【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策のもと、行動制限の緩和や各種政策等により経済活動が正常化に向かうなど、景気は緩やかに持ち直しました。
しかしながら、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れや国際情勢に伴う資源価格の高騰など先行き不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当社は引き続き不正問題の解決に向けた対応に注力するとともに、社内風土改革をはじめとした再発防止への取り組みを推進することにより、信頼回復に努めてまいります。また、人材育成や生産設備の増強等、中長期的な成長を見据えた積極的な投資も行っております。
業績につきましては、受注高は半導体装置市況の減速によりサーマル部門を中心に減少したものの、売上高は消防ポンプ部門の回復もあり、前年同四半期比で増加いたしました。
以上の結果、受注高は2,649百万円(前年同四半期比12.6%減)、売上高は4,064百万円(前年同四半期比27.7%増)となりました。利益面におきましては、売上高の増加に伴う売上総利益の増加により営業利益が624百万円(前年同四半期比55.1%増)、経常利益が630百万円(前年同四半期比48.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が424百万円(前年同四半期比42.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
SSP(Safety Security Protection)部門
当該部門におきましては、消火設備の改修工事、電力基幹産業向けの警報、消火設備、装置向け防爆製品が堅調に推移し、売上高は増加いたしました。一方、受注高につきましては、不正問題に伴う営業活動への影響等もあり、減少いたしました。
以上の結果、受注高は1,189百万円(前年同四半期比15.3%減)、売上高は1,489百万円(前年同四半期比27.3%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、不正問題に引き続き真摯に取り組むとともに警報、消火、防爆の各製品を深化し、設備の更新や改修工事の提案等につなげる受注活動及び電力基幹産業、特殊環境施設に向けた営業活動を推進してまいります。また、課題である人材育成につきましても、教育や訓練等の強化により、将来に向け安定かつ成長できる体制の構築を図ってまいります。
開発の状況につきましては、自動火災報知設備にかかる中継器の後継機種開発や感知器のリニューアル等に継続して取り組んでおります。
サーマル部門
当該部門におきましては、半導体装置市場におけるメモリーを中心とする投資に落ち着きが見られ、主力製品である半導体製造装置向け熱板及びセンサーを中心に受注高が減少いたしました。一方、売上高は引き続き堅調に推移いたしました。
以上の結果、受注高は452百万円(前年同四半期比34.7%減)、売上高は705百万円(前年同四半期比44.2%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、2023年7月に施行予定の輸出規制に伴う投資の調整等もあり、半導体製造装置市況は慎重な動きが見込まれるものの、今後の半導体装置市場の成長を見据え、生産体制を強化してまいります。
開発の状況につきましては、主力製品である熱板の特定顧客及び市場ニーズに合わせた機能、性能の向上を目指した製品開発を継続しており、試作、性能評価を進めております。また、温度センサー及びサーモスイッチにつきましても、特定顧客向けのカスタム製品を中心に開発を進めております。
メディカル部門
当該部門におきましては、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う海外各国での予算減少、需要減に加え、客先における在庫調整等も続いており、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び関連製品の出荷が厳しい状況にあります。また、堅調に推移していた国内市場向け人工腎臓透析装置の関連製品につきましても、部品入手難及び原材料価格の高騰等により供給に一部支障が出るなど厳しい状況が続き、売上高が減少いたしました。受注高は部品調達リードタイムの長期化を見越した先行受注等により増加いたしました。
以上の結果、受注高は340百万円(前年同四半期比40.8%増)、売上高は263百万円(前年同四半期比9.3%減)となりました。
今後の見通しにつきましては、主力製品である海外市場向け人工腎臓透析装置及び関連製品の出荷が徐々に好転し、当初計画した推移に近づくものと見込んでおります。
開発の状況につきましては、新型人工腎臓透析装置の更なる利便性の向上に向けた機能改善及び制御ソフトウエアの開発を継続して進めております。また、その他医療機器の新規開発、従来の要素部品の改良開発も継続して進めております。
PWBA(Printed Wiring Board Assembly)部門
当該部門におきましては、一部の電子部品の入手難における産業機器向け製品の減産、また、事務機器向け製品の在庫調整等の影響により、受注高、売上高ともに減少いたしました。
以上の結果、受注高は221百万円(前年同四半期比35.6%減)、売上高は229百万円(前年同四半期比27.6%減)となりました。
今後の見通しにつきましては、医療機器、産業機器向けの需要は回復傾向にはあるものの、電子部品の入手難による産業機器、事務機器向け製品の減産、在庫調整等の影響により、厳しい状況が続くものと予想しております。
消防ポンプ部門
当該部門におきましては、地方自治体向け及び総務省向けの消防車・消防ポンプ販売が好調で、国内向け売上高が増加いたしました。
また、海外市場では中国・台湾向け消防ポンプが引き続き堅調に推移しており、特に中国では新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴い入札案件が増加傾向にあり、海外向け受注高が増加いたしました。
以上の結果、受注高は446百万円(前年同四半期比27.5%増)、売上高は1,376百万円(前年同四半期比50.4%増)となりました。なお、事業の特性により、前連結会計年度後半に受注した製品の出荷が、第1四半期連結累計期間に集中するため、受注高と売上高が大きく乖離する傾向があります。
今後の見通しにつきましては、官公庁及び地方自治体向け予算は回復傾向にあり、国内受注は消防車を中心に増加しつつあるものの、利益面では原材料等の高騰により、国内外ともに厳しい状況が続くものと予想しております。
開発の状況につきましては、空冷式及び水冷式消防ポンプのモデルチェンジ等に継続して取り組んでおります。
② 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、19,435百万円となり、前連結会計年度末18,813百万円に比べ622百万円(3.3%)増加しております。主な増加要因は「受取手形及び売掛金」508百万円(25.0%)、「原材料」191百万円(12.4%)であります。
負債合計は、7,009百万円となり、前連結会計年度末6,500百万円に比べ509百万円(7.8%)増加しております。主な増加要因は「支払手形及び買掛金」596百万円(32.4%)であり、主な減少要因は「長期借入金」73百万円(7.9%)であります。
純資産合計は、12,425百万円となり、前連結会計年度末12,312百万円に比べ112百万円(0.9%)増加しております。主な増加要因は「その他有価証券評価差額金」72百万円(13.6%)であります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、87百万円であります。