高は39,817百万円(前期比13.9%増)となりました。北米は、為替影響により、売上高は27,215百万円(前期比28.9%増)、アジアは、為替影響により、売上高は32,697百万円(前期比12.4%増)となりました。
利益につきましては、特に北米において港湾問題による輸送コストが増加したことなどから営業損失は770百万円(前期は70百万円の損失)、経常利益は28百万円(前期比95.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は当社において繰延税金資産を取崩したことなどにより2,053百万円(前期は1,210百万円の損失)となりました。
b.売上原価及び販売費及び一般管理費
当連結会計年度における売上原価は、半導体供給不足による売上減少に対し、固定費削減等に取り組んだものの、特に北米において港湾問題による輸送コスト増加により仕入コストが増加したことなどから、売上高に対する割合は93.7%(前期は91.8%)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、7,055百万円(前期比0.5%増)、売上高に対する割合は7.1%(前期は8.2%)となりました。
c.営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は、為替差益565百万円(前期は343百万円)、受取配当金186百万円(前期は168百万円)などがあったことから、798百万円(前期は687百万円)となりました。
d.特別損益
当連結会計年度における特別損益は、投資有価証券売却益74百万円を計上したものの、メキシコ子会社における事業整理損122百万円を計上したことなどから、△29百万円(前期は△1,024百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は15,885百万円と前連結会計年度末に比べ2,570百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は、787百万円(前期は3,504百万円の増加)となりました。これは主として、棚卸資産の増加が1,520百万円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、2,050百万円(前期比40.7%減)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が1,641百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、30百万円(前期比97.7%減)となりました。これは主として、短期借入金が1,822百万円純増したものの、長期借入金の返済による支出が1,919百万円であったことによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払い、新製品立ち上がりに伴う生産設備や金型投資等です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度において2,436百万円の設備投資を実施しており、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、繰延税金資産の回収可能性の判断及び固定資産の減損に関する判断に関しては、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
a.製品保証引当金
当社グループは、製品の品質保証期間内に発生する製品保証費の支払に備えるため、過去のクレームを基礎にして発生見込額を見積り計上しております。従いまして、実際の製品保証費は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.退職給付に係る負債
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で使用される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率や年金資産の長期期待運用収益率など、多くの見積りが存在しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来の退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
d.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の将来の回収可能性を検討して、回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を評価するにあたって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。この見積額の変動により、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を税金費用として計上します。
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